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「女神転生IMAGINE」リミテッドβテストプレイレポート:オンライン版メガテンの「今」を紹介
リミテッドβテストのプレイデータは,今後の正式サービスに引き継がれることになっているため,ある意味「限定的なオープンβテスト」ともいえるだろう。「早く気軽に参加できるオープンβテストが始まらないかなぁ」なんて思っていたメガテンファンは,ぜひ公式サイト内応募フォームページで,参加申し込みをしてみよう。
さて,4Gamerではこれまで,女神転生IMAGINEのリリース情報だけでなく,テストサーバープレイレポートや開発者とのチャットイベントなどを通じて,同作の魅力をお伝えしてきた。本稿では,正式サービスを間近に控えた現在,女神転生IMAGINEはどの程度の完成度に達しているのかを確認しつつ,同作の魅力と,可能性について紹介していきたいと思う。
なお本稿は,昨年末から行われていたβプレビューでのプレイを踏まえたうえで,2007年1月20日までのゲーム内容を基に執筆している。当時の実装内容やプレイフィールについては,「こちら」のプレイレポートを参照してほしい。
■基本システムが改良され
■より遊びやすくなった
新システムについては後述するとして,ここでは女神転生IMAGINEのプレイフィールがどのように改善されたのかを,戦闘システムを軸として紹介しよう。
本作の戦闘システムは,通常攻撃であるアタック,アタックをはじき返すガード,ガードさえも突き破るラッシュ,アタックやラッシュをしかけてきた相手に反撃するカウンターなど,さまざまな物理スキルの存在によって成立している。
これに加え,基本的に遠距離攻撃となる銃撃/魔法や,仲魔(仲間にした悪魔)を通じての攻撃,相手の防御属性と攻撃属性との相性などなど,さまざまな要素が絡み合うため,臨機応変な状況判断,的確な操作を積み重ねていくことが重要となる。基本的な戦闘システムに関しては,ネクソンジャパンが運営中のMMORPG「マビノギ」のそれをイメージしてみると,人によっては理解しやすいかもしれない。
本作は,W/A/S/Dキーによる移動にも対応しているものの,基本的にはクリックタイプのMMORPGに近い操作系統で楽しめるのだが,一般的な同タイプのゲームと比べると,かなりスリリングで奥深いバトルが楽しめるといえるだろう。
βプレビューの頃は,コマンド入力のレスポンスが悪かったり,アクションが若干モッサリしていたり,モーションやエフェクトの種類が寂しかったりといった問題点もあったのだが,リミテッドβをプレイしてみると,そのあたりはうまく改善されているように思えた。仕様を理解し,操作に慣れるまでが大変かもしれないが,一般的なクリックタイプのMMORPGと比較し,「作業させられている」感があまりないので,その手のゲームが苦手だというMMORPGファンなら,一度試してみる価値はあるだろう。
また,キャラクター死亡時のデスペナルティ(死亡による経験値減少)の軽減や,パーティプレイ時の取得経験値量の調整,悪魔のパラメータ修正なども行われており,全体的に,よりプレイを進めやすくなった印象を受ける。戦闘では,状況に応じた戦術を瞬時に実行する必要があるため,複数匹のアクティブな悪魔に絡まれると簡単に死ねるが……,ワンミスが死につながる戦闘バランスは,「メガテンらしさ」の一つでもある。この点については賛否両論あるかもしれないが,個人的には好みのバランスだったことを,一人のメガテンファンとして表明しておきたい。
■順調に実装されていくメインコンテンツ
■プレイアビリティも格段に向上
現在のバージョンでは,下記のようなマップが実装されている。登場悪魔もすでに60種類を超えており,ローカライズタイトルでなく開発中のMMORPGとしては,順調なペースで世界が拡張されているといえるだろう。なお,魔階セルタワーおよび1月18日に実装されたアップデート内容については,詳しく後述する。
●タウン:第三ホーム,新宿バベル
●フィールド:スギナミ,ナカノ,イチガヤ,シブヤ
●ダンジョン:ヴァーチャルバトル,シンジュクドック,魔階セルタワー
