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「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた
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印刷2012/10/12 17:35

インタビュー

「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた

画像集#001のサムネイル/「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた
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 カプコンは,オンラインアクション「モンスターハンター フロンティア オンライン」PC / Xbox 360,以下「MHF」)の大型アップデート「フォワード.5 “砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」を2012年10月17日に実施する。
 以前お伝えしたとおり,「MHF」は2013年4月17日に実施されるアップデートで,「モンスターハンター フロンティアG」(以下「MHF-G」)へと進化する。
 今回のフォワード.5は,「MHF」として行われる最後のアップデートであり,「MHF-G」へとつながる重要な位置付けとなるものだ。4Gamerでは,フォワード.5の内容と「MHF-G」について,プロデューサーの杉浦一徳氏,アシスタントプロデューサーの宮下輝樹氏の2名に話を聞かせてもらった。

「フォワード.5 “砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」プレビューサイト

「モンスターハンター フロンティア オンライン」公式サイト

「モンスターハンター フロンティアG」公式プロモーションサイト



「MHF」プロデューサーの杉浦一徳氏(写真左)
「MHF」アシスタントプロデューサーの宮下輝樹氏(写真右)
画像集#026のサムネイル/「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた

4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずはフォワード.5のコンセプトから教えてください。

画像集#027のサムネイル/「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた
杉浦氏:
 最初にお話ししておかないといけないのですが,フォワード.4を振り返ったときに,お客様の評価があまり良くなかったという反省点があります。
 ただ,先に発表させていただいたとおり,現在の「MHF」チームでは「MHF-G」の作業も並行して行っています。「MHF-G」の開発には通常アップデートの何倍もの工数がかかりますし,スタッフのリソースが有限である以上,現場として「できること」が限られてしまいます。
 このような状況だったので,厳しい選択を迫られたのですが,2012年4月に運営と開発が一体化して新体制となったときに話し合って,それでもやはりフォワード.5の開発で手を抜くようなことはせず,フォワード.4での大きな問題点をきちんと解決しようと決めたんです。
 結果として,フォワード.5では,覇種武具や狩護防具の実装,「覇種」モンスターの解禁というように,さまざまな新規コンテンツを実装することができました。

4Gamer:
 ではまず,覇種モンスターから教えてください。これまでは「UNKNOWN」としてひそかに実装されたものが,覇種としてオープンになったわけですよね。

画像集#025のサムネイル/「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた
杉浦氏:
 覇種は,私が2012年4月に再び「MHF」の陣頭指揮を取ることになったとき,遊ぶときに燃えるシチュエーションがない,つまり,狩れるかどうか分からないくらい強いモンスターと対峙するような場面がないことが,一番気になったというのが実装のきっかけでした。
 そこで,覇種という新しいモンスターを,お客様が目指すべき頂として提示しようということで,その第1弾として「UNKNOWN」をデビューさせたわけです。スタッフが大切にしていたモンスターでしたから,かなり出し渋っていたのですが,「お客様に強いモンスターを狩るシチュエーションを今こそ提供したい」と説得して,年貢を搾り取る悪代官のごとく取り上げました(笑)。

宮下氏:
 冗談抜きで,そんな感じでしたよ(笑)。

4Gamer:
 覇種防具や狩護防具の実装は,やはり秘伝防具に比肩しうる性能の防具が必要という考えからですか?

杉浦氏:
 そうですね。やはりお客様からも,クエストに着ていく防具が秘伝防具一択になってしまっていた状況について,「これは違うんじゃないか」というご意見をいただきました。
 また,「MHF」というゲームの根幹には,モンスターを狩って入手した素材で武具を作るというサイクルがあるのですが,これを尊重したいという考えもあったんです。秘伝防具生産に必要な素材集めは“紙集め”と呼ばれているように,モンスターを狩ってその素材を集めるというコンセプトと,微妙にずれている部分があります。
 ただ,すでに秘伝防具を完成させているお客様もいらっしゃいますし,「MHF」における最高峰の防具であることからも,安易に修正するわけにはいきません。そこで,特定の場面において秘伝防具を上回るような性能を持つ覇種防具を用意して,そちらは覇種モンスターの素材で生産強化する防具にしましょうということにしたんです。

