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「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(後編)。分解と挙動チェックで明らかにする新世代マウスの価値
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印刷2013/05/07 00:00

レビュー

Logitech G(Logicool G)ブランド第1弾を飾るマウス3モデルは何が変わったか(後編)

G700s Rechargeable Gaming Mouse
G500s Laser Gaming Mouse
G400s Optical Gaming Mouse

Text by BRZRK


G700s Rechargeable Gaming Mouse(左),G500s Laser Gaming Mouse(中央),G400s Optical Gaming Mouse(右)
メーカー:Logitech
問い合わせ先:ロジクール カスタマーリレーションセンター 電話:050-3786-2085(平日9:00〜19:00)
実勢価格:G700s - 8900〜1万円程度,G500s - 6000〜7000円程度,G400s - 4700〜5500円程度(※いずれも2013年5月7日現在)
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 Logitech(※日本ではロジクール)の新しいゲーマー向け周辺機器ブランド「Logitech G」(Logicool G)。その第1弾となる新作マウス,

  • G700s Rechargeable Gaming Mouse(以下,G700s)
  • G500s Laser Gaming Mouse(以下,G500s)
  • G400s Optical Gaming Mouse(以下,G400s)

については,2013年4月18日に掲載したファーストインプレッションで表面加工と基本仕様,4月28日掲載のレビュー前編でボタン構成と持ちやすさ,設定用ソフトウェア「Logitech Gaming Software」(Logicoolゲームソフトウェア,以下 LGS)をチェックしてきたが,いよいよレビュー後編だ。今回は気になる内部構造と,センサー性能を検証し,「で,結局のところ,従来製品から何が変わったのか」をまとめてみたいと思う。
 なお,本稿ではファーストインプレッションとレビュー前編を前提に話を進めていく。未読という人は,一度目を通してから戻ってきてもらえれば幸いだ。

Logitech「G700s」「G500s」「G400s」ファーストインプレッション。ゲーマー向けの新型マウスは従来製品の耐久性向上版か

「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(前編)。新生となったゲーム周辺機器ブランド「Logitech G」第1弾マウスのポイントを押さえる



G700sとG500s,G400sを分解

Delta Zeroセンサーの正体は?


 さっそく,マウスの分解から始めたいと思う。今回,G700sは「Wireless Gaming Mouse G700」(以下,G700),G500sは「Gaming Mouse G500」(以下,G500),G400sは「Optical Gaming Mouse G400」(以下,G400)と,それぞれ内部構造を比較する。以下,分解写真では,左が“s付き”の新製品,右が“sなし”の従来製品となるので,その点はあらかじめお断りしておきたい。

 また,G700sとG500sでは,サイドボタンを固定する機構が特殊で,筆者の技術では壊さずに分解する自信がなく,両製品において,サイドボタンの詳細には踏み込めなかった。前編で,G700sのサイドボタンをチェックしたいと意気込んでおきながら申し訳ないが,この点もご了承を。


■G700s

 というわけでG700sだが,内部構造でG700との間にこれといった違いは見られない。基板を見ると,開発コードネームらしき「Kowloon」(クーロンもしくはカウルーン,九龍)という文字がどちらの製品でも確認できるため,基板設計でも基本的には変わっていないと見ていいだろう。

本体底面,マウスソールの下にあるネジを外し,カバーを取り外した状態。内部構造にこれといった違いは見られない。G700sのほうはボケてしまっていて恐縮だが,開発コードネームらしきKowloonという文字が両方で確認できた
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 ただ,センサーのDPI設定値がG700の200〜5700DPIからG700sで200〜8200DPIへと広がったことを受け,搭載するAvago Technology(以下,Avago)製のレーザーセンサーは,G700の「ADNS-9500」から,G700sでは,ADNS-9500のマイナーチェンジモデルという位置づけになる「ADNS-9800」をベースとした,Logitech向けのカスタムモデル「ADNS-9808」に変更されている。DPI設定の幅が広がった一方で,「新センサー」とまで謳われていないのは,こういう事情だからだと思われる。

