インタビュー
「ファイナルファンタジーXI」に追加実装される新コンテンツ「メナスインスペクター」とは。拡張ディスク「アドゥリンの魔境」インタビュー
最大級の高難度コンテンツ「メナスインスペクター」
ボスは倒せずとも,装備品の収集と成長を目指して繰り返し挑もう
4Gamer:
では,新コンテンツ「メナスインスペクター」についても教えてください。
はい。メナスは,地下空洞と呼ばれるダンジョンエリアと,その入口があるフィールドエリアの二つの場所で戦闘を行うバトルコンテンツです。
フィールドエリアでは,地下空洞に出現するボスモンスター以外のNM(ノートリアスモンスター)を特定のアイテムで呼び出して戦闘できます。そのNMを倒すことで,地下空洞でのバトルを有利に進める準備ができます。
ですので,遊び方としては,地下空洞にいきなり挑むこともできますが,フィールドエリアでNMを倒して準備を進めて,週末などにみんなで力を合わせて地下空洞のボスを目指すといった感じですね。
4Gamer:
NMを倒すことで,どう有利になるんでしょうか。
岩上氏:
地下空洞では,フィールドエリアに登場するNMと同じモンスターが出てくるんですが,フィールドエリアでは単体だったNMが,地下空洞ではチームを組んでやってくるんですよ。だから前もってフィールドエリアで戦って強さや戦い方を確認して,地下空洞での戦闘をシミュレーションとして遊んでもらえればと思います。
4Gamer:
なるほど,そこで敵の属性を確認しておけば有利に進めそうですね。
伊藤氏:
それだけではなくて,実はフィールドエリアでNMを倒しておくと,地下空洞で出現させないNMを最大3体まで任意で選ぶことができます。ですので,先にフィールドエリアでNMの戦力を割いて,地下空洞で残りの戦力を叩く感じです。
4Gamer:
とすると,倒しやすいNMは残しておいて,苦手な相手を単体のときに倒しておけばいいわけですか。
岩上氏:
そうです。例えば魔法のダメージが優秀なパーティだったら,魔法に弱いNMを残して,魔法に強いNMは1匹ずつフィールドで倒しておくわけです。
伊藤氏:
18人というアライアンスコンテンツだと,魔法アタッカーで固めて一気に叩こうという戦略が多いと思います。ですがメナスで登場するモンスターの中には,魔法が通じないNMもいるので,魔法ジョブで固めたいなら,先にそれを攻略しておくとか,パーティごとにまったく異なる多くの選択肢があります。
4Gamer:
それを知らずにいきなり地下空洞に挑むと,かなり厳しい戦いになりそうです。メナス自体の難度としては,どれくらいのものなんですか。
岩上氏:
史上最大級です。その分,手に入る報酬も最大級なので,挑戦する価値はあると思いますよ。
松井氏:
最大級ではありますが,NMと最後のボスモンスターとでは想定している難度に差を付けていますし,NMのパーティにも数段階の難度があります。
4Gamer:
最大級のなかにも,難度が分けてあるんですね。
松井氏:
なぜかというと,メナスではNMを倒した時点で何らかの報酬がもらえますが,自分達のパーティで倒せる段階のNMから入手することで,プレイヤーキャラクターが徐々に強くなっていって,装備が揃ったらボスモンスターに挑戦できるという難度を考えているんです。
4Gamer:
勝てそうなNMからドロップ品を集めて,次の段階へという感じなんですね。フィールドエリアと地下空洞とでは,得られるドロップ品は変わるんですか。
いえ,フィールドエリアと地下空洞に出現するNMは,先ほどの説明どおり同じで,得られる報酬もNMごとに同じなんです。ですから,フィールドエリアで装備品を入手して,さらに装備品を強化してから,地下空洞に挑むというのが遊び方になると思います。ただ地下空洞で戦うのは,最大6体のNMパーティだったりボスモンスターだったりするので,ドロップ率は良くしています。
4Gamer:
この装備の強化というのは,メナス特有の要素なんでしょうか。
岩上氏:
そうなります。メナス関連のモンスターを倒すと,「メナスプラズム」というポイントが入手できます。そのポイントで交換できる「エアリキッド」を使って,メナスで入手した装備品を強化できます。
4Gamer:
ただNMを倒すだけではなくて,ポイントを集めるという要素もあるんですね。
岩上氏:
このポイントは,モンスターを倒していくごとにボーナスが入るという要素を入れているので,モンスターが多い地下空洞のほうが集めやすいと思います。