女神転生IMAGINEのサーバーは今のところ一つだが,チャンネルが六つ用意されているので,特定のチャンネル/マップが極端に混雑するという状況は発生しにくい。実際にプレイしていても,狩り場が混雑して戦闘/悪魔のスカウトが楽しめないようなことは,ほとんどなかった(夕方〜深夜にかけては,かなりのプレイヤーが見受けられるが)。本作では,悪魔合体でより強い仲魔を生み出すための素材として,さまざまな悪魔を仲魔にする必要があるため,一般的なMMORPGのように「常に取得経験値効率の良い狩り場が混雑する」ということは発生しづらいのだろう。
これに加えてチャンネルも分けられているので,例えば「一定周期でポップするボスモンスターの予約待ち」などに時間を浪費させられることも,一般的なMMORPGと比較すればかなり少ないといっていい。1月18日に実装されたプライベートダンジョン 魔階セルタワーも,プレイヤーキャラクター密度の分散化に貢献している。現状,同時接続者数とチャンネル数が,うまい具合に釣り合っていると見ていいだろう。
悪魔合体に関しては,いずれはプレイヤーキャラクターのスキルを通じて合体が可能になるのだが,ゲームバランスを考慮し,現状では未実装(仮実装されたが,現在使用不可)となっている。まだまだ総登場悪魔数が少ないので,コンシューマ版ほど深遠な合体は楽しめないものの,スキルの遺伝/覚醒などの要素もあり,十分魅力的なコンテンツ。今後,通常の2身合体(精霊合体)に加えて,3身以上の合体や,武具と悪魔の合体など,コンシューマ版でもおなじみの合体システムが導入されたら,とんでもなくやり込みがいのあるコンテンツになるはずだ。
エキスパートは,テクニック(技能)とナレッジ(知識)に大別でき,各テクニック/ナレッジに対応した行動をとることで,それぞれのエキスパートを成長させられる。各エキスパートが一定ランクに達すれば,新たなスキルや魔法が習得できるようになるが,エキスパートポイントの合計値には限りがあるため,すべてのエキスパートを最高値まで伸ばすことはできない。
本作のキャラクター成長システムは,戦闘を通じて経験値を稼ぎ,それが一定値に達するとレベルアップするというレベル制が基本となっている。そこに,レベルアップすれば能力値ポイントが得られ,各能力値に任意のポイントを割り振れる要素も加味されているため,もともと自由度の高いキャラ育成が楽しめたわけだが,エキスパートシステムが導入されたことにより,生み出せるキャラクターのバリエーションはさらに拡張された。アバター性を含むキャラクターの個性に重きの置かれたタイトルだけに,今後のシステム拡張にも大いに期待したいところである。
プレイアビリティを高めるアップデートも,随時行われている。女神転生IMAGINE開発者とのチャットイベントでも触れられていた「倉庫」「ミニマップ」などの機能も,すでに実装済みだ。開発が進むにつれ,アバター性が非常に高くなることが予想されるゲームだけに,普段は使用しない武器/コスチューム類などを保管できる倉庫の実装は,とてもありがたい機能だといえよう。
■1月18日のアップデートで
■本作はどう変わったか
これは,ゲーム内のシブヤフィールドに存在するプライベートダンジョン(プレイヤーキャラクター単体/パーティ単位で生成されるインスタンスエリア)。ロビーに設置されているダンジョン生成装置にプレートをはめ込むことで,プレートの色(銅と銀は確認できた)に応じた「貸し切りダンジョン」が楽しめる。ちなみに,プレートはセルタワーのロビーで購入可能だが,悪魔を倒した際にドロップすることもある。
ダンジョン内部には,特定のアクションを実行することで難度が変化する部屋や,スイッチでアンロックできる扉など,特殊な仕掛けが導入されている。また,「斬撃反射」や「電撃反射」などの属性を備える悪魔が登場し,最奥部には難度に応じたボス悪魔も待ちかまえている。
筆者は,難度の低い銅のプレートを用い,2人パーティでセルタワーに挑戦してみたのだが,斬撃反射属性のオーガに苦戦したり,扉を開けるスイッチを探すために迷子になったり,ボス悪魔ハトホルのドロップ品に興奮したりと,大いに楽しめた。「クエスト」や「エピソード」が実装されていない現状,システム的な目的が明確に用意されたコンテンツの存在は,やはり大きい。
攻略に要したのは1時間前後で,ボリューム的にも丁度良い感じだった。「銀のプレートの難度はどれほどのものだろう」「次にボスを倒したら,どんなドロップ品が得られるだろうか」「オーガを仲魔にしたら強そうだな」などと,思わず二度,三度とプレイしたくなるコンテンツといえる。クエスト/エピソードといった,ゲーム性/ストーリー性の基幹となる要素の実装とともに,ダンジョンのさらなる拡充にも注目していきたいところだ。
