インタビュー
「MHF」2010年のテーマは“新鮮さ”。3周年を目前にゲームの基本部分に大きく手が加えられる,シーズン8.0直前インタビュー
上位スキルの追加や各種武器のバランス調整を実施
アイテムボックスは最大で約2倍の容量に拡張
4Gamer:
そのほか,シーズン8.0で実装される要素を教えてください。
まずは上位スキルです。体力/斬れ味/防御/耐暑/耐寒/砲術師/圧力/捕獲上手の8スキル系統に,上位スキルが加わります。中でも,捕獲上手では,モンスターの体力が低くなって捕獲ラインに達すると,画面内にサインが出るようになります。また,瀕死の状態になると,サインがさらに激しくなります。
4Gamer:
なるほど。「捕獲の見極め」のようなものなんですね。モンスターの捕獲タイミングの見極めが苦手な人にはありがたいですね。
それから,以前告知された片手剣/双剣/ガンランス/ボウガンのバランス調整について,具体的に教えてもらえますか?
杉浦氏:
片手剣は全体的にダメージが上がるのと,肉質が硬くとも弾かれにくくなります。また,秘伝書の新スタイルでも,メリットが大きくなるようにかなり意識しています。
ただ,片手剣は初心者向きと思われがちなんですが,実はVS.クエストチャンピオントーナメントでも使用率が高かったりと,使い方によっては安定した強さを出せる武器なんです。それを踏まえて調整していますので,実際にハンターの皆さんが使ってみて,どういう反応が返ってくるかは,正直なところ,フタを開けてみないと……という感じです。
4Gamer:
双剣はどうですか? 鬼人化時にスタミナ無効状態が強制的に解除という大きな仕様変更を実施したばかりですが。
杉浦氏:
双剣では,2007年に乱舞中の属性ダメージを下げるという調整を実施したんですが,それを今回,元に戻した形になります。今は,修正を実施した当時よりも攻撃力が高い双剣が増えていますから,総合的に見て上方修正になっているでしょう。また,武器種限定クエストでは,双剣禁止のものが多かったのですが,こちらも徐々に減らしています。
鬼人化時のスタミナ無効状態解除という仕様変更については,双剣の使用割合が大きく下がるのではないかという懸念もあったのですが,それほど影響はないようで安心しました。
もともと双剣が好きな方は今でも使い続けていらっしゃいますし,むしろどのクエストでも双剣で臨むという傾向が薄れました。クエストによって武器種を使い分ける方が増えたと,ご意見と実際のデータで判断できたので,いい影響が出たといえるんじゃないでしょうか。
4Gamer:
次はガンランスですね。
杉浦氏:
実は,VS.クエストチャンピオントーナメントのイベント会場で,「上方修正してほしい」というご意見を聞く機会が一番多い武器が,ガンランスなんです。新スタイルについても,ガンランスの情報を最初に出させていただいたのですが,今のところは好評のようです。これも実際に使った方からのご意見がどうなるか楽しみな武器ですね。
4Gamer:
ちなみに,竜撃砲や砲撃の属性を変えることは検討していますか? 個人的な意見なのですが,ガンランスが不遇といわれやすい要因の一つは,竜撃砲や砲撃の属性ダメージが火属性固定という点にあると思うのですが。
杉浦氏:
それは課題事項に挙がっているので,検証次第といったところでしょうか。今のところは具体的にお話できるレベルではないです。申し訳ありません。
4Gamer:
ボウガンは,徹甲榴弾や属性弾などで上方修正箇所もありますが,ガンナーでよく使われるスキル「火事場力+2」の修正も含めると,実質は下方修正に近いですよね。
杉浦氏:
そうですね。火事場力+2発動時の調整が最も大きいかと思います。
4Gamer:
現在は,火事場力+2発動で攻撃力が上がりますが,上昇率はどのくらい下がる見込みなんでしょう?
