インタビュー
「SDガンダム カプセルファイター オンライン」が「WINTER UPDATE THE BEGINNER」を実施。初心者向け施策と,その先にある対戦の活性化についてキーパーソンに聞いた
このアップデートでは,初心者が同タイトルのメインコンテンツである対戦を楽しめるようサポートする二つの機能が初心者チャンネルで実装される。
一つは,戦闘中の「ロックオンサイト表示」が変更され,障害物の向こう側にいる敵ユニットの距離が表示される機能である。
SDGOでは,近距離/中距離/遠距離攻撃でそれぞれ射程距離が設定されており,その範囲内でないと敵に攻撃がヒットしない。これまでは何度も対戦を繰り返すことで,攻撃の射程距離を身体で覚えるほかなかったのだが,今回の表示変更により,壁の向こうにいる敵にも中距離/遠距離攻撃を的確にヒットさせやすくなったというわけである。
もう一つの「ロックオンクリティカル警告システム」は,背後から敵にロックオンされた場合に,画面上に警告が表示されるというもので,敵襲への対処が容易になる。
これら二つの機能からは,FPS/TPSにて初心者が陥りがちな,どこに敵がいるのか,そしてどこから攻撃されているかが分からず,一方的に負けてしまう状況を緩和するという意図が窺える。
さらに今回のアップデートでは,ミッション(PvE)にてユニットの性能を大きく上昇させる「ミッション型カスタムパーツ」が実装される。また各種ユーザーインタフェースに変更が加えられ,プレイ上の利便性が向上している。
なお,WINTER UPDATEは,今回の「THE BEGINNER」で終わりではなく,2014年2月予定の「THE WAR」と1セットの施策になっているという。そこで,このアップデート全体の概要と意図するところなどを,SDGOのプロデューサーを務めるCJインターネットジャパンの小野 誠氏と,同社 事業1部オンライン事業チーム 鳴海大助氏,そして開発元の韓国SOFTMAX 開発総括室長 ソン・ギウォン氏,BANDAI KOREA プロジェクトマネージャー キム・ハンナ氏に聞いてみた。
大きな変化を遂げた半面,新たな課題に直面した2013年SDGO
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは2013年のSDGOを振り返って,所感をお願いします。
小野 誠氏(以下,小野氏):
2013年における最も大きな事例といえば,5月のアップデートにて,グー/チョキ/パーの3すくみ要素を構成していた「ジャンケンシステム」を撤廃したことです。ゲームの根幹を変えてしまうということに非常に大きな反響があったのですが,最終的には多くのプレイヤーの皆さんに受け入れていただけないという結果になってしまいました。
鳴海大助氏(以下,鳴海氏):
ソン・ギウォン氏(以下,ソン氏):
5月のアップデートの目的は,プレイのハードルを下げ,初心者の皆さんがもっと遊びやすくなる環境を作ることでした。しかし小野さんと鳴海さんが説明したとおり,残念ながら,その目的を果たせたとは言えません。そこで2013年末,そして2014年初頭のアップデートで,改善を図ります。
キム・ハンナ氏(以下,キム氏):
2013年のSDGOは運営面と開発面の双方で,さまざまなチャレンジをしました。その中で,とくに5月のアップデートを通じ,プレイヤーの皆さんが本当に望んでいることが浮き彫りになったと言えるのではないでしょうか。それに応えるべく,私達が何をすべきか,あらためて考えさせられた1年でした。
小野氏:
まとめると,2013年のSDGOは,それ以前と比較して非常に大きく展開した半面,新たな課題にも直面したということなんです。そこで新たに生じた課題をクリアすべく,2013年12月のTHE BEGINNERアップデート,続く2014年2月のTHE WARアップデートにて,ユニット育成と対戦の双方を両立させるような施策を展開します。
新システムの導入で,初心者が「どうすればいいのか分からない」状況を解消
4Gamer:
それでは,新たな施策の第1弾となる,THE BEGINNERアップデートのコンセプトなどを教えてください。
小野氏:
SDGOは,いわゆるTPSタイプの対戦ゲームで,2014年にはサービスイン4周年を迎えるタイトルです。したがって,新規で始めたばかりの方と,既存のプレイヤーさんとでは,身に付けている知識やテクニックにかなりの差があります。そこで新規プレイヤーさんのプレイ時のハードルを下げようというのが,THE BEGINNERの目的です。
また,その目的の背景には,既存プレイヤーさんの対戦相手を今以上に減らさない,むしろ増やしていこうというコンセプトがあります。
4Gamer:
つまり,新規プレイヤーに対して,ただ最初のハードルを下げるだけでなく,そのあとプレイが上達して,先行しているベテランプライヤーといい勝負ができるような施策を展開していくというわけですね。
小野氏:
はい。今後のアップデートでは,そうした方針を採用しています。
ちなみに今回の初心者向け施策は,日本の運営チームから提案したものです。5月のアップデートを受けてSDGOを改善するにあたり,クライアントや公式サイトの改修など着手すべき部分はほかにもあるのですが,まずは初心者のケアを優先するべきだろうと。
4Gamer:
なるほど。日本から初心者対策を提案されたとき,ソンさんはどう感じました?
