インタビュー
「BASTARD!! -ONLINE-」インタビュー,グラフィックスは全面改訂? 2009年公開に向けた新たな動きを探る
今回は,この「BASTARD!! -ONLINE-」に関して,プロデューサーの河野順太郎氏とディレクターの山口英久氏に,開発の最新情報について詳しい話を聞いてきた。少々長くなったが,初公開となる情報が多いインタビュー内容となっているので,原作コミックスのファンや同作に期待している人は,ぜひとも最後までご覧いただきたい。
※記事中の画像,ムービーは最新のデータに基づくものではありません
2007年の後半に,大規模な仕切り直しを決断
本日はよろしくお願いします。
東京ゲームショウのステージイベントを拝見しましたが,それにしても随分と待たされてしまいましたね(笑)。
河野氏:
はい,待ち続けているファンの皆様にはご心配をかけてしまいました。
4Gamer:
それではまず,プロジェクトの立ち上げからこれまでの経緯について,話をお聞かせください。
河野氏:
「BASTARD!! -ONLINE-」の制作発表を行ったのは2005年の7月です。当時のテクモは,オンラインゲームに関するノウハウ蓄積が決して豊富とはいえず,しかもジャンルはMMORPGです。最初の制作発表から早3年が経ちましたが,私達にとっては簡単なプロジェクトではなく,これまで紆余曲折の連続でした。
4Gamer:
しかも長い月日が経つことで,さまざまな状況や環境が変化していきますよね。
河野氏:
そのとおりです。2005年の当時に定めたグラフィックスのスペックやゲーム内の仕様などは,現在では通用しなくなりつつあります。そこで,去年の後半の段階で,開発作業の「仕切り直し」を行い,あらためて2009年にCBTを実施することを目標に定めました。
4Gamer:
なんと。仕切り直しを行う直前では,どれくらいまで開発作業が進んでいたのでしょうか?
MMORPGとしての基本的なシステムがひととおり入って,社内のサーバーでとりあえず動くところまではいきました。ですが,その段階であらためて本作を冷静に見直したとき,「これが今のユーザーや,今のマーケットに本当に受け入れられるのだろうか? 世界に通用するのだろうか」という疑問を抱きました。
4Gamer:
どのような点において,ユーザーやマーケットが求めるものとのギャップを感じられましたか。
河野氏:
分かりやすいところでいえばグラフィックスです。これに関しては,過去のスクリーンショットを見れば一目瞭然だと思います。
それともう一つ,ゲーム性についても,弱いといわざるをえませんでした。テクモは,国内だけでなく世界的な展開も見据えてゲームを作っています。ウルティマ オンラインの登場から11年近くが経過し,一口にMMORPGといっても,ありとあらゆるタイトルが出ているなか,当時の「BASTARD!! -ONLINE-」では,世界に打って出るにはゲームとしての特徴や魅力に乏しかったのです。
4Gamer:
なるほど。まずは,グラフィックスに関して詳しくお聞かせください。
現在は,ほぼ全面的にグラフィックスを作り直しているのですが,ここだけは曲げられない,という点がいくつかあります。
もっとも大きいのは,原作のコミックス「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」をベースにしていると胸を張っていえるようなゲームにすることです。言い換えると,キャラクターの装備や覚える技などで原作らしさを出しつつ,なおかつ自分のキャラクターに愛情を注ぐことができるかどうか,ということです。
4Gamer:
原作のファンにとって,そこは大きなポイントでしょうね。
河野氏:
もう少し詳しくお話しすると,例えばグラフィックスに関しては,根本的な部分から手を加えており,過去に公開したバージョンからは大きく進化しています。
先日の東京ゲームショウ2008ではプレイムービーを公開しましたが,現在の開発バージョンはあれよりも進化しています。正直なところ,あのバージョンでは公開したくなかったんです。ただ,2009年のサービス開始を前提としたときに,2008年の東京ゲームショウという国内最大のアピールの場で,本作の音沙汰が一切なしというのは,期待しているファンに対して,あまりにもマナー違反ではないかと思いまして。
4Gamer:
そのような事情があったのですか。
グラフィックスの進化というのは,つまるところポリゴンやテクスチャの数・質を上げていく,という意味でしょうか?
