インタビュー
「MHF」初の海竜種・クアルセプスに加え,ついに“奇種”が登場――「フォワード.4 “荒天貫く閃晶の瞬き”」について,杉浦氏と宮下氏にインタビュー
4Gamerでは,恒例となっているアップデート直前インタビューだが,今回も実装される新コンテンツの内容や昨今のプレイヤー動向,そして今後の展開などを,プロデューサーの杉浦一徳氏とアシスタントプロデューサーの宮下輝樹氏のお二人に詳しく聞いてきた。なお,カプコンの組織変更に伴い,杉浦氏は運営プロデューサーからプロデューサーに,宮下氏は運営ディレクターからアシスタントプロデューサーへと,その肩書や「MHF」への関わり方が変わっている。
「フォワード.4 “荒天貫く閃晶の瞬き”」プレビューサイト
「モンスターハンター フロンティア オンライン」公式サイト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
まずは,フォワード.4で実装されるモンスター,クアルセプスの特徴から教えてください。
新モンスターのクアルセプスは,「MHF」では初の海竜種で,対象ハンターランク(HR)は,71以上となる,手強いモンスターです。また,HR100以上の剛種クエストも用意します。
クアルセプスは,幼年期を海中で過ごし,成体になると陸に上がるという性質で,フィールドの天候が晴れのときと雨のときで,行動が大きく変化するというのも特徴です。
4Gamer:
それが,アップデートサブタイトルの“荒天貫く”につながるわけですね。天候の変化で行動が変化するとなると,登場フィールドはグレンゼブルと同じ高地になるのでしょうか?
杉浦氏:
高地に登場しますが,樹海頂部と砂漠のクエストも用意します。樹海頂部はずっと雨ですし,砂漠では雨が降りませんが2頭クエストになっていますから,それぞれ,高地のクエストとは感覚がだいぶ変わってきますよ。
4Gamer:
グレンゼブルのように,雨が降っているときのほうが強い,という感じになるのでしょうか?
クアルセプスは強弱ではなく,動きそのものが変わるという表現のほうが適していますね。対象HRが71以上ということからも分かるように,手応えのあるモンスターに仕上がっていると思います。私自身,テストプレイでは相当苦戦しました。
また,2頭同時に出現するクエストでは,アビオルグの「2頭討伐の証」のような特殊な素材も入手できます。ぜひ何度も挑戦して,攻略してみてください。
4Gamer:
クアルセプスの素材で生産・強化できる武器,防具は実装されるのでしょうか。
宮下氏:
クアルセプス素材で生産できるものだと,武器は属性値が高めという特徴があって,すべての武器種ではありませんが,剛種武器も用意しました。クアルセプスの防具は,一式揃えると「攻撃力UP【大】」「絶倫」などのスキルが発動します。また,FXまで強化できるようになっています。
閃晶剣リュミ(片手剣)【剛種武器】※リーチ短 |
閃晶槍フォス(ランス)【剛種武器】※リーチ極長 |
クアルシリーズ(剣士) |
クアルシリーズ(ガンナー) |
4Gamer:
モンスター関連でいうと,フォワード.3では新モンスター2体を実装したこともあって,特異個体が登場しませんでした。フォワード.4で,新しい特異個体は実装されますか?
錆びたクシャルダオラ(特異個体) |
グレンゼブル(特異個体) |
はい。フォワード.3の新モンスターであるアビオルグとタイクンザムザ自体はおおむね好評だったのですが,やはり「特異個体を実装してほしい」というリクエストが非常に多かったので,今回は錆びたクシャルダオラと,グレンゼブルの特異個体を実装します。
錆びたクシャルダオラは,外見としては錆びの色が強くなっていて,何本もの竜巻を発生させるような攻撃を仕掛けてくるのが特徴です。グレンゼブルは角がさらに長くなっているというのが外見上の特徴で,グレンゼブル特有のパワフルな攻撃が追加されています。いずれも,元となるモンスターの特徴を伸ばす進化となっている感じですね。もちろん,それぞれのクエスト報酬で新しいHC武器を生産できる素材が入手できます。
あとフォワード.4では,ようやく“奇種”モンスターが登場するんですよ。
4Gamer:
奇種という言葉自体は以前聞いたことがありますが,どのようなモンスターなのでしょう。
エスピナス奇種 |
ガノトトス奇種 |
リオレウス奇種 |
奇種の名前を出してから,もう4年近く経ってしまいましたが,変種モンスターの亜種バージョンで,HR100以上のクエストに登場します。今回は,「エスピナス奇種」「ヒプノック奇種」「リオレイア奇種」「リオレウス奇種」「ガノトトス奇種」の5体を用意しました。
4Gamer:
奇種が登場するクエストの難易度はどの程度でしょうか。
宮下氏:
正直に申し上げますと,変種と大きな差はないので,原種と亜種の違いと同程度だと考えてくださってかまいません。奇種クエストの報酬素材では,特別なSP装飾品が生産可能になります。新しいものを数十種類用意していますので,ぜひ生産して使ってみてください。
4Gamer:
新しいSP装飾品で発動するスキルには,どのようなものがありますか?
