インタビュー
「SDガンダム カプセルファイター オンライン」が大変貌を遂げる。ジャンケン廃止とパーツ交換による自由なカスタマイズを導入。その概要を運営と開発のキーパーソンに聞いた
このアップデートでは,これまで同タイトルをプレイするうえで根幹となっていた三つの属性とオーバーカスタムが廃止され,代わりにユニット間の抜本的なバランス調整および新たな育成システムが実装されるという。すなわち,このアップデートで,SDGOはこれまでとまったく異なる新しいゲームになると言っても過言ではない。
今回は,今回のアップデートの概要と意図するところなどをCJインターネットジャパン パブリッシング事業部 事業第1チーム の鳴海大助氏と,同チーム チーム長 伴 正史氏,そして開発元の韓国SOFTMAX 開発総括室長 ソン・ギウォン氏,BANDAI KOREA プロジェクトマネージャー キム・ハンナ氏に,このアップデートの概要を聞いた。
属性とオーバーカスタムの廃止で,より忠実に「SDガンダム」の世界観を再現
今回のアップデートでは,その属性が撤廃され,すべてのユニットの性能は,それぞれの持つS/A/B/Cのユニットランクを基準に標準化される。合わせてユニット間の武装のダメージバランスも調整される。
「そもそも,じゃんけん属性は,初心者にユニット間の強弱関係を理解しやすくするために導入したものでした。このシステムは,例えば4対4のチーム戦を行う場合,各属性のユニットを揃えてバランスよくチームを編成すれば,非常に有効に機能します。
しかし,現実にはチーム内で属性が偏ることも多く,また属性が決まっていることで,プレイヤーが好みのユニットを使えないケースが多く生じていたんです。さらには対戦アクションゲームですから,各自のテクニックを駆使して,属性の有利不利を跳ね返してしまうベテランプレイヤーもいました。有利なはずなのに一方的に負けることが続くと,初心者の方は「あれ?」と思いますよね。結果,属性システムは,必ずしも初心者に分かりやすいとは言えない状態に陥っていたんです。
今回,属性を撤廃することにより,さまざまな制限が緩和されますから,よりシンプルになり,対戦ゲームとしての自由度も高まります」(ソン氏)
「従来のユニットの特性は,基本的には今回のバランス調整でも残しています。例えばグー属性だったユニットであれば,基本的に近接攻撃寄りの性能になっています」(伴氏)
また,ユニットの育成システムも大きく変わる。従来のシステムでは,ユニットレベルをエースになるまで育成しないとすべてのスキルを使用できなかったり,あるいは育成要素のオーバーカスタムには失敗のリスクがあったりと,プレイヤーに少なからずストレスを与えていたと鳴海氏。
しかし,新たなシステムでは,最初から各ユニットのスキルが開放されており,またオーバーカスタムを廃止して,ユニット経験値を蓄積していくだけでユニットレベルが上がるようになる。なお,これまでオーバーカスタムに要したユニット経験値はそのまま引き継がれ,あらためてユニットレベルに換算されるとのことである。これまでの強化は無駄にならないわけだ。
「オーバーカスタム廃止にともない,経験値テーブルも全部見直しています。また最初からすべてのスキルを開放していますので,ユニットレベルを上げなくとも,そのユニットの性能を把握できます」(鳴海氏)
さらに育成システムには,「カスタムパーツ」が導入される。カスタムパーツは数多く用意されているが,大まかに,射撃/格闘/装甲/突撃/強襲/重装/支援の7つの系統に分類されている。使用するユニットごとに,どの系統のカスタムパーツを使うかを,最初に選択する。
各ユニットは,選択した系統のカスタムパーツを装着可能で,パーツによって特定のステータスが上昇したり,特殊な効果を得られたりする。したがって,もとが同じユニットであっても,パーツのチョイス次第で,まったく異なる性能と特性を持たせるようなカスタマイズも可能だ。なお,装着可能なカスタムパーツについては,ユニットレベルを上げるごとにアンロックされていく。
ちなみにカスタムパーツの装着スロットは1ユニットに付き最大四つで,カスタム2のユニットなら2スロット,カスタム3なら3スロットとあらかじめ決まっている。
「7系統合わせて261種類のカスタムパーツを用意しました。例えば格闘系統には45種類のパーツがあり,その組み合わせで,さまざまな特徴を持たせたユニットにカスタマイズできます。
またカスタムパーツは,特定の効果を得る代わりに,ほかの性能が下がるといった形で,メリットとデメリットのバランスを図っています。単純に,多くのカスタムパーツを装着できるユニットが強いということにはなっていませんので,ご安心ください」(ソン氏)
「カスタムパーツの導入により,バズーカの着弾範囲を広げたり,射撃の連射速度を上げたり,あるいは格闘タイプであれば格闘攻撃範囲を広げたり,ブースターで移動速度を上げたりといった,これまでにない柔軟かつ多彩なカスタマイズが可能になります」(鳴海氏)
「カスタムパーツの導入によって,ご自身に合ったプレイスタイルを確立できます。また,なによりも特徴的なのは,プラモデルのカスタム化に代表されるような,SDガンダムというIPのイメージに沿った楽しみ方ができるようになることでしょう」(伴氏)
なお,ゲーム内で獲得できるポイントを消費して,ユニットの系統をリセットすることも可能だ。リセットしてもユニットレベルはそのまま維持されるため,新たな系統のカスタムパーツも,そのレベルのものまでアンロックされた状態でスタートできるという。
「今回のアップデートでは,皆さんにユニットのカスタマイズをとことん楽しんでいただくことを重視しました。そのため,ゲームを継続してプレイし,ポイントを溜めていけば,自由に系統をリセットし,カスタマイズをやり直せるようにしています」(鳴海氏)