4Gamer:
 なるほど。秘伝防具以外の選択肢を用意するのと,紙集めと揶揄されている状況改善という2つの目的で,覇種防具が用意されたわけですね。

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レイストHSシリーズ(剣士タイプ/ガンナータイプ)
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ルコHSシリーズ(剣士タイプ)
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アビオHSシリーズ(ガンナータイプ)
杉浦氏:
 はい。とはいえお客様の誰もが,最強と位置付けられている覇種を次々に狩って覇種防具を揃える,というのは難しいでしょう。覇種の強さに手こずるお客様であっても覇種攻略をコツコツと進められるよう,別途「狩護防具」を用意しました。

宮下氏:
 とくに狩護防具については,本来のプレイの流れを踏まえて企画したものです。「MHF」は,繰り返しプレイして,モンスターの動きのクセや弱点を覚えることで攻略していくゲームです。
 しかし,モンスターが圧倒的に強くてあっという間に力尽きてしまうようでは,なかなか攻略方法を見出すことができません。狩護防具は基本的に防御力が高いですし,一定状況下では時間経過とともに体力が回復していくというように,力尽きにくくすることに主眼を置いた防具です。最初は狩護防具を装備してクエストクリアを目標にしていただきたいという思いを込めています。

4Gamer:
 ただ,防具の種類が増えたことで,結局,何が必要なのか分かりにくくなったという人もいるかもしれません。

杉浦氏:
 秘伝防具/覇種防具/狩護防具の位置付けは,フォワード.5のプレビューサイトでも図示していますが,覇種防具は攻撃に特化,狩護防具は防御性能に特化した性能というイメージです。秘伝防具はオールラウンドな性能で,武器種ごとに特化していることが最大の特徴ですね。
 それぞれ意図の異なる防具ですので,使い分けを迷うような事態は生じにくいんじゃないかと考えています。それぞれ,お客様のプレイスタイルやクエストの内容に応じて,使い分けていただくといいのではないでしょうか。

4Gamer:
 覇種防具や狩護防具が実装されることで,防具関連は落ち着く感じでしょうか。

杉浦氏:
 狩護防具はまだまだ種類が少ないので,派生できる防具をもっと増やしたいという気持ちがあります。どの防具の派生先に狩護防具を追加するかは,フォワード.5で,お客様がどういう風に使っていただくかを見てから決めていきたいです。


オディバトラスはフォワード.5実装初日から覇種にも挑戦可能


4Gamer:
 では,フォワード.5の新モンスターについてお聞きします。オディバトラスは,ハンターランク(HR)100以上の剛種クエスト,スキルランク(SR)100以上のHC剛種クエスト,SR 300以上の覇種クエストで登場するという,ベテランプレイヤー向けのコンテンツになりますよね。「MHF」の新モンスターでHR100未満のクエストを用意しないというのは,おそらくこれが初めてのことではないですか?

オディバトラス
画像集#003のサムネイル/「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた
杉浦氏:
 フォワード.5は,「MHF-G」へとつなげるための「MHF」最後のアップデートですから,いわばラスボスのような歯応えのあるモンスターを実装しなければ,お客様の印象に残らないと思うんです。その意図から,「MHF」史上最高難度の位置付けで覇種を実装しました。
 もちろん,下位や上位のクエストを用意することもできますが,動きに変化をつけたとしても限度がありますし,下位/上位/剛種/ハードコア剛種/覇種までクエストを用意したとすると,似たようなクエストの繰り返しで食傷気味になってしまうでしょう。
 例年,秋のアップデートはベテランハンターを重視した内容にしていますし,今年は「MHF-G」の準備もしなければなりません。これまでのアップデートで低HR帯向けのMHFオリジナルモンスターも充実していますし,オディバトラスはHR100以上のハンター向け,と割り切ることにしました。