G700sはADNS-9808(※チップ上の刻印はS9808),G700はADNS-9500(※同S9500)を採用。いずれもAvagoの「LaserStream」シリーズに属するゲーマー向けレーザーセンサーで,DPI設定値の刻み仕様が200DPIか90DPIかというのを除くと,違いはそれほど大きくない。なお,左メインボタン脇の3ボタンはタクトスイッチで実装されていた。金属でできていたので,高級タイプのようだ
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 左右メインボタンに採用されるスイッチはどちらもオムロン製。型番はG700sが「D2FC-F-7N(20M)」,G700が「D2FC-F-7N(10M)」だ。G700sではメインボタンの耐久性が2000万回とされていることからすると,20Mと10Mはそれぞれ20 Million,10 Millionを示しているのではないかと思うが,ひとまず判断は保留する。

左右メインボタン部のスイッチはオムロン製。定番といえるD2FC-F7Nだが,丸括弧内の表記が異なる
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 また,カバー部の内側をよく見ると,“スイッチを実際に押す突起”の先端に,G700sでは,G700になかったシリコンシートが貼られているのにも気づく。2000万回のクリックは,スイッチの変更と,シリコンシートの採用によって実現されている可能性が高そうだ。

カバー部内側のクローズアップ。メインボタン部でスイッチを実際に押す突起部に,G700sではシリコンシートが貼られている。これはG700には貼られていないものだ
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■G500s

 お次はG500s。G500ともどもカバーを開けてみたところ,G500では,メイン基板とサイドボタン部を,フラットケーブルとは別に,もう1本のケーブルでつながっている。それのに対し,G500sではフラットケーブルのみになっていた。それ以外だと,大きな違いは見受けられない。
 なお,開発コードネームらしきシルク印刷は,残念ながら見つけられなかった。

G500sとG500でカバーを開けたところ。G500で伸びる赤いケーブルがG500sでなくなっているのを除けば大きな違いはない。なお,ウェイトカートリッジのスロットはネジ留めされているだけなので,重量バランスを気にしなければ,この状態で取り外せる。スロット部自体の重量は実測で約11.5gだった
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 センサーはAvagoのADNS-9808。つまり,G700sとG500sは(そのスペックからおおよその想像はついていたが)同じセンサーを搭載しているわけである。

センサーに寄ったところ。G500sはADNS-9808,G500はADNS-9500を搭載していた。この関係はG700s&G700と同じだ
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 メインボタンのスイッチはオムロン製のD2FC-F-7N(20M)で,これもG700sと同じことになる。
 注目したいのは,公称のボタン耐久性が800万回となっているG500が,G700と同じD2FC-F-7N(10M)を採用していることと,G500sのカバー部裏側に,G700sと同じシリコンシートが貼られていることだ。「シリコンシートが貼られていない状態だと,クリック数は,公称スペック値の8割程度に留まる」のだとすれば,D2FC-F-7N(10M)を採用したG500が800万回,D2FC-F-7N(20M)とシリコンシートを採用したG500sが2000万回のボタン耐久性スペックを謳っていることの説明がつきそうだ。

G500sのスイッチはオムロン製。G700sと同じく,G500sにもD2FC-F-7N(20M)が搭載されていた。G500はD2FC-F-7N(10M)である
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カバー部の内側を見ると,G500sにだけシリコンシートが貼られているのが分かる
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■G400s

 最後はG400sだが,こちらも,内部構成は基本的にG400から変わっていない。メイン基板部に,開発コードネームと思しき「Slash 12」のシルク印刷がある点にも変化なしだ。