宮下氏:
詳しくは,アップデート後に実際にプレイして確認していただきたいのですが,たとえば,「攻撃+25」や「高速設置+15/武器捌き+10/食事+10」が発動するものなど,高性能なものが多いです。
4Gamer:
それはすごい性能ですね……。
宮下氏:
ええ。変種が登場した直後ならともかく,剛種や特異個体が実装されている今の「MHF」では,奇種を実装したというだけでは,お客様がプレイする価値のあるものにはなりません。プレイしていただくモチベーションを高めるためにも,フォワード.4で実装する新しいSP装飾品と組み合わせるのがいいだろう,ということになったんです。
4Gamer:
なるほど。フォワード.3で2体の新モンスターが実装されるという話を聞いたときには,フォワード.4のモンスター関連のコンテンツがボリューム不足に見えてしまうのではないかと思っていたんですが,それも杞憂に終わりそうですね。
杉浦氏:
ええ。ボリュームがあってバランスもいいラインナップになっていると思いますので,さまざまなお客様に楽しんでいただけることを,期待しています。
宮下氏:
これまでのアップデートでもそうですが,それぞれのモンスターはフォワード.4実装直後にまとめてではなく,ある程度,時期をずらして実装することになります。
やはり,新モンスターはアップデートの目玉ですから,まずはそこを楽しんでいただきたいですね。やり込み系のお客様には,そのあと投入していく特異個体をじっくりプレイしていただければと考えています。
「小出しにするな」とお叱りを受けてしまうかもしれませんが,次のアップデートまで継続して新鮮さを提供していきたいという想いもありますので,そこはどうか,ご理解いただければと思います。
“白”とは性能の異なる“赤”の秘伝防具が登場。武器倍率上限の開放は「マイミッション」で実現
4Gamer:
フォワード.4では,スキルランク(SR)ハンター向けの「秘伝書」システムにも新たな要素が加わるそうですが,どのようなものになりますか?
はい。秘伝書をご利用いただいているSRハンター向けに,新しく“赤い”秘伝防具を用意しました。スキルについては,従来の秘伝防具(白)とはすべて異なるベクトルにしています。もちろん,11武器種分すべてを実装します。
4Gamer:
従来の秘伝防具(白)と,同じ素材で生産できるんですか?
杉浦氏:
秘伝防具(赤)の生産素材は,秘伝防具(白)と基本的には同じですが,必要とされるHC素材が異なります。入手難度は,赤と白でほぼ同等といったところです。
4Gamer:
今まで,秘伝防具(白)のスキルが魅力的でないと感じていた人も,生産しようという気になれるかもしれませんね。
宮下氏:
秘伝防具の専用スキルは,赤と白の混合装備でも発動するようになっています。今まで,秘伝防具(白)のスキルが自分のプレイスタイルと合わないと感じていた方も,秘伝防具(赤)と組み合わせればスキル構成も変えられるので,より対応の幅が広がるはずだと考えています。
ちなみに,大剣の秘伝防具(赤)では,今回実装される新スキルのうち「剣術」が発動するようになっています。
4Gamer:
新スキル「剣術」は,どのような効果が発動するんですか?