4Gamer:
 そういうことだったんですね。では,オディバトラスのデザインは,どのような経緯で決まったのでしょうか。

画像集#004のサムネイル/「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた
画像集#005のサムネイル/「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた
画像集#006のサムネイル/「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた
杉浦氏:
 新モンスターをどうするかについては,いつも悩んでいる部分なのですが,その中で「このモンスターを狩るときは燃える」と感じていただけるようなものを考え出すのは,本当に時間がかかります。
 また,「MHF」に存在する数多くのモンスターとの差別化を考えなければいけませんし,今は「MHF-G」で実装する新G級モンスター10体とのかぶりもないようにしなければいけませんから,普段よりかなり時間と手間がかかりました。
 それともう一つ,今だからこそ言えますが,例えばアクラ・ヴァシムは,とくに女性のお客様から「生理的に受け付けない」というご意見を多くいただきました。やはりプレイして不快になるような状況は,できる限り避けないといけませんから,お客様に受け入れていただけるかどうか,という点も重要です。

4Gamer:
 ただ,フォワード.5のタイミングでオディバトラスに興味を持って「MHF」を始めた人には,長い道のりになってしまいますね。

杉浦氏:
 それも考えたのですが,先に申し上げたように,新規のお客様向けコンテンツは,この5年間でかなり充実してきました。ゴゴモアにはHR3から挑戦できますし,デュラガウアやグレンゼブルも下位のクエストから登場します。上位になれば,「MHF」オリジナルモンスターのほぼすべてに挑戦できるようになります。ですから,まずはそれらを楽しんでいただきたいという気持ちがあります。
 また,オフラインイベントでは会場限定でHR/SR分布図をお見せしているのですが,HR500を達成してSRもかなり高くなっている――端的にいえば,現時点ですでに「MHF-G」の条件を満たしているお客様も,かなりの割合になっています。
 先に発表させていただいたとおり,プレミアムコースやアシストコースといったオプションサービスのいずれかを,毎月無料で提供させていただく施策も用意していますし,これから「MHF」を始めるお客様が,剛種クエストや覇種クエストに挑戦できるようになるまで,それほど長い時間はかからないと思います。

4Gamer:
 オディバトラスの素材で生産できる武器や防具には,どのような特徴があるのでしょうか。

オディバトラス素材で生産可能な覇種武器
画像集#009のサムネイル/「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた
宮下氏:
 武器は,攻撃力や会心率に特化したというイメージです。防具の性能は,実際にゲーム内で確認していただきたいのですが,剛種防具からスタートします。フォワード.5初日に,剛種クエストから覇種クエストまで実装しますから,実装のタイミングでいきなり覇種防具まで強化できます。覇種を狩れるなら生産も不可能ではない,というレベルですが(笑)。

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オディバFXシリーズ(剣士タイプ)
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オディバFXシリーズ(ガンナータイプ)

4Gamer:
 ちなみに,覇種の強さの目安はどのくらいでしょう? 「UNKNOWN」の強さくらいと見ていいのでしょうか。

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“覇種”テオ・テスカトル
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“覇種”パリアプリア
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“覇種”ドラギュロス
杉浦氏:
 「UNKNOWN」は別格の強さという位置付けでしたが,ほかの覇種もかなりパワーアップさせましたから,難度はほぼ同じと考えていただいていいと思います。最初に登場するオディバトラスは,少しだけ難度を低めに設定していますので,まずは覇種オディバトラスを狩猟してから,ほかの覇種に挑んでいただければと。
 ただ,覇種もそうですが,モンスターを強い弱いでランク付けするのは難しいですね。単純に攻撃力が強いとか体力が多いというだけではなく,モンスターごとにかなり凝った,トリッキーな特徴を持たせていますから,お客様ごとに得手不得手が出ると思います。

4Gamer:
 フォワード.5では,毎月1体ずつ覇種モンスターが登場し,それぞれ覇種防具を生産/強化できるということですが,これらの覇種防具はそれぞれ,どういった特徴を持つのでしょうか?

宮下氏:
 性能的には,ベースとなる剛種防具のものを基本的に引き継ぎ,さらに上位になるという感じです。
 また,秘伝防具ではスキルがほぼ固定化していたことの反省点でもあるのですが,覇種防具ではスキルポイントに幅をもたせていますから,さまざまなシリーズの防具から部位を取捨選択して,好みのスキルを発動しやすいようにしています。

4Gamer:
 ああ,セットで揃えても発動しない,部位ごとに異なるスキルポイントもあるわけですね。

宮下氏:
 そうです。覇種防具でも部位によって人気/不人気が生じるとは思いますが,不人気のものに修正を加えるかどうかは,お客様の反応を見ながら検討していこうと思います。

4Gamer:
 では,覇種武器は全部で何種類登場しますか?

