インタビュー
「エミル・クロニクル・オンライン」SAGA8アップデートインタビュー。それぞれの視点で関わりを持てる“戦いの世界”
SAGA11あたりまで続く大がかりなコンテンツ拡充と,その尖兵となるSAGA8については,昨年末(2007年12月21日)の広告企画でもインタビューをお届けしたが,あれから4か月,アップデート内容もかなり具体的になってきた。そこで,ガンホー 「ECO」制作担当の水落貴嗣氏と,宣伝担当 平原智子氏に,SAGA8およびその先のアップデート見通しについて,あらためて聞いてみた。
まだプレイアブルな状態ではなかったが,テストサーバーにおける開発途上のグラフィックスやキャラクターを見ながらの,たいへん具体的な問答となった。
昼と夜のあるドミニオンの世界,王都ウェストフォート
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。こちらの夕焼けのような風景がドミニオンの世界なんですね。
平原智子氏:
ええ,これがSAGA8の舞台となるドミニオンの世界の王都ウェストフォートという場所です。
4Gamer:
王都ということは,王様がいるんですか? 一方でフォート(城砦)なわけですが。
そうです。いまは王族が行方不明になって機能していませんが,王政をとっています。そしてこの世界にはSAGA6と同じく昼と夜があります。夕方のように見えますが,これが昼です。
4Gamer:
SAGA6の昼夜は確か,イベントみたいに切り替わるものでしたよね?
平原智子氏:
今回もイベントに連動して切り替わります。
4Gamer:
建物のイメージも,エミルの世界とかなり違いますね。景観全体としては最近の新宿みたいな感じで,そこここに機械っぽいものが組み込まれていますし。光る掲示板とか。
水落貴嗣氏:
全体としては谷間にある城塞都市みたいな感じです。
4Gamer:
ちなみに王都の中もPvPエリアですか?
水落貴嗣氏:
いいえ。いまのところそうではありません。
4Gamer:
確かエミルの世界とドミニオンの世界の境目には,とくに突破が難しい要素は置かれていないんですよね? タイタニアドラゴンなどと違って。
水落貴嗣氏:
そうです。今回のハードルはすごく低くしていますので,とくに突破すべき障害はないですね。だからお友達に憑依させてもらったりすれば,簡単に来られます。
4Gamer:
ぱっと見たところ,モンスターの顔ぶれや,NPCもきちんとドミニオンの世界に合わせてデザインされているようですね。
平原智子氏:
NPCもドミニオンになっていますから,精悍な感じです。
水落貴嗣氏:
そして機械系のモンスターもいます。
平原智子氏:
今回のタイミングでドミニオン世界だけの新モンスターを,幾つか用意しています。
水落貴嗣氏:
アーチンのドミニオン世界版もいます。また,今回導入される新マリオネットとして,携帯電話向けサービスである「エミル・クロニクル・オンラインi」のタロット占いに登場した悪魔で,ノブヨシ侍さんデザインの「ブラフスキー」なんかも登場しますよ。子供が可愛らしいということで,要望がありましたので。実はすごく頑張ってるお父さんなんですよ。子供を二人抱え,奥さんに逃げられてアルバイト中なんです。で子供が「お父ちゃん,おなか空いたよ」とか言ってて。
4Gamer:
なんだかすごく具体的で涙ぐましいな……。「エミル・クロニクル・オンラインi」と連動するコンテンツもあるのですか?
平原智子氏:
いいえ,連動する要素は,残念ながらないです。
4Gamer:
SAGA8の第一弾で,新規マップとしてはどんな場所がどのくらい入りますか?
