プレイレポート
特徴的なフェローシステムなど,豊富かつ洗練されたコンテンツがプレイ意欲を刺激する──新作MMORPG「ICARUS ONLINE」βテストプレイレポート
本作は,2014年に韓国でゲーム大賞を受賞した実績のあるタイトルで,CryENGINE 3による美麗なグラフィックスは,次世代MMORPGと呼ぶに相応しいできばえだ。ゲーム内容としては,コンテンツ主導型あるいはテーマパーク型と言われるタイプのMMORPGとなっており,構想から10年の月日を費やしたというだけあって,豊富なコンテンツが用意されている。
今回,実際にクローズドβテストに参加して得た情報から,本作が持つ魅力と,MMORPGとしての実力を探っていきたい。
カスタム要素も豊富なキャラクターメイキングで自分だけの主人公を作成
復活する魔神,それに対抗できる女神の力を持った姫と主人公──ヒロイック・ファンタジーの王道ともいえる世界観を持つ本作は,クエストをクリアしていくことで少しずつ行動範囲が広がり,それに応じて物語も進行していく。そんな世界でまず最初に行うのは,プレイヤーの分身となる主人公のキャラクターメイキングだ。
ICARUS ONLINEのキャラメイクは,クラスと性別を決めて,キャラクターの顔と身体と細かくエディットできる仕様となっている。
顔の形やヘアスタイル,体型などかなり細かく設定でき,スライダーを動かして細部を微調整することも可能。パーツ自体はそれほど多いわけではないのだが,日本人好みのものが取り揃えられている。男性ならカッコ良く,女性なら可愛く設定されたプリセットも用意されているので,キャラメイクにこだわらない人はこちらを選んでもいいだろう。
クラスは,バーサーカー/ガーディアン/アサシン/プリースト/ウィザードの5種類が用意されている。それぞれ得意な戦い方が異なっており,レベルが上がるとクラスの特徴に応じたスキルを習得していく。ということで,各クラスの簡単な説明を行っていこう。
■バーサーカー
両手剣から繰り出される,威力の大きな近距離範囲攻撃が特徴のクラス。スキルにMPは設定されておらず,クールタイム中でなければ,基本的に使い放題となっている。ただし,一部のスキルは「怒り」ゲージを消費する必要があり,この怒りは特定のスキルを使ったときのみ生成される仕組みだ。怒りゲージがたまっているときの瞬発力は凄まじいが,このゲージは自然に減少してしまうので,連続して攻撃し続けることがバーサーカーの火力を引き出すうえで重要となる。
■ガーディアン
盾を装備できる近接戦闘タイプのクラスで,鉄壁の防御力を持つ。片手武器の攻撃は,単体向けのものではあるが,全体的にクールタイムが短く,小気味良くダメージを与えられる。また,ピンチの味方を守るようなスキルも所持しているので,パーティプレイ時には頼れるタンカーとして活躍できるだろう。ただし,バーサーカーと違ってスキルの使用にはMPを消費することになるため,常にHPとMPの残量を確認しながら戦う必要がある。
■アサシン
素早い動きが特徴のアタッカーで,二本のダガーと体術によって敵を翻弄する。防御面では,同じ近距離物理アタッカーのバーサーカーに劣るが,移動方向を連続入力することで発動するシャドウステップで,敵の攻撃を回避できるため,操作に慣れれば無傷での勝利も難しくない。攻撃面は手数で勝負するタイプとなっていて,空中コンボも狙える。ただし,スキルの使用には「スタミナ」を消費するので,戦闘が長引くと厳しい戦いとなってしまう。
■プリースト
回復スキルを所持するクラスで,杖を使った戦闘は攻防一体でバランスが取れており,パーティに欠かせない存在でありつつ,ソロでの活動も容易な能力を持っている。ただし,スキルの使用にはMPを消費するほか,特定のスキルを使うために必要な「光の力」を生成するスキルも使わなければならないので,従来のMMORPGでいうヒーラーとは違った戦い方を余儀なくされる。
■ウィザード
火と氷属性を主体とした遠距離魔法を得意とするクラスで,特筆すべきは範囲攻撃の使いやすさだ。防御面の脆さを補うように,敵の動きを制限できるスキルも習得できるので,MP管理さえしっかり行えばソロでも十分に戦っていける。スキルが揃ってくれば,敵を寄せ付けずに撃破することも可能となるだろう。
クラス分けとしては,比較的オーソドックスなので,MMORPGをプレイしたことのある人ならパーティでの役割などは想像できると思う。アタッカー枠となるバーサーカー/アサシン/ウィザードは,それぞれ得意なことがはっきりしているため,5人でフルパーティを組むならすべてのクラスを一人ずつ入れておくのが理想的だろう。もっとも,クローズドβテストの段階では,レベル20制限だったこともあってかフルパーティが必要な場面は少なく,コンテンツの一つであるインスタンスダンジョンは,少人数で潜入しても十分に戦えるバランスとなっていた。