宮下氏:
 11武器種合計で40種類以上を用意しました。基本的には,今ある天嵐武器はすべて,覇種武器へと強化できます。

4Gamer:
 今回,特異個体モンスターの素材から生産できる新しい武器や防具はありますか?

宮下氏:
 特異個体は,ゴゴモアとベルキュロスがフォワード.5で新たに登場します。これらの特異個体モンスターのクエストでは,剛種武器を天嵐武器へと強化する素材が手に入ります。いずれも,そのモンスターの持つ特徴的な攻撃パターンがより強調されていますので,ぜひご自身の目で確かめてください。

画像集#016のサムネイル/「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた 画像集#017のサムネイル/「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた
特異個体のゴゴモア
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特異個体のベルキュロス


気になる攻撃力上限の仕様変更や“秘伝防具の二重装備”はどうなる?


4Gamer:
 フォワード.5の仕様変更点についても,いくつか教えてください。
 すでに武器倍率上限の解放を秘伝書育成ミッションで行えるようになっていましたが,フォワード.5からは,SRを上げるだけで上昇できるようになりますよね。これまでミッションをクリアした人は,その行為が無駄になったりしないのですか?

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宮下氏:
 そこは大丈夫です。
 おっしゃるとおり,フォワード.5からはSRを上げると攻撃力も上がるようになることに合わせて,秘伝書育成ミッションでは,攻撃力上限を何段階かに分けて解放していく形に変更します。
 攻撃力上限解放の最大値自体もフォワード.5で引き上げますので,秘伝書育成ミッションを進めている人は,攻撃力が下がるようなことはありません。

4Gamer:
 なるほど。いわば上乗せというか,SR上昇に応じた攻撃力アップに加えて,秘伝書育成ミッションを進めただけ攻撃力の上限を引き上げられる形になるわけですね。

宮下氏:
 そういうことです。SR上げと秘伝書育成ミッションの両方を進めていただければ,最大の攻撃力を維持できるという仕組みです。

4Gamer:
 仕様変更の理由を教えてもらえますか?

宮下氏:
 もともと,秘伝書育成ミッションはSR500以上のハンターしか受託できないコンテンツで,進めるには,さらにSRを上げていく必要があります。多くのお客様から「SRを上げるのがマゾい」というご意見をいただいていたこともあり,SRを上げるモチベーションにつながればと,SRが上がれば攻撃力も上昇する仕様を実装したんです。
 ただ,SRを上げて攻撃力を上げるだけでは,武器の攻撃力が上限に到達してしまい,武器が持つ本来の攻撃力をフルに発揮できない場合があります。その攻撃力の上限を解放していくために,秘伝書育成ミッションを行うという仕組みにしています。

4Gamer:
 秘伝防具についてはどうでしょう。以前のインタビューでは,秘伝防具の紅白両方を揃えると,特殊なスキルが追加発動することを検討しているという話でしたが。

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宮下氏:
 フォワード.5で実装するのですが,装備ボックスに,秘伝二重装備のオン/オフ項目を設ける形で対応しました。
 紅白の5部位,計10部位すべてがFXレベル7まで強化済みというのが条件となりますが,クエスト装備で秘伝防具5部位を装備して,残りの秘伝防具5部位がボックス内に揃っていれば,追加スキルが発動します。クエスト装備と装備ボックスの合計で判定されますので,クエスト装備が色違いの組み合わせになっても大丈夫です。

4Gamer:
 追加スキルはどのような効果なのでしょうか。

宮下氏:
 剣士タイプは斬れ味レベル+1が発動して,ガンナータイプは秘伝書スキルの攻撃力1.2倍が1.4倍に上がります。また,武器種ごとの専用スキルも,たとえば双剣なら,「双剣技【双龍】」が「双剣技【大双龍】」へといった感じで,上位スキルになります。

4Gamer:
 以前のオフラインイベントでは,秘伝防具には人気のばらつきがあって,ヘビィボウガンが不人気だったそうですが,何かしらの対策は用意しているのでしょうか。

宮下氏:
 実は,秘伝書育成ミッションの攻撃力上限解放は,ヘビィボウガンがダントツの一番人気で,それに伴って,ヘビィボウガンの秘伝防具を取得する人も増えているんです。フォワード.5で攻撃力上昇の仕様が変わりますから,さらに状況は変わると予想しています。

