すでにドイツでXbox版が発売されている
「World Racing」は,
メルセデス・ベンツ社と提携した
TDK Mediactive社が開発したレーシングシミュレーションゲームである。
World Racingには,わずか1社の車にも関わらず, AクラスやSクラスはもちろん,ヴィンテージもののレースカーやプロトタイプのジープ,さらにPC版専用として2003年9月9日にフランクフルト・モーターショーでデビューする予定の最新スポーツモデルSLR McLarenも含め,実に
120車種も登場する。
もちろんメルセデス・ベンツ社の宣伝効果を狙ったものと考えられるがゲームエンジンの性能はなかなか高く,1機種で
1万2000ポリゴンを使用した車体は,丸みも見事に表現されており,反射マッピングでリアリティ溢れるものになっている。
これまではほとんど社外秘だったそれぞれの車種の細かいデータもメルセデス・ベンツ社によって提供され,
1車種あたり150もの詳細なデータが閲覧できるようになっているのだ。
レースコースは,ネバダ,日本,メキシコ,オーストラリア,アルプス,そして市街地とテストコースという七つの仮想空間を構築し,それぞれの10種類以上のバラエティが用意されている。
これらのコースは,長いものでは
20kmにも到達し,筆者がトライした日本の鳥居や木造の橋をあしらったコースも13kmもあった。面白いことに,それぞれのコースには最大で
6平方kmという広大なマップが用意されている。実際に,カメラを空中高くまでズームアウトさせて,コースや地形の全景を確認することも可能だ。
一般的なレーシングゲームでは,コースの周囲しか3D化されないものだが,このWorld Racingは,まず世界ありきのコンセプトで制作されているのである。そのため,マップ中には飛行機やヘリコプター,野鳥などがスクリプトではなくリアルタイムで表現されているのである。
レース中にコースから外れて横転すると,Rボタンを押せばすぐにコースに戻してくれるのだが,
この操作はレース自体を止めてカメラで自由に世界を散策しているときでも利用できる。どんな場所にいても車をカメラの目前に移動できるので,例えば海に落としたりビルの屋上に載せてみたりすることも可能だ。そんな機能をどう使うのかが不思議だが,Xbox版では暇つぶしにマップの道のない部分で遊ぶプレイヤーも多いらしい。
ヨーロッパでは,
2003年9月中にPC版とPS2でリリースでリリースされる予定になっている。(奥谷海人)