伊藤氏:
さらに,メナスプラズムで装備品が交換できるんですよ。
4Gamer:
お? それはNMからのドロップ品と同じものなんでしょうか。
岩上氏:
同じものです。
同じ装備品がドロップとポイントの両方で手に入るというのは,これまでのFFXIではなかったものですよね。普通はNMを倒すという目的のために,その装備を手に入れるという導線を残しておくんですが,今回は溜まっていくメナスプラズムの報酬として用意しています。
4Gamer:
とにかくメナスに参加していれば,いつかはちゃんと装備品が手に入るんですね。
伊藤氏:
そうなります。メナスは,遊んでいくうちに徐々に強くなっていくというところに重きが置かれたシステムなんです。これまでだとコツコツとやっていても,運によって手に入らないものは,いくらやっても手に入らないことが多かったですから。
4Gamer:
ちなみにメナスプラズムは,1回のメナス挑戦ごとではなくて,挑戦が終わったあとにも溜めておけるものなんですか。
岩上氏:
はい。溜めておけます。
4Gamer:
そうするとボスモンスターを倒せなくても結果が残るわけですから,何度でも挑戦のしがいがありますね。
岩上氏:
はい。メナスに出現するモンスターからは,メナスプラズムと装備と強化アイテムが入手できるので,次に挑戦するときは今より強くなった状態で挑戦できます。そして徐々にプレイヤーが強くなって,いずれはボスモンスターを倒していただきたいです。
4Gamer:
アイテムを手に入れたらそのコンテンツは終わり……ではなくて,そこからアイテムを成長させるために,繰り返し挑戦するという形なんですね。
伊藤氏:
「スカーム」では,装備品の性能がランダムだから,挑戦を繰り返すというコンテンツになっています。メナスの装備品に似ているのは「メイジャンの試練」で,対象のアイテムを装備して試練をクリアすると性能が次の段階に進むというものでした。このメナスは,こうしたコンテンツの良いとこ取りなんですよ。ほかの装備品を着ていても,溜めたポイントで別の装備品を育てられるし,性能も自分で選べます。
4Gamer:
選択というのは,プレイヤーが任意で成長の方向性を選べるんですか。それとも強化アイテムの種類によって変わるのでしょうか。
岩上氏:
最初の強化で,3種類から方向性を選べます。さらにエリアリキッドを使うことで成長ランクを伸ばし,より強化していけます。
4Gamer:
発表された情報では,装備品にRare属性(1キャラクターにつき1個のみ所有できる)が付いてますよね。途中でやっぱりこっちの方向が良かった! ということで,装備の成長ランクをリセットしたくなるかもしれないですが。
岩上氏:
一番最初の状態には戻りますが,リセットできますよ。
4Gamer:
それなら,安心して強化できますね。それにしても,報酬の入手方法については,高難度コンテンツの割に親切という感じがします。
そうですね。というのも,いまのFFXIで18人のアライアンスを要求するシステムは,人数を集めるという意味でチャレンジすぎると思うんですよ。そのうえでレア品を手に入れて終わりでは,得た人はもうそのコンテンツに用がなくなります。
4Gamer:
ああ,そうなると参加者の募集が難しくなってきますね……。
松井氏:
そういうことを考えて,突然ドロップして手に入る運のいい人もいますが,それからまたこのコンテンツで戦い続けて,どんどん強くしていくというものにしたかったんです。
4Gamer:
ところで,このコンテンツは最大18人ということですが,逆に最低何人くらいいれば戦えるんでしょう。
松井氏:
目的によって変わってくるとは思うのですが,例えば,最後に待ち受けるボスモンスターを攻略するならば18人いないと難しいかもしれません
岩上氏:
コツコツとポイントをためるためなら6人でも挑戦できますし,慣れれば……地下空洞でも下の難度から2段くらいのNMは,2パーティ(12人)くらいで攻略できると思います。
松井氏:
ただ,制限時間が短いというのもあって,それを考えると人数をしっかり揃えたいところなんですよ。
4Gamer:
時間を考えると火力は揃えておきたいですよね。ところで,メナスプラズムで得られる装備品は,登場するNMから得られるものと同じとのことですが,今後,新たな装備品がメナスに追加されることはあるんですか。
岩上氏:
それは,メナス2があるのかというご質問ですか?
4Gamer:
お,2があるんですか?