4Gamer:
 ヘビィボウガンは秘伝防具実装前から攻撃力の上限に達しやすかったことから,秘伝防具にメリットを感じるプレイヤーは多くはなかったけれども,武器倍率の上限解放で状況が変わったということですね。
 では次に,狩猟技クエストのマッチング仕様の追加について教えてください。具体的にはどのように変わるのでしょうか。

宮下氏:
 見知らぬ人と腕を競ったり,自分の技量がどのくらいなのかを確認して楽しめるような要素を追加しました。
 もともとの「狩猟技クエスト」は,4人一組でクエストに出て,各ハンターが与えたダメージなどをポイント化して順位をつけるという内容です。今回は,マッチング方法にランダムを追加したり,狩猟技クエストのポイントを蓄積して段位を決めるシステムを付加したりしています。

4Gamer:
 ランダムマッチングでは,エントリーしたあとに4人揃った時点でスタートするような感じですか。

宮下氏:
 はい。NPCに参加を伝えると「試合準備室」で待機状態となり,4人揃うと自動的にクエストが選択されます。
 新しいマッチングシステムを実現しようと,以前から試行錯誤していたものですが,この試みがうまくいくようであれば,ほかの部分でも,このマッチングシステムを追加することを考えています。

4Gamer:
 ああ,求人区や自由区でクエストを連戦するようなときに,そのシステムがあったら便利かもしれませんね。
 そういえば,自由区や求人区などのリニューアルは考えていますか?

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杉浦氏:
 そこは手を入れたいと常々考えています。ただ,コミュニティに関する部分は,改善したつもりでも事前の想定とは異なる流れになることが多いので,慎重に進める必要があるんです。
 現段階では,入門区をどのように扱うか決めきれていないので,自由区や求人区については,入門区をどのような形にするか決めてからになると思います。

4Gamer:
 そのほか,フォワード.5で実装される新要素には,どのようなものがありますか?

杉浦氏:
 「グーク鍋」がありますね。これは,不要なアイテムを合成して別のアイテムにするというコンテンツです。グークは,その演出に使われています。

画像集#013のサムネイル/「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた 画像集#014のサムネイル/「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた


赤点だったフォワード.4での経験を,続くフォワード.5と「MHF-G」に生かす


4Gamer:
 ここからは,フォワード.4を振り返っての話を聞かせてください。期間中は,大型のオンラインゲームタイトルが複数本サービスインしましたよね。それらの影響はありましたか?

杉浦氏:
 「なくはない」という感じですね。フォワード.4では,実際に同時接続者数が下がってしまいましたが,私はそれを,決して競合タイトルの台頭が原因ではないと,スタッフに言い聞かせています。競合タイトルが良かったのではなく,私達が油断して自滅したんです。

4Gamer:
 自滅ですか?

画像集#031のサムネイル/「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた
杉浦氏:
 フォワード.4は,総合得点が奮わない──私としては赤点も同然でした。ただそれは,「MHF」チームが怠けていたとか手を抜いていたとかではなく,チーム全体としての最適化が図れていなかったからだという分析です。
 例えば,モンスター担当はいいものを作ろうと努力していましたし,イベントやそのほかの担当も,個別に頑張ってはいました。
 しかし,ゲームのキモとなる秘伝防具にメスを入れなかったことで,すべての評価が下がってしまいました。武具は「MHF」の最も大きな魅力であり,秘伝防具はその頂点にある存在なのですから,当たり前といえば当たり前です。
 先にお話ししたとおり,フォワード.5では,お客様が燃えるようなシチュエーションをきちんと用意し,かつ「MHF-G」につながる道を作りましょうと,もともとの予定を大幅に見直したわけです。スタッフも当初は,「MHF-G」もあるから大変だと悲鳴を上げていましたが,今は開き直ってガンガン作業を進めています。

4Gamer:
 フォワード.4の“失敗”が,今後のいい教訓になったと。

杉浦氏:
 「MHF」はもともと,外的要因による同時接続者数の変化が少ないタイトルなんです。数字が最も下がるのは,家庭用ゲーム機版のシリーズ作品が発売されたときですが,家庭用ゲーム機版で「モンスターハンター」に入ってきたお客様が,「MHF」もあることを知って新規で入ってくださるというように,いい相乗効果を生んでいます。まさに1歩下がって2歩も3歩も進むという,ありがたい状況なんですよ。

4Gamer:
 なるほど。フォワード.4で援狩人(フォスタ)を実装したことで,クエストの回転率が上がったなどの効果はありましたか?

