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[GC 2007#099]発売まで秒読み段階のシングルプレイ専用RPG,「The Witcher」の現状をチェック
発表当初,RPGの開発に定評のあるBioWareが,自社作品「Neverwinter Nights」のために作ったAurora Engineをライセンスしていることなどで話題を集めたタイトルだが,そのNWNの続編となる「Neverwinter Nights 2」が半年以上前にリリースされており,遅きに失している感がなくもない。海外では2007年9月に発売されるという話もあったが,1か月後の10月に延期されてしまった(関連記事)。
開発作業に何らかの遅れが生じ,それがプロジェクト全体に深刻な影響を与えているように見え,個人的に進捗が気になっていた作品である。
本作は,チェコではパブリッシャとしても知られるCD Projektが,長い年月をかけて開発を進めているRPG。著名なファンタジー作家の小説をベースとしており,発表当初から“ストーリー性重視”が謳われた作品だ。
欧米産RPGには,キャラクター作成の自由度が高い作品が比較的多く,なかには主人公が記憶を失っていたりして,その生い立ちや性格などをあえて固定しないことを狙ったタイトルもある。それに対してThe Witcherでは,主人公の名前や過去がきっちりと設定されており,プレイする人を,同社が用意した物語の中へと引き込もうとする姿勢がうかがえる。
そしてもう一つは,CD Projekt自身がビジネスセンター内に構えていた自社ブースだ。こちらのブースでゲームの詳細を聞けたので,その内容をお伝えしよう。
これまで,The Witcherのさまざまな要素が別個に公開されてきたため,筆者は作品全体のイメージをきちんと捉えられずにいた。しかし今回展示されていたバージョンをプレイしたことで,どのようなゲームであるかをより具体的に理解しつつある。
本作の主人公は,人間離れした能力を備えるGeraltという男。本作でプレイヤーはGeraltとなり,ファンタジー世界での冒険を繰り広げる。
ゲーム画面は基本的に見下ろし型とのことだったが,ボタン一つでカメラ位置を下げた普通の三人称視点に切り替えられるようになっていた。これは割と大きな変更点といえるだろう。ただし,三人称視点ではより迫力のある画面が描かれる半面,周囲の状況を見渡しにくいという欠点がある。そのため,通常は見下ろし視点のほうがプレイしやすいのではないかと思う。
先に述べたように,本作にはAurora Engineが使用されているが,広汎なカスタマイズが行われており,コードの約80%が書き直されたものであるとのことだ。
またGeraltは,攻撃できる頻度は少ないが,一度により大きなダメージを与えられるストロングスタイル,手数重視のファストスタイル,そして一定の範囲内にいる複数の敵を攻撃できるグループスタイルの3種類の戦闘スタイルを備えており,状況に応じて選択可能だ。画面上のアイコンをクリックするだけで,剣やスタイルを切り替えられる。
同社ブースでのデモンストレーションでは,大きくてヘルスの多い敵1体と,小さくて弱い敵数体に囲まれた状況を切り抜ける方法が示された。まずグループスタイルで小さい敵をなぎ払い,大きな敵が残ったところでストロングスタイルに切り替え,攻撃するという流れだ。
近接戦闘の操作はとてもシンプルで,基本的に敵にカーソルを合わせ,左クリックするだけ。とはいえ攻撃を当てるには,敵に合わせたカーソルが光ったときに,タイミングよくクリックする必要がある。攻撃を立て続けに当てるとコンボが発動したり,敵をノックダウンしたりできる。倒れた敵にのしかかり,とどめを刺すことも可能だ。
剣の達人の動きをモーションキャプチャしたとのことで,Geraltのアクションはかなりスピーディで,格好よい。
またGeraltは,魔法を使う能力も備えている。魔法はいつでも使えるので,剣と魔法を同時に使いつつ,戦いを進めることになるのだ。画面上のアイコンをクリックして魔法の種類を選択し,右クリックすればその魔法を使用できる。
毒に対する,非常に高い耐性を持っているのもポイントだ。そのため,普通の人間にとっては猛毒となる強力なポーションを飲むことで,一時的にさまざまなパワーアップ効果を得られる。例えば,攻撃力が上がるポーションや,猫のように夜目が利くようになるポーションなどがそれである。
ただし,Geraltといえど許容できる毒の量には限度があり,飲みすぎると悪い影響を受けてしまうため,量を考慮に入れつつポーションを使う必要があるのだ。
なおポーションをプリセットすることで,ワンクリックで飲めるようになるほか,さまざまな素材を組み合わせてポーションを作ることも可能だ。
プレイヤーの選択次第で,ストーリー展開がさまざまに変化していく。プレイヤーごとの物語はログに蓄積され,あとで読み返せる仕組み。ログといってもテキストだけでなく,油絵風のイラストと一緒に表示されるのだ。
なお,ゲームのクリアに要する時間として,60〜80時間が想定されているという。
本作には,冒険を通じて得られる成長ポイントをさまざまな能力に割り振ることで,プレイヤーキャラクターを成長させるシステムが採用されている。能力の種類は多岐にわたり,プレイヤー次第でさまざまなタイプのキャラクターを育成できそうだ。
以前に触れたバージョンのインタフェースはいま一つ垢抜けないものだったが,今回はずいぶんと洗練された印象を持った。マウスのみで操作できるようになり,すわりの悪さは感じられなかった。
非常に長い時間待たされたが,2007年中に発売されることは間違いなさそう。本作が世界中のRPGファンにどのように評価されるか,気になるところだ。(ライター:星原昭典)
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