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GeForceシリーズの新しい設定ツール「NVIDIAアプリ」β版が登場。「GeForce 551.61 Driver」で対応開始
GeForceシリーズは,これまで長らく「NVIDIAコントロールパネル」と,「GeForce Experience」という2つのアプリが設定を担ってきた。NVIDIAコントロールパネルは,3Dグラフィックスの詳細設定やディスプレイ設定といった基本設定を担当する。一方のGeForce Experienceは,ゲームごとの最適化を中心に,録画やスクリーンショットを行う「ShadowPlay」機能,ゲーム画面にリアルタイムポストエフェクトをかける「FreeStyle」の設定など,主としてGeForceシリーズが持つ付加機能のユーザーインタフェースを担当する。
ただ,3D設定はGeForce Experience側でも行えたり,ゲーム個別の設定がNVIDIAコントロールパネル側でも行えたりと,一部の設定はダブっている。機能ごとにNVIDIAコントロールパネルとGeForce Experienceを使い分ける必要もあり,ユーザーが混乱しやすい状況であるのも確かだろう。
その点はNVIDIAも自覚していたようで,NVIDIAアプリは,NVIDIAコントロールパネルとGeForce Experienceを統合することを目指して開発されている。さらに,これまではクリエイター向けのNVIDIA RTXシリーズ向けに配布されていた「RTX Experience」アプリも,NVIDIAアプリに統合するそうだ。
GeForce 551.61 Driverにおける,NVIDIAアプリは,まだβ版の段階だ。そのためインストール時には,従来どおりのNVIDIAコントロールパネルとGeForce Experienceが導入される。NVIDIAアプリを利用したいのであれば,NVIDIAのWebサイトから,別途インストーラをダウンロードして実行しなければならない。
NVIDIAのNVIDIAアプリβ版ダウンロードページ
なお,本稿執筆時点では,NVIDIAアプリをインストールするとGeForce ExperienceがNVIDIAアプリに置き換えられるが,NVIDIAコントロールパネルは,アンインストールされずに残る仕様だ。しかし,将来的にはNVIDIAコントロールパネルもなくなるのだろう。
NVIDIAアプリには,「NVIDIAコントロールパネルとGeForce Experienceに分かれていた多くの機能が,実装される予定である」とNVIDIAは説明している。使い勝手はGeForce Experienceに近い印象で,3Dグラフィックスの設定は左ツールバーの「グラフィックス」で行える。このグラフィックス設定を,NVIDIAは「Unified GPU Control Center」(統合GPUコントロールセンター)と呼んでいる。
統合GPUコントロールセンターは,NVIDIAコントロールパネルの3D設定と,GeForce Experienceのゲーム別設定を合体させたようなものだ。詳細な3D設定が行えると同時に,最適化対象のゲームはワンクリックで推奨設定を適用できる。また,スライダーを使って簡単にグラフィックス品質とフレームレートの調節ができるよう工夫されているのもポイントだ。
ゲーム中のオーバーレイ表示は,GeForce Experienceと同じく[Alt+Z]キーで呼び出せる。見た目や操作性は従来のオーバーレイと異なるが,機能面は多くを継承しているようだ。GeForce Experienceのオーバーレイを利用していたゲーマーは,違和感なく使っていけるだろう。
NVIDIAアプリでは,GPUの統計情報をオーバーレイ表示する機能も強化され,多彩な情報からオーバーレイ表示させたい情報を選択できるようになった。プレイ中にフレームレートだけでなく,GPU負荷などをオーバーレイで確認できるので,便利に使えそうだ。
そのほかにも,NVIDIAアプリとGeForce 551.61 Driverをインストールすることで,GeForce RTXシリーズのユーザーは,AIを使った新しいFreestyleフィルタが利用できるようになるそうだ。たとえば,SDRタイトルを,AI処理を使ってHDR化する「RTX HDR」といったフィルタが利用できるという。対応GPUやディスプレイを持っているユーザーは,試してみてもいいかもしれない。
ところで,これまでのGeForce Experienceは,利用するためにログインが必要という欠点があった。アカウントの作成やログインを嫌って,GeForce Experienceを使っていなかったという人もいるかもしれない。その点,NVIDIAアプリがどうなのか,気になるGeForceユーザーもいるだろう。
いまのところ,NVIDIAアプリでは,ログインせずに大部分の機能が利用でき,ログインが必要になるのは,NVIDIAがユーザーに配布しているクーポンやバンドルを受け取る機能を利用する場合のみだった。ゲーム画面のキャプチャのような,基本とも思える機能の利用さえログイン必須だったGeForce Experienceと比べれば,縛りが減って大きく改善されたといっていいだろう。
なお,GeForce ExperienceやNVIDIAコントロールパネルから大部分の機能が引き継がれるものの,利用が少ない機能については削除の予定とのこと。具体的には,「Twitch」および「YouTube」への実況配信機能や,「Ansel」として実装されていた360度撮影,およびステレオキャプチャのサポートが打ち切られるとのこと。
機能を絞り込むことで,従来に比べてインストール時間は半分に,ユーザーインタフェースのレスポンスが2倍になり,インストールに使うストレージ容量は17%削減されると,NVIDIAはアピールしている。
