連載
Version 9.0
- 3DMark06 /
- Crysis Warhead /
- Left 4 Dead 2 /
- Call of Duty 4: Modern Warfare /
- バイオハザード5 /
- ラスト レムナント /
- Colin McRae: DiRT 2 /
- コラム:Frapsの使い方
業界定番のベンチマークソフトシリーズ,3DMark。2010年2月時点の最新製品は「3DMark Vantage」で,デベロッパであるFuturemarkはDirectX 11対応の次世代製品を開発中だが,4Gamerでは,レギュレーション9世代でも「3DMark06」を用いる。
その最大の理由は,2010年を迎えてなお,市場で支配的なのは,DirectX 9世代のプログラマブルシェーダ3.0対応ゲームタイトルであるということだ。DirectX 10&11世代のタイトルにおけるパフォーマンスは,実際の対応タイトルでテストしつつ,3DMark06を用いることで,現時点における最も汎用的な3D性能の指針を推し量ろうというわけである。
テストに用いる3DMark06のビルド(=バージョン)は,2010年2月にリリースされたBuild 1.2.0(1901)。レギュレーション8世代で用いていたBuild 1.1.0から,最新世代のハードウェアに対応すべく,いくつかアップデートが入っているが,スコアに影響を与える修正は入っていないため,テスト結果はレギュレーション8世代と直接の比較が可能だ。
ただし,そのレギュレーション8世代で,「高負荷設定」のテスト条件を変更しているので,この点はご注意を。レギュレーション7以前とスコアを見比べる場合には,「標準設定」のデータを用いてほしい。
レギュレーション8世代で,「高負荷設定」の詳細を変更したため,この点は注意してほしいが,「標準設定」については,スコアを過去の記事と比較可能だ。
なお,テスト方法は下記のとおり。レギュレーション1.0以来,変わっていない。
実行手順
- (1)3DMark06を起動
- (2)テスト時のディスプレイ解像度を3DMark06側で変更
- (3)ベンチマーク実行
※(2)の解像度変更時に,アプリケーションの再起動などは行っていない。そのまま連続して計測している。
なお,新型GPUの検証時には,3DMark06のデフォルト設定である「1280×1024ドット,標準設定」というコンフィグレーションで,「Feature Test」の一部を実施することがある。この点はあらかじめご承知置きを。
レギュレーション6.0から採用している「Crysis Warhead」(邦題 クライシス ウォーヘッド 完全日本語版)は,DirectX 10世代となるCrytekオリジナルのゲームエンジン「CryENGINE 2.0」が採用された,重量級のゲームタイトルだ。2008年秋にリリースされたタイトルだが,2010年2月時点においても,依然として,GPU負荷の極めて高いアプリケーションであり続けている。
マルチGPUへの対応は「そこそこ」といったところで,効果は確実に期待できるが,劇的ではない印象。一方,グラフィックス処理の負荷が大きすぎることもあって,CPUパフォーマンスの検証にはあまり向いていない。
テスト方法は基本的にレギュレーション6〜8世代と同じ。Crysis Warheadには,ベンチマーク機能のようなものは用意されていないため,HardwareOC(Zoltan Nemeth - Roadside)製の外部ベンチマークツール「HardwareOC Crysis Warhead Benchmark」(以下Crysis Warhead Benchmark)を用いる。バージョンは,Crysis Warhead本体が1.1.1.710(※Patch 1.1を適用した状態),Crysis Warhead Benchmarkが1.2.0.0で,これらはいずれもレギュレーション事前検証開始時点の最新版だ。
ただし,2009年8月頃,HardwareOC(www.hocbench.com)は,ドメインの期限切れなのか,サイトを閉じたのか不明ながら,アクセスができなくなった。これにより,アプリケーションを入力できなくなってしまったのだ。また,用意されているテストオプションのうち,「Benchmark−Filters & demos」の「Filters」を変更するには,無料のユーザー登録が必要だったのだが,サイトにアクセスできなくなったため,ここの設定もできなくなってしまったのである。
この問題に対して4Gamerは,レギュレーション8.2のタイミングで独自に対応を行ったが,これでは読者が同じようにテストできない。そこで,読者に向けては,現在もミラーを続けている「The Guru of 3D」を紹介しておきたいと思う。
同Webサイトのダウンロードページには,ベンチマークソフト本体と,それとは別に,現時点では物理的に不可能なユーザー登録の部分を“なんとかする”ソフト「HOCBench Registration Generator」が用意されている。これらを使えば,読者の環境でも,レギュレーションに準拠したテストを行えるはずだ。