伊藤氏:
メナスもスカームもバージョンアップを重ねて,メナス2といった感じに拡張され,高レベル版として登場するんですよ。
スカームもまた,次に開放されるエリアでは,第1弾よりも高レベルなものとして追加されて,徐々にコンテンツレベルが上がっていきます。
メナスもそうですが,対象レベルの低いコンテンツで装備を整えて,この階段を上っていかなければなりません。ただ,メナス2になったときに,メナスプラズムが同じ価値として使えるかどうかは検討しています。
岩上氏:
メナスプラズム2になったり,桁が大きくなったりするかもしれません。
特別な11周年を祝うイベント企画を計画中
4Gamer:
さて,最後に今後のFFXIについてもお聞きしたいのですが,そろそろヴァナフェスのお話も出てきそうですか。
ヴァナフェスに関しては未定ですが,今年はFFXIの11周年になりますよね。ほかのゲームではともかく,FFXIでは“めでたい年”なので,何かをしたいと思っています。ただ,それが昨年のようなスタイルになるかは未定です。例えば,この日とかそういうものを決めないで,毎月11日などに何かを行うような,11年丸々全部を祝ってしまおうという計画も立てているところなんですよ。
4Gamer:
大きな会場で開催とかではない可能性があるんですね。
伊藤氏:
今回も会場を借りて行うイベントを開催する可能性はありますが,1日限定でというイベントをやると,海外もそうですが,参加できないプレイヤーさんも大勢います。だったら,それを1回やるだけではなく,みんなに楽しんでもらえるような内容を検討したいですね。
4Gamer:
なるほど。どんなイベントになるのか,楽しみにしています。では,最後に4Gamer読者へコメントをお願いします。
伊藤氏:
アドゥリンの発売までには,いろいろな制限を取り除く必要がありました。例えばマップの追加一つにしても,10年前に決められていた上限をなかなか突破できなかったんです。ですから,実際にアビセアが終わったころには,もうマップは拡張できないねという話をしていました。
ですがプログラマと相談して,具体的なことは説明できませんが,ここのワークは別のものに置き換えてといった感じでやり取りしたんです。最終的に「全部をそうする覚悟があるなら,それでいくよ?」と言われて。
4Gamer:
選択に迫られたと。とくにPS2版を考えれば,何もかもを見直す必要がありそうです。
伊藤氏:
そうですね。ですが,「その覚悟があるからやってくれ」と返答しました。というのも,田中さん(元スクウェア・エニックス 田中弘道氏)から,なんとか拡張できるように,みんなと折り合いを付けてくれと強く言われていたんです。そして,なんとか拡張にこぎ着けられました。拡張できるようになってからは,アドゥリンを企画して,いろいろなところに協力を要請して,かなりのハイペースで開発を進めてきたんです。
このように,開発者としていろいろなセクションで限界突破をしないと完成できなかった作品になりました。だからこそ,苦労の末に生み出した,愛せる作品になったと思います。プレイヤーの皆さんには,そんな苦労もしてたのか,くらいに思っていただけるとありがたいです。
メナスインスペクターも,変に制限して繰り返し遊んでもらうスタイルではなく,楽しんでいればどんどん強くなる,失敗してもいまより前に進めるというものを考えて作ったコンテンツです。いっぱい遊んで開拓してもらえればと思います。
伊藤氏:
また,すぐにモンスタープレイング(仮)を作らなきゃね。
岩上氏:
そうです。モンスタープレイング(仮)が待っています。
4Gamer:
期待しています。
谷口氏:
今回は新ジョブの設計をさせていただきましたが,既存のジョブに関しては,もちろんこれから調整していきますので,いろいろご意見をいただければと思います。新ジョブの二つに関してはまだまだスタート地点に立ったばかりなので,ほかのジョブと見比べつつ,みなさんの様子を見つつ,調整していきますので,よろしくお願いします。
松井氏:
アドゥリンが立ち上がったときには,まだこのチームにいなかったんですが,半年前にこちらに戻ってきました。プロデューサー業務が慣れていないところでしたので,サポートというのは変ですが,新しいコンテンツ/要素からお手伝いさせてもらいました。最後にモンスターの技の実装をさせてもらったのも楽しかったですね。
伊藤氏:
人手が足りなすぎて,松井さんにもやってもらったんですよ(笑)。
4Gamer:
えーと,確か松井さんはプロデューサーでしたよね(笑)。
松井氏:
バトルバランスについては,伊藤からもっと口出ししていいと言われているので(笑)。今後は谷口を鍛えつつ,二人三脚でやっていこうと思います。これまではリソースがほとんどアドゥリンに向かっていました。そのため,手を入れたい既存のコンテンツ/エリアが後回しになっていましたが,これからどんどんやっていきますので,よろしくお願いします。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「ファイナルファンタジーXI アドゥリンの魔境」公式サイト
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