水落貴嗣氏:
昼夜含めて,約11マップです。ウェストフォート,軍艦島,ステップキャニオン,ヘルサバーク,ゴールデンブリッジ,西アクロニア平原,そして,天まで続く塔の島などですね。
パラレルな三つの世界共通の敵,機械族「DEM」
4Gamer:
では,そろそろ全体的なお話に入らせてください。SAGA8のテーマを端的に言うと,どんなものでしょうか。
水落貴嗣氏:
テーマを漢字一文字で言うと……(注:ECO祭などのイベントでは昨年から,スタッフがみんなで今年の感想などを「漢字一文字で書き表すと」という企画が実施されている)。
「序」とか。
水落貴嗣氏:
そもそもECOのゲーム世界が,三つの世界のパラレル構造として動いているという設定は,ゲームコンセプト発表の段階から明らかになっている部分ですよね。簡単に言うと,エミルの世界,タイタニアの世界,ドミニオンの世界は,ほぼ同じ地形なんですけれども,それぞれの進化過程や歴史の結果として,地形にも違いが出てきています。
4Gamer:
要するに,大陸の中央に大都市があって,そこから四方に別の都市国家が展開する点は同じだと。
平原智子氏:
そうです。基本は同じですが,ここはタイタニアの世界,エミルの世界にはあるけど,ドミニオンの世界にはないといった,細かな違いが出てくるわけです。
4Gamer:
戦争で壊れていたりとか?
水落貴嗣氏:
そうですね。例えばSAGA8では第四の種族,機械族の「DEM」が出てきて,それとドミニオンの世界の関わりが描かれます。DEMについてはいままでもキャラクターメイキング時に,その存在を匂わせるムービーが入っていました。そして,タイタニアにせよドミニオンにせよ「宿命」みたいなものがあってそれでエミルの世界に修行しに来ているという説明があったわけです。
ではなぜドミニオンがエミルの世界に修行に来ているか。それはドミニオンの世界がDEMと現在交戦中だからです。ちなみにエミルの世界では,その戦争はいったん終わっているんですけどね。
4Gamer:
ああ,それが旧世界の滅亡やら何やらに関わるわけですね。
水落貴嗣氏:
そうです。マイマイ島とは何かという部分をめぐって,そこはすでに語られています。そして戦争のあとで復興した姿が,いまのエミルの世界です。
だけどドミニオンの世界ではそれが膠着状態のまま,ずっと戦いが続いているんですよ。そういう過酷な世界なので,生まれたばかりのドミニオンの子供達はその世界で生きていけない。
4Gamer:
つまり一種の疎開だと。
水落貴嗣氏:
親達は避難させるという意味合いと,強く育って戻って来て,自分達の種族のために頑張ってくれ,ということで修行に出しているのです。 ですから本当にもうこの世界は闘争の世界です。この間のECO祭でもお話しさせていただいたとおり,PvPが導入されるとか,もろもろの新要素は,この世界観を直に体験していただくという意味合いが非常に強く,単純にPvPが好きな人が集まれるようにという意味で作ってるわけではないんです。
もちろん,入れるからにはランキングなども含め,PvPを新しい遊び方として提案できるよう,きちんとしたシステムを作り上げていきますが。
これがこの先のSAGA9,10,それ以降の物語の根幹に関わってくるので,まずはそこの部分を念頭に置いていただければと。
4Gamer:
そうした情勢を踏まえて,第四種族「DEM」に対する「攻防戦(仮)」が展開すると。もしそれに最終的に敗北するようなことがあると,ドミニオンの世界に留まらない危機が訪れる……。
水落貴嗣氏:
そうした方向性の演出をしようと思っています。まだ検討中なので最終的にどうなるか分かりませんが,例えば負け続ければ,やはり物資が不足するだろうと。いままで普通に売っていたものがないとか,NPCがそもそも逃げ出しちゃってていないとか,いうところをある程度動的に見せていきたいわけです。多分これはいままで,どのタイトルでもやっていないかなぁ,と。
4Gamer:
その攻防に参加するには,まず自分が強くならなきゃならないですよね。その方法がPvPということですか?
水落貴嗣氏:
うーん,どちらかというと,向こうの世界はすでにかなり侵略されていて,その爪跡がまざまざと見えます。そうした荒廃した世界を感じてもらう意味合いが強いですね。いつ誰に襲われてもおかしくない治安状態といいますか。
もちろんマップ全域でのPvPという新しい遊び方にフォーカスして,ランキング制度を導入したりもするのですが,あくまで全体の文脈があってのものです。
4Gamer:
ただ,一方でPvPは,ドミニオンという種族の特徴に根ざすといった説明もありましたよね?
