インタビュー
「リネージュ2」ライブサービス基本プレイ無料化の理由と今後の展開を新井友和氏に聞く。アデンサービスで実装される「デスナイト」の情報も
そんな大きな転換期を迎えるリネージュ2だが,エヌシージャパンの主力タイトルが軒並み無料化された2015年4月に基本プレイ無料の「クラシックサービス」が誕生し,さらに今年2019年に快適なキャラクターの成長を謳う「アデンサービス」を開始するなど,これまでもプレイヤーのニーズに合わせてサービスを多様化している。
しかし,「ライブサービス」だけは,昔ながらの月額課金制のままサービスを続けてきた。なぜ今,無料化に踏み切るのか。その意図をリネージュ2統括プロデューサー 新井友和氏に聞いた。
ライブサービス無料化で10月30日からすべてのサービスが基本プレイ無料に
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。10月2日に公式サイト内のお知らせページで,「ライブサービス基本プレイ無料化のご案内」が発表されました。
ゲーム内の状況や月額利用権を使用しているプレイヤーの皆さんへの対応を考えて,本当はもっと早く告知すべきだったのですが,アップデートとの兼ね合いもあって,このタイミングになりました。
4Gamer:
では,無料化に至った経緯を教えてください。
新井氏:
韓国でも8月にサービスの無料化が行われています。日本では2015年に基本無料のクラシックサービスをオープンしましたが,実はそのときからライブサービスも無料化すべきだろうと検討はしていました。
4Gamer:
なぜ,今になって実施が決まったのでしょうか。
新井氏:
昨今は,モバイルもPCもライトなプレイ感のゲームが多くなってきました。そんな中,エヌシージャパンにはリネージュ2を筆頭に「コンテンツを深く遊んでもらう」ような重めのタイトルが多く,どうしてもハードルは高くなってしまいます。ですので,基本プレイ無料で気軽にスタートできるようにしたいと考えるようになったんです。
4Gamer:
最近は月額課金制のゲームをプレイするのに結構なパワーが必要になりますよね。月額いくらというのを見て,躊躇する人は確かに多いかもしれません。
新井氏:
そうなんですよ。ですが,最高峰の技術で最高のMMORPGタイトルを運営しているという自負がありますので,より多くの人に遊んでもらい,楽しさを実感してもらいたいんです。それが一番の理由ですね。
ただ,今作られているコミュニティが荒れてしまうのではないか,今まで遊んできたプレイヤーの皆さんが育んできた文化が壊れてしまうのではないかと,不安な要素は少なからずあります。それでも,リネージュ2の素晴らしさを多くの人に体験してもらいたいと思う気持ちで無料化に踏み切りました。
4Gamer:
ライブサービスが無料化されることで,リネージュ2のサービスすべてが基本プレイ無料になりますよね。気になるのは,どう差別化していくのかということです。
新井氏:
3つのサービスを並行して運営していくこと自体が結構大変ですので,意図的に差別化を進めるというのは難しいところがあります。ただ,現状お客さまのプレイスタイルやゲーム内の経済状況がサービスごとに違っているので,それぞれのサービスのゲーム内の状況を参考に,サービス別に適したコンテンツなどの実装を進めていきます。また,運営としてもそれぞれのサービスの特色などを分かりやすく提示することで,ゲームを始める際の目安にはなるのかなと思ってます。
4Gamer:
では,簡単にそれぞれのサービスの特徴を教えてください。
新井氏:
ライブサービスは歴史あるリネージュ2を体験できるサービスで,昨今では「スタミナ」すなわち「バイタリティシステム」が重要になっています。これはレベルアップに関わる要素で,大規模戦闘や血盟間のPvPやコミュニティも重要視されています。また,「ワールドオリンピアード」というサーバーの垣根を超えた対人戦コンテンツも導入していて,非常に活気のあるサービスと言えます。
4Gamer:
古参のプレイヤーも多く,完全新規のプレイヤーにはちょっと厳しい面もありそうですが,重厚なMMORPGの面白さを感じたい人はライブサービスが良いかもしれませんね。
新井氏:
そうですね。一方,クラシックサービスは“サービス開始当初のリネージュ2”のコンテンツが遊べるのがウリです。ゆっくりキャラクターを育成したい人に向けたサービスですが,こちらもコミュティは重要で,大勢のプレイヤーが協力して挑む「レイドボス」の討伐が1つの目標になります。