山口氏:
もっと根本的な,デザインレベルから変えていきます。まったく別物と考えたほうがいいかもしれませんね。
とはいえ闇雲に要求スペックを上げてしまうのではなく,キャラクターの造形を,より格好よく見せることを重視しています。
河野氏:
原作コミックスに登場するキャラクターは格好よくて,セクシーで,なんというか"絵力"が凄いじゃないですか。ああいったキャラクター達が,画面内で踊るようなグラフィックスにしたいですね。一言でいうならば,原作コミックスのファンに「こんなのバスタードじゃない」と言われることがあってはなりません。グラフィックスに関しては,かなり気合を入れて作り直していますよ。
4Gamer:
テクモさんが言うと,いろんな意味でイメージが膨らみますね(笑)。
とはいえ,それに伴って必要とするPCスペックは若干上がるのでしょうか?
今まで公開しているものと比べると,グラフィックスのクオリティ,スペックともに1段階上がる予定です。
逆にお伺いしたいのですが,先日の東京ゲームショウで公開したムービーでのグラフィックスって,仮にほかのMMORPG上で表現されていても,あまり違和感がないと感じませんでしたか?
4Gamer:
率直に申し上げると,あれを「2009年に登場する新作MMORPG」として考えると,グラフィックスそのものは突出しているとは言いにくかったですね。
河野氏:
ええ。また同時に,バスタードらしさもグラフィックスに反映させられていなかったと思うのです。これが,仮にすべてのコスチュームが原作コミックスのような「ハジけた」ものだと,ちょっとゲームとして成立できないですけど。
それでも,ファンタジー系のMMORPGとしてベーシックなグラフィックスを押さえたうえで,バスタードらしさをどこかで出していきたい。そういったバスタードらしさを感じさせることが,プレイヤーのキャラクターに対する愛情に結びつくのでは……,と考えています。
PvPに気軽に参加し,短時間でもレベル上げが行える!
4Gamer:
仕切り直しの際にもう一つの大きな目標として掲げられた,ゲーム性についてはどうでしょう。
河野氏:
方向性としては,ほかのタイトルとの明確な差別化を行ったうえで,長く遊べるというものを目指しています。
この考えに至った経緯としては,まず最初に,本作の主なターゲット層はどのような人達なのだろう? と考えました。原作コミックスを紐解くと,週刊少年ジャンプで連載がスタートしたのが約20年前です。あの当時をリアルタイムで経験した人は,現在は30〜35歳前後になる計算ですよね。
それくらいの年齢層の人なら,ほかのオンラインゲームの経験がある人もきっと多いでしょう。彼らが今やりたいゲームってどんなゲームなのだろう……? と,考えました。
4Gamer:
なるほど。
端的にいうと,「気軽にプレイできて,長い期間続けられる」というスタイルで遊べるものにしたいと考えています。既存のコア向けのMMORPGって,パーティを編成するのに下手すると1時間近くかかってしまいます。しかも,せっかく編成できたのなら3時間くらいはレベル上げしたいよね,とか,一度のプレイに長時間というか,覚悟がいりますよね。
4Gamer:
そういった内容だと,メインターゲットとして挙げられた社会人などのプレイヤーにとっては,平日のプレイは難しいかもしれませんね。
河野氏:
大規模なタイトルでは,レベル上げ以外にも生産スキルなどの遊び方もありますが,でも本筋とはいえません。「BASTARD!! -ONLINE-」は,ゲームとしての本筋である強くなる,成長する道筋が,たとえ1時間程度のプレイでもしっかりと成立するゲームにしたいのです。
騎士 |
忍者 |
魔術師 |
近年のタイトルではソロプレイでもレベル上げが簡単に行えたり,パーティ編成をサポートするシステムなどが見受けられます。「BASTARD!! -ONLINE-」では短時間のプレイを成立させるために,どういった点で工夫をされているのでしょうか。
河野氏:
もちろんソロプレイや,仲間とパーティを編成して狩りに出かける,といった遊び方は用意しますよ。ただ,それとは別に,最強の座を求める大きな枠組みを用意します。
4Gamer:
具体的にいうと,どのようなものでしょうか。
河野氏:
簡単にいえばPvPです。しかも,気軽に参加できて,30分から1時間程度の短時間のプレイでも手ごたえを得られ,しかもレベル上げも兼ねて行えるようなPvPシステムを作っています。
4Gamer:
そうきましたか……。PvPのシステムを作るにあたり,どういった部分に重点を置かれていますか?
河野氏:
細かい部分ではたくさんありますが,まずPvPにおける基本コンセプトとして,「超上級者と上級者との間に,キャラクターの極端なスペック差を作らない」ことを掲げています。仮に最高スペックのキャラクターがいたとしても,そこそこの強さの相手が二人束になってきたら,負けてしまうくらいのバランスですね。
例えば,レベルキャップが80まであったと仮定した場合,レベル50以降は基礎パラメータにほぼ変化がないイメージです。
4Gamer:
つまり,キャラクターのスペックより,プレイヤーの操作テクニックが求められるということでしょうか?
