インタビュー
6周年を機に「真・女神転生IMAGINE」のゲーム内バランス/運営体制が大きく変化。その概要と意図するところを,プロデューサーの新川はるか氏に聞いた
「真・女神転生IMAGINE」公式サイト
ダンジョンのバランスとゲーム内通貨分配の見直しで
レベル80までのプレイをより快適に
まず新川氏は,6周年を迎えられたことに関して,「真・女神転生シリーズのファンの熱意に支えられてきた」と感謝を述べるとともに,この先もサービスの継続に尽力することを宣言。
2013年3月19日に実施された,バランス調整アップデートのそもそもの発端は,2012年に日本オンラインゲーム協会が公表した「オンラインゲーム安心安全宣言」にあったと新川氏は言う。宣言に基づき,2012年9月には「フォーチューンカード」(有料ガチャ)の販売方式を変更しているが,さらにゲームバランスを,よりプレイヤーの実態に近づけたものにしようと考えたのだ。その結果,時代の趨勢に合わせ,プレイヤー各自のゲーム内レベルを基準に,1日1〜2時間のプレイでも十分に楽しめるような内容にしようという方針が定まった。
3月のアップデートで施された主たるバランス調整は,ダンジョンおよびゲーム内通貨にまつわる部分だ(関連記事)。
まずダンジョンは,効率の良いものしか周回しないという傾向を解消し,いわゆる“死に”ダンジョンをなくすべく,対象レベルの設定を見直した。この結果,たとえばレベル5〜10であれば「スギナミ魔階坑道(銅)」,レベル10になったら「魔階ナカノ地下遺構(銅)」……といったように,レベル帯ごとに適正なダンジョンを用意し,レベル80前後まではさまざまな場所を体験しながらレベリングができるようになっている。
ゲーム内通貨に関しては,1回のダンジョン攻略で,それに必要となる装備の修理費用などをまかなえるよう,収集アイテムのNPC売価が大幅に引き上げられた。具体的にはすべての宝石が5000マッカで売れるほか,これまで1マッカにしかならなかったアイテムが,数千〜数万マッカで売れるようになっている。逆にこれまで2万マッカで販売されていたダンジョン進入用プレートが6000マッカになったりと,販売アイテムの値下げもなされる。この調整の狙いは,有料プレイヤーと無料プレイヤーとの間で生じていた所有マッカ格差の解消である。
そうなると,逆にインフレを懸念するプレイヤーもいるだろうが,新川氏いわく,今後,適切な消費先の設置を前提としたうえで,マッカが獲得しやすい土台作りを行っているとのことだ。
なお,プレイヤーがパーティを組まず仲魔のみで攻略する魔階深層部の制限時間と獲得SPの調整もなされている。新川氏によれば,これまで人気だった「魔階シブヤクォーツ(銀)」を基準に,どこを選んでも時間単位での獲得量に大きな差が出ないよう調整し,使用する仲魔に合わせた選択ができるようになった。
「ダンジョンおよびゲーム内通貨のバランス調整により,ダンジョン探索のハードルが下がりますから,結果として短時間でもゲームを楽しめるようになります。これで『間延びしてつらい』という状況は,おそらく改善されるでしょう。その一方で,やり込み要素も残していますから,長時間遊びたいという方も楽しんでいただけます。ここまでの段階を経て,レベル80になると,大天使や魔王などの,高位悪魔が仲魔にできるようになりますから,いよいよゲームも盛り上がっていきます」(新川氏)
カスタマーサポートの個別対応強化など運営体制も見直し
既報のとおり,IMAGINEの運営体制にも見直しが図られている(関連記事)。2013年3月5日には,先駆けて年齢認証制度を導入しており,未成年プレイヤーは,1か月の課金額が最大3万円相当に制限された。
運営体制見直しの主だった方針は,個別対応を強化するというもので,新川氏は,運営と開発の双方を自社で手がけているからこそできる施策と語る。
しかし問題がゲーム内の不具合やアカウントハッキングとなると,そうはいきません。今回,お客様窓口を改修することで,これまでお客様から情報を得るために費やしていた時間の短縮を図っています。お客様とカスタマーサポートのやり取りを可能な限り少なくし,スムーズに問題解決できるよう,体制を整えました。(新川氏)
また,ゲーム内でプレイヤーが主催するイベントの支援も行うという。これは問い合わせ同様,ユーザー窓口から申請可能で,イベントの企画趣旨や内容などを入力すると,それに応じてアイテムが提供されたり,GMが派遣されたりする。
「どのような状況になるのか予想がつかないので,当初は手探りになってしまいますけれど,たとえば『イベント用に花火がほしい』といったことをお知らせいただければ,必要数を用意します。また『ゲーム内で結婚式を行うので,GMに立ち会ってほしい』というリクエストにもお応えできればと考えております。中には,もちろん気軽にお応えできないケースもあるでしょうが,常識的かつ良識に沿った内容であれば,可能な限り実現したいところです」(新川氏)
「IMAGINEは熱心なお客様が多いため,ゲーム自体だけでなく,オンラインゲーム全般や『真・女神転生』シリーズに詳しいスタッフでないと,うまく対応できないケースが多々あります。そこでカスタマーサポートには専門のスタッフを用意していますし,お問い合わせとそれに対する回答には,私自身もすべて目を通しています」(新川氏)
アカウントハッキングに関しては,これまで以上の啓蒙活動を行っていく。新川氏によれば,定期的なパスワード変更の必要性はかなり認知されてきたとのことだが,それ以外の対策については,まだまだ啓蒙の余地があるとのことだ。
また,仮にアカウントがハッキングされ,ゲーム内資産が失われた場合には,これまで同様,ハッキング前の状態に戻すよう努めると新川氏。とは言え,たとえばメンテナンス時に行ったバックアップのデータを復旧するのであれば比較的短時間で実現できるが,完全復旧を望むのであれば,調査期間も含めて多くの時間を要するかもしれないそうだ。
6周年記念キャンペーンには計13体の新悪魔が登場
7周年に向けた企画も進行中?