カバーを開けたところ。一見しての大きな違いはない
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ファーストインプレッションで指摘した“ケーブルの根元”比較。断線防止用と思われるカバーが,G400では筐体内部だけで完結しているのに対し,G400sでは長くなって,筐体の外まで続いている。そのため,G400sでカバーが新設されたように見えたというわけだ
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 ただし,G400sの分解における本番はここからだ。新搭載となる「Delta Zero」(デルタゼロ)光学センサーを確認しなければならない。
 「正体見破ったり!」と,時代劇風に意気込んで,センサーを覆うS字型カバーを外した結果が下の写真だ。G400では「ADNS-3080」を搭載するのに対し,G400sでは,それより一世代新しい「ADNS-3090」をベースとした,Logitech向けカスタムモデルと思われる「ADNS-3095」を採用している。

 海外などでは,G400の後期モデルがADNS-3095を搭載しているというレポートも上がっているので,そうだとすると「後期G400とは同じセンサー」ということになるが,Avagoの製品情報サイトによると,最新世代のSROM(Sensor ROM)「SROM-6x」により,センサーのネイティブDPI設定値が従来の1800/3500DPIから800/1600/3200/400DPIへ変更になったとのことなので(※Avagoの製品情報ページ),最大4000DPI設定が可能なG400sではこの最新SROMをベースとしたファームウェアが採用されている可能性はあるだろう。

センサーはG400sでADNS-3095を搭載していた。今回比較対象として用意したG400は中期モデルと思われるが,それと比べると一世代新しい
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G400sのUSBコントローラは,刻印部が消えているので詳細不明。ただ,G400が搭載するSunplus Innovation Technology製「SPCP866E2A」と姿形はそっくりなので,変わっていない可能性が高そうだ
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 メインボタンのスイッチはオムロン製のD2FC-F-7N(20M)。カバー部の突起には,上位モデルと同じく,やはりシリコンシートが貼られていた。メインボタン部の仕様は,G700sとG500s,G400sとで完全に共通だと言い切ってよさそうだ。

左右メインボタンがオムロンで,センタークリック用スイッチが(Taiwan Huajieの)HiMAKEブランドというのはG400sとG400で共通。オムロン製スイッチはG400sがD2FC-F-7N(20M),G400がD2FC-F7N(10M)だ
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G400sもカバー内部,メインボタン用スイッチを押す突起の先端にシリコンシートが貼られている。G400では突起が「H」型になっていたので,シリコンシートを貼るために,G400sではわざわざ先端の形状をG700sやG500sと揃えてきたことになる
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 なお,G400sではサイドボタン部を簡単に取り外せたので下に写真を示しておくが,どちらもHiMAKEブランドだった。

G400sとG400のサイドボタンはどちらもHiMAKEブランドのもの。スイッチの位置が上下にズレているのが少々気になる
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※注意
 マウスの分解はメーカー保証外の行為です。分解した時点でメーカー保証は受けられなくなりますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまで読者自身の責任で行ってください。分解によって何か問題が発生したとしても,メーカー各社や販売代理店,販売店はもちろん,筆者,4Gamer編集部も一切の責任を負いません。また,今回の分解結果は筆者が入手した個体についてのものであり,「すべての個体で共通であり,今後も変更はない」と保証するものではありません。

 以上,“s付き”と“sなし”を並べて分解しきてたが,よくも悪くも内部構成は「メインボタン部とセンサーに手を入れてきただけ」である。謳い文句どおりだと見るか,サプライズがないと見るかは人それぞれだろう。

 なお,レビュー前編で「G500sとG400sでマウス本体からケーブルを取り外したときの重量」を後述するとしたが,分解時に取り外してみた状態の実測重量は,G500sが約120g。G400sは約103gだった。前編で示したとおり,ケーブル込みの実測重量は順に約165g,約133gだったので,G500sの布巻ケーブルはけっこう重く,逆に,G500sは総重量の割にマウス単体の重量は劇的に重すぎたりはしない――お世辞にも軽いとは言えないが――ことになる。