さて,Crysis Warhead Benchmarkを実行するに当たって,Crysis Warheadを別途実行しておく必要はない(※もちろん言うまでもなく,インストールは必要だが)。下記は基本的に,Crysis Warhead Benchmarkの設定項目となるので,この点だけはご注意を。
Crysis Warhead Benchmark設定
Crysis Warheadのバージョン:1.1.1.710
Crysis Warhead Benchmarkのバージョン:1.2.0.0
セーブ&リプレイデータ:不要
設定「Benchmark−Path & information」
- Crysis Warhead path:Crysis Warheadをインストールしたフォルダを指定
- Results folder:任意
設定「Benchmark−Resolution & screen」
- Resolution:テストによる(※基本的には1024×768/1280×1024/1680×1050/1920×1200ドットの4パターン)
- MultiGPU:テストによる
- Screenshot:チェックを外す
- Quality:Very High(※Windows XP環境でのテストを行うときに限り「High」)
設定「Benchmark−Filters & demos」
- Filters:テストによる
- Choose a demo:「Airfield」にチェックを入れる
- Renderer driver:テストによる(※Windows XP環境では「DirectX 9」で固定)
設定「Benchmark−Customization」
- Benchmark notes:任意(※基本的には何も入れなくてOK)
- Boost renderer settings:チェックを外す
- Number of times to run the demo:2
- Skip first score:チェックを外す
設定「Other−Registration」
- Email:自分のE-mailアドレスを登録する
注意すべきポイントは何か所かあるが,最も重要なのは,Crysis Warhead Benchmark側で詳細なグラフィックスオプションの設定は行えず,「Benchmark−Resolution & screen」の「Quality」から,一括指定することになる点だ。DirectX 10モードでテストを行うためには,ここを「Very High」に指定するのが必須となる。
レギュレーション9世代で,Windows XPを使ったテストを行うケースは少ないはずだが,テスト対象のシステムにWindows XPが含まれる場合は,「High」を選択し,DirectX 9モードで動作させるので,念のためお断りしておきたい。
もう一つは,先ほど紹介したように,「Benchmark−Filters & demos」の「Filters」は,メールアドレスを登録しないと変更できないというところ。ここは,The Guru of 3Dのツールで回避できるので,くれぐれもお忘れなく。
なお,ここまでの説明で想像がついた人もいるだろうが,ただでさえ描画負荷の高いCrysis Warheadを,「Very High」というグラフィックス設定にしているため,エントリーミドルクラス以下のGPUやグラフィックス機能統合型チップセット&CPUでは,プレイアブルなフレームレートをまずもって期待できなくなってしまった。そのため,これらエントリーミドルクラス以下の製品を検証するときは,その旨を断ったうえで,上記「Crysis Warhead Benchmark設定」から下記2項目を変更した「エントリー設定」でテストを行う場合がある。基本的には上記Crysis Warhead Benchmark設定に準じるが,下に示した2点を変更する。
Crysis Warhead Benchmark設定(※エントリー設定)
設定「Benchmark−Resolution & screen」
- Quality:Medium
設定「Benchmark−Filters & demos」
- Renderer driver:DirectX 9
ミドルクラス以上のGPUを想定した設定にせよエントリー設定にせよ,ここまで来ればあとは簡単。Crysis Warhead Benchmarkのウインドウ左下に用意された[RUN>>]ボタンを押すだけである。途中で解像度設定などを切り替える必要はなく,自動的にテストが進んでいく。
なお,もし何らかの事情でテスト中に異常終了した場合は,Crysis Warhead Benchmarkの設定から,当該解像度だけを選択してやり直せば大丈夫だ。
計測を2回行っているのは,この方法だとスコアが安定するためだ。1回だけ,あるいは,手動で1回ずつ計2回計測するという手法ではスコアが低めに出るという理由から,ベンチマークレギュレーションでは一貫してこの手法を採用しているが,これは今世代でも変わらない。
htmlファイルに出力されるスコアの傾向は,レギュレーション5世代におけるCrysisと変わらないので,指標も同じ。つまり,プレイアブルかどうかの基準は平均25fpsで,ストレスを感じなくなるのは平均40fpsを超えてから,ということになる。
