COMPUTEX TAIPEI 2005の会場で展示されていたi-RAM。会場で盛り上がっていたのは日本のプレスだけだったそうで,なかなか意外である。日本のプレスの間では「これが今年1番おもしろい」と話題になっていたほどなのだが
|
「i-RAM」について,まず,さまざまな憶測を生んだ電源周りから説明していこう。結論からいうと,ATX電源を完全にオフにしない限り――つまり,待機電流が流れている状態ならPC自体の電源がオフでも――
i-RAM上のメモリモジュールは常に通電状態となり,メモリ内のデータは保持される。i-RAMがPCIから電源を確保しているのはCOMPUTEX TAIPEI 2005のレポート記事(
「こちら」)で紹介したとおりだが,PCがシャットダウンされていても,i-RAMはPCIから電源を確保し続けるというわけだ。
バッテリーの持続時間は約16時間と発表されたが,これはあくまで,i-RAMをPCから取り外して,単独で放置しておくときの持続時間。別のPCに差し替える時間としては十分だ。引っ越しや天災などで長時間通電していない状態が続く場合を除けば,
電源周りが原因でi-RAMからデータが失われる可能性は限りなく0%に近いと言っていいだろう。
日本ギガ・バイト提供のスライド。左で「メインチップ」と説明されているのは,台湾JMicron Technology製「JMB370」で,このチップがキモのようだ。右のスライドを見ると,3.3VSBから2.5Vが生成され,メモリモジュールへ供給されていることが分かる
|
|
|
i-RAMの概要
|
このように,PCIは電源を取るためだけに使われ,PCとのデータ転送はSerial ATA(SATA 150)で行われる。既報のとおり,システムからはHDDとして認識されるので,動作に特別なデバイスドライバは必要ない。
HDDとして利用できるとなると,i-RAMの複数利用にも期待はふくらむが,日本ギガ・バイトによれば,少なくとも2枚では動くという。保証されるのか,RAID動作が可能なのかなどは分からない。このあたりは,実際に製品が出てきてから確かめたいところだ。
搭載可能なメモリ容量は8GB。スロットはDDR DIMM用が4本で,DDR DIMMに2GBモジュールがほとんど流通していないことを考えると,現実的には4GB以内で使われるだろう。メモリモジュールの動作クロック,メーカー,容量の混在に関しては,問題なく動作するのが「目標」(日本ギガ・バイト)とのこと。
そもそもSerial ATAの1.5Gbit/sという帯域幅と,最低でも1.6GB/sというDDRメモリの帯域幅では比較にならない。つまり
Serial ATAが圧倒的にボトルネックであるわけで,例えばPC2100とPC3200の混在などというのはそれほどクリティカルではなさそうだ。意外と問題なく混在できるのではと推測する次第である。
i-RAMのスコアがスクリーンショットでは56560なのに対し,「最新62122」と書かれているのは少々ナゾだが,おそらく最新リビジョンで62122のスコアが出たということなのだろう
|
速度に関しては,今回公式に
「最大20倍速い」ということになり,総合ベンチマークソフト「PCMark04」を用いたスコアが示された。本誌読者としては,Windows XPの起動が14倍,アプリケーションのローディングが16倍速くなっている点に注目したい。あくまで理論値ではあるが,
これまで起動やシーンの切り替えに1分かかるゲームがあった場合,ゲームをi-RAMにインストールしておけば,それが各4秒で済むようになる可能性があるのだ。
気になる店頭価格は1万円以上,発売時期は8月末から9月ごろになるという。ちょっと先になってしまうが,期待して待ちたい。(佐々山薫郁)