プレイレポート
「Age of Conan:Hyborian Adventures」のPvP Beta Weekendを通じて感じた,本作の「野蛮な魅力」とは?
選んだ種族によって選択できるクラスが異なる
外見のカスタマイズ性はなかなか高い
このテストでは,すべての種族とすべてのクラスがプレイ可能になっており,おそらく製品とほぼ同じ状態のキャラクターメイキングが体験できた。
AoCでプレイヤーキャラクターとして選択可能な種族は,「Aquilonian」「Cimmerian」「Stygian」の3種類だ。どれもヒューマンなので,AoCの場合“Race”は“種族”ではなく“人種”と訳した方がいいのかもしれない。キャラメイク画面では「Select Culture(文化の選択)」となっていた。
またアーキタイプPriestの3クラスは,おのおののカルチャーに密接に結びついたものになっており,AquilonianはPriest of Mitraに,CimmerianはBear Shamanに,StygianはTempest of Setになれるというだけで,それ以外の組み合わせは不可能だ。
外見を決定する際にカスタマイズ可能な項目は非常に多岐に渡り,スライダーを操作してのプロシージャルな調節が可能だ。ただこの仕組みで自由に顔を作る場合,センスに恵まれていないとなかなか整った顔が作れなかったりする。AoCでは,まずは選択肢の中からあらかじめ出来上がっている顔を選び,肌の色や目の色,髪の色,メイクや傷跡などのアクセントを選び,その上で必要に応じて微調節してね,という体裁になっている。出来合いの顔はどれもそこそこ整っているので,筆者は下手にいじらずにこのままプレイを始めることを選択する。自信があるのならばカスタマイズ,あるいはフルスクラッチに挑戦するのも面白そうだ。
髪型について気が付いたことが一点ある。世にある多くのMMORPGでは,キャラクターの髪型はヘルメットやフードをかぶることで完全に隠れて(“カツラがとれた”状態になって)しまうと思うのだが,AoCではある程度反映される(グラフィック設定にもよる)。場合によってはヘルメットから頭髪がむりやり突き出すような形になることもあるようだが,時間をかけて設定した髪型や髪の色が無意味にはならず,さらにそれが頭部の装備と両立するというのは,プレイヤーとしてはかなり嬉しい。
PvP Beta Weekendで確認できたソロコンテンツは
チュートリアルを兼ねたオーソドックスな内容
やや残酷なトドメを刺すシーン。ゴア表現が苦手だという人は,拡大するときにご注意を |
一部で噂(?)のゴア表現については,「たしかに少し血が出てるなぁ」くらいに思っていたのだが,どうやらゴア表現のオプションは,デフォルトではオフになっていたようで,筆者はしばらくプレイをしてからそのことに気が付いた。そのオプションをオンにすると,それまで以上に鮮血が飛び散るようになり,また,“倒れた相手の腹に武器を突き刺す”“相手の首を切り飛ばす”といった“トドメ”のモーションも,ごくまれに見られるようになった。さらにこのトドメが入ったときには,画面に血糊がビチャリとくっつく演出も見られる。トドメのモーションは良いタイミングで技(コンボ)が入ったときなどに出るようだが,狙って出すのはなかなか難しいようだった。
戦闘の面白さを引き出す独特の戦闘システム
コンボとスペル
AoCは独自の戦闘システムにも注目が集まっている作品だ。AoCにはいわゆる“オートアタック”がない。キーボードで武器を振る方向を入力する事で,プレイヤーキャラクターはそのとおりに武器を振る。指定できる方向は左上,上,右上の三つだった。
武器の技が“コンボ”であるのに対して,魔法の呪文は“スペル”である。スペルは全部,ホットバーアイコンを押すだけで使用できる。たしか以前は,コンボに対応するものとして手振りを使ってスペルを完成させる仕組みがあったと思うが,どうやら完全になくなっているようだ。
ディフェンス
AoCではプレイ中にCtrlキーを押すと,プレイヤーキャラクターの周囲に三つのアーチが現れる。これはキャラクターの防御体勢を表している。Ctrlキーを押しながら数字の1,2,3キーを押すことで,このアーチの位置は自由に入れ替えられる。三方に一つずつアーチがある状態は,全方位に対して気を配っているということだ。例えばこのアーチを全部右側に持っていくと,右からの攻撃は高い効率で防げるが,それ以外の方向からの攻撃には無防備な状態になる。ちょっと活用するのが難しそうなシステムだと思うが,例えば“右からの攻撃が非常に強いボス”とか“左側からしか攻撃してこない敵”なんてのがいるのなら,うまく活用できそうだ。あるいは高度なPvP戦略の一つとして意味を持ってくるものだったりするのかもしれない。
一方,Mobの側にもこのシールドシステムはあって,PvEではこちらの攻撃に反応してアーチの位置を戦闘中に変える敵がけっこういた。この場合はガードの甘い方向を集中的に攻めればいい。これならば3方向に武器を振り分けられることにも意味が出てくる。Mobの弱点を攻めるという使い方においては,普段から活用できそうだ。
PvP Beta Weekendのメインコンテンツ
PvPモードの魅力はいかに?