4Gamerでは長らく,Valve独自のゲームエンジン「Source Engine」採用ゲームをレギュレーションに採用しているが,その最新タイトルとして,レギュレーション9世代で取り上げるのが,レギュレーション8世代で採用していた「Left 4 Dead」の後継となる,「Left 4 Dead 2」(邦題 LEFT 4 DEAD 2 日本語版)だ。Co-op前提のゲームシステムが好評を博したマルチプレイFPSの後継作として,前作同様の成功を収めているタイトルである。
Source Engineの特徴は,GeForce,ATI Radeonのどちらにも最適化され,かつ,マルチスレッド処理にも対応しているという“優等生”ぶりにある。DirectX 9世代における完成形の一つといっていいエンジンであり,今をもってなお市場において支配的な同APIを利用したタイトルにおけるパフォーマンスを推し量るに当たって,重要な存在だといえるだろう。
ゲーム全般のGPUやCPUにかかる負荷の傾向は,前作とほぼ同じ。それを受け,「独自に用意したリプレイデータを再生し,その間の平均フレームレートを取得する」というテスト方法は,レギュレーション9世代でも,そのまま踏襲することにした。用意したリプレイは,シングルプレイヤーのキャンペーン「デッドセンター」から,チャプター「1:ホテル」の様子を記録したものになる。
なお,Valveのタイトルといえば,切っても切り離せないのが,同社のソフトウェア配信システム「Steam」だ。これまでのValve製タイトルと同様に,Left 4 Dead 2でも,Steamを利用した自動アップデートが行われるため,テストに用いるゲームのバージョンは,そのときどきの最新版となる。また,大規模なアップデートが行われたときには,リプレイの互換性が失われることがあり,その場合は,適宜,レギュレーションのバージョンを引き上げることで対応するので,この点はあらかじめお断りしておきたい。
このほか,テストに当たってのゲーム設定は下記のとおりとなる。
ゲーム設定
バージョン:最新版(Steamによる自動アップデート)
リプレイデータ:4Gamerオリジナル(1.8MB)
リプレイデータ保存先:C:\Program Files\Steam\steamapps\common\left 4 dead 2\left4dead2(※Windows XP/Vista/7とも,標準インストール時のフォルダは共通。64bit OSの場合,パスは C:\Program Files(x86)\Steam\steamapps\common\left 4 dead 2\left4dead2)
ゲーム設定:「ビデオ」
- アスペクト比:テストによる
- 解像度:テストによる
- ディスプレイモード:フルスクリーン
- フィルム粒子の量:デフォルト
ゲーム設定:「ビデオ-詳細」
- アンチエイリアスモード:テストによる
- フィルタリングモード:テストによる
- 垂直同期を待機:無効
- マルチコアレンダリング:有効
- シェーダーの詳細:最高
- エフェクトの詳細:高
- モデル/テクスチャの詳細:高
- 使用するページプールメモリの量:高
ゲーム設定:「明るさ」
- 任意
ゲーム設定:「オーディオ」
- ゲーム音量:任意
- BGM音量:任意
- スピーカー設定:2スピーカー
- 音質:高
- キャプション設定:なし
- 音声言語:英語
- ボイスチャット:無効
- マイクのテスト:任意
ゲーム設定:「キーボード/マウス」
- マウス反転:任意
- マウスフィルタ:任意
- マウス感度:任意
- 開発者コンソール:有効
- ゲームパッド:任意
- 水平感度:任意
- 垂直感度:任意
- ゲームパッドの上下軸反転:任意
- 左右スティックの機能入れ替え:任意
利用するグラフィックスカードによっては,「ビデオ」の設定が自動的に変更される場合があるため,目視でチェックする必要があることと,リプレイデータの再生には「開発者コンソール」を開く必要があることは押さえておきたい。開発者コンソールは,日本語キーボードなら[半角/全角]キー,英語キーボードなら[~]キーで呼び出し可能だ。
さて,テストの手順は下記のとおりとなる。
実行手順
- (1)Frapsを起動し,測定時間を60秒に設定
- (2)Left 4 Dead 2を起動
- (3)「設定」の「ビデオ」からディスプレイ解像度を変更
- (4)開発者コンソールを開く
- (5)開発者コンソールから「playdemo (ファイル名)」と入力して[Enter]キーを押す
- (6)リプレイが一度最後まで再生し終わるのを待つ
- (7)再びリプレイを再生。始まったらすぐにFrapsのフレームレート計測ホットキーを押す
- (8)60秒以上経過したら,[ESC]キーを押してコンソールに戻り,「stopdemo」と入力するか,Shift+F2を押してリプレイ再生メニューを出し「Stop」をクリックする
- (9)ディスプレイ解像度を変更しながら,(3)以降を繰り返す
テストに当たって,キャッシュによる影響を排除するため,いったん,リプレイを最後まで再生しているのがポイントだ。解像度を変更するときは,連続して計測してかまわないが,「標準設定」と「高負荷設定」を切り替えるときには,ゲームの再起動が必要になる。
