連載
「銀河英雄伝説」攻略連載 / 第1回:第四次ティアマト星域会戦
人類がその活動領域を宇宙にまで広げた遠い未来の,広大な銀河系を舞台にした,銀河帝国と自由惑星同盟という二つの勢力の戦いを描いた「銀河英雄伝説」(以下,銀英伝)は,日本のSF小説の金字塔的な作品である。OVA(オリジナルビデオアニメ)としては異例の長編シリーズとしても絶大な人気を誇り,作家である田中芳樹氏の原作が世に出てから20年以上の歳月が経つ今でも,なお多くのファンを生み出し続けている。
10月16日に発売されたPC用タイトル「銀河英雄伝説」は,そんな銀英伝を題材としたリアルタイムシミュレーションゲーム(以下,RTS)。プレイヤーは,銀河帝国と自由惑星同盟のどちらかの勢力を選び,銀英伝で描かれる重厚な歴史ドラマを追体験していく。
銀英伝の面白さといえば,重厚な世界感に歴史小説を思わせるストーリー構成,それを彩る登場人物などなど,まぁその魅力は多々あるわけなのだが,スペースオペラでありながらも古代〜中近世の会戦を思わせるような壮大な戦闘描写は,“銀英伝らしさ”の代表とも言える要素だろう。何万隻という規模の艦隊を操りながら,名将達が繰り広げる“用兵の妙”には,筆者を含めた多くのファンが魅了されたに違いない。
PC用タイトル「銀河英雄伝説」は,そんな銀英伝の“会戦”に焦点を合わせて作られた作品。プレイヤーが憧れの(?)名将になりきれてしまうという,原作のファンにとってはまさに垂涎ものの内容となっている。
今回4Gamerでは,そんな「銀河英雄伝説」を取り上げた連載を開始する。本作のキャンペーンモードを主体に,攻略を行っていく予定。具体的には,アスターテ星域会戦やアムリツァ星域会戦など,原作の有名な会戦を取り上げながら,RTS初心者を対象にした“キャンペーンモードでのSランクの取り方”を紹介していくつもりだ。
本作を買った/あるいは買おうと思っている銀英伝ファンの人には,「ああ,こんな戦いがあったな」と原作を思い返しながら,本連載を読んでもらえれば幸いである。
というわけで,連載第一回めは,ラインハルトとヤンがお互いを意識し始めるキッカケとなった戦いである「第四次ティアマト星域会戦」を取り上げたい。
簡単にゲームの仕様から説明しておくと,本作のキャンペーンモードは,原作の第一巻めのいわゆる「アスターテ星域会戦」からではなく,その少し前……主人公のラインハルトやヤンが高い地位に就く前の時代から描かれている。キャンペーンモードは,基本的にラインハルトとヤンという二人の主人公の視点で描かれていくのだが,ステージを進めるごとに,徐々に彼らが扱える艦隊の規模や部下の数が拡大していくというスタイルになっている。
この第四次ティアマト星域会戦は,帝国軍側では五つめ,同盟軍側では二つめに当たるステージ。双方共にまだ最高指揮官ではなく,戦場全体のなかの一部を任されているだけという状態(ヤンに関しては,艦隊の指揮官ですらない)だ。自分より大兵力を持つNPC艦隊の戦いぶりを横目で見ながら,的確な用兵を行って戦局全体をより有利にしていかなければならない。
序盤のステージ全般に言えることだが,主人公の地位が低い間は,基本的に自分の艦隊以外を操作することはできない。大抵,NPC艦隊の動きは非常に鈍いばかりか,下手をすれば戦いもせず遊軍化することも多いので,彼らを如何に利用して戦っていくか? が序盤のステージのポイントといえるだろう。まぁ実際,原作におけるラインハルトも,「第四次ティアマト星域会戦」でまさに「味方を利用して功績をあげる」わけだが……。ともあれ,帝国軍と同盟軍それぞれの側からさっそく攻略していこう。
プレイヤーが扱える艦隊は,この時点ではまだラインハルト艦隊のみだが,提督はラインハルトに加えて,キルヒアイス,ロイエンタール,ミッターマイヤー,メックリンガーのいずれかを選択可能になっている。部隊編制としては,使い勝手の良い「献身」の特技を持つキルヒアイスと,「斉射三連」を持つロイエンタールを入れておくのがよいだろう。
ステージが始まると,すぐにイベントが発生して最初に配置された左翼から一転,右翼へと艦隊の配置が入れ替わる。右翼に配置が移動したあとは,すぐ下にいる味方艦隊をおとりに使いつつマップ上側に移動し,敵左翼にいるボロディン艦隊の側面ないし後背に回り込むように砲撃を加えていこう。うまくいくと,ボロディン艦隊を完全に包囲する体勢を取れるので,陣形を「紡錘陣」に変え,一気に撃滅を計ろう。逆に味方の左翼側は,同盟のウランフ,パエッタ両艦隊に挟まれて窮地に陥っていると思うが,これはとくに気にしなくて構わない。
ラインハルト・フォン・ローエングラム