まだ具体的な数字は公表できないのですが,現状の1割強下がります。最も気になっているのは,ライトボウガンの超速射なんです。それに合わせた調整の影響が,ヘビィボウガンに出ることにもなりかねませんので,その点に配慮して,さらなる調整を重ねる可能性もあります。
今回は,シーズン8.0でどうしても調整したいという内容も含まれてしまったのですが,調整対象の武器を作るのか作らないのかという判断を含めて,選択の機会をあらかじめハンターの皆さんに提供したいという理由から,実施前,なるべく早めにその内容を発表しています。そういう意味から,ボウガンではシーズン10での修正予定を同タイミングで発表させていただきました。
あとライトボウガンの調整と関連して,パローネ=キャラバンの★1〜8のキャラバンクエストについては,剛種武器が使えなくなります。一時期,超速射でないとキャラバンクエストに参加しづらい雰囲気になってしまったので,その解消方法を模索した処置になります。
4Gamer:
確かに,パローネ=キャラバン推奨ランドで,ライトボウガンのアイコンだけがずらりと並んでいる状況には,異様な雰囲気を感じたこともあります。ただそれは,個人的には,難度の高いキャラバンクエストでモンスターの攻撃力が高すぎるのが原因じゃないかという気もするんです。
近接武器でも一撃で力尽きてしまうから,ボウガンで火事場力+2で攻撃力を上げるという流れに行き着いているんじゃないでしょうか。攻撃力が下がれば,近接武器で遊ぶという流れも生まれるんじゃないかと思いますが。
杉浦氏:
確かにさまざまなご意見をいただきますし,内部的にも案は挙がるのですが,ほかとのバランスの兼ね合いから解決に時間がかかっています。その点は,今後も検討を続けていかなければならない課題だととらえています。
そのほかでは,猟団にランク13が追加されますね。
杉浦氏:
2010年は猟団関連の要素に力を入れようと考えていて,その手始めですね。ランクが上がることで,猟団部屋から配信クエストが受けられるようになります。また,今後は猟団限定のイベントクエストも配信しようと考えています。
シーズン8.0関連では最後の質問になりますが,ついにアイテムボックス拡張が実装されますね。
杉浦氏:
はい。これは本当にお待たせしました。前にも何度かお話ししていますが,これは今までも数多く寄せられていたご要望で,実装すること自体は早い段階から決めていました。ただ,これまで使っていたサーバーのスペックでは,どうしても満足な結果を得られずに実装を見送っていたんです。今回,新しいサーバーを導入したことで,2年越しでついに実現できました。
4Gamer:
ページはどのくらい増えるんですか?
アイテムボックス10ページと装備ページは5ページが追加されるので,合計でいうと,アイテムボックスが15ページ,装備ページが10ページになります。追加アイテムボックスのページを増やすという案もあったのですが,やはりアイテムボックス自体のページが増えるほうが使い勝手がいいだろうということで,この形に収まりました。
ただ,一度に全部使えるようになるのではなく,「改築上手・銭の技」まで購入してマイハウスを最高グレードにしたうえで,HRに応じてページが増えていく形になります。アイテムボックスならHR100/150/200/250/300/400/500/600/700/800,装備ページはHR100/300/500/700/900で各1ページ増となります。
4Gamer:
それは,今まで薄かったHRを上げるモチベーションにもつながりますね。ちなみに,追加アイテムボックスや追加倉庫はどうなるんでしょうか?
杉浦氏:
追加アイテムボックス4ページも,ハンターライフコースに入っている方なら使えます。もちろん,追加倉庫も継続して使えますので格段に便利になるでしょう。
シーズン7.0の目玉である「ラヴィエンテ」「進化武器」など
新要素に対するプレイヤーの反応は?
ここからは,「シーズン7.0“絶島主,ラヴィエンテ”」の質問に移ります。まず「大討伐クエスト」ですが,実装後に紆余曲折がありました。また,1ランドに1ラヴィエンテという制限がありますが,現在の状況はどうでしょうか?