河野氏:
操作テクニックはもちろんですが,駆け引きやチームワークが重要になります。例えばレベル40の人がレベル50の人に戦いを挑んだとしても,勝率は0%ではありません。レベル40なら40なりの戦い方があって,駆け引きなどを駆使すれば,十分に勝算があるバランスをイメージしています。
4Gamer:
駆け引きと聞くと,なんとなくカードバトルのようなものをイメージしてしまいますね。
山口氏:
イメージ的には近いものがあるかもしれません。
河野氏:
例えば,攻めたり守ったり,奇策を講じたり,それぞれの行動に対応したカードのようなものがあります。そして,パーティプレイで「じゃあ奇襲だ!」「一斉攻撃だ!」といったように息を合わせることで,格上の敵に対しても,十分に勝算が出てきます。チームワークが,ここまで決定的な要因となるバランスのタイトルって,現状ではあまりないんじゃないかな,と。
4Gamer:
確かに,最近見かけるカードバトルだとソロプレイのタイトルが多いですね。ちなみにPvPの柱としては,個人対個人と,複数対複数のどちらの規模を想定されているのでしょうか?
河野氏:
キャラクターに個性を設ける以上,個人対個人が中心になってしまうと相性の悪い組み合わせがどうしても出てきてしまいます。やはり,チームで戦って楽しいものにしたい,という気持ちはありますね。
PvPシステムに関しては,現時点ではまだ詳細までは申し上げることができないのですが,かなり独自性が強いものになると思います。正直なところ,既存のタイトルはあまり参考にしていません。
現在のチーム戦の魅力を大きくアピールしているタイトルって,結局はキャラクター個人の能力で勝敗がつくものが目立ちませんか? それなりに作戦はあるのかもしれませんが,例えば戦士なら,戦士としての個人技を行うだけで終わってしまいます。ある意味,ちまちました戦いです。
本作は折角あのバスタードを題材としたタイトルなのだから,チーム力で勝負させつつ,いい意味で大味にできれば,と考えています。
4Gamer:
原作コミックスでも,魔法剣士が二人力を合わせて,合体技を繰り出すようなシーンがありましたね。
山口氏:
そういった協力プレイ的なことはもちろん,個人技よりも上のレイヤーで成り立つ"作戦"を重視しています。チームとして動くか,それとも個人として動くか,などといった駆け引きが楽しめるようにしたいです。
4Gamer:
原作コミックスでは,天変地異クラスの派手な魔法が印象的ですが,仮にああいったものが頻繁に登場してしまうと,ゲームが大味になりませんか?
河野氏:
超強力な魔法をドカドカ放つことができたら,ゲームとして成立しにくいでしょうね。あれらはプレイヤーキャラクターにとって絶対に手に入らない,というほどのものではないのですが,使用時にそれなりのリスクや覚悟が必要になるでしょう。
4Gamer:
最近ではPvPモードを行う際のみ,キャラクターのスペック差を軽減するルールを用いるタイトルも見受けられますが,そういったものはどう思われますか。
河野氏:
極端な補正をかけるつもりはないですよ。PvP時だけ補正というのではなくて,ゲーム全体であまり差がつかないように補正する感じです。このあたりのバランスの調整は,本作のカギとなる部分の一つでしょうね。
四つの軍のいずれかに所属し,ゆくゆくはRvRに参戦
ガラ軍 |
カル軍 |
現在は四つの軍の存在のみが紹介されています。プレイヤーキャラクターが選べるクラスの種類については,だいたい決まっているのでしょうか?
河野氏:
このゲームでは,明確なクラスというものは存在しません。その代わり,プレイヤーキャラクターがどの軍に所属するかによって,キャラクターの方向性がある程度定められます。
例えば軍の一つ"メタ=リカーナ"は,原作コミックスにおいては騎士の国で,なおかつ神聖・回復魔法に長けているという設定です。つまり,キャラクターの作成時にこの国を選んだ場合,いわゆるナイトやクレリック的な方向への成長が促されます。また,そのうえでキャラクターが成長する方向を,ある程度自分で選ぶこともできます。
4Gamer:
どの軍を選んだかによって,キャラクターに違った個性が芽生えるわけですね。念のため,ほかの三軍の特徴についても確認させてください。
河野氏:
"ガラ軍"は,軍団長が忍者ということで,剣技や忍術が比較的得意です。そして"カル軍"は魔法使い,"ネイ軍"は魔法剣士といったように,原作コミックスのファンにはお馴染みの設定が反映されています。
しかし,ここは強調しておきたい点なのですが,どの軍もそれだけしか選べない,というわけではありません。例えばヒーラー的なキャラクターはメタ=リカーナ軍だけではなく,ほかの軍でも同等のポジションのスキルなどが用意されています。
4Gamer:
そういった中,キャラクターの個性を決定付けるのは,ステータスやスキルのポイント配分になるのでしょうか?