新悪魔の具体的な入手方法は,MOダンジョンの報酬として期間中に獲得できるアイテムを少数集め,好きな悪魔と交換するだけ。対応するMOダンジョンは幅広く,プレイヤーが任意に選択できるので,IMAGINEを始めたばかりというプレイヤーであっても比較的簡単に好みの悪魔を入手できる。
今回のイベント悪魔は最大3体まで獲得できるのだが,たとえばモー・ショボーを3体といった選択も可能だ。さらに,チケットを最大数取得したあとは,「ジャアクフロスト」のプラグインも提供される。
そのほか,このイベントでは新たな悪魔固有スキルや,武具も提供される。これらのスキルや武具は,2013年4月16日からの6周年記念イベント第2弾にて,特殊な効力を発揮するそうだ。イベント第2弾では,まずシヴァ,ヴィシュヌ,ミカエル,ベルゼブブ,ツィツィミトルに加えて,新たな悪魔が登場。これら6体を倒し特定の条件を満たすと,今度は本イベントの黒幕と戦うことになる。ちなみに,これらのバトルの推奨レベルは95以上とのことだ。
「黒幕に勝利した際に得られる報酬として,専用スキルを持った装備を獲得できる場合があります。見た目もカッコいいので,腕に覚えのあるお客様にはぜひ入手してほしいですね」(新川氏)
そのうち目玉となるのは,5つの条件をクリアしたプレイヤーにプレゼントされる,トリックスタータイプの「魔王・ロキ」である。ちなみに新川氏は,このタイプのロキを,どのタイミングでIMAGINEに出そうか以前から迷っていたそうだ。
ここだけの話,この取材直前まで,記念キャンペーンの目玉を何にするか決まっていなかったのだが,筆者と担当編集者が「まだIMAGINEには出ていないほうのロキは難しいんですか?」と聞いたところ,新川氏が「その手があったか……それで行きましょう!」とスンナリ話が決まってしまったのである(クトゥルーは現状ちょっと難しいらしい)。
「一連のアップデートでは,実に13体の悪魔が新たに登場するという,近年のIMAGINEでは類を見ないくらいの大放出ができるよう,準備を行ってきました。中には,非常に簡単に入手できる悪魔もいますから,それを受け取るだけでもログインする価値があると思います。そのついでにゲームも遊んでもらえると,うれしいですね」(新川氏)
さらに2013年5月に入ってからは,新コンテンツ「ペンタルファ」が実装される。内容的にはハイエンドコンテンツの一つとして開発中とのことだが,参加へのハードルはそれほど高くなく,「ミシャグジさま」に加え,「クルースニク」と「クドラク」,「インドラ」と「インドラジット」の宿敵関係にある悪魔2組が登場する予定だ。
最後に,今後のIMAGINEの展開に向けて,新川氏に語ってもらった意気込みを掲載して,本インタビューの締めとしよう。
「もうすでに7周年までの大まかな構想は出来上がっています。それを越えると,次の目標は10周年ですが,それを達成するためには,“メガテン”ファンにアピールできるコンテンツを早めに用意する必要があるでしょう。そのための準備を今進めているところですが,まずは運営開発チーム一丸となって6周年記念イベントを成功させ,7周年に向けてさらなる広がりを見せられるよう,全力で取り組んでいきます。『真・女神転生IMAGINE』を,今後ともよろしくお願いします」(新川氏)
「真・女神転生IMAGINE」公式サイト
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