杉浦氏:
実装した直後の12月は本当に厳しい状況で,皆さんにご迷惑をおかけいたしました。何度かの修正の結果,1月中旬以降は討伐回数や参加ハンター数は安定してきています。
大討伐クエストに限ったことではないのですが,参加人数は,実装直後が最も多く,時間が経つにつれて減少していく傾向にあります。こちらは,当初の見込みどおりといえます。
毎週やりたいという方もいらっしゃるでしょうが,現在は,期間限定にすることでハンターの皆さんを集約することで,参加人数を調整するという運用スタイルを変更する予定はありません。
常時開催にすることでの,参加希望者が分散してしまって成立しなくなってしまう不安があるからなんですよ。
4Gamer:
進化武器の評判はどうですか? 剛種武器以上の強さまで進化させるのが大変なせいか,実際に使っているプレイヤーをあまり見かけないのですが。
杉浦氏:
進化武器は,当初から幅広い層に向けたものというよりも,最終的には一部の方が熱心に収集するという読みはありましたので,おおよそ予想どおりの状況ではあります。
「生産/進化が大変過ぎる」「作りたい武器種がない」など,あまり評判がいいとは正直言えないのですが……。武器種についてはシーズン8.5で追加しますが,進化が大変という部分は意図的なものですし、それに合わせた性能ですので,変更する予定はありません。
4Gamer:
剛種ヤマツカミはいかがでしょう? こちらも実装後にトラブルがありましたが。
杉浦氏:
実装当初に,肝心の新エフェクトが見えないという,初歩的で情けない不具合が発生してしまい,たいへん申し訳なく思っています。こういう部分は言い訳のしようもないです。これからもミスを減らすべく厳しく品質管理を徹底していきます。
ヤマツカミの剛種クエスト自体については,原種のヤマツカミとは違う狩り方になるように考えていました。以前の双剣一辺倒の状況が少なくなったこと,そしてMHFオリジナルのリーチ長ランスが活躍しているという点で,ある程度狙いどおりになったと思います。
4Gamer:
シーズン7.0の終盤でしたが,新しく「古龍種の珠」「古龍種の牙」という新素材が実装されましたね。存在が判明してから入手できるまでかなり時間が空いた気がしますが。
杉浦氏:
これは申し訳ないのですが,運営上の都合ですね。スケジュールを立てて順々にやっているので,実装時期自体は予定どおりです。古龍種の汎用素材については,ご要望の多い意見でもありますし,全種類が出揃った時点で,一度見直しをかける予定です。
4Gamer:
モンスターの特異個体についての評判はいかがですか?
杉浦氏:
人気が高いのはリオレウス希少種ですが,全般的に「モンスターが強くなって新鮮」という評価をいただいています。特異個体については,原種が手強いモンスターは「剛種適性試験」のような形で,そうでないモンスターはハードコアモード対応クエストで,というようにカテゴリ分けをしつつ,今後も順次増やしていく予定です。
4Gamer:
新しいクエスト受注インターフェイスの評判はどうですか? 個人的には,新しい取り組みであることは理解できたのですが,かなり使いづらいという印象でした。
杉浦氏:
その通りです。まずは,チャットウィンドウと被って見にくい部分を,すぐに直しました。また,同じクエストを連戦しやすいよう,クエスト履歴機能も実装しています。あとは細かい部分ですが,皆さんのご意見やアンケートをもとに,こまめに修正を入れています。
4Gamer:
パローネ=キャラバンのリファインについてはどうでしょう? キャラバンクエストの★制限撤廃や,「開拓遊び」が実装されましたが。
杉浦氏:
大きな変化ではないのですが,星ランクの制限をなくした分,チャットでの航路募集も活発になりました。開拓遊びについては,“自分でクエストを作る”というテーマが,MHFの中でかなり大きな要素になると思っていたので,実装前は期待半分不安半分でしたね。
シミュレーション要素の強いコンテンツですから,ひたすら狩りを長時間続けるのは大変という,カジュアル志向の方向けと考えていたので,だいたい狙いどおりという感触ですね。
自分で作ったものを,ほかのハンターに遊んでもらえるという仕様も,コミュニケーションツールとしてうまく機能しているようです。ただ,フィールドなどまだまだコンテンツが十分とは言えませんから,先日のアンケート結果をもとにシーズン8.5でリファインをかけていきます。
Xbox 360版,3周年と相次ぐビッグイベントに向けて
あらためて運営体制の引き締めを
4Gamer:
