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[TGS 2006#31]「EverQuest II」,“温故知新”な最新拡張パック「Echoes of Faydwer」について,SOEスタッフに根掘り葉掘りインタビュー
現在はアップデートやアドベンチャーパックの追加といったコンテンツの拡張に関しても前向きで,今回の東京ゲームショウでは,個別にメディアを招待して最新の拡張パック「Echoes of Faydwer」の説明会が行われた。
Echoes of Faydwerは,「Desert of Flames」「Kingdom of Sky」に続くEverQuest IIの拡張パック第三弾だ。本作における目立った拡張要素は以下のようなものになる。
・すべてのレベルをカバーした20以上の新ゾーン
・妖精のような外見の新種族「The Fae」
・新しいスターティングタウン「ケレスィン」
・新トレードスキル「トランスミューティング」「ティンカリング」
・新たな装備スロット「Cloaks」(マント)
・新たなアチーブメントシステム
・信仰(Beliefs)システムの追加
今回の記者説明会におけるインタビューは,時間こそ短かったものの,これらについてより深い情報が得られた。早速その内容をお伝えしよう。
■新ゾーンについて:懐かしのフェイドワー島がEQ2に!
4Gamer:
よろしくお願いします。今日は個々の拡張要素ごとに,より詳しいお話を伺いたいと思っています。
まずは追加される新ゾーンについてです。「Echoes of Faydwer」というタイトルのとおり,「EverQuest」(以下,EQ1)に存在したフェイドワー島が冒険の舞台となるんですよね?
Michael Shelling氏:
そのとおりです。あの島にたくさんの思い出を持っているEQ1プレイヤーは多いと思います。そういうプレイヤーにとっては,とくに冒険していて楽しい土地となるでしょう。
4Gamer:
あの印象深かった樹上の町「ケレスィン」が再現されるということですか。
Michael Shelling氏:
はい。ケレスィンに関しては,オリジナルEQのあの町をほぼ完璧に再現しています。プラットフォームや通路の配置,建物やNPCの配置,さらには,落ちると死んでしまうところまでもね。
4Gamer:
ケレスィン以外にはどんなゾーンが再現されますか?
Michael Shelling氏:
ケレスィンのあるグレーター・フェイダークのほかには,レッサー・フェイダーク,スチームフォント・マウンテンなどが再現されます。さらにクラッシュボーンやキャッスル・ミストムーアもありますよ。全体的に言えることは,今までにEQ2で再現してきたかつての地域よりも,よりつよく懐かしさを感じてもらえるような,そんなゾーンデザインを心がけています。
4Gamer:
なるほど,それは自由に散策できる日が楽しみです。ところで,いまクラッシュボーンとミストムーアという名前がでましたが,それらはやはり,かつてと同じようにダンジョンとして存在するんですか?
Michael Shelling氏:
もちろん!
4Gamer:
EQ1プレイヤーとしては嬉しいですね。ケレスィン以外,フェルウィズやアッカノンといった街はどうなったのでしょう?
Michael Shelling氏:
それはまだあまり言えない部分でもあるのですが……アッカノンはノームに見捨てられて今はクロックワーク達が徘徊する場所に……ああ,もう言っちゃおう,ダンジョンになってます!(笑) フェルウィズは一応あることにはありますが,以前に比べて変化しています。フェルウィズ近くにあったWizSpireもちゃんとありますよ。……んー,ここから先はサプライズということで。
4Gamer:
分かりました。ところで,ゾーンが再現されていると言うことは,そこにいた有名なNPCも再現されているのでしょうか。個人的にはクラッシュボーンのAmbassador DVinnがどうなっているのか凄く気になります。まだレベルが低い頃に,あいつには何度やられたことか!
Michael Shelling氏:
それも用意されているサプライズの一つ……いまはそこまでで勘弁してください。
4Gamer:
分かりました。楽しみにしています。
■背中に羽の生えた新種族,Faeについて
4Gamer:新種族Faeですが,スタート可能な町はケレスィンのみ,スタート時に選べる属性はグッドのみなんですよね。エビル属性のFaeってどうやっても作れないんですか?
Michael Shelling氏:
キャラクター作成時には作れませんが,エビルにすることはできます。
4Gamer:
例の裏切りクエストをする必要があるということですね。ケレスィン生まれのキャラクターがフリーポートやケイノスの所属になれるという。
Michael Shelling氏:
またずいぶんダイレクトな質問ですね。うん,それは可能です。まずはExile(追放の身)になって,そこからさらに次の道を選んでいくということになります。
4Gamer:
なるほど,分かりました。
では,能力値的にはFaeはどのような特色を持った種族なんですか?
