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任天堂公認のTシャツブランド「THE KING OF GAMES」の事務所を訪問。その成り立ちや品質へのこだわりを聞く
京都市の室町という呉服通りの一角,かつては糸屋だったという木造2階建ての建物の2階部分に,その事務所はある。急な階段を上って事務所に入ると,エディットモードの江南匡晃氏が出迎えてくれた。見渡すと,バーチャルボーイを含む歴代の任天堂ハードと,任天堂グッズが溢れている。さぞかし熱心な任天堂ファンなのだろうと聞いてみると,「確かに好きですけど,僕よりも任天堂が好きな人や詳しい人は大勢いますから」と,江南氏は謙遜した。
江南氏が任天堂のライセンスを取り付け,このブランドを展開することになったきっかけは,今から10数年ほど前に遡る。当時の江南氏はアパレルショップで勤務していたのだが,そこを訪れたお客さんが「Nintendo」ロゴのTシャツを着ていた。実はそのお客さんは任天堂の社員で,そのTシャツはイベント用のスタッフTシャツだったのである。
そのTシャツそのものを手に入れることは叶わなかったが,ならば自分で作れないものかと思い立ち,江南氏は思いの丈を綴った手紙と企画書を任天堂へ送ったのだそうだ。
結論から言えば,その段階でロゴTシャツが実現することはなかった。しかし江南氏はそこで諦めることなく,現在のKOGの企画を考案して再び持ち込んだところ許諾を得ることができた。
以来,任天堂からライセンスを受けたTシャツを作り,売り続けている。
江南氏によると,KOGが立ち上がってから9周年を迎えた現在でも,新しいデザインの企画が持ち上がると,任天堂のチェックを受け,OKが出たら契約を結んで商品化するという手順を商品ごとに踏んでいるという。
こういった地道な交渉を毎回続けられるのは,江南氏に相当な熱意があるからこそだろう。そしてきっと,任天堂と同じく京都を拠点にしているからこそというのも,エディットモードがそうした交渉を行いやすい一因なのだろう。
ちなみに,KOGのTシャツの価格は4000円台後半から。ものによっては7000円台のものもあるなど,大手チェーンで販売されているTシャツと比べるとちょっと高めに設定されている。しかし,これには理由がある。デザインから生地の選定,染め,縫製,そしてファミコンカセットのパッケージを模した外箱に至るまで,すべてクオリティを重視し,京都市内の小規模な業者によってまかなわれているというのだ。
また,通販業務についても,注文が入り次第事務所内の倉庫から発送するという手間のかけようだ(海外からの注文も少なくないらしい)。ライセンスを提供する側である任天堂も京都を本拠地としているわけで,KOGのTシャツは,いわば京都の地場産業の一つであると見ることもできるだろう。
こうしたことについて江南氏は,「デザインだけここでやって海外で大量生産するよりも,一つ一つをきちんと作り上げて,着てくれる人に手渡しするような感覚を大事にしたい」と語ってくれた。
さて,ここまで任天堂のライセンスを……という説明ばかりをしてきたが,エディットモードではセガのライセンス商品も製作・販売している。
その最新作は,「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」の20周年を記念したTシャツ。「DotLike」シリーズの第10弾という位置付けのこの「1POINTソニックポケットT/ソニック・ザ・ヘッジホッグ/NAV」は,クロスステッチでドット絵風に再現されたソニックが,胸ポケットから飛び出しているデザインがかなり可愛い。しかも,ポケットの中にロゴマークがデザインされているという手の込みようだ。こちらは現在,S/M/XLのサイズが,各6000円(税込)で販売中。すでにXS/Lが売り切れていることを考えると,ほかのサイズも遅かれ早かれ売り切れになってしまいそうだ。
「1POINTソニックポケットT/ソニック・ザ・ヘッジホッグ/NAV」
商品ページ
商品のクオリティを維持するために,気心の知れた業者と共に生産しているため,新作を販売するとラインがふさがってしまい,過去の人気作をすぐに再生産するのが物理的に難しいのだそうだ。
そんな京都発のゲームTシャツ,興味のある方はまず,公式サイトを覗いてみてほしい。
「THE KING OF GAMES」公式サイト
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