宮下氏:
「剣術」は,スキルポイント数に応じて効果が変わるタイプのスキルで,2段階あります。1段階目は「弾かれ無効」で,2段階目はそれに加えて,ヒット回数が1回増えます。ヒットストップもあるので,ヒット回数が増えた効果は,実感しやすいと思います。
また,新スキルとしては,「耐状態異常」というものも実装するのですが,1段階目が麻痺/睡眠/毒など状態異常すべての効果半減,2段階目は全状態異常無効という効果になります。
4Gamer:
単刀直入に聞きますが,秘伝防具(赤)に「匠」のスキルが付くものはありますか? 多くのプレイヤーが期待しているところだと思うのですが。
宮下氏:
確かに,秘伝防具で匠が発動するようにしてほしいというリクエストは多いのですが,秘伝防具(白)とのバランスが著しく崩れてしまうので,秘伝防具(赤)に匠が発動するものは用意していないんです。
私は,以前から「秘伝防具をもっと強くしよう」「匠も付けよう」と主張しているんですが,宮下がなかなか首を縦に振らないんですよ(笑)。
宮下氏:
ただ,フォワード.5では,白と赤の秘伝防具を全部位揃えたら,さらにスキルが追加で発動するような仕掛けを導入しようと考えているんです。もしかしたら,そこで匠が発動するように……。
4Gamer:
もしそうだとしたら,秘伝防具を集めている人にとっては朗報になりますね。ぜひ前向きに検討してください。
宮下氏:
あと秘伝書関連では,有料サービスになりますが,フォワード.4で新たに「秘伝書コース」が設置されます。3日間980円で,秘伝書用の報酬素材が2倍になったり,防御力のマイナス補正がなくなったり,武器のレア度制限が緩和されたりといった特典が付与されます。また,アシストコースと併用すると,レジェンドラスタがさらに強くなるという効果も持たせています。
4Gamer:
防御力のマイナス補正や武器のレア度制限が緩和されるのは,SRデビューしたてのプレイヤーには魅力的に映りそうですね。
武器防具関連の話に戻りますが,フォワード.4で剛種防具や進化武器は実装されますか?
剛種防具には,新しくクシャルダオラをモチーフにした「ウィンド」シリーズが登場します。「クシャル」シリーズよりも,さらに洗練された雰囲気に仕上がっていると思います。
進化武器は,たいへんお待たせしてしまっていたヘビィボウガンが登場します。ライトボウガンと同様に,専用弾が撃てるというのが特徴ですが,専用弾の内容はライトボウガンとはかなり異なっています。
たとえば,「龍爆撃弾」は,放物線を描くように弾が飛んでいって,フィールドに着弾すると,龍属性の火柱が上がります。火柱が上がっている間は,その上にいるモンスターにダメージが入るようになっているんです。プロモーションムービーでも確認できますが,威力はもちろん見た目も派手ですし,かなり特徴は出せたのではないかと思います。
それから剛種武器についてですが,生産に使用する「討伐の証」の数を,ライトボウガンを除く武器種で軽減します。
大蛇ノ重弩 |
大蛇ノ重弩【絢爛】 |
大蛇ノ重弩【燦然】 |
大蛇ノ重弩【煌然】 |
4Gamer:
なぜ,このタイミングで剛種武器に必要な証の数を減らしたのでしょう。
今回,剛種武器の生産に必要な証の数を減らしたのは,剛種武器を所持していないお客様と,すでに何らかの剛種武器を持っているお客様が,一緒に狩りに出かけやすくしたい,という想いからなんです。やはり,剛種武器を持っている/持っていないというところで,一緒に狩りに出かけるのに躊躇してしまうような状況がまだあるのは事実ですから。
「MHF」も長くサービスを続けていますから,ある程度以上の期間プレイしてくださっているお客様の多くは,何かしらの剛種武器を所持しています。その一方で,新規に始められたお客様にとって,剛種武器作成までの道のりは,大変長く感じられるものです。
長い時間をかけて剛種武器を作ったお客様は,いろいろとご不満もあるとは思いますが,ゲーム内の活性化を目指しての施策ですので,ご理解をいただければと思います。
4Gamer:
なるほど。先日開催された,剛種武器が最大11本入手できるイベント「チャレンジ!剛種クエスト!」なども,剛種武器の所持プレイヤーを増やすためだったわけですね。
宮下氏:
そういう意味合いもあります。また,長らくプレイしていただいているお客様でも,剛種武器をまだお持ちでない方が多かったんです。「チャレンジ!剛種クエスト!」のあと,初めて剛種ヘビィボウガンの「排熱噴射機構」を体験した,というご意見をいただいたくらいですから。
4Gamer:
確か,剛種クエストを20回以上クリアしたら,最大で11本の剛種武器をもらえたんですよね。
我々が想定していた以上に,プレイヤーの皆さんがイベントに真剣に参加してくださった印象です。普段はあまり剛種クエストに挑戦しない方にも参加していただけて,期間中の剛種クエスト受注数もグッと上がりました。とくに,最終日の受注数はすごかったです。
最終的に,プレイヤーの皆さんには約99万本の剛種武器をお配りしたのですが,定期メンテナンスが定刻に終わるかどうか心配になるくらい,付与作業はたいへんだったんです。無事,時間内に終わって胸をなで下ろしたのは,今でもよく覚えています(笑)。
4Gamer:
あと,武器関連では,ガンランスとヘビィボウガンのバランス調整を行う,という告知が事前になされていましたよね。調整はどのような形になったのでしょうか。
宮下氏:
率直に申し上げますと,性能が劇的に向上するほどの修正ではないので,かなりやり込んだ方が「少し良くなった」と感じる程度,と表現するのが適切かもしれません。
実装前に「これだけ性能を上げました」と発言してしまうと,実際に遊んだときに肩透かしに感じる方もいらっしゃるでしょうから,そこは正直な話,あまり大きな期待をしていただかないほうがいいかもしれません。
もちろん私達も,武器種それぞれを強くしたいと思って上方修正に取り組んでいるのですが,ほかの武器種との兼ね合いもあって,既存の何倍もの性能にすることはできません。やはり,お客様全体に納得していただく調整を行うのはなかなか難しいですね。
杉浦氏:
上方修正という言葉の受け取り方も,お客様によって異なりますし。とくにガンランスとヘビィボウガンは“熱い”お客様に支えられている武器種ですから。修正の結果はフォワード.4実装後にゲーム内で確認していただいて,ご意見をいただければと思います。
4Gamer:
そのほか,武器・防具関連で実装されるものには,どのようなものがありますか?
