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[E3 2006#178]ダークファンタジーRPG「The Witcher」の現在
Kentia HallのCD Projektブースには,スクリーンを設置した小部屋にがあって,そこでゲームの概要説明を聞いた後に,ゲーム世界のバックグラウンドを説明するムービーを見せてもらった。アートワークの組み合わせで,この作品がダークファンタジーであることを説明する内容のムービーだ。「これはゲームに収録されるムービーの一部なのか?」という質問に対して,担当者は「そうではなく,プロモーションのために作ったものだ」と応えていた。確か以前のショウではRPGの研究に関するムービーを見せてもらった覚えがある。相変わらずまじめな姿勢で開発を続けているようだ。
The Witcherはシングルプレイ専用のアクションRPGだ。今回の戦闘部分のデモで,担当者が最も強調していたのは,操作自体はマウスだけでできるほどシンプルなものにもかかわらず,繰り出せるモーションが非常に多彩であるということだ。
実際,デモプレイではマウスにしか手を触れていないのに,画面上の主人公キャラクターは薙いだり払ったり叩きつけたりと,いろいろな軌道で剣を振り回す。移動や攻撃のテンポはRPGとしてはスピーディで,まるでアクションゲームのようだ。マウスボタンを押しっぱなしにすることでタメをつくり,リリースとともに敵に向かってダッシュするという動作などは,決まればかなり気持ちがよさそうだ。
主人公は戦闘中にスタンスを切り替えることが可能で,スタンスにはStrong Style,Fast Style,Group Styleの三つがあるというのは,GCで見たときと変わっていない。プレイヤーはキャラクターを育てていくうえでどのスタイルを伸ばしていくかを,選択できるようだ。さらに剣撃に対してスタンやブリードといった効果を選んで付加することにより,キャラクターの個性を出していくことも可能なようだった。
次なるデモは主人公の選択がストーリーにどのような影響を及ぼすかを説明するものだった。
捕らえた敵の下っ端の命を助けてやるのか,それとも殺すのかを選択する場面。助けた場合は重要な情報を得られるが,結局そのことが原因となって,あとで味方の女性が殺されてしまう。殺した場合はその女性は死なずにすむが,重要な情報は得られない……といった内容だった。
ここでのポイントは二つある。一つは本作で展開するストーリーは,単純な善悪では割り切れない,奥の深いものであるということ。そしてもう一つは,そのときどきの選択がいろいろなところに影響し,かなり後になって利いてくるようなこともある,ということだ。
The WitcherはBiowareのAuroraエンジンを利用して作られているが,そのまま使っているわけではなく,いろいろとカスタマイズが施されている。とくにレンダリング関連部分などは昨年に展示したものに比べるとかなり改良されているとのことで,その効果を体験してもらうというのがグラフィックデモの内容だった。天候の変化や昼夜の移り変わりは確かに自然かつスムーズなもののようだ。水の表現にもこだわっており,特に水面の動きは物理計算を行った上で表現しているとのことだ。
これらのデモで確認できたそれぞれのゲーム内要素のクオリティはなかなかに印象的だったが,それと同じくらいインパクトがあったのは,解説してくれた開発者一人一人の,「自分たちのプロジェクトを知ってもらいたい」という熱意の高さだった。それぞれが実にハイテンションでセールスポイントを熱く語っていた。
ちょっと心配なのは,熱意がありすぎて,なかなか発売にこぎ着けることができなくなってしまう可能性だ。あまり長く待たされると,興味は薄れていってしまうものである。発売を待ちかねるファンに,そういった気分を味あわせることのないようがんばってもらいたい。(ライター:星原昭典)
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The Witcher
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