杉浦氏:
 クエストの回転率に貢献している面はあると思います。クエストによっては,ハンターを4人集めるのに時間がかかることもありますが,フォスタの導入で,ハンターが2〜3人揃えば気軽にクエストに出発できるようになりましたから。

宮下氏:
 実際,そこそこ強いということもあって,非常によく使っていただいています。フォワード.5では,フォスタの攻撃がハンターに当たらないよう改善していますので,さらに評価が上がることも期待しています。

4Gamer:
 頼狩人(ラスタ)やレジェンドラスタ,そしてフォスタが実装されたことで,極端な話,ほかのプレイヤーとパーティを組まなくても,1人でクエストに行けるようになりましたよね。オンラインゲームとしては,ある種矛盾しているともいえるわけですが,そのあたりの理由を聞かせてください。

画像集#032のサムネイル/「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた
杉浦氏:
 フォスタやラスタには,もともと同時接続者数が少なくなったときの対策という意味合いがあります。実際に過疎化してから手を打つのではなく,そうなる前にシステムを準備しておきましょうということです。
 というのも,今はゲーム内がHRでいうと下位,上位,HR100以上,SRと,メインで遊ぶコンテンツが異なる階層に分かれています。2013年4月の「MHF-G」でG級が導入されれば,階層の分散化はさらに進行するでしょう。
 たとえば,全体の同時接続者数が3万人だとします。サービスを開始してしばらくは“同じ階層”に3万人いたとしても,数年過ぎて階層が細分化されれば,同じ階層にいるのは1万人に満たないこともあるわけです。ですから,お客様にとっては以前よりも人が減っているように感じられるんですよね。
 そういうことも考えると,フォスタやラスタが今まで以上に機能するようになると思います。


2014年春予定の新武器種開発にも着手。「MHF-G」の開発は順調に進行


4Gamer:
 それでは,今後の展開についても教えてください。フォワード.5以降,「MHF-G」まで大型アップデートが実施されないわけですが,その間はプレイヤーをどのようにつなぎとめる施策を用意しているのでしょうか。

杉浦氏:
 途中で1回,リファインアップデートの実施を予定しています。運営開発の現場としては,「MHF-G」の準備でスタッフには相当な負担がかかっているうえ,フォワード.5では当初の予定の5倍くらいの内容を詰め込んでいます。そのうえでリファインアップデートも実施となると,作業をこなせるか少し不安もあるのですが,私が見ている限り,今のスタッフの勢いなら乗り切れると信じています。

画像集#022のサムネイル/「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた
G級モンスター「天翔龍 シャンティエン」
画像集#023のサムネイル/「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた
G級モンスター「針纏竜 ヒュジキキ」
画像集#024のサムネイル/「MHF-G」へとつながる「MHF」最後の大型アップデート「フォワード.5“砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」とフォワード.4の反省点について,カプコンの杉浦一徳氏と宮下輝樹氏に聞いてきた
G級モンスター「凍海獣 ポカラドン」
4Gamer:
 新モンスターだけで考えれば,今までの大型アップデートでは1体か2体の実装でしたから,「MHF-G」はその5倍から10倍の負荷とも言えますよね。

杉浦氏:
 とはいえ,武具を含めてコアな部分はかなり固まってきました。「MHF-G」と同時に発表した新武器種も,「MHF-G3」アップデートでの実装予定ですが,もう開発に着手しています。もちろん,新武器種は「MHF」オリジナルのものになります。

4Gamer:
 新武器種は,HR下位から覇種武器に至るまで揃えるとなると,相当数を用意することになりますよね。

杉浦氏:
 もちろん,全部揃える方向で進めていますが,実際にどこまで用意できるか,物量面は大きな課題として残っています。
 現段階では,新武器種を使ったときの楽しさやアクションの格好良さといった部分を重視して開発に着手しています。最終的な着地点が見えるのは,まだまだ先の話になりそうです。