宮下氏:
武器では,ゴゴモアをモチーフにした剛種武器や,BP進化武器などを追加します。
防具では,ブースターパック防具とプレミアムキットでも,防具が追加されます。中でもブースターパック防具は,デュラガウアをモチーフとしたもので,走ると腰部位の防具に付いた尻尾が揺れる,というギミックを入れています。
キュビィシリーズ |
シエナシリーズ |
4Gamer:
以前から改善の課題に上がっていた,武器倍率上限の撤廃はどうなりましたか?
宮下氏:
たいへんお待たせいたしましたが,フォワード.4でようやく実装の運びとなりました。新しく実装する「マイミッション」を進めていくことで,武器倍率上限が徐々に開放されるようになります。
“マイ”と付いていることからも分かると思いますが,「マイミッション」は,マイトレやマイガーデンなど,マイシリーズの新コンテンツなんです。
マイミッションは,HR500以上のハンターを対象にしたコンテンツです。教官から受けるさまざまなミッションを達成していくことで,ハンター自身が成長したり,専用ルームの内装が豪華になったりと,さまざまなメリットが受けられるようになります。
宮下氏:
SR 500以上のハンター向けの「秘伝書育成ミッション」では,達成すると武器倍率の上限が開放されるほかにも,HCクエストでの被ダメージ量が軽減されるなど,ハンターにメリットのある項目がアンロックされていきます。
4Gamer:
秘伝書育成ミッションは,どのような流れで進んでいくのでしょうか。
杉浦氏:
武器種ごとなので,全部で11のカテゴリに分かれています。それぞれ,ミッションを1つクリアしたら次のミッションを受託できるというように,1つずつ段階を踏んでいく形です。
4Gamer:
どのくらいの数が用意されるんですか?
宮下氏:
ミッションは,武器種ごとに140段階を用意しています。特異個体のティガレックスを特定数討伐するなど,内容はさまざまです。
4Gamer:
それはまた,全部クリアするのがたいへんそうですね……。
確かに,そういった印象を受ける方もいるとは思いますが,長期達成型のコンテンツとして企画していますので,ご自分のペースでゆっくりプレイしていただければと思います。ちなみに,フォワード.5ではさらにミッションが追加される予定です。
また,SRハンターになると,秘伝書の素材集めが面倒というご意見もいただきます。さすがに秘伝書自体の緩和は難しいのですが,ミッションの達成や,専用ルームにある装飾の充実などを目標にすることで,作業感が緩和できればいいな,と期待している部分もあるんです。
宮下氏:
実は,マイミッションの専用ルームは,フォワード.2の情報公開で,“フォワード.3の次回予告”として掲出したものなんです。ずっと先送りになっていたコンテンツなのですが,ようやく実装の運びとなりました。
4Gamer:
専用ルームの装飾ができるとのことですが,マイルームのような感じと考えればいいんですかね。
宮下氏:
専用ルームでは,秘伝書を入手すると,武器種に応じたタペストリーのようなものが飾られます。さらに秘伝防具を入手すると,武具人形が現れて,獲得した秘伝防具が飾られます。
また,秘伝防具の全部位をFXまで強化すると,きらきら光るエフェクトもかかるようになります。揃えるのはかなりたいへんだとは思いますが,全部揃えるのを目指してほしいと思います。
ちなみに,専用ルームはいわば称号のようなものなので,ハンター自身が秘伝防具を着ても,専用ルームの武具人形には影響ありません。
4Gamer:
では,今回実装される秘伝防具(赤)を生産した場合はどうなるのでしょう?