本作のPvPコンテンツを作る上で,開発者が強く意識しているのは,「World of Warcraft」において活況を呈しているPvPコンテンツ「Battleground」(BG)だろう。マッチメイキングシステムのおかげで,すぐに試合が始められて,スパッと終わる快適さは,まさにBGのそれだ。日本語でプレイできるオンラインRPGの中では「ギルドウォーズ」のPvPアリーナなどが近いだろうか。
Soldier系はみなChargeができるので,まずは素早く敵の懐に飛び込み,コンボにつなげるというプレイが可能だった。
Rogue系で人気なのはHide状態からのステルスアタック。Rangerの弓は強力なうえに足止めやスネアなどのクラウドコントロール系効果も使えるため,やられるとなかなかに悔しい思いをさせられた。PvPではスタンやルートなどクラウドコントロール系の技がかなり高い効果を発揮することが多く,一部のMageやPriestが使ってくる動きを封じる魔法にも,たびたびイライラさせられた。もちろん自分がそういうクラスを使ったときには,逆にこちらがそうしていたけれども。
AoCではヒーラーの使うヒールが,基本的にコーン状や円形といった範囲魔法なので,ターゲットをとらずに使用可能なものが多い。乱戦状態になっているところに向かってヒールを発射するのは思っていた以上に気持ちがいい。いちいちターゲットをとってのヒールは地味だし手順が面倒だが,こちらの場合は爽快感がある。AoCの対人戦は,ヒーラーとしての参加も面白そうだ。
FPSなどとは違い,RPGのチーム戦では「敵の頭を一発で撃ち抜く」みたいなプレイはできないため,敵との遭遇時には基本的に人数の多いほうが勝つ。よって,チームワークを意識して打ち合わせをしたうえで,あらかじめグループを組んで参加しているチームはやはり強い。リスポーンするたびにバラバラに飛び出していくチームは,各個撃破されてあっという間に敗北してしまっていた。
AoCには味方一人一人にかける単体バフというのは,PvP Beta Weekendの時点では存在しなかった模様。バフは自分にかけて周囲に効果が及ぶAE型のグループバフなので,味方のバフ状況を逐一気にする必要はあまりない。さらにAoCでは,キャラクターが死んでもバフが切れないことには,少し驚いて,そのあと感心した。リスポーン時に毎回いろいろ準備させられることなく,すぐに戦線に復帰できるのはなかなか気持ちが良いものだ。
荒々しく斬新な戦闘体験に期待
原作の持つプリミティブでバイオレントな世界の魅力は,そのままAoCの魅力の一つとなっている。語られるストーリーは荒々しく,衣装や建築のデザインは野性的だ。ゴアな描写もこの世界を表現するための道具の一つである。そして今回のテストに参加して,そのような“野蛮な魅力”は,本作の戦闘システムのデザインにも反映されていると感じた。
本作の戦闘では,ターゲットが半自動で行われる。武器を使った攻撃は振り方によっては複数の敵に当たる。攻撃魔法には範囲攻撃効果を伴ったものが多く,ヒールも多くのものがエリアエフェクトだ。つまりメレーダメージもマジックダメージもヒールも,すべてが周囲にばらまかれがちである。
一般的なMMORPGでは,プレイヤーのゲームシステムへの理解が深まっていくほどに,戦闘行為はシステマチックになっていく。タンク以外は一切ダメージを受けず,こちらの攻撃力はすべて一体の敵のみに集中。完璧な作戦のもとで,効率よく敵を片づけていく……。それはそれで確かに面白い。しかし,一歩引いてみれば「すべての戦闘がそんなふうにメカニカルなものでいいのか」と考えることもできる。
AoCで表現される戦闘は“乱戦”ではないだろうか。痛みも癒しもそこら中に飛び散る戦場。タンクの真横で戦うアタッカーがまったく無傷のはずはない。振るった武器は予想外のところに当たり,隣の仲間の頭上に落ちた雷はそこで爆ぜてこちらの肌にも突き刺さる……。そんな荒々しくも心沸き立つ戦闘こそ,AoCが志向する,これまでにない面白さなのではないだろうか。
……などと筆者は勝手に想像するが,グループでのPvE戦闘はこのテストではまったく体験できなかったので,実際のところは分からない。全然違うかもしれない。そのあたりはぜひ,今後のオープンβテストや正式サービス時に見極めたい。PvP部分だけではなく,全コンテンツがプレイできる機会が楽しみだ。
- 関連タイトル:
Age of Conan: Unchained
- この記事のURL:
キーワード
(c)2007 Conan Properties International LLC . CONAN, CONAN THE BARBARIAN and related logos, characters, names, and distinctive likenesses thereof are trademarks of Conan Properties International LLC unless otherwise noted. All Rights Reserved. Funcom Authorized User.