マウスパッド全15製品との相性テスト

新たなセンサーの実力はいかほどか


 さて,内部的な部分を解き明かしたので,次はマウスパッド15製品との相性をそれぞれ調べていきたいと思う。現状では最高スペックと紹介しても問題のないセンサーを採用しているため,大きな問題が出るようなことはないはずだが,こればかりはテストしてみるしかない。

 いつものように,まずはテスト環境と,テスト時のマウス設定を以下にまとめておこう。

●テスト環境
  • CPU:Core i7-860/2.8GHz
  • マザーボード:GIGA-BYTE TECHNOLOGY GA-P55A-UD4(BIOS F15)
    ※マウスはI/Oインタフェース部のUSBポートと直結
  • メインメモリ:PC3-10600 DDR3 SDRAM 4GB×2
  • グラフィックスカード:GIGA-BYTE TECHNOLOGY GV-N560OC-1GI(GeForce GTX 560 Ti,グラフィックスメモリ容量1GB)
  • ストレージ:Western Digital Caviar Green(WD10EADS,容量1TB,Serial ATA 3Gbps)
  • サウンド:オンボード
  • OS:64bit版Windows7 Ultimate+SP1

●G700sテスト時のマウス設定
  • LGSバージョン:8.45.88
  • ファームウェアバージョン:45.7
  • DPI設定:200〜8200 DPI(※主にデフォルトの800 DPIを利用)
  • レポートレート設定:125/200/250/333/500/1000 Hz(※デフォルトの500Hzを利用)
  • Windows側マウス設定「ポインターの速度」:左右中央
  • Windows側マウス設定「ポインターの精度を高める」:無効

●G500sテスト時のマウス設定
  • LGSバージョン:8.45.88
  • ファームウェアバージョン:84.8
  • DPI設定:200〜8200 DPI(※主にデフォルトの800 DPIを利用)
  • レポートレート設定:125/200/250/333/500/1000 Hz(※デフォルトの500Hzを利用)
  • Windows側マウス設定「ポインターの速度」:左右中央
  • Windows側マウス設定「ポインターの精度を高める」:無効

●G400sテスト時のマウス設定
  • LGSバージョン:8.45.88
  • ファームウェアバージョン:0x8300
  • DPI設定:400〜4000 DPI(※主にデフォルトの800 DPIを利用)
  • レポートレート設定:125/250/500/1000 Hz(※デフォルトの500 Hzを利用)-Windows側マウス設定「ポインターの速度」:左右中央
  • Windows側マウス設定「ポインターの精度を高める」:無効

 下にまとめたものが,用意したマウスパッド全15製品との検証結果だ。同じセンサーを搭載しているので,G700sとG500sでは挙動が同じ……かと思いきや,形状がG500sとG400sとでよく似ていることもあって,G500sはG700s以上に,G400sと似た感触を得られることが多かった。これはつまり,レーザーか光学かというセンサーの違いよりも,むしろ形状のほうが,マウスパッドとの相性を左右することのほうが大きいことを意味している。G700s&G500sとG400sで,レーザーか光学かというセンサーの違いは,DPI設定を抜きにすれば,ほとんど気にしなくてもいいということでもある。