宮下氏:
秘伝防具(赤)を生産した場合も,秘伝防具(白)が専用ルームに飾られます。
4Gamer:
それは少し残念ですね。できれば,白と赤を選んで展示できるようになるといいのですが。
ところで,現在どのくらいのプレイヤーが秘伝防具(白)を所持しているんですか?
宮下氏:
1武器種の秘伝防具を揃えているお客様は,全体の3割程度といったところです。ちなみに,複数武器種の秘伝書を持っているお客様は,現時点で全体の5割近くいらっしゃいます。
4Gamer:
そのほか,マイシリーズで追加される要素にはどのようなものがあるのでしょう。
ホルクはレベル3まで解放されます。レベル3になると羽根や尻尾など見た目が立派になりますし,さらに強くなります。たとえば,クエストメンバー4人が全員レベル3のホルクを連れている場合,クエストのクリアタイムが少し短くなるくらい強いです。また,新しい「学びの書」もいくつか用意したので,引き続きやり込み要素としてお楽しみいただきたいですね。
グークは4匹まで飼えるようになるので,マイガーデンがさらににぎやかになると思います。4匹ともなると,面倒を見るのもたいへんになるでしょうけど(笑)。
もちろん,お部屋パーツとグークの服,グークの新色も用意しました。また,フォワード.3で実装した,お遊びアイテムも追加しています。打ち上げるとグークの形になる花火などもありますので,フォワード.4実装後に,ぜひ試してみてください。
4Gamer:
グークは,なんだかんだでアップデートごとに新要素が追加され続けていますし,プレイヤーの評判もよさそうですね。杉浦さんは,実装当初は“愛でるだけ”とおっしゃっていましたが,かけたコストに対する効果も出てきたというところでしょうか。
杉浦氏:
グークは,直接クエストと関係しないので話題には上りづらいですが,データ上で見ると,多くのお客様に可愛がっていただいているという感じなんです。
実装する手間に対する効果は出ている,という認識はあります。ただ,グークの開発自体に少々入れ込み過ぎなところがあるので,ほかのリファインにもっと力を注いだほうがいいんじゃないかと思うこともあります(笑)。
4Gamer:
あと,フォワード.3のプレビューサイトでは,フォワード.4の次回予告として意味深な画像が公開されていましたよね。
杉浦氏:
お客様にはたいへんご迷惑をおかけしてしまい申し訳ないのですが,フォワード.3のプレビューサイト次回予告で公開した新しいコンテンツの実装を,フォワード.5に延期させてもらうことにいたしました。
実は,「狩猟技クエスト」のリファインとして用意した新しい部屋だったのですが,システムの調整が間に合わず,今回は実装見送りとさせていただくこととなりました。フォワード.5では新たな狩猟技コンテンツとして,お客様に楽しんでいただけるよう調整を行っておりますので,今しばらくお待ちください。
初心者プレイヤーに向けて,新たなサポートハンター「フォスタ」を実装。ソロプレイでも4人パーティでクエストに挑戦できる
4Gamer:
ここまで話を聞いてきた感じとしては,フォワード.4はベテランプレイヤー向けの施策が中心という印象です。例年,春先のアップデートでは,新規プレイヤーに着目したコンテンツが追加されることが多かったので,少し意外に感じたのですが。
宮下氏:
「MHF」はサービス開始から5年近く経過していることもあって,お客様の平均HR/SRランクが,けっこう高くなってきています。そこで,新規向けだけでなく,ベテラン向けの施策も合わせて展開しましょう,ということです。
もちろん,今回のアップデートでもこの春に「MHF」デビューするお客様向けの施策も用意しています。最も大きい要素だと,フォワード.4では新たに「フォスタ」が利用できるようになります。
4Gamer:
フォスタとは何ですか?
簡単にいえば,誰でも利用できるラスタ(頼狩人)ですね。ラスタは,HR11以上のハンターが,ほかのハンターと契約することで利用できる仕組みですが,フォスタは契約などの手続きなしに,HR1から誰でも利用できます。
またフォスタは,クエスト中に攻略のヒントを教えてくれるといった形でも,初心者ハンターをサポートしてくれるんです。
フォスタは2人までクエストに同行してくれるので,HR10までは教官ラスタ,HR11以上で契約可能なラスタ/レジェンドラスタを加えれば,「MHF」を始めたばかりの方でも,最初から4人パーティでクエストに出かけられるようになります。
4Gamer:
時間帯によっては,クエストメンバーが集まらないこともありますし,初心者だけでなく,ベテランプレイヤーにとっても嬉しい話ですね。
プレイヤーがパーティに参加した人数に応じて,ラスタやレジェンドラスタはパーティから外れる仕様になっていますが,フォスタの場合はどうなりますか?