なお,ヒーラーであるプリーストは,既存のMMORPGとは違った立ち回りが必要となる。ヒーラーといえば,後衛に位置して,MPが切れたら座ってMPの回転率を上げるといったイメージもあるが,ICARUS ONLINEでは,特定のスキルを使うときに必要な「光の力」を得るため,積極的に敵を攻撃する必要があるのだ。
スキルの組み合わせを重視した,ICARUS ONLINE流のバトルを楽しもう
ゲームの進行については,チュートリアルを兼ねた牢屋からの脱出劇から始まり,随時更新されていくクエストを次々と達成していく流れだ。サブクエストも数多くあり,序盤はクエストをクリアしていくことで自然とレベルが上がっていくバランスとなっている。モンスター撃破時の経験値もそれなりにもらえ,インスタンスダンジョンも存在していることから,中盤以降はクエスト以外で経験値を稼ぐ必要もあるかもしれない。
バトルは,敵をターゲットしてオート戦闘を開始し,適時スキルを使っていくタイプで,移動はW/A/S/Dキーとマウスによる地面のクリックのどちらにも対応している。敵を直接クリックしなくても,正面の敵をオートターゲットしてくれることから,W/A/S/Dキーで移動を行えば,ノンタゲ風にバトルを楽しむこともできる。敵の遠距離攻撃を左右に歩いて避けることもでき,また一部のクラスには特殊な回避手段も備わっている。それほどアクション性は高くないものの,ただスキルを連打するだけの単純な作業になることはないだろう。
本作では,キャラクターの自然回復力が高く,食事や包帯など戦闘中以外での回復手段が豊富なことから,ヒーリング待ちで時間を取られることはなく,次々とモンスターと戦っていける。ただし,戦闘中に使えるポーション類はクールタイムが長めに設定されているため,スキルを使う順番を工夫してできるだけ早く倒せるようにすることが重要になりそうだ。異なる二つのスキルをリンクして使用できる「連携スキル」も駆使して戦略的に戦うのが,ICARUS ONLINE流のバトルといえるだろう。
各クラスを一通り試してみたが,個人的にはコンボスキルとチャージスキルを使い分けて戦うバーサーカーの戦闘スタイルが爽快で楽しく感じた。
チャージスキルの溜め具合によって,敵を空中に浮かせたり,奥へ吹き飛ばしたりでき,状況に応じて適切なスキルを続けて使うことで華麗に戦えるのである。浮かしたり吹き飛ばしたりした敵は,一時的に行動を制限できるため,うまくスキルを組み合わせれば無傷で倒すことも難しくない。ただし,パーティプレイのときは,あまり敵を動かさないよう,転倒させる程度に止めた方が仲間と連携しやすいので,その点は注意すべきだろう。
モンスターの捕縛からその活用法までを含めた「フェロー」システムを解説
ICARUS ONLINEの最大の特徴となるのが,フィールド上のモンスターを捕獲して共に戦う仲間とする「フェロー」システムだ。すべてとはいかないが,ユニークモンスターを含むかなりの数のモンスターが捕獲可能となっている。
フェローの使い道はいくつかあるが,最初のうちはフィールドを素早く移動する騎乗ペットとして使うことになる。騎乗して移動するとフェローのスタミナが減ってしまうが,スタミナは自然回復するので,何体かフェローを捕獲して使い回すのが基本となるだろう。なお,騎乗中は専用のスキルスロットに切り替わり,騎乗武器となるボウガンやスピアでのみ攻撃が行える仕組みだ。
それ以外の使い道としては,「ペット呪文書」でのペット化がある。ペット化したフェローは,プレイヤーの命令に従って敵を攻撃してくれるので頼もしい味方となるだろう。また,「フェロー封印」によって,そのフェローが持つ特性を武具などに付与できる状態にすることも可能だ。装備品の中には,スロットが空いているものがあり,そこに封印石としてフェローの特性を装着できるのである。
フェローは専用のインベントリに格納され,自由に出し入れできるが,保管できる数には限りがある。そのため,新しいフェローを手に入れたら,使用頻度の少ないフェローは処分することになるのだが,封印することで無駄なく活用できるというわけだ。
ペットシステムのあるMMORPGは少なくないが,ICARUS ONLINEのフェローシステムは良く練られていて秀逸な印象だ。レアなフェローは,空を飛ぶドラゴンのように,手に入れて乗ってみたいと強く感じるビジュアルになっているのだが,そうしたレアなフェローは,捕獲すること自体が難しいのが悩ましいところか。
また,とある条件を満たしていないと捕獲できない/出現しないというフェローや,普通にプレイしていたのでは到底発見できないような場所にひっそり居座っているフェローなどもいるようなので,仲間と情報を交換しながら集めるのも一興だろう。