●ARTISAN 隼XSOFT(布系)
  • G700:滑りがよく,操作もしやすい
  • G500:滑りがよく,操作もしやすい
  • G400:滑りやすいが,止めやすいので問題ない
●ARTISAN 疾風SOFT(布系)
  • G700:ARTISAN 隼XSOFTと比べると若干滑りが強く感じるものの,止めやすいので操作に支障はない
  • G500:ARTSIAN 隼XSOFTより勢いよく滑る。操作もしやすい
  • G400:ARTISAN 隼XSOFTより滑り方が良好。また,止めやすい
●ARTISAN 飛燕MID(布系)
  • G700:滑りもよく,快適に操作できる
  • G500:よく滑り,よく止まり,快適に操作できる
  • G400:よく滑り,よく止まり,快適に操作できる
●DHARMAPOINT DRTCPW35CS(布系)
  • G700:少し擦れる感じはあるが,操作に支障なし
  • G500:布との摩擦を少し感じる。ただ,操作自体はしやすい
  • G400:布との摩擦を少し感じる。ただ,操作自体はしやすい
●DHARMAPOINT DRTCPW35RS(布系)
  • G700:DHARMAPOINT DRTCPW35RSより滑るが,操作に悪影響を与えるものではない
  • G500:こすれる感じは多少あるが,良好に操作を行える
  • G400:やや抵抗感があるものの,操作に影響はない
●Razer Destructor 2(プラスチック系) -G700:ザラザラとした抵抗感あり。ただ,操作に問題はない
  • G500:摩擦を強く感じるが,操作に支障はない
  • G400:プラスチック特有の,擦れるような感触はあるが,操作自体はしやすい
●Razer Goliathus Control Edition(布系)
  • G700:布の抵抗を少し感じるが,問題なく操作できる
  • G500:布特有の擦れる感じはあるものの,操作自体は快適に行える
  • G400:摩擦を感じるが,滑りは良好で,操作も快適
●Razer Goliathus Speed Edition(布系)-G700:滑りがいい。相性がよい印象だ
  • G500:滑りすぎず,止めやすい。操作もしやすい。
  • G400:かなり滑るが,止めやすい。総じて操作性は良好といえる
●Razer Manticor(金属系)
  • G700:金属特有の抵抗感はあるが,操作に支障はない
  • G500:摩擦を感じるが,操作に影響はない
  • G400:擦れるような感触はあるが,快適に操作できる
●Razer Sphex(プラスチック系)
  • G700:少々の抵抗感があるのに,かなりよく滑る
  • G500:こすれる感触は多少あるが,操作性に負の影響は出ていない
  • G400:多少の抵抗感はある。が,滑りは良好で操作しやすい
●Razer Vespula(プラスチック系,両面)
  • G700:ザラザラとした抵抗感がある。しかし,操作性に負の影響は出ていない
  • G500:少し摩擦を感じる。滑り自体は良好でコントロールもしやすい
  • G400:両面どちらのサーフェスでも滑りはいい。操作性も問題はない
●SteelSeries 9HD(プラスチック系)
  • G700:摩擦を少し感じるが,操作性は良好
  • G500:摩擦を少し感じるが,操作性は良好
  • G400:滑りすぎず,安定してマウスを制御できる
●SteelSeries QcK(布系)
  • G700:布とスレる感じが少しある。ただ,滑りは良好で,かつ止めやすい
  • G500:布とスレる感じが少しある。ただ,滑りは良好で,かつ止めやすい
  • G400:擦れる感じが少しあるが,操作に支障はない
●ZOWIE G-TF Speed Version(布系)
  • G700:滑りがよく,止めやすい。操作性も良好
  • G500:滑りがよく,止めやすい。操作性も良好
  • G400:よく滑り,止めやすい。快適に使用できた
●ZOWIE Swift(プラスチック系)
  • G700:強い抵抗を感じるが,操作性に大きな影響は出ていない
  • G500:強い抵抗感はあるものの,操作自体は快適に行える
  • G400:強い抵抗感はあるものの,操作自体は快適に行える

 次に,リフトオフディスタンスを見ていこう。昨今のゲーマー向けマウスでは非常に重視される項目だが,その結果は今回,にまとめてみた。世界的には2mm以下だと良好と判断されやすいが,G700s(とG700),そしてG500s(とG500)は,厚さ1mmの1円玉を2枚重ねた状態で,今回組み合わせたどのマウスパッドでも反応しなくなった。また,G400s(とG400)は2枚だと反応してしまい,3枚だと無反応になったので結果は2〜3mmとなるが,注目すべきはレーザーセンサー搭載モデルだけではなく,光学センサー搭載モデルも挙動が安定していることだ。15枚のマウスパッドで挙動が変わらない以上,よほど特殊なサーフェスでも用意しない限り,今回のテストと同じ結果が得られると述べていいのではなかろうか。