スコアは,OSにかかわらず,平均60fps以上出ていれば,快適にプレイできると述べていいレベル。平均で50fpsを下回るようだと,明らかに爽快感が失われる。30fpsを割るようだと相当に厳しい印象だ。
一方,ハイエンド製品の場合は,100fps以上が合格ラインとなる。
「Call of Duty 4: Modern Warfare」(邦題 コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア,以下CoD4)は,PCとXbox 360,プレイステーション3で1000万本を超えるヒットとなっているFPSだ。
ゲームエンジンはInfinity Wardオリジナルで,DirectX 9世代のプログラマブルシェーダ3.0(SM3.0)ベース。続編「Call of Duty: Modern Warfare 2」も登場し,さすがに古さは否めなくなってきたが,今なお大多数のゲームタイトルでサポートされるDirectX 9に対応し,かつ,GPU性能を素直に反映してくれるタイトルとして,レギュレーション9世代でも使い続けたいと考えている。
テスト方法はレギュレーション6〜8世代と同じ。マップ「Crash」における5対5のチームデスマッチを“録画”し,これを再生させ,Frapsから平均フレームレートを求めることにしている。
リプレイデータの作成に当たって留意したのは,キャラクターの足を止めないということ。それを実現すべく,今回は4Gamerスタッフの個人的な知り合いを募ってリプレイデータを作成した。そのため,リプレイデータの公開ができない点はご容赦いただきたい。
このほか,テストに当たってのゲーム設定は下記のとおり。パッチは,レギュレーション8.0事前検証開始時点での最新版,Version 1.7を,レギュレーション9世代でもそのまま用いる。グラフィックス設定の詳細については,西川善司氏による解説記事も用意してあるので,興味のある人は併せて参照してもらえれば幸いだ。
ゲーム設定
バージョン:1.7(1.7.568)
リプレイデータ:4Gamerオリジナル(※非公開)
リプレイデータ保存先:C:\Program Files\Activision\Call of Duty4 - Modern Warfare\main\demos(※64bit OSの場合は C:\Program Files (x86)\Activision\Call of Duty4 - Modern Warfare\main\demos )
コンフィグファイルの変更:C:\Program Files\Activision\Call of Duty4 - Modern Warfare\players\profiles\【ユーザー名】\config_mp.cfgを開き,「com_maxfps」の値「85」を「0」に書き換える(※64bit OSの場合,ファイルのパスは C:\Program Files(x86)\Activision\Call of Duty4 - Modern Warfare\players\profiles\【ユーザー名】\config_mp.cfg )
ゲーム設定:「Options−Graphics...」
- Video Mode:テストによる
- Screen Refresh Rate:60Hz
- Ascpect Ratio:Auto
- Anti-Aliasing:テストによる
- Brightness:任意
- Sync Every Frame:No
- Dual Video Cards:テストによる
- Shadows:Yes
- Specular Map:Yes
- Depth of Field:Yes
- Glow:Yes
- Number of Dynamic Lights:Normal
- Soften Smoke Edges:Yes
- Ragdoll:Yes
- Bullet Impacts:Yes
- Model Detail:Normal
- Water Detail:Normal
ゲーム設定:「Options−Texture Settings...」
- Texture Filtering:Automatic
- Anisotropic Filtering:スライダを左端に
- Texture Quality:Manual
- Texture Resolution:Extra
- Normal Map Resolution:Extra
- Specular Map Resolution:Extra
ゲーム設定:「Options−Sound...」
- Master Volume:任意
- Sound EQ Filter:On
- Sound Quality:44KHz
- Speaker Config:Windows Default
ゲーム設定:「Options−Game Options...」
- Show Blood:Yes
- SEnable Console:任意(※デフォルトは「No」)
ずらずらと並べてみたが,要するに「最も高い設定」になっていると理解しておけばOKだ。