ゴールデンバウム王朝を打ち倒し,一代でローエングラム王朝の礎を築き上げた人物。「常勝の天才」「政戦両略の天才」と謳われるなど,政治/軍事の両面で天才的な能力を見せるが,かなりの激情家でもあり,また私生活の面では幼さを見せる側面も多かった。ゲーム中では,原作通りの高いパラメータを誇っており,やや攻勢を得意とはしているものの,隙らしい隙は見あたらない。特技「常勝の天才」は,周囲の味方の攻撃力を2上昇させるというもの。効果範囲が非常に広く,また効果時間が長いのが特徴だ。
ボロディン艦隊を殲滅した頃に,今度は敵の左翼側から後衛のロボス艦隊が出現するが,これも自軍の中央に布陣するミュッケンベルガー艦隊を囮にして,まずは先制の一撃を加える。味方の艦隊は動きが鈍いので,うまく敵の艦隊を誘い出し,自艦隊だけでは戦わないように注意しよう。敵の側面,あるいは後背に回り込めた場合は,ロイエンタールの特技「斉射三連」を使えば,一気に敵の艦隊にダメージを与えることもできるだろう。
ロボス艦隊にある程度ダメージを与えた頃になると,今度は味方の左翼が壊滅し,ウランフ,パエッタ両艦隊が下側から急襲してくる形になりやすい。それらの艦隊が援軍として到着してしまうと,敵艦隊の数的にはほぼ互角なので,敵の側面に回り込むなど,有利なポジショニングが難しくなるが,まぁ素直に正面から撃ち合っても構わないだろう。ただランクは自艦隊の損害によって上下するので,囲まれて無駄な損害を出さないことにだけ気を付けたい。これはゲーム全般に言えることだが,囲まれたならば「方陣」,うまく横などに回り込めた場合は「紡錘陣」ないし「鶴翼陣」などを敷き,効率的にダメージを与えていくといいだろう。
攻略プレイムービー:帝国軍編
このステージでプレイヤーが扱えるのは,ヤンが幕僚として所属する「パエッタ艦隊」のみ。帝国側と同じく,ステージ開始直後にイベントが発生し,敵側の左翼にいたラインハルト艦隊は画面上部の右翼へと移動し,味方であるボロディン艦隊がいきなり包囲されるというところから実質的なスタートとなる。
イベントシーンが終わって艦隊を操作できるようになったら,すぐさま陣形を移動力の高い「紡錘陣」に変え,全速力でボロディン艦隊の援護に向かう。敵の左翼側の奥(というか,ほぼ中央だが)には,敵の総司令官であるミュッケンベルガー艦隊が布陣しているが,こちらから手を出さない限りはとくに動かないはずなので,まずは無視しておこう。
ヤン・ウェンリー
卓越した戦略/戦術眼を持ち,敵の心理を巧みに突いた戦いを得意とした用兵家。その芸術とも言える手腕から「不敗の魔術師」と呼ばれたヤンであるが,本人自身は「軍人ではなく歴史家になりたかった」と常に公言しており,彼の軍人としてのキャリアのスタートも“タダで歴史が学べる戦史研究科”に入ったところから始まっている。原作では防戦が多かったためか,ゲーム中でも防御面の能力が高めに設定されているようで,特技の「不敗の魔術師」も,防御力上昇+回復効果と,防御系の効果となっている。
このステージで重要なのは,ボロディン艦隊がおとり役となっている間に敵艦隊の背後などから攻撃をしかけ,いかに敵にダメージを与えられるか。ボロディン艦隊が包囲されている間は,敵艦隊の動きもややゆったりとしているので,ミサイル攻撃などを駆使して,一気に敵の戦力を削ぎに掛かりたい。ミサイルは準備が整い次第順次発射するなど,最初の5分以内で使い切るくらいで構わないだろう。また,アッテンボローの「斉射三連」も特技ゲージが溜まり次第使っていくなど,とにかく積極的に敵戦力を低下させておきたい。実際の戦闘と同じく,本作でも基本的には先手必勝。一度戦力差を作ってしまえば,あとの展開がかなり楽になってくるからだ。
ちなみに攻撃は,基本的に画面左側……つまり,ボロディン艦隊を攻撃しているラインハルト艦隊の側面から攻撃を仕掛けていくようにし,敵の左翼側はウランフ艦隊に任せてしまおう。敵の左翼をなまじ撃破してしまうと,仲間の艦隊がそのままミュッケンベルガー艦隊との戦端を開いてしまうことが多く,そうなると,数的な不利を免れないからだ。同盟側の総司令官であるロボス艦隊は,基本的にかなり時間が経ってからでないと戦闘に参加しないので,それまでは無闇に戦線を広げないのが得策だ。
敵となるラインハルト艦隊は,優秀な指揮官を多く揃え非常に強力ではあるのだが,側面からのミサイル攻撃などで大きな損害を与え,最初に戦力自体を低下させてしまえば,それほど脅威ではなくなる。無名の提督達は味方に任せて,プレイヤーは,常にラインハルト艦隊を相手にしたほうが,味方全体の被害は抑えやすく(Sランクをとりやすく)なるはずだ。
攻略プレイムービー:同盟軍編
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