4Gamer:
 「MHF」には,この5年間で膨大なコンテンツが追加されてきましたが,「MHF-G」のタイミングで,これらのコンテンツをシステムとして整理するような計画はありますか? たとえば,武具工房のリストは100ページに迫る勢いになっていて,生産できる武器や防具を探すだけでも一苦労という状態になっていますよね。いちプレイヤーとしては,フィルタリング機能などを実装してほしいのですが。

杉浦氏:
 もちろん考えています。「MHF」は,もう6年以上前の家庭用ゲーム機のシステムがベースですから,オンラインゲームとしては,いろんな意味で限界に来ているんですよね。
「MHF-G」でユーザーインタフェースを大きく変更して改善しますし,サーバー機器もより良いものに交換する必要があると考えています。

4Gamer:
 「MHF-G」に向けた準備はたいへんだと思いますが,2013年春まで期間もありますし,プレイヤーを盛り上げるためのオフラインイベントなどの企画は予定されていますか?

宮下氏:
 今はフォワード.5の準備をしながら「MHF-G」もやらなければいけないので,かなり厳しいですが,フォワード.5で覇種を中心に楽しんでいただいて,いかに「MHF-G」に期待していただくかは,常に考えています。

杉浦氏:
 フォワード.5実装に向けて,「VS.クエスト チャンピオン トーナメント」をまたやりたいとは考えていますが,そのほかにも,お客様のご意見を反映できるようなバランステストもやりたいですし,「MHF-G」の実装が近づいたら,そのテストプレイもやりたいですね。

4Gamer:
 楽しみにしています。最後に,フォワード.5,そして「MHF-G」に期待する読者にメッセージをお願いします。

杉浦氏:
 フォワード.4では,たいへんご迷惑をおかけしました。
 フォワード.5では,私が「MHF」の陣頭指揮に復帰して,新体制の「MHF」チームと一緒にさまざまなリファインを行い,覇種をはじめ,お客様の新たな目標の確立などに取り組んでいます。フォワード.5実装後は,プレイしたうえでのお客様の反応を,「MHF-G」に生かしていきます。
 また覇種は,“フォワード”最強のモンスターという位置付けです。ぜひ“フォワード”最後のお祭りで皆さんに盛り上がっていただいて,その勢いのまま「MHF-G」につなげられればと考えています。
 ここは強調したいのですが,当初の予定にないことを私のごり押しで大量に増やしたのですが,「MHF」チームスタッフの頑張りのおかげでほぼ実現できました。スタッフには本当に感謝しています。その結果,本来「MHF」のあるべき姿が,少し戻ってきたんじゃないかと実感しています。
 お客様には,フォワード.5の内容を見ていただければ,「MHF-G」にも期待していただけるんじゃないかと考えています。ぜひご期待ください。

宮下氏:
 今は,フォワード.5実装直前の駆け込み状態なので「MHF-G」の作業を少し止めていますが,両方共スタッフ総出で取り組んでいます。フォワード.5の目玉は覇種ですので,まずは狩護防具を入手して,覇種に挑んでください。
 さらに覇種武具を作って,「MHF-G」に備えていただけるとうれしいです。そういった流れをきちんと進めていると,SRも自然に上がり,G級に挑戦する条件もクリアできると思います。覇種武具を作れば,限定G級武具をプレゼントするイベントもありますので,ぜひ,ご参加ください。

4Gamer:
 ありがとうございました。


 5周年記念オフラインイベントで,「MHF-G」の実装が2013年4月17日と発表され大きな反響を呼んだが,今回のインタビューを読むと分かるように,その裏では,フォワード.4の問題点をフォワード.5でどうケアするか,並行作業が進んでいたわけだ。
 その甲斐もあってか,フォワード.5は「MHF-G」の作業がありつつも,通常の大型アップデートと同等かそれ以上の内容が実装されることになったといっても差し支えないだろう。これから「MHF-G」までの約半年間,どのような施策でプレイヤーの満足感を維持していくのか,今後の展開に注目したいところだ。

「フォワード.5 “砂漠に浮かぶ紅の楼閣”」プレビューサイト

「モンスターハンター フロンティア オンライン」公式サイト

「モンスターハンター フロンティアG」公式プロモーションサイト


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