狩りをして経験値を稼いでレベルを上げる,昔ながらの楽しみ方ができるのが特徴ですね。血盟に加入しなくても攻城戦に参加できる「傭兵システム」も導入されているので,手軽に大規模戦闘を体験することも可能です。
4Gamer:
リネージュ2オープン当初の内容,カオティッククロニクル初期の世界が再現されているわけですから,おそらく懐かしいと感じる人が多そうです。一番新しいアデンサービスはどうでしょうか。
新井氏:
アデンサービスはかなり特殊なサービスとなっていて,クラシックサービスをベースにして自動狩りに適した様々な調整が行われているのが特徴です。敵をひたすら倒して経験値を稼ぐことは変わらないのですが,アデンサービス独自の魔法のランプやサイハの恩寵などの育成システムを導入し,キャラクターの育成マネジメントに特化していると言えます。キャラは自動で育成して,攻城戦やオリンピアードに参加するという流れですね。
4Gamer:
もともとは同じシステムのゲームが,サービスの仕方でそれぞれ違った特徴を持っているのは面白いですね。
長く運営を続けてきた中で,お客さまのプレイ状況のデータや多くの経験を持っていますので,それを活用しつつ,常に最高のコンテンツを届けられる体制を整えています。なので,どのサービスを選んでもMMORPGの醍醐味を感じてもらえるはずです。
久しぶりにログインしてみようと考えている人の多くは,無料化されるライブサービスが目当てになると思いますが,離脱のタイミングによっては,レベルや装備の差で昔の仲間と一緒に遊べないこともあるかもしれません。
これは5年近くサービスを続けているクラシックサービスも同様です。もし,もっと気軽にリネージュ2の世界を体験したいというのであれば,プレイ状況によって装備品がもらえるアデンサービスを選ぶといいかもしれません。10月30日のアップデートのタイミングで新サーバーもオープン予定ですので。
4Gamer:
分かりました。ところで,いままで月額サービスだったものが無料化されるとなると,マネタイズがどうなるのか気になります。
新井氏:
アイテム強化型の有料アイテムを提供することになりますが,これは以前とそう変わりません。ただ,先に話したバイタリティシステム関連の仕様として,バイタリティがないと入手できるアデナ(ゲーム内マネー)が減少することになります。ですから,バイタリティアイテムの需要が高まると想定しています。とはいえ,バイタリティはセーフゾーンにいれば少しずつ回復していくので,課金をしないと厳しいということにはならないと考えています。
4Gamer:
無料化以降は,本当にガッツリ遊びたいというときに,バイタリティアイテムを買うという流れになりそうですね。無料のサービスがほかにあることで,どうしても新規のプレイヤーが入りづらい環境だったでしょうし,ライブサービスにも新たな出会いが生まれるチャンスが来ると喜ぶプレイヤーも多そうですね。
新井氏:
ええ。昔のMMORPGにあった,狩場で新しいプレイヤーと出会えるような環境にしたいと考えていて,以前導入したメンター/メンティー,いわゆる師匠と弟子のシステムもリニューアルします。メンターとメンティーどちらにも大きなメリットがあるので,ぜひ活用してください。
アデンサービスに新クラス「デスナイト」が追加
4Gamer:
続いて,10月30日のアップデートによって各サービスがどう変わっていくのか,具体的に教えてください。
ライブサービス及びクラシックサービスで,クラスのスキルや狩場の改変を行いまして,アデンサービスには新クラスの「デスナイト」を実装します。こちらは大きなアップデートと言えるでしょう。
4Gamer:
デスナイトはリネージュを象徴するような存在ですから,気になる人も多いんじゃないでしょうか。
新井氏:
リネージュ2では,クラシックサービスにおけるレイドボスを討伐した際に,一定確率で出現するボーナスレイドボスとして登場しているのですが,その強敵を自分で操作できるという刺激的な体験が味わえるアップデートになっています。また,育成を進めていくと,デスナイト誕生の秘密が分かるようなシナリオも用意しています。
ちなみにプロモーションビデオ内のデスナイトのCVは,声優の日野 聡さんにお願いしています。
4Gamer:
ところでリネージュ2では,まず種族があり,その種族ごとにクラスが決まっていますよね。デスナイトは,どの種族がなれるのでしょうか。
新井氏:
ヒューマン,エルフ,ダークエルフの3種族です。具体的には,一次職「デスブレイダー」,二次職「デスブリンガー」と転職していき,三次職でデスナイトという流れで,デスナイトへの転職は,レベル76に到達することが条件となります。
4Gamer:
男性と女性,どちらもデスナイトになれるんですか?