画像集#040のサムネイル/「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(後編)。分解と挙動チェックで明らかにする新世代マウスの価値

 なお,直線補正のテスト結果は下に示したとおり。レビュー前編でお伝えしたとおり,G500には直線補正を強制的に有効化する「アングルスナップを有効にする」のチェックボックスが用意されるので,アングルスナップ有効時のテストも行っている。

左から1・2枚めG700sのテスト結果。ほんのわずかではあるが,微妙に直線補正が効いているように感じられる
左から3・4枚めG500sのテスト結果。センサーが同じだから当たり前なのかもしれないが,得られる感覚はG700sと同じだ
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左から1・2枚めアングルスナップを有効化したG500sのテスト結果。かなり強めの直線補正がかかる
左から3・4枚めG400sのテスト結果。直線補正は俗に「ない」と言われるレベルだ
画像集#006のサムネイル/「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(後編)。分解と挙動チェックで明らかにする新世代マウスの価値 画像集#007のサムネイル/「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(後編)。分解と挙動チェックで明らかにする新世代マウスの価値 画像集#008のサムネイル/「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(後編)。分解と挙動チェックで明らかにする新世代マウスの価値 画像集#009のサムネイル/「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(後編)。分解と挙動チェックで明らかにする新世代マウスの価値

 今回のテスト中,ゲーマーの足を引っ張るネガティブアクセルは3製品のいずれでも発生しなかった。これは特筆すべきだろう。
 ところで,G400のユーザーが気になるのはG400sで採用されるDelta Zeroセンサーの実力ではないかと思うが,これは,結論から言うと「今回のテスト環境では,何が変わったのかまったく分からない」。動かし始めや止まる直前の挙動なども注意深くチェックしたのだが,違いが分からないのだ。
 センサーなどを使って細かく比較すれば違いが出てくるのかもしれないが,ゲームをプレイするうえでは,センサー性能に大きな違いは出ていないと述べていいように思われる。


非常に安定感が高く,使いやすい3モデル

革命的ではないが,革新は感じられる


 以上,ファーストインプレッションも入れると3回にわたってああだこうだと語ってきたわけだが,率直に述べて,3製品ともかなり扱いやすい。とくに,センサー性能の安定感は特筆すべきだ。減点材料は,G700sとG500sでスクロールホイールの横幅が狭く,また,ノッチのある動作モード「click-to-click」(クリック・トゥ・クリック)を選択しても“誤回転”してしまいやすいことと,LGSがまるで初心者に配慮されていないことくらいである。

3製品で共通のデザインが採用された製品ボックス
画像集#041のサムネイル/「G700s」「G500s」「G400s」レビュー(後編)。分解と挙動チェックで明らかにする新世代マウスの価値
 G700やG500,G400のユーザーが乗り換える対象としての話をすると,評価の割れそうなデザインをさておけば,長時間使っていても汗でベタつきにくいことと,左右メインボタンが汚れにくいのは,並べて比較すると確かに体感できる。G400sのDelta Zeroも含めて,センサー性能に劇的な進化は期待できず,総じて革命的な要素はないが,進化は確実に感じられる。一方で失われたものはないので,安心して買い換えられるはずだ。

 実勢価格はG700sが8900〜1万円程度,G500sが6000〜7000円程度,G400sが4700〜5500円程度(※2013年5月7日現在)。いずれも激戦区となる市場へ投入されるので,従来製品と比べて劇的な性能向上がない分,不利な戦いを余儀なくされると思われるが,Logitechらしいマウスデザインを好む人なら,購入して後悔することはないだろう。
 筆者個人としては,ワイヤレスで高性能な多ボタンマウスであるG700sを,割と本気で欲しいと思っている。

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    Logitech G/Logicool G

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