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[E3 2006#188]ミドルウェア制作会社のサンプルでもここまで出来る! 一風変わった位置づけのMMORPG「Hero’s Journey」
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印刷2006/05/18 17:33

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[E3 2006#188]ミドルウェア制作会社のサンプルでもここまで出来る! 一風変わった位置づけのMMORPG「Hero’s Journey」

 アメリカのSimutronics社は,主にMMORPG用のミドルウェアを制作するデベロッパだ。その性質上,表だって名前が出ることは少ないものの,業界内では“その道のエキスパート”として,それなりの知名度がある。似たようなケースでは物理エンジンの「Havok」などがあるが,こちらは今ではエンドユーザーにも知れ渡っているだろう。

 そのSimutronicsだが,最近ではミドルウェアの開発だけでは飽きたらず,MMORPGそのものを自分達で作ってしまおうと考えているようだ。そんなSimutronicsが現在制作中のタイトル「Hero's Journey」が,E3 2006のKentiaホールで出展されていたので紹介しよう。



 Hero's Journeyの舞台となるのは,剣と魔法,そして機械とが入り交じった「Elanthia」という世界。Elanthiaはかつて高度な文明社会を築いていたものの,戦争によって跡形もなく荒廃してしまった,というバックグラウンドストーリーがある。ゲーム画面から受ける世界観の第一印象は,「Dungeons & Dragons Online」で採用されている世界「Eberron」に比較的近い。

 登場する種族はHuman(人間)のほかに,Stoneborn(小人族),Ilvari(エルフ),Suwari(ネコ科のヒューマノイド)の計4種類。職業は九つあるProfession「Warrior」「Healer」「Cleric」「Ranger」「Rogue」「Wizard」「Necromancer」「Bard」「Gearknight」のうち,メインとサブの二つを組み合わせるという形式。つまり最大72種類ということになり,かなり多めだ。職業の「Gearknight」に関しては,本作の世界観と照らし合わせるに,たとえるならば「Wizardry 8」の「Gadgeteer」のような,機械や銃器類の操作に長けたクラスだと思われる。



 ゲームシステムで興味深かったのは,レベル差のあるキャラクター同士がグループを編成しても,両者が平等に経験値を得られるというもの。これは現在のMMORPGが抱える悩みの一つで,未だに多くのメーカーが決定打を出せず暗中模索の状態にある。そこで筆者がパワーレベリング対策についてどうなっているのかと聞いてみたところ,「細かいシステムはまだまだ調整中」とのこと。とりあえず現時点では,厄介な問題に取り組んでいる姿勢は評価できる,といったところだろうか。

 ゲームをプレイした印象としては,ミドルウェアの専門メーカーだけに骨格部分はしっかりしているものの,装飾面が全体的に荒く,完成にはまだまだ程遠いという感じだ。例えばキャラクターを動かすとモーションやテクスチャ面での粗が目立ったり,モンスターの配置もまばらだったりで,正直なところゲームとして評価する段階ではない。リリース時期については「2006年中」と発表しているが,もう少し時間が掛かるのではなかろうか。



 とはいえHero's Journeyは,Simutronicsにとってサンプル用ソフトのような位置づけである。単体で利益を追求するという目的は薄いはずで,そういった意味では本気で完成させるつもりがあるかどうかも微妙だ。ゲームメーカーというよりは,ミドルウェアのメーカーとして今後の展開に注目していきたい。(ライター:川崎 政一郎)

  • 関連タイトル:

    Hero's Journey

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