「ここは開発チームとも相当に議論を重ねた部分です。カスタマイズを楽しんでいただこうと考えたとき,お金を払わないとリセットできないようだと,どうしてもストレスになってしまいかねませんから。どんどんカスタムパーツを付け変えて,アレがいい,コレがいいと楽しんでほしいです」(伴氏)
先行して2013年3月に同様のアップデートが施された韓国のSDGOでは,当初こそ大きなシステムの変化に戸惑いが見られたものの,2か月近く経過した今は,プレイヤー各自が好みのユニットをカスタマイズして対戦できる点を中心に,概ね好評価を得ているという。
「サービスインから6年以上が経過する韓国では,今回,対戦の感覚が大きく変わったため,新鮮な気持ちで楽しめるという感想をいただいています。ただし,一部のユニットについては調整不足との厳しい意見もいただいています。幸い対戦バランスを壊すような事態には陥っていませんが,今後もカスタムパーツの存在を含めて,さらなるバランス調整を図っていきます」(ソン氏)
「対戦ゲームである以上,ユニット間のバランスは常に大きな課題となりますから,一度調整して終わりではなく,常にゲーム内の動向を確認しながら調整を重ねていきます。今回のアップデートにあたっては,CJインターネットジャパンのスタッフも韓国のテストサーバーにて実際にプレイし,開発チームにさまざまな意見を伝えました。今後は,プレイヤーの皆さんからの反応を,随時伝えていきます」(伴氏)
ユーザーインタフェースを改修し,対戦ゲームとしての遊びやすさを追求
そのほか,各種のユーザーインタフェースにも変更が加えられる。まずカスタムパーツシステムの導入に伴い,ロビーや対戦ルームで確認できるユニット情報に,装着中のカスタムパーツが表示されるようになっている。また変形可能ユニットは,変形後の武装情報が確認できるようになった。
クエスト管理画面も,5つまでクエストを表示できるほか,種類や報酬などの条件による細かいソートが可能となっている。
また,戦闘時には,シールドの耐久値が表示されるようになったり,Tabキーを押すことでチームメンバーの状態やマップ上の位置を把握できたりと,プレイ時に便利な情報表示の追加されている。
「こうした情報を表示するすることで,対戦のハードルが下がり,初心者の方でも遊びやすくなります。またTabキーを押さなければ従来とほぼ同様のUIですから,ベテランプレイヤーの方も,これまでのプレイフィールを損なうことなく楽しんでいただけます」(伴氏)
「韓国では,プレイヤー層の年齢が高めなこともあって,従来のUIだと少々デザインが軽いという指摘を受けていたんです。リニューアルしたUIのデザインは,メタリック調にしたことでガンダムのイメージにより近くなったと好評ですね」(ソン氏)
今後のアップデートでは,バランス調整および新ユニット導入に加え,二つの新システムが導入される予定だ。一つは「合成」で,同じユニットを合成することで新たなメリットを得られるというもの。
もう一つの「勢力ローテーション」は,特定の期間,勢力ごとにイベントを提供するというシステムで,過去にリリースされたユニットをリメイクするような要素との連動も視野に入れているとののことである。
もちろん,新ユニットも追加される。
「新ユニットとしては,2013年6月のサービスイン3周年に合わせ,『機動戦士ガンダムSEED』に登場したフリーダムガンダムのミーティアバージョンと,『CCA-MSV』のνガンダムHWSが登場します。いずれも主人公機として人気が高いユニットですから,ご期待いただけるのではないでしょうか,実装時期などの詳細は,追ってお知らせいたします」(伴氏)
それでは,アップデートに向けての意気込みと,SDGOのプレイヤーに向けたメッセージをまとめて掲載して本稿の締めとしよう。
「今回のアップデートでは,カスタムパーツによって,皆さんの好きなユニットを,自由にカスタマイズできるようになりました。ぜひ,いろんなカスタマイズを試していただきたいです。また,SDGOがサービスを継続できたのも,ひとえに日本のプレイヤーの皆さんが支持してくださったからだと感謝しています。今後も,さまざまなご意見をお寄せください」(ソン氏)
「今回,開発チームは,韓国でリリースされている600体以上(日本では5月24日現在,約400体)のユニットのバランスを調整しています。またCJインターネットジャパンのスタッフも,大型連休を返上し,アップデートに向けて準備を進めていました。運営開発が一丸となって,このアップデートを盛り上げていますので,ぜひよろしくお願いします」(キム氏)
「今回のアップデートでは,新生SDGOとも言ってもいいほど大きくシステムが変わります。これまで遊んでくださった皆さんはもちろんのこと,新規の方も,休止している方も,ぜひ一度触ってみてほしいです。今後も,皆さんの声を汲み上げながら,よりよい形を目指します」(鳴海氏)
「SDGOは,2013年6月でサービスイン3周年を迎えます。これまで遊んでくださった皆さんへの感謝はもちろんのこと,これから遊んでくださる皆さんにもが楽しんでいただける内容を目指します。
またこの3年間は,開発チームとの信頼関係を構築した期間でもあります。これまで長い時間をかけて築いた関係をもとに,今まで以上にプレイヤーの皆さんの思いを反映させるべく,協力していきますので,ぜひ今後もよろしくお願いします」(伴氏)
「SDガンダム カプセルファイター オンライン」公式サイト
- 関連タイトル:
SDガンダム カプセルファイター オンライン
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キーワード
(C)創通・サンライズ (C)創通・サンライズ・MBS
Produced by BANDAI KOREA
Developed by SOFTMAX / Published by CJ Internet Japan.
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