ちなみに,誰もが欲しいと思うであろう飛行タイプのフェローは,ストーリーの進行上,一体は自動的に入手できる。レアなフェローの捕獲は,あくまでもやり込み要素の一つなので,興味がなければ放っておいても問題はない。
キャラクターのステータスの伸びはクラスごとに固定
キャラクターの成長は,レベルアップとともにHPをはじめとする各ステータスが上昇し,一定のレベルになると新しいスキルが開放されていく仕組みだ。ステータスとスキルのどちらも,ポイントを振り分ける必要はないため,レベルアップ時に悩むような要素はない。一つのステータスだけを伸ばし続けるような尖ったキャラ育成はできないが,その分バランスが良いバトルを楽しめる。
ステ振りがないことで,キャラクター育成の楽しみが半減するのではないかと思う人もいるかもしれないが,武具類の生産や強化を行えるので,独自色はそちらで出していけばいい。同じシリーズの装備を集めて装備するとボーナスが得られる「セット装備」,さらに封印オプションや特性といった強化要素もあるので,武具の収集と強化は,重要なやり込み要素となっているのだ。
なお,採取や生産には「熟練度」が設定されており,何度も繰り返しているとレベルが上がり,より多様な材料の採取/高度なアイテムの作成ができるようになる。
遊べるコンテンツと独自仕様のカスタム要素について
そのほかのコンテンツとしては,PvP要素となる「決闘場」と,目標を達成すると報酬が貰える「実績」システムの存在を確認できた。
決闘場については,未プレイのためバランスなどの確認はできなかったのだが,実際にPvPが行われるコロシアムの観客席に入ることができて,戦いの様子をリアルタイムで見学できる。勝者は残り,敗者は退場される仕様となっていて,観客席からポータルを使って対戦の控え室に向かえるので,ゲームセンターの対戦台で遊ぶ感覚に近いものがある。
実績を達成すると,ゲーム内マネーとは別の「エルン」という通貨(有料で購入可能)を入手できる。このエルンは,戦闘不能時に即時復活したり,倉庫の枠を拡大するといったことに使われる貴重な通貨だ。ちなみに,実績以外だと,デイリークエスト達成時の報酬としてもエルンを入手できることが確認できた。
MMORPGというジャンルは,長時間プレイすることが多くなるため,ユーザーインタフェースの使いやすさや操作性が重要となってくるが,ICARUS ONLINEでは,プレイヤー自身が遊びやすいように画面をカスタマイズできるようになっている。
視点については,基本的にサードパーソン視点だが,キャラクターがかなり小さくなるまでカメラを引くことができるため,背後を含めたキャラクターの周囲を全体を見渡して戦えるだろう。
逆にカメラをキャラクター側に寄せていくと,上半身の肩越しから覗き込むようなダイナミックな視点でプレイできる。残念ながら一人称視点には切り替えられないようだが,モンスターのリポップ速度が速いゲームでもあるので,囲まれないように視界が広いカメラを引いた状態で戦うことが多くなるだろう。
ユーザーインタフェースに関しては,「UI編集モード」が用意されていて,各情報ウインドウの位置をドラッグして調整可能となっている。デフォルトでも一画面に上手く収まるよう工夫されていて使いやすいが,低解像度だったり,4:3のディスプレイの場合は,微調整することで視界を広くできる。環境に合わせて,自分の使いやすいようにカスタマイズしよう。
ストーリー展開やバトルシステムなど,大作であるがゆえかオーソドックスなシステムに落ち着いている印象のICARUS ONLINE。革新さには欠けるものの,高い水準のグラフィックスと,バランスの取れたバトル,そしてフェローを含めた各種コンテンツは,細部まで丁寧に制作された感じだ。
クローズドβテストは,レベル20までのコンテンツしか開放されていなかったが,少なくともそのレベルまではクエストを追いかけ,ストーリーを読んでいるだけでも十分に楽しめた。ただ,レベルを速く上げたくて,クエストを読まずにどんどん先に進めたいが,レベルキャップに達したら,ひたすらダンジョンを周回してトレジャーハンティングしたい,そういったプレイスタイルで遊ぶ人の場合は,早い段階で単調さを感じてしまいそうな雰囲気もある。
ゲームのポテンシャルとしては,かなり高いものを持っているが,それを活かせるかどうかは,中盤以降のコンテンツと運営サービスの方針に掛かってきそうだ。正式サービス自体はもう少し先になるが,MMORPGファンとしては,本作の動向をチェックしておいて損はないだろう。
「ICARUS ONLINE」ハンゲーム公式サイト
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