宮下氏:
レジェンドラスタ,ラスタ,フォスタの順で判定されるので,フォスタの優先度は一番低くなります。ほかのハンターを加えた人数が4人未満の場合,レジェンドラスタ/ラスタ/フォスタの順でクエストに加わります。
また,フォスタは何人もいて武器種もさまざまです。その中からどのフォスタが参加するかは,クエストに行ってみないと分かりません。
フォスタは,遊ばれている方のHR相応の武器や防具を装備していて,ハンターのHRが上がると,それに応じてフォスタの装備する武具もいいものに変化していきます。
4Gamer:
SRハンターの場合,フォスタの強さはどうなるのでしょう?
宮下氏:
クエストに参加するフォスタはHR100相当になります。ですから,低SR帯のときは,そこそこ楽にクエストをクリアできるようになるかもしれません。
4Gamer:
確認ですが,フォスタはハンターライフコースに加入していれば利用できるんですよね。
宮下氏:
はい。ハンターライフコースのみで利用できます。
4Gamer:
ほかに,初心者向けに実装される要素はありますか?
フォワード.4の初心者向け施策の大きなテーマの一つなのですが,「狩人キャンプ」を止めて,最初にゲームを始めたときの流れに,大幅に手を入れました。
今までは,ゲームを始めると見習い教官ネコに強制的に狩人キャンプに連れて行かれてチュートリアルを受ける流れになっていましたが,これを思い切ってやめました。
フォワード.4以降は,キャラクター作成の最後に武器種を選ぶようになるのですが,これまでのような採集などのチュートリアルは全部省いて,いきなり大型モンスターを狩猟して,その素材で武器を作れる,というところまでを,5分程度で体験していただけるようにしました。
4Gamer:
いきなり狩猟ですか。モンスターを狩る醍醐味を味わうという意味ではいいと思いますが,ちょっとハードルが高いのではないでしょうか。
宮下氏:
最初に遭遇するのはゴゴモアなんですが,教官ラスタが一緒ですし,体力などもかなり低めに設定してあるので大丈夫でしょう。おそらく,簡単にクリアできるはずです。
また,新人猟団に強制的に加入するという仕組みも止めて,初めてのクエスト後に,教官が猟団の説明をしてくれるという形に変更しました。猟団の仕組みの説明を受けたあとに,「猟団への入団希望者リスト」にエントリーするかどうか聞かれるので,どうするかを決めたらチュートリアルは終わりです。リストへのエントリーも非常に簡単で,教官の言葉に沿ってボタンを押していくだけで登録できます。
4Gamer:
なるほど。説明に沿ってプレイしているだけで,ほかのプレイヤーとつながる直前まで導線が用意されるというようなお膳立てがあったほうが,交流を活性化させられそうですね。
杉浦氏:
ええ。そういったユーザーフレンドリーな部分というのは,ソーシャルゲームに学ぶべきところが多いので,優れた部分を「MHF」に採り入れていけるよう,MHFチームのスタッフに「みんなと モンハン カードマスター」をプレイすることを勧めているんです。
このような取り組みにはゴールがなく,一つ課題を解決しても「もっとこうしたほうがいいんじゃないか」と,新たな課題が生まれるものです。今後もしっかりと工数を割くというスタンスは変えず,逐次改善していきます。
4Gamer:
「猟団への入団希望者リスト」はどのようなものになるんですか?
宮下氏:
猟団に入団したいというハンターの名前がただ並ぶだけでなく,たとえばプレイする時間のように,ある程度のプレイ志向が分かるものになります。そのあたりは,入団希望者リストの登録時に,簡単なアンケートで聞いたものが反映されます。
4Gamer:
入団希望者リストは,誰でも見られるのでしょうか。
宮下氏:
見るだけなら誰でもできます。ただ,希望者が多くの人から勧誘されるようなことになると混乱するので,それを避けるために,入団希望者リストからの勧誘は,猟団長しかできないようにしています。
4Gamer:
メゼポルタ広場関連で,初心者向けの要素以外での変更点はありますか?
