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YeDangが放つ次期正統派MMORPG,「Priston Tale II」開発者インタビュー
グラフィックス面での大幅な向上はもちろん,クランが複数集まった「ユニオン」を中心としたコミュニティと経済活動を特徴とする本作について,G★2007の会場で,Yedang Online企画チームリーダー Lee, Chul Kyu氏に話を聞かせてもらった。
なお4Gamerでは,G★2007でのプロモーションムービーとプレイムービーを紹介しているので,そちらも併せてチェックしてほしい。
クラン連合「ユニオン」を中心としたコミュニティと経済活動
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずはあらためて,「Priston Tale II」(以下,「2」)の特徴を教えてください。
こちらこそよろしくお願いします。ゲームの特徴についてお答えする前に,まずは開発の背景からお話しさせてください。「プリストンテール」(以下便宜上,「1」)を開発していた2000年頃は,技術的な制約があって自分達がやりたかったことが,ほとんど表現できませんでした。そこで,「2」では「1」の世界観やシナリオを引き継ぎつつ,不満点を改善して満足のいくもの作ろうということになったのです。
ゲームの特徴としては,「1」の頃からコミュニティ機能を重視してきましたが,「2」ではこれまで以上に大規模なプレイヤーコミュニティとして,クラン同士が連合する「ユニオン」システムを導入しました。「2」の最も大きな特徴は,このユニオンを通じたプレイヤー同士のコミュニティと経済活動,キャラクター育成が密接に結びついていることです。
4Gamer:
そのユニオンには,どのような役割があるのですか?
Lee, Chul Kyu氏:
ユニオン同士で領地の支配権を懸けて戦い,勝ったほうがその地域を支配できるようになります。
4Gamer:
領地を手に入れたユニオンには,どのようなメリットがもたらされるのでしょうか。
自分の領地から税金を徴収したり,領地内でのドロップアイテムにも税金をかけたりといったことができます。また今後は,「特産物」の実装も予定されています。
4Gamer:
ドロップアイテムにも税金をかけられるというのは珍しいですね。ところで,その特産物とはどういったものなんでしょうか?
Lee, Chul Kyu氏:
これはオープンβテスト時に実装する予定で,例えばあるアイテムの生産に必要な素材は,Aというユニオンの領地からしか採取できないといった設定になっており,これがその領地の特産品になります。
4Gamer:
その特産物を手に入れられるのは,ユニオンのメンバーだけですか?
Lee, Chul Kyu氏:
アイテムにもよりますが,ユニオンのメンバー以外でも手に入れることはできます。ただし,メンバー以外がその領地に入るときには,税金を支払ったりする必要があります。また,非常にレアな素材の場合は,その領地を支配しているユニオンメンバーだけが手にすることができます。
こうした素材はプレイヤー間で売買できますので,自然とユニオン間の人や物の行き来が促進されるようになっているのです。
4Gamer:
なるほど,特産物やさまざまなメリットを求めてユニオンを形成したプレイヤー達が,ユニオン間での交易を行ったり,手に入れた特産物で生産した装備でRvRを行ったりすることを通じて,また新しいコミュニティが作られていく。そういう流れが,自然発生するわけですね。では,ユニオンの人数規模はどれくらいになると想定していますか?
一つのユニオンに,いくつのクランが所属できるようにするかは未定ですが,1クランが大体50名くらいだと想定していますので,ユニオンになると100名を軽く超えるだろうと思います。
4Gamer:
となると,ユニオンの構成員はかなりの大人数になりそうですが,ユニオン同士のRvRはいつでも可能なんですか?
Lee, Chul Kyu氏:
これも詳細については未定ですが,いつでも自由にできるのではなく,定期的に開催する方式を予定しています。
4Gamer:
RvRで手に入れられるのは領地だけですか?
Lee, Chul Kyu氏:
現在は領地だけですが,今後はユニオンメンバーのみが使える特別なスキルや,倉庫の拡張やクラン専用のアイテムとの交換などに用いる「クランポイント」など,いろいろなものを追加していく予定です。
4Gamer:
RvR以外のプレイ要素についてはいかがでしょうか?
Lee, Chul Kyu氏:
対人戦が大きな魅力のゲームなので,さまざまな形式のPvPを実装する予定ですが,そのほかには「1」にもあった,モンスターと戦う「闘技場」のようなものも導入するつもりです。
三つの種族と,「シーソースキル」によるクラス分岐を採用
4Gamer:
では次に,キャラクターの種族や職業について教えてください。
「1」でも登場した「Morion」「Tempskron」と,今後実装予定の「Sopphetio」の三つの種族が登場します。
4Gamer:
それぞれの特徴について教えてください。
Lee, Chul Kyu氏:
Morionは精神力の高い種族で,Tempskronはパワーとスピードに優れた種族です。Sopphetioは,もともとは魔族だった種族で,錬金術や黒魔術に優れています。
4Gamer:
MorionとSopphetioはどちらも魔術師系のようですが,違いは何でしょうか?