また,今後アップデートされるNVIDIAアプリには,ShadowPlayにおけるAV1形式のサポートや,DLSSのカスタマイズ設定,さらにGPUオーバークロック機能の実装を予定しているとのこと。β版の段階でも,NVIDIAアプリは,従来よりかなり設定しやすく,また使いやすくなっている印象があるので,今後に期待したいところだ。
話をドライバソフトに戻すと,GeForce 551.61 Driverでは,新作サバイバルアクション「Nightingale」早期アクセス版への対応が謳われている。NVIDIAによると,同作は,AIベースのレイトレーシング画質改善機能を備えた「DLSS 3.5」に対応しているそうだ。
ドライバのアップデートは自己責任となる点を理解してもらったうえで,すぐにでも入手したい人は,以下に示したリンクかGeForce ExperienceもしくはNVIDIAアプリのアップデート機能を利用してほしい。
→Windows 11・64bit版Windows 10用GeForce 551.61 Driver(634.43 MB)
https://www.nvidia.co.jp/download/driverResults.aspx/221812/jp
→ノートPC向けのWindows 11・64bit版Windows 10用GeForce 551.61 Driver(634.43 MB)
https://www.nvidia.co.jp/download/driverResults.aspx/221844/jp
●GeForce 551.61 Driverの対応製品
- デスクトップPC向けGeForce RTX 40シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce RTX 30シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce RTX 20シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX 16シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX 10シリーズ
- NVIDIA TITAN RTX
- NVIDIA TITAN V
- NVIDIA TITAN Xp
- NVIDIA TITAN Xシリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX TITAN X
- デスクトップPC向けGeForce GTX 900〜700シリーズ
- ノートPC向けGeForce RTX 40シリーズ
- ノートPC向けGeForce RTX 30シリーズ
- ノートPC向けGeForce RTX 20シリーズ
- ノートPC向けGeForce GTX 16シリーズ
- ノートPC向けGeForce GTX 10シリーズ
- ノートPC向けGeForce 900M〜800Mシリーズ
- ノートPC向けGeForce MX 500シリーズ
- ノートPC向けGeForce MX 400シリーズ
- ノートPC向けGeForce MX 300シリーズ
- ノートPC向けGeForce MX 200〜110シリーズ
●GeForce 551.61 Driverが統合するソフト
- GeForce Experience:3.27.0.120
- HD Audio Driver:1.3.40.14
- PhysX System Software:9.21.0713
- NVIDIA RTX Desktop Manager:記載なし
- CUDA:12.4
- NVIDIA Control Panel(DCH):8.1.964.0
●GeForce 551.61 Driverの新要素
- NVIDIAアプリ β版に対応
- Nightingale早期アクセス版に対応
- GeForce ExperienceおよびNVIDIAアプリの最適化に4タイトルを追加
●GeForce 551.61 Driverで解決した問題
- 「Tom Clancy's Rainbow Six Siege」をVulkan APIでプレイしたときに生じていた安定性の問題
- Windows側の設定でHDRの輝度をカスタマイズしていると,「RTX Video HDR」のトーンマッピングが機能しないことのあった問題
- Windows側でHDRを設定していると,Webブラウザ「Google Chrome」および「Microsoft Edge」でSDRビデオを再生したときに,黒の再現性が低いことがあった問題
- Freestyleフィルタの設定がゲーム終了後に保存されないことのあった問題
- ステージング用3Dレンダリングソフトウェア「Adobe Substance 3D Stager」で,ビューポートの初期化が行えないことのあった問題
- テクスチャ用3Dペイントソフトウェア「Adobe Substance 3D Painter」のVulkan API版が,起動しないことのあった問題
●GeForce 551.61 Driverにおける既知の不具合
- Microsoft Edgeで「Netflix」を鑑賞すると,動画表示に問題が生じることがある。この問題は,Windows版Netflixアプリを用いることで回避できる
- GeForce GTX 10シリーズおよびGeForce RTX 20シリーズで,NVIDIA SLI構成と,Windowsの「Hardware-Accelerated GPU Scheduling」設定を同時に有効にすると,PCがランダムにフリーズすることがある
- 関連タイトル:
GeForce Driver
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