宮下氏:
まず,クエストの参加募集時に,「誰でも参加していい」という意思表示ができるよう,「ヘルプ」を表示できるようにしました。また,SRハンター向けとなりますが,これまでの食事よりも1ランク高い効果を得られる,新しい食事レシピを追加します。食材はHCクエストの報酬で入手することになります。ただ,効果を高めすぎると,“縛り”などの問題が生じるかもしれませんから,そこそこの効果に留めています。
4Gamer:
あと,メゼポルタ広場の小エクストラボックスで,アイテムセットを呼び出せるようになるそうですが。
宮下氏:
ええ。以前からリクエストの多かった部分なのですが,今回ようやく実現できました。エクストラコースを利用している方だけとなってしまいますが,小エクストラボックスでは,4種類のアイテムセットを呼び出せるようになります。
4Gamer:
そのほか,有料サービス関連での新要素はありますか?
宮下氏:
イメチェンサービスに,若本規夫さんや釘宮理恵さんをはじめ,男女3名ずつの人気声優陣による新ボイスを追加しました。ちなみに,フォワード.4から,プレミアムパッケージの新特典として「イメチェンポイント」を付けましたので,パッケージを購入いただいた方なら,追加で料金をお支払いいただかなくても,新ボイスに変更できるようになります。
4Gamer:
そう言えば,パッケージの特典が,また豪華になりましたよね。
杉浦氏:
プレミアムパッケージは,もともと新規のお客様向けに始めたものだったのですが,かなりの割合で,継続して「MHF」をプレイしているお客様にもご購入いただいているんです。
新規以外のお客様に「買った意味がない」と思われるような内容では申し訳が立たないので,内容には気を遣っています。たとえば,フォワード.3のプレミアムパッケージでいうと,特典防具をFZまで強化できるように変更しました。
またフォワード.4のプレミアムパッケージでは,今話に出たイメチェンポイントだけでなく,剛種チケットを50枚,HCチケットを100枚入手できるようになっています。ご好評をいただいているNポイントも,今回から250ポイントに増やしました。
4Gamer:
剛種チケットとHCチケットも入手できるようになるんですね。
杉浦氏:
やはりお金をお支払いいただくものですから,価格以上の価値があるものにしたつもりです。これまで特典としてきた部分もほぼ残していますから,フォワード.4は16大特典という状態になってしまいました(笑)。
新規のお客様には,数が多すぎてありがたみが分からないのでは,という懸念はあるのですが,一度増やしたものを減らすわけにもいかないのが,悩みどころですが……。
4Gamer:
ちなみに,アップデートごとのパッケージ売上本数は,どのくらいの数なんでしょうか。
杉浦氏:
PC版では,平均すると1パッケージあたり5万本前後です。好調なときは7〜8万本までいくこともありますね。
4Gamer:
パッケージごとの売上に差が出る理由は,どのように分析していますか?
杉浦氏:
武具の性能ですね。性能を上方修正すると,スッと売上が伸びることもありますから。言い換えれば,売上本数は既存のお客様の評判に左右されるとも言えます。
4Gamer:
新規でパッケージを買う人の割合はどのくらいなのでしょう。
杉浦氏:
平均すると,全体の4割前後ですね。もともと店頭販促の意味を込めて始めた施策ですから,十分な成果を挙げていると言えます。
4Gamer:
ちなみに「MHF」は,もうすぐサービス開始から5周年を迎えますが,5年間継続して遊んでいる人はどのくらいいるんですか?
杉浦氏:
オープンβテストから遊んでいるというお客様が4割以上いらっしゃいます。平均継続期間でいうと,1か月だけ遊んで離脱される方も多いので,3か月くらいですね。
「MHF」チームでは開発・運営の垣根をなくし,より迅速な対応で快適な環境作りを目指す
4Gamer:
それでは,フォワード.3を振り返っての所感を教えてください。フォワード.3では,2種類の新モンスターを実装したのが一番の目玉だったと思いますが,評判はどうでしたか?
杉浦氏:
2体実装に関しては,非常に反響がありました。
タイクンザムザの実装時期を意図的にずらした部分については,残念というご意見もいただきましたが,これは我々のビジネス上の戦略でもありますから,ご理解いただけると幸いです。
アビオルグは,ほかのモンスターハンターシリーズで獣竜種の狩猟を体験されているお客様も多いせいか,それなりの反応という感じでした。タイクンザムザは評判がよかったですね。モーションや攻撃パターンなど,全般的に好評でした。
アビオルグでは,生産できる武具の性能について,厳しいご意見をいただきました。実際,クエストの受注傾向にも現れていて,数回プレイしたら終わりで,武具を作るところまで伸びていないんです。これは今後の課題として,真摯に受け止めています。
4Gamer:
では,1日3回限定のポイントボーナスの効果はどうでしたか?