ネイ軍 |
メタ軍 |
そうです。仮に魔法剣士のキャラクターがいたとしても,スキルポイントなどを割り振るバランスによって,剣寄りか魔法寄りか,などといった違いが出てきます。ステータスや基礎パラメータも含めると,育成パターンは無限といってよいでしょう。
4Gamer:
四軍の中には"アビゲイル"が含まれていませんね。四天王の一人である彼がいないのは,少々意外に思えたのですが。
河野氏:
ええと,そのあたりは,もうしばらく伏せさせておきたいのですが……。
若干ぼかした言い方になってしまうのですが,本作の舞台となるのは原作コミックスのパラレルワールドということです。当時のアビゲイルを振り返ると,カル=スとともに行動しているように見えて,実は破壊神に心を操られている状態でしたよね。
4Gamer:
まさか,本作ではいきなり破壊神が蘇ったりとか……?
河野氏:
原作のストーリーは"魔躁兵戦争"(ゴーレム・ウォー)が終結したあと,主人公であるダーク・シュナイダーが再登場するところから始まります。しかしパラレルワールドの本作では,そこでダーク・シュナイダーが登場しないのです。ということは当然,四天王は紆余曲折の末にダーク・シュナイダーを慕って行動をともにする,という展開にもなりません。
ということは,もともと決して仲がよいわけではなかった四天王は,それぞれ別の道を歩み始めることになります。したがって,本作における4軍は基本的に敵対関係にあります。
時系列的に考えると,コミックスの第1巻が始まるより前から分岐したパラレルワールドなんですね。ちなみにダーク・シュナイダーはまったく出てこないのですか?
河野氏:
まぁ,出さないわけにはいかないでしょうが,そうそう顔を出すことはないでしょうね。
4Gamer:
本作のバックグラウンドストーリーが,少しずつ見えてきました。では原作コミックスの,もっと先のほうで登場するキャラクターについてはどうでしょうか。例えば"魔戦将軍"とか,極端な話"サタン"とか。
少なくとも"第一期"の「BASTARD!! -ONLINE-」がモチーフとしているのは,"箱舟編"に突入する前までの範囲です。サタン達は何かのエピソードで登場することはもしかするとあるかもしれませんが,本筋ではないですね。
4Gamer:
原作コミックスの熱心なファンなら,各軍に所属するNPCの構成が見えてきそうですね。これらの有名キャラクターは,PCにとってどういった存在なのでしょうか?
河野氏:
まず,ガラなどの四天王の軍団長についてですが,最初は一兵卒から始まるプレイヤーからするとかなり遠い存在となります。しかし,プレイヤーキャラクターが戦果を上げて軍における階級が上がっていくと,少しずつ距離が縮まっていきます。例えばネイ軍なら,シーン・ハリやカイ・ハーンなどといった,軍団長にとっての腹心の座を目指すのが当面の目標となるでしょう。
これまでの話の内容から察するに,本作のPvPは,ゆくゆくはRvRへと結びつくのでしょうか?
河野氏:
ええ,RvRに関しても開発を進めていますよ。例えばPCが軍に所属する以上,その中での階級を用意する必要があるでしょうし。また,RvRの勝敗結果に応じて各軍の優越が変わり,世界におけるそれぞれのポジションも変化していきます。現在はそういったシステムを,一つ一つ積み上げていっているところです。
4Gamer:
キャラクターの作成時に所属軍が定められ,各軍が敵対関係にあるとのことですが。別の軍に所属しているプレイヤーキャラクターと,ともにパーティを編成できるのでしょうか?
河野氏:
基本的にはできます。ただし,両国が戦争状態に突入したら,少なくともRvRのフィールド上ではパーティを組めないでしょうね。
4Gamer:
では,その戦争というのは,どのようなタイミングで発生するのでしょうか?
絶対零凍波(テスタメント) |
七鍵守護神(ハーロ・イーン) |
その点についてはまだ調整中なのですが,せっかく戦争という一大イベントを行うからには,ゲーム内で大きく盛り上がってほしいと考えています。とはいえ,ログイン率やピークタイムなどの都合上,24時間いつでも戦争が発生している,という形にはならないと思います。
4Gamer:
プレイヤーキャラクターは,レベルがいくつくらいからPvPやRvRに参加できるのでしょうか?