先日すごいと思ったのが,ハンゲームのメンテナンス中でもMHFにログインできるように仕様変更されたという発表です。正直,よく実現できたなあとびっくりしました。
杉浦氏:
これは狩人祭の入魂祭でラストスパートをかける時間と,ハンゲームさんのメンテナンス時間が被ったケースの際にお客様から出る不満点の改善策です。すべてのメンテナンスというわけではないのですが,前よりは改善されたと思います。
ただ,この件はカプコンというよりは,ハンゲームさんの尽力で実現したものですね。
4Gamer:
狩人祭といえば,面と向かっては言いにくいことなのですが,年末年始のオブジェクトや狩人祭など,ケアレスミスと思えるトラブルがまた起きてしまいましたよね。
狩人祭のトラブルに関しては,起きてはいけない事態を二度も引き起こしてしまい,本当に皆さんにはご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。今回は負け組の褒賞を本来の勝ち組相当に,勝ち組はそれ以上の褒賞を付与する,という形ですが,勝負自体はきちんと決めるという部分は変更しない,という結論を出しました。
実際のところ,今回もケアレスミス,人的ミスです。人間がやることですから,ミスは避けられませんが,たとえ発生したとしても,お客様が不利益を被る前にフォローできる体制を構築するのが,組織の上に立つ者の役割ですから,私の責任であり,まだまだ至らないと実感しました。今まで以上に組織を確固たるものにしていかなければなりません。
4Gamer:
なるほど。プレイヤーの一人として期待しています。
ではそろそろ時間も押し迫ってきたので,今後のお話を聞かせてください。4月にはVS.クエストチャンピオントーナメントが開催されますが,前評判はいかがですか?
杉浦氏:
VS.クエスト チャンピオントーナメントは,おかげさまで大変好調です。今回の開催で,全会場合計の参加希望者数は,過去最高になりました。引き続き,全都道府県制覇を目指して開催していきますので,ぜひ多くの皆さんに参加していただきたいです。
またネットカフェでは,デュラガウアの先行体験,ゴールデンウィーク中にはグループキャンペーンを実施します。これはお友達と一緒にプレイすると,アイテムをもらえるというものです。
4Gamer:
それでは最後の質問を。MHFにとっての2010年は,3周年の節目を迎えると同時に,Xbox 360版の登場など大きな展開を見せます。その意気込みなどをお聞かせください。
杉浦氏:
まずXbox 360版については,近いうちに別の形でお話することになります。それが一段落すれば,今度は秋冬の見通しをお話できる予定です。
そんな中で実施されるシーズン8.0は,2010年最初の重要な大型アップデートですし,またPC版単独では最後のアップデートでもあります。これが「Xbox 360版の準備で手を抜いたんじゃないか」と言われないように,ゲームの基本となるクエストや武器に力を入れました。またアイテムボックスをはじめ,新スタイルなど,皆さんのご要望の多かった部分もかなり頑張っています。
新モンスターのデュラガウアに,下位からガチで挑戦できるというのも一つの大きなポイントです。お客様視点で考えた結果なので,ぜひアンケートなどで意見をお寄せください。
4Gamer:
ありがとうございました。
MHFは,7月に正式サービス開始から3年目を迎える。正式サービス開始以降,新モンスターをはじめとしたコンテンツが続々と定期的に追加され,狩人祭や大討伐クエストといった,4人プレイの枠を超えて多くのプレイヤーが協力するコンテンツも登場した。
とはいえ,基本となる「モンスターを狩って」「素材を集めて武具を作り」「より強いモンスターに挑戦する」という遊び方は変わっていない。さすがに3年が経ち,HR500を超えるほど遊び倒せば,マンネリを感じる人もいるだろう。
しかし「モンスターハンター」としての基本を変えてしまっては本末転倒……と,MHFの運営/開発チームが熟慮した結果が,秘伝書システムを中心とする新要素である。その中に武器の新スタイルや,モンスターの新モーションなど,サービス開始直後からあった要望に対する答えも盛り込んでいる。かなり魅力的に見えるのは,筆者だけではないだろう。
なお,6月にPC版でシーズン8.5が実装されたのち,7月7日からはXbox 360版の正式サービスも開始される。シーズン8.5およびXbox 360版の情報は,4Gamerでも随時お知らせしていくので,いましばらくお待ちいただきたい。
- 関連タイトル:
モンスターハンター フロンティアZ
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