このとき注意すべきは,デフォルトだと最大フレームレートが85fpsに固定されていること。上で示したとおり,コンフィグファイル「config_mp.cfg」の「com_maxfps」を「85」から「0」に書き換えることで,この上限を取り払う必要があるので,くれぐれもご注意を。
さて,リプレイデータの読み出しはゲーム内のコンソールメニューからも行えるのだが,この方法ではときおり失敗することがあるので,レギュレーション8世代ではCyboPat.net製の「Call of Duty 4 player」(以下,CoD4 player)を利用する。これはその名のとおり,CoD4のリプレイデータを安定して“再生”するための外部ソフトだ。
確実を期した結果,テスト手順は多少面倒なものになった。とはいえ,基本的にはFrapsを利用したベンチマーク方法準拠なので,慣れてしまえば問題ないだろう。具体的には下に示したとおりとなる。
実行手順
- (1)Frapsにてベンチマーク時間を60秒に設定
- (2)CoD4をMultiPlayerモードで起動する
- (3)グラフィックスや解像度の設定などを行う
- (4)CoD4を終了してデスクトップに戻る
- (5)COD4 playerを起動。「OPEN DEMO」でリプレイデータを選ぶ
- (6)ローディングが終わってプレイ画面が表示されたらFrapsでの計測をスタート
- (7)60秒経過するのを待つ
- (8)10キーの[/]キーを押してリプレイの再生を終了する
- (9)(4)〜(8)の手順をもう一度実行し,2回の平均をスコアとする
- (10)(2)以降を,設定を変更しながら繰り返す
ここで重要なのは,設定一つにつき,テストを2回実行すること。
(2)で,ハードウェア構成の変更直後に,「Set Optimal Settings?」というダイアログが表示される点も憶えておきたい。これはゲーム設定を自動的に設定するものだが,ひとまず[はい]を押したあと,あらためてゲーム設定を手動で行うのが安全だ。
次に,同じく(2)で,PunkBusterに登録あるいは接続していない場合,「Error」というメッセージが表示される。CoD4をプレイしている人の環境ではまず出ないが,ベンチマーク用に構成したPCでは表示される可能性があるので,遭遇したときは素直に[Exit]を押してエラー画面をスキップしよう。
スコアの傾向だが,このテストで60fpsを超えていれば,普通にゲーム本体をプレイするには十分。ハイエンド環境の合格ラインは100fps以上となる。
CoD4はマルチスレッド処理に対応しているため,CPUが処理可能なスレッド数に応じてスコアは相応に伸びる。だがそれ以上に,GPUのシェーダプロセッサ数やテクスチャユニット数に応じたスコアになりやすい。マルチGPUでも安定したスコアを示すため,DirectX 9世代のゲームをプレイするに当たって期待できるグラフィックスカードの性能を推し量るのに向いたタイトルであると言えるだろう。
Xbox 360,PlayStation 3で大ヒットした「バイオハザード5」。そのPC版は2009年9月17日に発売されたが,レギュレーション9世代では,基本的に,製品版付属のベンチマーク機能を採用する。ただし,単体ベンチマークツールと製品版で,得られるスコアに違いがないことと,日本語版バイオハザード5の実行ファイルをATI Catalystが認識できず,正しいスコアが得られない場合があることを鑑み,100%間違いなく正常なスコアが得られるようになるまで,ATI Radeonのテストでは海外版「Resident Evil 5」の公式ベンチマークツールを用いて,「正常に動作した場合の期待値」を取得することにしているので,この点はあらかじめお断りしておきたい。
さて,バイオハザード5は,マルチプラットフォームに対応したカプコン独自の開発フレームワーク「MT Framework」で制作されている。シェーダの利用度合いが高いこともあって,グラフィックス描画負荷は比較的高め。また,マルチスレッド処理に最適化されており,CPUコア数の違いが,ゲームパフォーマンスを左右しやすいタイトルでもある。
公式ベンチマークソフトは,まずDirectX 10とDirectX 9,二つの動作モードから一つを選んで起動することになるが,Windows XP環境でのテストが必要でない限り,基本的にはDirectX 10モードで起動する。
テストに当たってのゲーム設定は下に示したとおりだ。
ポイントは,「モーションブラー」を「オン」にしているのと,グラフィックス品質関連を軒並み「高」にしている点だが,むしろここで重要なのは,グラフィックスオプションに,テクスチャフィルタリングの設定がない点である。同時に,上の設定を行う限り,明らかに異方性フィルタリングが有効になっていたのだが,発表されている推奨環境によると,テクスチャフィルタリングの設定は「画面クオリティ」に含まれるという。本設定項目には,HDR(High Dynamic Range)なども含まれているので,総合的な画質を調整する設定項目になっているようだ。
ちなみに,4Gamerのベンチマークレギュレーションでは,「標準設定」時にテクスチャフィルタリングなし,「高負荷設定」時に16x異方性フィルタリング適用となっているが,バイオハザード5では,「画面クオリティ」の設定によって,テクスチャフィルタリング設定は,以下のように異なるという。