Michael Shelling氏:
力は弱めで,知性に秀でた種族ですので,どちらかといえばキャスタークラスに向いています。ですが,ほかの種族と同様に,Faeはどのクラスにつくことも可能です。
4Gamer:
背中に生えた羽がとても特徴的ですが,これは空を飛べるということですか?
Michael Shelling氏:
いえ,残念ながら飛ぶことはできません。浮いてはいますが,地表近くをホバリングしているような感覚です。そしてFaeは,飛んでいるわけではないので高所からは落下もします。ですのでケレスィンで足を踏み外してしまえば,Faeでも死んでしまいますよ。
4Gamer:
そ,それは気をつけないといけませんね。ところで,ケレスィンでスタート可能な種族は決まっているんですか?
Michael Shelling氏:
はい。Faeのほか,ウッドエルフ,ハーフエルフ,ハイエルフ,ノーム,そしてドワーフがケレスィンからスタート可能になっています。
■新たなトレードスキルと,“Adornment”について
4Gamer:
続いて,新たなトレードスキルについて教えてください。「トランスミューティング」と「ティンカリング」ですが,これらはどんなスキルなんですか?
Michael Shelling氏:
これらは,これまでに存在したトレードスキルのブランチとは別系統に属するんですよ。ですので,既存のキャラクター達もこれらのスキルを使用できます。
4Gamer:
おお,そうなんですか。これは嬉しいです。
Michael Shelling氏:
トランスミューティングは,アイテムの中からAdornmentというものを取り出すスキルです。また二つのAdornmentをくっつけて,新しいAdornmentを作り出すこともできます。そしてティンカリングは,逆にAdornmentをアイテムに取り付けるスキルですね。EQ1にあったティンカリングはノームしか使えなくて,さらに実際のところあまり有用性のないスキルでしたが,EQ2のティンカリングは非常に有用なものになります。
4Gamer:
すみません,そのAdornmentって,どういうものなんでしょう?
Tracy Seamster氏:
それは私が答えますね。多分日本の人にとって一番分かりやすいたとえは,ファイナルファンタジーの「マテリア」のようなもの,かしら?
4Gamer:
あ,分かりました(笑)。取り付けることで,アイテムに効果を付加できる何か,という感じですね。
■新たな装備品:カスタマイズできる服,クロークについて
4Gamer:
次に,新装備品のクロークについて聞いていきますね。これの導入によって,「ギルドメンバー全員でお揃いの色と柄のクロークを着る」ということができるようになるそうですが,色や図案のカスタマイズはできるんですか?
Michael Shelling氏:
色にシンボル,それに縁取りのラインをカスタマイズすることが可能です。
4Gamer:
そのシンボルなんですが,オリジナルの画像を自分達で作って,ファイルをインポートするようなことはできますか?
Michael Shelling氏:
それも面白そうですね。ですが,残念ながらできません。
4Gamer:
まぁオリジナルを許容すると,著作権などで,いろいろと難しい問題があるかもしれませんね。
ところでこのクロークって,マジック効果のない,完全におしゃれ用のアイテムだったりします?
Michael Shelling氏:
いえ,違います。ちゃんとマジックの効果のついたものもありますよ。安心してください。
■EQ1にも登場した八神が再び:信仰(Beliefs)システムについて
4Gamer:
では続いて,信仰(Beliefs)システムについても教えてください。これはEQ1にあったDietyシステムに似たものでしょうか。EQ1のあのシステムは,興味深くはありましたが,最終的にはあまり意味のないものになっていきましたよね。
Michael Shelling氏:
EQ2のBeliefsシステムは,かつてのDietyシステムよりも,もっと効果が分かりやすいものになりますよ。この拡張から,プレイヤーは三つの善神,三つの悪神,二つの中立神の中から1神を選んで,その神のために冒険することが可能になります。
4Gamer:
その八つの神はEQ1にも登場した神々ですか?