新井氏:
私自身女性のデスナイトがいてもいいのではとも思っているのですが,現状では男性キャラクターのみが就けるクラスとなります。ただ,女性版デスナイトを作る環境は整っているので,要望次第では女性版デスナイトが登場……するかもしれません。
4Gamer:
要望は多くなりそうです。デスナイトの性能についてはどうでしょうか。
新井氏:
アンデッド特性を持ち,近接攻撃に加え魔法スキルも使いこなせる特殊なダメージディーラーで,重装備を身にまとい,片手剣を扱います。特徴的なのは「ヘルファイヤー」というスキルで,広範囲に地獄の炎を巻き起こします。このスキルを使いたいがために,デスナイトを選択すると言ってもいいでしょう。また,「デスナイト」の姿に変身することもでき,その際は攻撃力が大幅に上昇します。
4Gamer:
ヘルファイヤー……。対人戦で猛威を振るいそうな予感がします(笑)。
新井氏:
最近,韓国版リネージュ2をプレイしたのですが,攻城戦にはかなりの数のデスナイトが参加していましたよ(笑)。
4Gamer:
リネージュ2に限ったことではありませんが,実装したてのキャラクターって強めに設定されていますよね。その影響も多少ありそうです。
新井氏:
それはあるかもしれません。ただ,デスナイトに対抗できるクラスというのも活発に議論されていました。日本でも試行錯誤しながら,楽しんでいただけるのではないかと思っています。
4Gamer:
韓国でデスナイトが実装されたのは比較的最近ですし,デスナイトをとりまく環境もいろいろ変わっていくのでしょうか?
新井氏:
ええ,韓国での実装は8月14日でした。それほど時間を置かず10月30日に日本でも実装いたします。日本でもデスナイト実装による職業論を楽しんでもらいたいです。今後もできるだけ早い時期にアップデートできるようにしていきます。
4Gamer:
ほかに10月30日のアップデート関連について,現段階でお話いただけることはありますか。
新井氏:
キャラクター作成画面を含むユーザーインタフェースを全面リニューアルします。
あと,アデンサービスのみになりますが,「5000日目の約束」という新たなプロモーションを行う予定です。これは,ライブサービスやクラシックサービスを含め,リネージュ2のゲーム内でキャラクター作成日や2015年4月1日から2019年10月2までにキャラクターがログインしていた日数をもとに,プレイしていただいた時間に応じてタイムコインをプレゼントし,そのタイムコインを使ってイベント内で各種アイテムがもらえるというものです。
4Gamer:
オープンβテストから始めた人は,それだけで結構なアイテムがもらえるということでしょうか。
新井氏:
オープンβサービスからだと,途中離脱したとしてもかなりの装備を整えることができるので,快適な狩りが行えると思いますよ。過去に遊んだ時間が無駄にならない,そんなイベントになっていて,イベント期間中もタイムコインを獲得できるミッションを多数用意しているので,チャンスは誰でもあります。また,ライブサービスとアデンサービスでは,休眠/新規プレイヤー向けに「100回分の無料ガチャ」も用意させてもらいました。
4Gamer:
新規サーバーもオープンするとのことで,10月30日からのアデンサービスは熱いですね(笑)。
新井氏:
はい(笑)。もちろん,ライブサービスとクラシックサービスもお客さまが望むアップデートを今後も実装していきますので,そこはご安心ください。
キャラクター作成画面:変更前 |
変更後 |
キャラクター選択画面:変更前 |
変更後 |
ユーザーインタフェース(UI):変更前 |
変更後 |
リネージュ2サービスをしている世界各国と対戦できる「グローバル攻城戦」を2020年に導入予定
4Gamer:
それでは,話せる範囲で構いませんので,10月30日のアップデート以降に実装予定の新要素があれば教えてください。
大きいところだと2020年の上半期を目安に「グローバル攻城戦」を導入する予定です。現段階では,リネージュ2をサービスしている世界各国で攻城戦を行う仕組みとなっています。
4Gamer:
リネージュ2の大規模戦闘の代名詞でもある攻城戦が,世界規模に広がる,と。人が多いほど盛り上がりますし,国対抗となると普段の攻城戦よりも勝敗の重みが増して緊張感のある戦いになりそうです。
新井氏:
まだまだ解決しなければならない技術的な問題もありますが,最近のインターネットを取り巻く環境を考慮すれば,通信環境に左右されない対戦が行えると思っています。また,競争型の血盟コンテンツも準備しています。血盟で争うという実にリネージュ2らしいコンテンツを,公式に提供できるようになります。血盟戦というと,良くも悪くもプレイヤー間の意見の違いから行われることが多いですが,もう少しスポーツライクな対戦が楽しめるはずです。
4Gamer:
プレイヤー間の関係で生じる血盟戦というのも,MMORPGらしくて良いと思いますけどね。
新井氏:
私も,個人的にはそうした混沌とした雰囲気があってもいいと感じています。プレイヤーの皆さんからは,PvEサーバーが欲しいという意見もあるのですが,PvPがなくなってしまうと,“リネージュ2らしさ”も失われてしまうのではないかと危惧しています。MMORPGは人と人とが紡ぐもの。運営はケア役としてゲームの盛り上がりをサポートできればと思っています。
4Gamer:
分かりました。3つのサービスで,それぞれの方向性に沿ったアップデートが今後も行われていくのは間違いなさそうですね。
新井氏:
すべてのお客さまが平等にサービスを受けられることを一番に考えながら,アップデートを行っていきます。プレイしてくださるお客さまに大きな負担がなく,MMORPGの醍醐味を体験/体感していだたけるように,ですね。とくにアデンサービスは,プレイした時間に応じてキャラクターが成長する仕組みになっているので,過去にリネージュ2をプレイしたことのない人でも楽しめる仕様になっています。
4Gamer:
では,最後に4Gamerの読者に向けてメッセージをお願いします。
新井氏:
3つのサービスを通じてリネージュ2の世界観を体験できるよう準備を整えています。既存のプレイヤーの皆さんと触れ合えるようなイベントも提供していますので,この機会にリネージュ2をプレイしていただけると幸いです。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「リネージュ2」公式サイト
- 関連タイトル:
リネージュ2
- この記事のURL:
Lineage(R) II and Lineage II Epic tale of Aden (TM) are registered trademarks of NCSOFT Corporation. Copyright (C) NCSOFT Corporation. NC Japan K.K. was granted by NCSOFT Corporation the right to publish, distribute and transmit Lineage(R) II in Japan. All rights reserved.
- リネージュII Goddess of Destruction -Chapter1 Awakening-
- Software
- 発売日:1970/01/01
- 価格:¥3,800円(Amazon)
- リネージュII V3ウイルスブロックインターネットセキュリティSoftware