- 低:トリリニアフィルタリング適用
- 中:4x異方性フィルタリング適用
- 高:16x異方性フィルタリング適用
つまり,標準設定とするためには,「画面クオリティ」を「低」にする必要があるのだが,「低」にすると,テクスチャフィルタリング以外の設定も下がってしまうわけである。
そこで,バイオハザード5に関しては,4xアンチエイリアシングを無効化する一方,「画面クオリティ」は「高」のまま(=16x異方性フィルタリング適用)とした「低負荷設定」を,標準設定の代わりに採用する。少々特殊な対応となるので,この点は憶えておいてほしい。
なおこの設定では,2010年2月時点におけるエントリークラス以下のGPUやグラフィックス機能で,プレイアブルなスコアが得られないことがある。そこで,下位モデルのGPU(やCPU)のテストに当たっては,低負荷設定と高負荷設定の2パターンではなく,下に示した「エントリー設定」で検証を行う。
ゲーム設定(※「エントリー設定」)
ゲーム設定「PC SETTINGS」
- スクリーン解像度:テストによる
- 画面モード:フルスクリーン
- ディスプレイ周波数:60Hz
- 垂直同期:オフ
- フレームレート:可変
- アンチエイリアス:テストによる
- モーションブラー:オフ
- 影品質:中
- テクスチャ品質:中
- 画面クオリティ:低
ところで,公式ベンチマークソフトには,「ベンチマークテストA」「ベンチマークテストB」という,2種類のベンチマークテストが用意されているのだが,結論からいうと,レギュレーション8世代から引き続き,ベンチマークテストBを採用する。これは,ベンチマークテストBだと,カメラやオブジェクトの数動きが毎回同じで,安定した計測結果を得やすいためだ。発表されている推奨環境によると,実際のゲームと比べてオブジェクトの数が多く,CPU負荷は多少高めになっているようだが,その点は少し割り引いて考えれば問題ないだろう。
ちなみにカプコンによると,ベンチマークテストAは,AIにより,ゲーム内にあるオブジェクトの動きは毎回変わるとのこと。GPUやCPUを横並びで比較するためではなく,あくまでも,プレイヤーの環境で実際にどれくらい快適にプレイできるかを見るためのものという位置づけだそうだ。
以上を踏まえたベンチマーク手順は以下のとおりとなる。
テストを2回実行しているのは,念のため。基本的にスコアのブレはほとんどないが,安全策で,2回めのスコアを採用することにした次第だ。
公式ベンチマークソフトは,独自にランク付けをしてくれるが,レギュレーション8世代と同様,レギュレーション9世代でも,合格ラインを平均30fpsとした。ハイエンド製品なら,同60fpsが,快適さの目安となる。
Xbox 360版を基に,多くの新要素を追加して“完全版”となった,PC版「ラスト レムナント」。PC用の国産RPGとして,大変貴重な存在であるだけでなく,定番ゲームエンジン「Unreal Engine 3」を採用したゲームタイトル全般の傾向を見るうえでも,大変重要なタイトルだ。4Gamer的には,ベンチマークレギュレーション5〜6世代で採用していた「Unreal Tournament 3」の後継,という位置付けになる。
さて,Unreal Engine 3世代のゲームエンジンは,アンチエイリアシングを標準ではサポートしていない。AMDとNVIDIAは,いずれもドライバレベルで独自にアンチエイリアシングを実現しているが,頻繁にバージョンが上がるドライババージョンのすべてで,アンチエイリアシングの効き具合をチェックするというのは,現実的とは言い難い状況だ。そのため,公正を期す目的もあり,アンチエイリアシングを適用した,高負荷設定のテストは,ラスト レムナントでは実施しない。
なお,テストに用いるのは,4Gamerでもミラーしているベンチマーク専用プログラム。ベンチマークテストの実行時に,これといったバージョン表記はなされていないが,2009年4月時点で公開されている――というか,4Gamerで公開している――実行ファイルの内部バージョンは「1.0510.0」なので,一応,これを目安にしておくといいだろう。
ベンチマークの実行に当たっては,ダウンロードした圧縮ファイルから解凍したフォルダ「The_Last_Remnant_Benchmark」の下,「Binaries」フォルダの「TLRBench.exe」を起動し,「Resolution」から解像度を設定するだけだ。
注意すべき点は,キャッシュの影響を排除するため,(どの解像度設定でもかまわないので)とにかく一度,ベンチマークを走らせる必要があるということ。その後,「Full Screen」の選択肢の中から,テスト対象となる解像度を選んで,テストを実行するという流れになる。キャッシュの影響さえ排除してしまえば,スコアのブレはほとんどないので,解像度ごとにテストは1回で大丈夫だ。
また,本ベンチマークアプリケーションの実行前に,ほかのテストを行っていると,スコアが低く出ることがある点にも注意したい。そういった“症状”が出たら,一度Windowsを再起動すべきである。