杉浦氏:
これは,効果が如実に現れましたね。デイリーのログイン率が,約18%上昇しました。それに伴ってマンスリーの同時接続者数も上がっています。
4Gamer:
クエストの受注数はどうでしょう? 3回だけやってログアウトしてしまう人も増えたんじゃないでしょうか。
杉浦氏:
個別の傾向までは具体的に確認していないのですが,デイリーのログイン率が18%上がったにも関わらず,同時接続者数上昇の伸びが18%に届いていないことを考えると,少しだけ遊んでログアウトする,というお客様の率が増えたのは確かだと思います。
ただ,我々が重視しているのは,継続的に「MHF」にログインしていただくことですから,非常に成果が出たと捉えていますし,あまり気にしていません。おかげ様で,第50回狩人祭の入魂数も,目標を大きく上回る2億7000魂を記録しました。
4Gamer:
そのほか,「フィーチャーウェポン」も導入されましたが,武器種の使用割合に変化などは生じましたか?
杉浦氏:
正直なところ,フィーチャーウェポンの効果に魅力がなかったのか,自分の得意な武器を使うお客様が多いのか,あまり変化はありませんでした。
宮下氏:
見た目に変化があると,皆さん喜んで試していただけるんですけどね。フィーチャーウェポンは見た目に変化がないものも多いので,その影響があったのかもしれません。
杉浦氏:
フィーチャーウェポンに効果が出ていないのであれば,何らかの見直しをしていく必要があると思います。
4Gamer:
最後になりますが,フォワード.4と2012年7月に迎える「MHF」5周年に向けて,お二人の抱負をお願いします。
フォワード.3では,ご好評をいただいた部分も多かったのですが,お客様が期待を寄せる目玉コンテンツや公式狩猟大会で,不具合を出してしまうという失敗があり,反省点の多いアップデートでした。不具合を完全になくすというのは困難なところもありますが,フォワード.4ではできる限り不具合が発生しないよう,尽力します。
またこれからは,5周年のアニバーサリーに向けて,ゲーム内イベントやキャンペーンなどで,どんどん盛り上げていきます。フォワード.4,そしてアニバーサリーと楽しんでいただけるよう取り組んでいきますので,よろしくお願いいたします。
5年というのは,一つのいい区切りだと捉えています。今年の秋には,大規模なオフラインイベントの開催を予定しています。会場では,お客様にきちんと今後のマイルストーンをご説明させていただくことをはじめ,ゲーム内のプレイデータに応じたリアルアイテムのプレゼントや,アトラクションなども計画していますので,ご期待ください。
また,2012年4月から社内体制が変わり,私が小野から「MHF」のプロジェクトのプロデューサーを正式に引き継ぐことになりました。これを機に,「MHF」チームの開発と運営の垣根をなくし,まとめて1つのチームにしています。基本的な部分は変わらないのですが,今まで以上にスピーディな運営・開発を目指します。
今のところ,次回以降のアップデートも非常にいい内容になるという感触を得ていますが,2012年は,刺激のある他社の大型タイトルも多く登場します。それに対抗すべく,チーム一丸となって全力で取り組まなければならないと考えています。一方,お客様からは「5年経過したのに,まだ不具合が多い」という指摘をいただいていることも,きちんと受け止めなければなりません。数字が好調なことにあぐらをかくのではなく,常に緊張感と目標を持って,さらなるスキルアップに取り組んでいきます。
お客様からの評価で100点をいただくのは難しいとは思いますが,絶対に99点は取るつもりで頑張っていきますので,これからも「MHF」をよろしくお願いいたします。
4Gamer:
ありがとうございました。
カプコン社内および「MHF」チームの体制が変更されたことに伴い,アシスタントプロデューサーに就任した宮下氏だが,今後は,このインタビューのような場での露出が増えていくとのことだ。なお杉浦氏はプロデューサーとして,今後も引き続き「MHF」に携わっていくとのことなので,ご安心を。
インタビュー中でも触れてきたとおり,フォワード.4は各種モンスターの追加をはじめ,かなりのボリュームとなる上,初心者の導線にソーシャルゲーム的な要素を取り入れるなど新たな試みを行っている。日本で展開されるオンラインゲームタイトルの多くで,サービスの継続期間が長期化するにつれ,アップデートの間隔が広くなったり,システム/コンテンツが陳腐化していったりする中,5年を経て今なお定期的かつ建設的なアップデートを続ける「MHF」の存在は非常に心強い存在と言えるだろう。
まずは,5月23日に実装される,フォワード.4アップデートを満喫してほしい。
「フォワード.4 “荒天貫く閃晶の瞬き”」プレビューサイト
「モンスターハンター フロンティア オンライン」公式サイト
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モンスターハンター フロンティアZ
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