Lee, Chul Kyu氏:
Morionは白魔術,Sopphetioは黒魔術を得意とするという違いがあります。
4Gamer:
種族ごとに選択できる職業は決まっているんですか?
Lee, Chul Kyu氏:
ええ,決まっています。Morionは「ナイト」と「マジシャン」,Tempskronは「ファイター」と「アーチャー」,Sopphetioは「ローグ」と「ピルグリム」の,どちらか一方を選択することになります。このあたりは基本的に,「1」のキャラクター育成を踏襲していると考えてください。
4Gamer:
オープンβテストでは,転職は何段階までできるのでしょう?
Lee, Chul Kyu氏:
まずレベル20で,2系統の職業のどちらか一方を選んで転職します。その後は分岐することがなく,レベル40,レベル60で同じ系統の上級職に就けます。
4Gamer:
最近では,レベルアップのペースが速いMMORPGも多くなってきましたが,「2」の場合はいかがですか?
Lee, Chul Kyu氏:
正統派MMORPGですので,やはりじっくりと時間をかけて育成していく形になります。
4Gamer:
では,「2」の特徴である「シーソースキル」システムについて教えてください。
Lee, Chul Kyu氏:
例えばナイトで説明すると,レベル20になったときに「パラディン」になるか,「ヴァリアント」になるのかを選択することになります。基本的には,パラディンは防御的,ヴァリアントは攻撃的な職業ですが,パラディンを選択しても攻撃的なスキルに多くのシーソーポイントを振ることもできるので,より個性的なキャラクターを育てられるというわけです。
4Gamer:
シーソースキルシステムを用いた育成,うまく使った具体例を教えてもらえますか?
Lee, Chul Kyu氏:
例えば私の場合ですが,防御力を無視して,攻撃力に特化したヴァリアントを育てていました。それで,回復や防御魔法に特化したプリーストと組んでプレイしていたのですが,これがとてもうまくいきました。シーソースキルでバランスの取れたキャラクターを作るのもいいですが,こんな風に極端な性能のキャラクターでも,パーティを組んでお互いを補えるのが,このシステムのいいところだと思います。
4Gamer:
ちなみに,シーソーポイントの振り直しはできるのですか?
Lee, Chul Kyu氏:
もちろんできますが,そのためには大金(ゲーム内通貨)が必要になります。
日本でのサービスは?
4Gamer:
韓国では現在,正統派のMMORPGは以前のような勢いがありませんが,その点についてはどうお考えですか?
それでも,「1」のサービスを開始した当時と比べれば,今のほうが状況は良いと思います。というのも,当時は「リネージュ」に圧倒的な人気がありましたので。今はMMORPG全般の状況が良くありませんが,MMORPGに対する認知度も上がっていますし,「2」を成功させる自信はあります。
4Gamer:
では,今のような状況の中で,「2」を成功に導く最大の魅力とはどのあたりになるのでしょう?
Lee, Chul Kyu氏:
うーん,一言で言い表すことは難しいのですが,一度プレイをしてもらえればきっと病みつきになってしまうと思いますよ。
4Gamer:
開発サイドから直接そう聞くと,いまから楽しみになってきますね。ところで,課金システムはどうなる予定ですか?
Lee, Chul Kyu氏:
韓国では,「1」の課金システムを月額制からアイテム課金制に途中から変更した経緯がありますので,「2」でもその両方を視野に入れていますが,今のところアイテム課金制を採用する可能性が高いです。
4Gamer:
日本でのサービス予定についてはいかがですか?
Lee, Chul Kyu氏:
NHN Japanなどと交渉を行っていますが,現時点では未定です。
4Gamer:
では最後に,読者に向けてメッセージをお願いします。
Lee, Chul Kyu氏:
正統派のMMORPGとして面白いゲームに仕上げていきますので,ぜひ期待していてください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
韓国,そして韓国産オンラインゲームが数多くサービスされている日本においても,正統派MMORPGが,かつてのような勢いを失いつつあるように見える。これは,オンラインゲームがすでに一部のコアプレイヤーのためのものではなく,より幅広いプレイヤーへとその裾野を広げ始めていることと無関係ではない。プレイヤーのカジュアル化は,オンラインゲームに限ったものではなく,もはやゲーム業界全体の流れといってもいいだろう。
こうした状況において,RvRを主体とし,どっしりと腰を落ち着けたプレイが必要とされる本作は,ある意味では時代の流れに挑戦しているともいえる。プレイヤーのカジュアル化が進む一方で,やり応えのある昔ながらのMMORPGを好むプレイヤーもまた,少なからず存在する。これは,第3次クローズドβテストに総勢4万人のテスターが参加したという,本作の注目度の高さにも現れている。あくまで“正統派”を貫く本作がどのような成果を上げられるか,注意深く見守っていきたい。
- 関連タイトル:
Priston Tale II: 2nd Enigma
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