スコアは平均フレームレートで表示される。スクウェア・エニックスは,65fps以上だと,ゲーム内のグラフィックス設定を高めに設定しても快適な動作が見込め,90fps以上だと,最高設定でも快適にプレイできるとしているので,この二つが基準点になるだろう。
ベンチマークレギュレーションで継続的に採用している“クルマ関連タイトル”だが,レギュレーション9世代では,同6〜8世代に使ってきたCodemastersの「Race Driver: GRID」に代わり,同社の最新タイトル「Colin McRae: DiRT 2」(以下,DiRT 2)を採用する。国内では,2010年3月に日本語マニュアル付き英語版がリリースされるが,海外ではゲーム機向けともども2009年に発売済みのタイトルである。
採用されているゲームエンジンは,Codemasters独自の「EGO Game Technology Engine」(俗称,EGOエンジン)。自社製ながらも,PC版では,AMDの協力を得て,世界で初めて,DirectX 11にネイティブ対応しているのが大きな特徴だ。開幕したばかりであるDirectX 11時代のゲームにおけるパフォーマンスを見るのに当たって,これ以上のサンプルはないだろう。
一方,これは西川善司氏が連載記事のなかで指摘していることでもあるが,DiRT 2は基本的にDirectX 9ベースのゲームタイトルだ。DirectX 9環境下で,十分に“見られる”グラフィックスを実現しつつ,LOD(Level of Detail)のルールに従って,DirectX 11世代のテッセレーション技術を実装したり,ポストプロセスのアクセラレーションにGPGPU――ここではDirectCompute――を用いる形で,DirectX 11対応を果たしているのである。
DiRT 2は,DirectX 11世代のゲームパフォーマンスを推し量る基準になると同時に,DirectX 9世代のGPUが持つ性能もきっちりと計測できる,貴重なタイトルなのだ。
さて,そんなDiRT 2では,ゲーム側にベンチマークモードが用意されている。DiRT 2のUIは,ゲーム画面と一体化しており,少々分かりづらいが,モーターホームから「OUTSIDE」→「OPTION」→「GRAPHICS」と進み,メニューを一番下までスクロールすれば選択できるので,慣れればどうということはないだろう。
テストに当たってのゲーム設定は下記のとおりである。
ゲーム設定
バージョン:1.0(※レギュレーション9.0事前検証時点の最新版)
セーブ&リプレイデータ:不要
ゲーム設定:「OUTSIDE−OPTIONS−GRAPHICS−SETTINGS」
- RESOLUTION:テストによる
- REFRESH RATE:任意(※デフォルトは60Hz)
- MULTISAMPLING:テストによる
- VSYNC:OFF
- ASPECT RATIO:NORMAL
- GAMMA:任意
ゲーム設定:「OUTSIDE−OPTIONS−GRAPHICS−DETAIL」
- CHOOSE PRESET:ULTRA(※選択しても「ULTRA」とは表示されない)
- NIGHT LIGHTING:HIGH
- SHADOWS:HIGH
- PARTICLES:HIGH
- MIRRORS:ULTRA
- CROWD:テストによる(※DirectX 9モードでは「HIGH」,DirectX 11モードでは「ULTRA」)
- GROUND COVER:HIGH
- DRIVERS:ULTRA
- DISANT VEHICLES:ULTRA
- OBJECTS:ULTRA
- TREES:ULTRA
- VEHICLES REFLECTIONS:ULTRA
- WATER:テストによる(※DirectX 9モードでは「HIGH」,DirectX 11モードでは「ULTRA」)
- POST PROCESS:テストによる(※DirectX 9モードでは「MEDIUM」,DirectX 11モードでは「HIGH」)
- SKIDMARKS:ON
- AMBIENT OCCLUSION:テストによる(※DirectX 9モードでは「LOW」,DirectX 11モードでは「HIGH」。DirectX 10.1以前のGPUを搭載した環境では項目自体が表示されない)
- CLOTH:テストによる(※DirectX 9モードでは「LOW」,DirectX 11モードでは「HIGH」)
ゲーム設定:「OUTSIDE−OPTIONS−AUDIO」
- ADUIO DRIVERS:SOFTWARE(※本項目を変更した場合は,ゲームの再起動が必須になる)
- DRIVER SPEECH:ON
- SPEECH:任意
- MUSIC:任意
- EFFCTS:任意
- ENGINE:任意
設定に当たってはまず,「DETAIL」の「CHOOSE PRESET」から,「ULTRA」を選択。これで,DirectX 11モードかつ最も描画品質の高い設定が指定される。DirectX 9モードでテストを行う場合には,上で「テストによる」とした5項目――「CROWD」「WATER」「POST PROCESS」「AMBIENT OCCLUSION」「CLOTH」――を,DirectX 9モードで動作するよう,変更すればいい。