18日のアップデートでは,魔階セルタワーが実装されたほか,悪魔が8種類,アイテムが7種類追加され,多数の不具合修正/仕様変更も行われた。
不具合修正/仕様変更については,マッカ/マグネタイトの1スタック最大数が,1000から1万に修正されたり,インベントリのアイテムを自動的に「まとめる」処理が導入されたりと,おおむね改善と呼べる仕事がなされていたが,そのタイミングで実装された「アンチBOTコード」の意義には,若干疑問が残る。
アンチBOTコードは,一定範囲内で悪魔を倒し続けると,取得経験値量やアイテムドロップ率が減少していくという,文字どおり「BOTプログラムを利用していると思われるような狩りを続けるプレイヤー」への効果が期待できるシステムだ。
しかし実際には,設定されている「一定範囲内」の範囲が思いのほか広く,経験値量/アイテムドロップ率の減少が早い段階で適用されるため,「普通」に狩りをしていても,みるみる獲得リソースが減っていくのである(それでも一定範囲内で狩りを続けていると,獲得経験値量はゼロになる)。
規約違反とされる外部ツールの利用や,多数のプレイヤーに不利益を与えるプレイスタイルを,あくまでシステム的に解決しようという姿勢は,大いに評価したいところだが,それによってプレイヤーにストレスを与えてしまっては,本末転倒ともいえる。
チャットイベントのログで開発者が述べているように,マッカ/マグネタイト量の1スタック最大量が低く抑えられていたのも,インベントリのアイテムを手動でまとめなければならない仕様だったことも,すべてはBOT/RMT対策を意識してのデザイン。その点に関しては,開発者の真摯な想いを理解し,多少不便でも我慢しようと考えていたテスターは多いだろうが,現状のアンチBOTコードを許容できるのは,現段階でのレベルキャップに到達したプレイヤーだけかもしれない。仕様の是非についてはともかく,少なくともシステムの再調整は必要なのではないか,と感じた次第である(もちろん,現在はリミテッドβテスト中なので,なんらかの対策は近いうちに必ず取られるだろう)。
■正式サービスへの課題と
■今後の展開について
開発と運営の距離が非常に近い作品であるだけに,女神転生IMAGINEでは,突発的な不具合が発生しても迅速な対応がなされてきたし,「開発元として納得のできるプレイヤーの声」も,積極的に検討/反映されてきた経緯がある。……といったら褒めすぎかもしれないが,テスト中,不具合の修正だけにとどまらず,テスターの意見を反映したさまざまなアップデートや,比較的凝ったゲーム内イベントが実施されるタイトルは,そうそうあるものではない。プレイヤーの間で話題になっているアンチBOTコードの件についても,開発側/プレイヤー側の双方が納得できるラインが提示されるだろう。
人気RPGシリーズの名を冠するタイトルということもあり,女神転生IMAGINEは,開発陣の掲げる理想も,プレイヤーが抱く期待感も,非常に高いMMORPGである。それに加えて,本作で初めてオンラインゲームに触れたというプレイヤーも多いと思われるので,リミテッドβテストにまつわる混乱も,致し方ないのかもしれない。
ともあれ,今冬の正式サービスが予定されている本作だが,開発の進捗状況に関しては,おおむね良好なペースが維持されているように思える。作品にストーリー性や世界観を付与するクエスト/エピソード,ゲーム展開と密接にかかわる「LNC属性」(プレイヤーキャラクターの立場や性格を表す属性),アイテム/悪魔/マップなどが追加され,合体/エキスパートシステムのさらなる強化が施されていけば,メガテンベースのMMORPGとしては,かなり遊べるタイトルになるだろうと,メガテンファンの一人としては容易に想像できる。
今は,テスターとしての義務をしっかりと果たし(楽しみ)つつ,正式サービスの開始前後に明らかになる「一通りのコンテンツが実装された女神転生IMAGINEの姿」に思いを馳せていたい。今後のアップデート内容や正式サービスに関する情報公開が,非常に楽しみだ。(大路政志)
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