ソン氏:
非常にありがたいと思いました。というのは,日本以外のSDGOを展開している地域でも,初心者のケアをどうするかが課題となっていたからです。SOFTMAXの開発チーム内でも,初心者対策は常に議題に上がっていたのですが,新コンテンツの開発に追われて後回しになっていたというのが実情でした。今回,日本の運営チームから提案されたことで,開発チームでも,あらためてきちんと初心者対策に取り組もうということになったんです。
4Gamer:
具体的な初心者向けの機能として,THE BEGINNERアップデートにてロックオンクリティカル警告システムの導入と,ロックオンサイトの表示変更がなされますけれども。
ソン氏:
ロックオンクリティカル警告システムは,初心者が見えないところから攻撃されて,何をしたらいいのか分からないうちに負けてしまい,結果,ゲームから離脱してしまうのを防ぐための機能です。また同じ理由で,ロックオンサイトの表示を変更し,障害物などの後ろに隠れている敵ユニットの距離が分かるようにし,どの射程の武器を使えばいいかを分かりやすくしました。
いずれも初心者サーバー限定の新システムで,初心者の方であってもチームプレイや戦略/戦術を楽しめるよう導入しています。
2014年2月の「THE WAR」アップデートでは,新たな対戦システムを導入
4Gamer:
それではTHE BEGINNERに続いて,2014年2月に実施されるという,THE WARアップデートについて教えてください。
小野氏:
まだ確定していない部分が多いので,今回は概要のみお伝えすることになりますが,こちらは対戦機能の改善で,主に既存プレイヤーさんとTHE BEGINNERアップデートを通じて腕を磨いたプレイヤーさんが対象となります。
鳴海氏:
現状のSDGOは,プレイヤーが立てたルームに,ほかのプレイヤーが参加して遊ぶという形式を取っています。しかし現在は,非常に多くのローカルルールが存在するため,自分が望むルールのルームを探すのが難しく,結果,なかなか対戦を始めることができません。またSDGOを始めて日が浅い皆さんだと,ローカルルールをよく理解していなかったりすることもありますから,そこでもギャップが生じてしまいます。
小野氏:
そこでTHE WARアップデートでは,従来のルーム形式に加え,「クイックマッチング」を導入し,ボタン一つですぐ対戦に参加できるようになります。対戦までの準備時間が短くなるのでユニットの育成が速くなります。マッチングはランダムで,チームメンバーは選べません。
同時に,各プレイヤーのパラメータに,対戦の「レーティング」と「ラダー」を導入します。このレーティングに基づくマッチングにより,今までよりもスムースかつ公平性のある対戦を楽しむことができるようになります。
なおレーティングに関しては,表に数字を見せない内部的なパラメータとして扱う予定です。その一方で,各プレイヤーの腕前については,ラダーによって示される予定です。
4Gamer:
オンラインFPSなどの対戦ゲームでは,一般的な機能を導入するわけですね。
小野氏:
はい。ただ,レーティングの設定は,対戦ゲームにおいて最も繊細な部分だということは理解しています。私からは,チェスの大会やサッカーの世界ランキングなどに採用されているELO形式のレーティングを提案しました。
しかしSDGOは各ユニットにランクがありますから,同じレートとはいっても,SランクとCランクのユニットを同等に扱っていいのかという問題が生じます。そこで開発チームでは,ELOレーティングをベースに,さらに手を加えています。このレーティングを含めた新対戦システムは,韓国で2013年12月に先行実装されますので,その結果を見て日本ではさらなる調整を施す予定です。
4Gamer:
ちなみに韓国での新しい対戦システムの反響はどうなっていますか?