なお,ゲーム画面解像度を変更する「RESOLUTION」と,アンチエイリアシング関連の指定を行う「MULTISAMPLING」は,設定内容を反映するのに,一度[ESC]キーを押して確認ダイアログを表示させ,[OK]→[YES]と選ぶ必要がある。この点はあらかじめ押さえておいてもらえれば幸いだ。
もう一つ,4Gamerのベンチマークレギュレーションでは,「高負荷設定」で16x異方性フィルタリングを適用するが,DiRT 2のグラフィックスオプションにテクスチャフィルタリングに関する項目は用意されていないため,これはグラフィックスドライバ側で適用することになる。
テストの手順は下に示したとおり。基本的には公式ベンチマークツール任せである。
実行手順
- (1)DiRT 2を起動
- (2)「OPTION」にある「GRAPHICS」を設定
- (3)[ESC]キーを押すと「WARNING」ダイアログが表示されるので[OK],さらに[CONFIRM CHANGES]ダイアログに対しては[YES]を選ぶ
- (4)「OPTION」の「GRAPHICS」から「RUN BENCHMARK TEST…」を選択し,公式ベンチマークツールを実行
- (5)ベンチマーク終了後に表示される「AVERAGE FPS」を記録する
- (6)(4)〜(5)を再実行。2回のうち高い方のスコアを採用する
- (7)(2)以降を解像度などを変更しながら繰り返す
DiRT 2の公式ベンチマークツールは,実行するごとにシークエンスが微妙に変わり,いきおい,スコアもやや代わる。「一定のスコアを軸に上下する」というわけでもないので,今回は,平均化するのではなく,高いほうのスコアを採用することにした次第だ。
DirectX 11モードは,当然のことながらGPU負荷が高くなるため,DirectX 11世代のGPUでも,エントリーミドルクラス以下の製品には荷が重い。そのため,DirectX 11世代のハイエンドGPU同士を比較するのでもない限り,当面は,基本的にDirectX 9モードを中心に検証し,DirectX 11モードは「動作するGPUで補足的に検証する」ことにしたい。
最後にスコアの見方だが,プレイアブルかどうかをチェックする指針としては,平均30fpsが基準。ハイエンドGPUなら60fps以上が合格ラインとなる。
Race Driver: GRIDがそうだったように,同じEGOエンジンを採用したDiRT 2も,CPUのコア数に応じて,ベンチマークスコアは高くなりやすいという特徴を持っているが,CPUスコアに違いが出てくるのは,ハイエンドGPUを組み合わせたときに限られる。
4Gamerのベンチマーク測定において重要なツールである,Frapsについてここで説明しておきたい。
Frapsは,DirectX/OpenGLで動作するアプリケーション向けのキャプチャーソフトだ。フルバージョンは29.95ドルするシェアウェアで,4Gamerではボリュームライセンスを取得して利用しているが,開発元であるbeepaのWebサイトからダウンロードできる無料の体験版でもフレームレートの計測は行える。
インストールしたら,フレームレートの計測前にFrapsを起動。メインウィンドウが起動するので,「FPS」タブを選び,「Stop Benchmark automatically after」直後にある入力ボックスに,秒単位で数値を入力する。例えばレギュレーション6.0準拠でCall of Duty 4のベンチマークテストを行うなら,「60」と入力すればいい。
続いて「MinMaxAvg」にチェックを入れ,最少/最大/平均フレームレートがログに書き出されるようにしておく。
フレームレート計測を実行するには,まず,Frapsを最小化して,その状態で計測対象のゲームを起動する。すると,画面の隅に黄色の数値が表示されるはずだが,それがリアルタイムで計測されるフレームレートだ。あとはリプレイを再生し,適切なタイミングでフレームレート計測開始のホットキー(標準では[F11]だが,FPSタブの「Benchmarking Hotkey」で変更可能)を実行すればいい。 ベンチマーク計測中はリアルタイムのフレームレート表示が消え,設定した時間が経過すると計測が終了して,再びフレームレートが表示されるようになる。なお,ログファイルはFrapsをインストールしたフォルダ以下,「\benchmarks」の中に保存されるようになっており,上書きされることはない。
掲載されているテスト方法は誤りを含んでいる場合があり,予告なく修正されることがあります。また,公開しているリプレイデータは,4Gamer.netの読者が実際にベンチマークテストを行うに当たっての利便性を図るためだけに提供されるものですが,出典を明示し,かつ4Gamer.netへのリンクを明示的に張る場合に限り,商用/非商用媒体で利用できるものとします。ただし,このファイルを利用することによって,万が一OS,あるいはPC本体やその周辺機器などといったハードウェアに不具合が生じても,4Gamer.net編集部,著者,およびAetas株式会社は一切その責任を負いません。
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