水落貴嗣氏:
そうですね,好戦的というわけではありませんが,戦うことに価値を見いだす種族でもあります。とはいえ,常日頃から同族間で争っているわけではありません。日本の戦国時代を想像してもらえば分かりやすいかもしれませんね。もっとも,現在は「DEM」に対する防戦という一つ意識で,ドミニオン達は統一されていますが。
4Gamer:
内紛を抱えているのは,3種族のなかでいえばむしろエミル種族かもしれませんね。
水落貴嗣氏:
そうですね。ドミニオンの世界はもめているわけではなく,「能力や戦闘力が高い人ほど尊敬される」という価値観を持っているのです。
4Gamer:
「スタートレック」のクリンゴンみたいな。いや,単に部族社会と捉えてもよいのかもしれませんが。
水落貴嗣氏:
そうですね。そして世界全体としては一回荒廃して,これから立て直していくぞという雰囲気です。
4Gamer:
画面を見るとけっこう機械っぽいオブジェクトが出てきてますけど,ドミニオン世界でも過去に機械文明はあったんですか?
水落貴嗣氏:
ウェストフォートの街並みで機械っぽく見えるところは,ドミニオン自身が作ったものです。ただし,場所によってはDEMの手によって機械っぽい外見になっているところもあります。
4Gamer:
また抽象論になりますが,第四の種族の出自というか,どこからなぜやって来たのかという話は明かされますか?
水落貴嗣氏:
それは多分もっと先で語られることになると思います。
平原智子氏:
今回ライバルとか,出てくるんですよね? エミル君のライバル。
水落貴嗣氏:
あーライバル。そうですね。
4Gamer:
エミル君達とは,ドミニオンの世界でも会えるんですか?
水落貴嗣氏:
一連の流れの中で,どこかでは登場してきます。
4Gamer:
すると,いままでメインストーリーに関わってきたNPC達にも会えるのでしょうか?
水落貴嗣氏:
それは本当にドミニオンの世界をどうしていくかというところですね。一番最初の話に戻りますけど,エミルの世界だとか,タイタニアの世界にも,同じ脅威が迫ってくるんですよ。タイタニアの場合はうまくやって,クッションとしてエミルの世界を置いていますけど,そこが侵略されれば,次に攻撃されるのは自分達のところだということを彼らも分かっている。そこで,そうならないよういろいろなところで支援/介入に乗り出しています。
4Gamer:
ではさっきの「エミル君のライバル」っていうのは,やはり第四の種族でしょうか?
水落貴嗣氏:
第四の種族……んー,どうでしょう? 細かいところはまだ。
4Gamer:
いずれにせよ,ライバル風な人が出てくるわけですね?
水落貴嗣氏:
出てきますね。ライバル風の何かも,こう,ここらへんに(※身振りで,エミルのネコマタがいる肩の上あたりの空間を指して)ここらへんに何か……。
4Gamer:
それはビジュアルからして楽しみですね。メカっぽかったりとか?
平原智子氏:
いいえ,そこは可愛い感じです。
4Gamer:
それはプレイヤーが入手できるのでしょうか?
水落貴嗣氏:
どこかのタイミングでとだけ,言っておきましょう。
4Gamer:
ところでSAGA8では,かつてのファミリーマート限定ネコマタに相当する,緑のネコマタの入手イベントが用意されるんですよね? この新しい緑ネコマタも,イベントなどの場面に連れていくとしゃべりますか?
水落貴嗣氏:
しゃべります。以前の緑と同じパターンですね。
4Gamer:
デザインは若干変えるというお話ですが。
水落貴嗣氏:
「変えたいなぁ」と考えています。最初の桃と緑って,本当に突貫で作っていったものなので……。最近実装されたネコマタ達のように,可愛くしたデザインにしたいなあと。ちなみに今年いっぱいで,ネコマタシリーズのお話は一応完結予定です。
平原智子氏:
12姉妹そろい踏みですね。男の子もいますけど12姉妹です。
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