Michael Shelling氏:
そのとおりです。自分が信奉する神を決めたら,神の「預言者」からクエストを受け取り,それを進めていくことで神の恩恵を受けられるようになります。クエストを進めていけば,その神の信奉者しか使えないアイテムが得られるほか,「ブレッシング」「ミラクル」といった,とても強力なパワーを行使できるようになったりします。
4Gamer:
その強力なパワーというのがとても気になりますね。新たに強力なスペルが使用できるようになる,みたいなイメージでしょうか。
Michael Shelling氏:
いや,少し違います。「ブレッシング」や「ミラクル」は,スペルやアーツのように気軽に使えるものにはなりません。プレイヤーは使いどころを慎重に選ぶことになるでしょうね。しかし,だからこそとても強力なのです。
4Gamer:
ええと,それはもの凄く効果範囲が広いパワーだったり,一回使ったらクエストをやり直すまで使えなかったりとか,そういったたぐいのものなのですか? 実は「同じゾーンにいるプレイヤー全員に強力なバフをかけるアイテム」「ゾーン内のすべてのプレイヤーの死体を,一度に生き返らせる魔法のスクロール」などというウワサも聞いたのですが……。
Michael Shelling氏:
うーん,これも今はコメントできない部分です。それらも用意されているサプライズの一つ,ですからね。
4Gamer:
分かりました。リリースを楽しみに待つことにしますね。
■SOEのゲームは日本では人気が出ない?
4Gamer:
それでは時間も迫っていますので,ちょっと違う方向からの質問もさせてください。
日本での運営を行っていたスクウェア・エニックスですが,最終的にはEQ2から手を引いてしまいました。このEQ2だけではなく,EQ1にしても,また「スター・ウォーズ ギャラクシーズ」にしても,似たようなことになっていますよね。これって日本では,SOEのMMOゲームにはうまく人が集まらなくて,運営を続けても,経営面からみたメリットがないということではないでしょうか。「だったら,そのうちEQ2日本語版はなくなってしまうんじゃないか」というのが,いま日本でEQ2をプレイしている人達の本音であり,大きな不安のタネでもあるのだと思います。このあたり,いかがでしょうか?
Chris Kramer氏:
それには私が答えましょう。まずSOEのゲーム全体についてですが,確かに日本では,多くの場合で,不本意な結果を出してしまいました。しかし,これは改善されるものと考えています。
なぜなら,かつて150人でゲームを作っていた我々ですが,現在は700人のスタッフがグローバルに物事を考えています。ですのでこれから先に,私達が提供するコンテンツは,よりグローバルに受け入れられるものになっていくと予想しています。
4Gamer:
なるほど,そういった裏付けがあるので,今後の作品には期待をしてほしい,ということですね。では,いまあるタイトルであるEQ2についてはどうお考えなのでしょうか?
Chris Kramer氏:
日本のプレイヤーから受けているEQ2に対する評価についてですが,とくにローカライズに関しては,高く評価していただいていると認識しています。日本のゲーマーは,世界的に見てもゲームに対する評価が厳しい人達です。その人達に一定以上の評価をもらっている,というのが私達の現在の認識です。
4Gamer:
そうですね。評判がいいからこそ,みんないつそれが失われるのか心配なのです。
Chris Kramer氏:
なるほど。「サービスが終わってしまうのではないか」と危惧しているプレイヤーがいるのであれば,私はその人に,「心配する必要はないですよ」とお答えします。現在我々は,EQ2日本語版を引き受けてくれる代理店を熱心に探しているところです。そういう行動をとっている,という事実が,一つ「手を引くつもりはない」という証明になるのではないかと思います。そしてその日本での新たなパートナーが見つかるまでは,我々にはサービスを自分達の手でしっかり継続させる義務がある,とも考えているのです。
4Gamer:
分かりました。では今後の展開を楽しみにしています。本日はありがとうございました。
拡張パック「Echoes of Faydwer」の日本語版は,11月14日頃のリリース予定となっている。販売方法は,ダウンロードによるデジタルディストリビューションのみ。またアドベンチャーパック「The Fallen Dynasty」も日本語化されて,こちらは10月17日頃のダウンロード販売開始予定となっている。
運営移管の混乱以降,EQ2に対してネガティブな印象を持ってしまった人は少なくないと予想する。しかし,今回日本展開のために日本を訪れたSOEのスタッフ達の口からは,予想以上に心強い言葉を聞くことができた。その言葉のとおりに手厚い日本展開を押し進め,離れてしまったファンを呼び戻すことができるのか。今後を注意深く見守りたい。(Text by 星原昭典,Photo by kiki)
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