ソン氏:
4Gamer:
いい結果が出ることを期待しています。
そのほか,一連のアップデートでアピールしたいことがあればぜひお願いします。
小野氏:
THE WARアップデートでは,対戦用カスタムパーツにも改善が施されます。
鳴海氏:
現状の対戦用カスタムパーツは,あまりにも種類が多く,どれを選べばいいのか分からないという事態になっています。それを「このパーツを付けたら,どう強くなる」ということが分かりやすくなるよう改善します。
ソン氏:
カスタムパーツは,そもそもユニットスタイルや戦闘スタイルを,プレイヤー自身が選択できるように導入したものです。しかし,あまりにも選択の幅が広すぎたために,鳴海さんのいうような状況に陥っていました。そこで新たなシステムでは,コアになる部分を明確にしつつ,シンプルになるよう開発を進めています。
4Gamer:
なるほど。
小野氏:
またTHE BEGINNERではミッション型カスタムパーツが実装されますが,これはユニットの性能を大きく引き上げるもので,装着すると高難度のミッションをクリアできる可能性が大きく高まります。また,ミッション用カスタムパーツを装着するには,有料の専用オペレーターが必要となりますが,多くの皆さんに新コンテンツを楽しんでいただけるよう,一定期間中にログインされた方には,この専用オペレーターをプレゼントします。
4Gamer:
それでは最後に,今後のSDGOに期待する人に向けて,メッセージをお願いします。
ソン氏:
2013年以降のSDGOでは,多くのプレイヤーさんがもっと気軽かつ簡単にプレイできることをアップデートの方針に掲げています。それに基づく新コンテンツが,カスタムパーツやクイックマッチングです。現行プレイヤーの皆さんはもちろんのこと,新規・休眠プレイヤーの皆さんにもぜひ楽しんでいただきたいです。
キム氏:
繰り返しになりますが,2013年は,プレイヤーの視点に立った運営開発が重要であることを再認識しました。新コンテンツ開発も大事なことですが,SDGOでは,それ以上にプレイヤー各自が自分のユニットをどのように育てていくか,それを使ってどう遊ぶかを優先したコンテンツが必要となります。今後も,プレイヤーの皆さんの気持ちを考えた運営開発に努めます。
鳴海氏:
THE BEGINNERは,その名のとおり初心者向けのアップデートですので,これまでSDGOに触れたことがないという方も,ぜひ一度お試しください。またそれ以外に,さまざまな部分で利便性を向上していますので,現行・休眠プレイヤーの皆さんも,今まで以上に楽しんでいただけます。
また2014年2月のTHE WARアップデートでは,クィックマッチングによる新たな対戦が登場します。SDGOの強みである気軽に対戦できる部分が補強されますので,こちらもご期待ください。
小野氏:
まず,プロデューサーとして,これまで発言する機会を設けられなかったことを,すべてのSDGOプレイヤーの皆さんにお詫び申し上げます。今回の一連のアップデートには,日本のプレイヤーの皆さんのご意見やリクエストに基づく提案を盛り込むことができました。今回は初心者対策と対戦部分に着手しましたが,これで終わりではなく,今後はオンラインゲームの楽しさであるコミュニティ部分の拡充や,対戦のさらなる改善を進めていきます。SDGOはサービスインから3年半経ちましたが,まだまだ楽しくできるタイトルです。ぜひ今後ともよろしくお願いします。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「WINTER UPDATE THE BEGINNER」特設サイト
「SDガンダム カプセルファイター オンライン」公式サイト
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