河野氏:
PvPに関しては,かなり早い段階から参加できるようにします。
4Gamer:
PvPが苦手とか,まったり派のプレイヤーも中にはいるかと思います。PvPとは,このゲームでどの程度の比重を持っているものなのでしょうか?
河野氏:
決してPvPしかできない,というわけではありません。ですがプレイヤー層に関係なく,ゲームを進めていけば自然と「思わずPvPに参加したくなる」システムを目指しています。
4Gamer:
もう一方の,PvE(対モンスター戦)については,なにか大きな特徴というのありますか?
河野氏:
PvEに関しても同じですね。ほかのMMORPGタイトルと比べて,駆け引きがアツく,そしてきたるべき本格的なPvPの予行練習にもなるようなシステムにしていきたいです。
4Gamer:
となると,根幹となるバトルシステムが非常に気になるところですねぇ。あとは操作システムに関して,大きな特徴といったものはありますか? コントローラへの対応も気になるところですが。
河野氏:
これといった奇抜なものにはなりませんよ。コントローラに関しては検討中です。ただ,目指すゲームの方向性としては対応を積極的に行うべきと考えております。
今後は定期的に情報公開を
4Gamer:
公式サイトによると,今後は定期的に情報公開をしていきたいと書かれていますが。どれくらいのスパンでの情報公開を期待してよいのでしょうか?
河野氏:
去年の後半に仕切り直しを行う前,私は現在のプロデューサーとは別の立ち位置でこのタイトルに関わっていました。なので,ある程度客観的に見ることができるのですが,ファンの人達にとっては本当に待たされているタイトルだと思います。だからこそ,今後についてもあまり軽々しいことをいうつもりはありません。とはいえ,これからは何か月も沈黙を守るということもありません。
そういえば,以前行われたコスチュームコンテストはどうなったのでしょうか。
河野氏:
あれはもうじき結果を発表しますよ(注:10月31日に発表された)。かなり気合の入ったデザインが多くて驚きました。
4Gamer:
それは楽しみですね。現在開発作業を進められている中,どういった部分に苦労をされていますか?
河野氏:
毎回悩まされるのは「バスタードらしさってなんだろう?」という部分ですね。それを突き詰めた結果,一度できあがったシステムでも,あとから修正を加えることが,ほかのタイトルよりもかなり多いと思います。
4Gamer:
プレイヤーキャラクターが選べる種族は,現在公開されているヒューマン・エルフ・ホビビットの3種類から変化はありますか?
河野氏:
第1期においては,その三つで確定です。原作コミックスではいろいろと登場していますし,いずれは増やすべきだと思っています。
4Gamer:
最近は"汎人類連合"として,数多くの種族が登場していますよね。オークやゴブリンなどといった,いわゆるEvil系の種族についてはどうでしょうか?
河野氏:
今のところその予定はありませんね。汎人類連合に関しては,いつかこれ全部実装するのかなぁ,とビビったりしています(笑)。
4Gamer:
それでは最後に,本作を待ちわびているファンに向けてお二方からそれぞれコメントをお願いします。
私は,かなり前からこのプロジェクトに携わってきましたが,最近になってようやく,ゴールへ向けてのレールが敷かれ,それが実感できるようになりました。ここから先は,これまで以上の苦労があるとは思いますが,今はエンジン全開で開発作業を進めているところです。
今回はあまり詳しい部分までお話することができませんでしたが,近い将来,必ず,その機会を作りたいと思っております。
河野氏:
4Gamerさんの過去記事を辿ると,結構前のスクリーンショットを見ることができますが,個人的にはあれらを残しておきたくないんです。去年後半の仕切り直し以降は,まったく別のタイトルというくらいの気持ちで,開発作業を行っています。
ファンの方々にとって「こういうのを待っていたんだ!」と思われ,深く愛されるゲームとして公開したい。その期待を裏切らないものを作るため,もう少しだけお待ちいただければと思います。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
これらの情報をまとめると,現在のMMORPGジャンルの中ではかなりユニークなタイトル像が浮かび上がってくる。リリース時期が2009年に延期された点についても,ここまでの意欲的なシステムの数々を踏まえれば,納得してもいいという人もいるのではないだろうか。また,原作コミックスのファンを長年続けているような人であれば,どうせここまできたのならじっくりと作り込んでほしい,という気持ちもあるかもしれない。
なにはともあれ,2009年に向けた開発が順調に進むことを祈りつつ,デザインから作り直されたという新グラフィックスなど,さらなる情報公開を心待ちにしたい。
(2008年10月17日収録)
- 関連タイトル:
BASTARD!! -ONLINE-
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(c)Kazushi Hagiwara/SHUEISHA (c)TECMO,LTD.
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