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ハロー!Steam広場 第17回:血で血を洗うハイブリッドなお掃除シミュレーション
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー Steam 広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamでリリースされた気になるタイトルやニュースを,筆者の独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,フルプライスで買ったゲームが1週間後にセールになってもくじけない上級Steamerにジョブチェンジできるかも。
ハロー!Steam広場 第17回は,およそ12年ぶりとなる「Age of Wonders」シリーズの最新作「Age of Wonders III」をメインに紹介しよう。このほか,血で血を洗うお掃除シミュレーション「Viscera Cleanup Detail」や,ペーパークラフト調のグラフィックスが特徴的なローグライクRPG「Popup Dungeon」もあるので要チェックだ。
12年ぶりとなるSLG「Age of Wonders」シリーズの最新作「Age of Wonders III」
今回は,オランダのTriumph Studiosが手掛ける「Age of Wonders」シリーズの最新作「Age of Wonders III」を紹介しよう。前作「Age of Wonders II: The Wizard's Throne」からおよそ12年ぶりのナンバリングタイトルとなる本作は,「Heroes of Might & Magic」シリーズと同じく,ターン制シミュレーションとタクティカルRPGのハイブリッド作品だ。
プレイヤーは,一国の指導者となり,大陸の支配を目指してライバル国家と激しい領土争いを繰り広げることになる。
ゲームは大きく,「戦略パート」と「戦術パート」に分かれている。最初に戦略パートから紹介していくと,ここでは大陸の探索,自国の強化,技術の研究,ユニットの生産,他国との外交など,「Civilization」シリーズのようなストラテジー要素で自国を発展させていくことになる。大陸支配を目指すためには非常に重要なパートなので,どのような国家にしていくかをじっくりと考えて進めたい。
ゲームの舞台となる大陸には,プレイヤーでもライバルNPCでもない“中立勢力”が支配するロケーションがあちこちに存在する。大量の金が掘れる鉱山や,周辺の視界を確保する見張り塔,お宝が眠るダンジョンなど,その種類はさまざまであり,どれも国力増強には欠かせないものばかりだ。
ライバル国家と差を付けるには,これらをいかに多く占領するかがポイントとなる。要するにゲームの序盤は,外交や戦争よりも,中立勢力狩りに力を入れるのが1つのセオリーともいえるだろう。
もう1つのパートである戦術パートは,ユニットを動かして戦うタクティカルRPGとなっており,中立勢力やライバル国家との戦闘は基本的にこのパートで行われる。
戦略パートとは大きくゲーム性が異なる戦術パートでは,いかに自軍の被害を抑えつつ,相手を殲滅するかが重要となる。戦況を把握し,ユニットを適切に動かす必要があり,プレイヤーの力量にすべてが掛かっているのだ。
戦闘に関しては,結果だけを見ることも可能で,戦力差があり,明らかに勝てる戦いでは,オートにして結果だけ確認してしまうのもありだ。というのも,ゲームの中盤あたりからは,戦略パートが忙しくなり,雑魚戦でいちいち戦いの指揮を取るのが面倒になってくるのだ。戦闘に入る前に,有利か不利かは確認できるので,有利ならオートで,互角だったり不利だと判断したら,自ら指揮を取るといいだろう。
また本作には,ヒーローと呼ばれるユニットが存在し,ゲームスタート前に1体選べるほか,ゲーム中に雇用する機会がある。このユニットには育成要素があり,レベルアップで手に入れた能力ポイントを各能力値に振り分けることで,好きなように育てることが可能だ。さらにヒーローユニットは独自のインベントリを持っており,ダンジョンなどで手に入れた武器などを装備することができる。十分に育ったヒーローユニットは,非常に強力なので,大切に育てていきたい。
ライバル国家の都市を占領し,指導者をすべて倒すか,同盟契約させることでゲームクリアとなる。プレイするマップのサイズにもよるが,朝にプレイを始めて,そろそろお昼を食べようかと思ったら夜だったという筆者の実体験から忠告しておくと,相当な時間泥棒のゲームであるのは間違いない。何か予定が入っているなら,アラームをセットしてからゲームを始めることをお勧めしたい。
ターン制シミュレーションとタクティカルRPG,どちらの要素もクオリティが高く,これらのジャンルが好きな人にオススメできるタイトルだ。
「Age of Wonders III」Steamページ(39.99ドル)
血で血を洗うお掃除シミュレーション「Viscera Cleanup Detail」
アーリーアクセスとは,開発途中のゲームを購入して,デバッガー兼プレイヤーとして参加できる,Steamの販売形態の1つだ。今回は南アフリカのインディーズデベロッパーRuneStormが手掛ける「Viscera Cleanup Detail」を紹介しよう。
本作の舞台となるのは,とある宇宙ステーションだ。ステーション内部は,そこら中にクルーのものと思われる死体が散乱しており,まさに地獄絵図といった状態。
そんな宇宙ステーションにやってきたプレイヤーは,ステーションの調査のために送り込まれたエージェント――ではなく,救難信号をキャッチして救助にやってきたエンジニア――でもない。
ではプレイヤーは何をしに来たのだろうか。答えはその手に持っているモップから導き出せるだろう。そう,“お掃除”である。
要するにこの宇宙ステーションは,なんらかのゲームの舞台となった場所であり,プレイヤーは,ゲームクリア後の後始末をする清掃員という訳だ。
プレイヤーの装備は,飛び散った血や化学薬品などを拭くためのモップと,汚れを探知する端末のみとなり,これらを駆使してステージを綺麗にしていくことになる。
※なお,ここから先のスクリーンショット/ムービーは,その性質上そこそこグロいのでご注意を。まあ上級Steamerならきっと大丈夫――だよね?
掃除の手順は人それぞれだと思われるが,あえて言わせてもらうとしたら,モップ掛けから始めることをオススメしたい。理由は,プレイヤーが血や薬品の上を歩くと,汚れが靴底に付いてしまうからだ。その状態で歩けばどうなるかは言うまでもないので言わずに書くが,一向に掃除が進まないどころか,かえって汚れを広げてしまうことになる。使わないメリットも別にないので,まずはモップ掛けから始めると良いだろう。
ちなみにモップは,ある程度使用すると血や薬品が染みこんでしまい,汚れが取れなくなってしまううえ,そのままの状態で使用すると逆に汚れを広げてしまう。血で血を洗うとはまさにこのこと。したがってモップは定期的に水で綺麗にしておきたい。
モップを何回か洗うとバケツの中の水が汚れていくので,こちらも定期的に取り替える必要がある。ここで注意したいのは,汚れた水の入ったバケツの管理だ。そこら辺に放置しておいて,何かの拍子に倒してしまうと,目も当てられないことになるので,不要になったバケツはまとめて邪魔にならないところに置くか,焼却炉を使って処理してしまおう。
ある程度モップ掛けが終わったら,肉片を片付けよう。肉片のサイズは大小さまざまで,1つ1つ焼却炉に運んでいては時間が掛かってしまう。したがって,肉片を片付ける時は,ビニール製のゴミ箱を使うことをオススメする。この時注意したいのは,肉片の扱い方だ。ゴミ箱に入れるつもりがうっかり地面に落としてしまうと,床が血で汚れてしまい,またモップ掛けする羽目になるので,肉片をゴミ箱に入れるときは慎重にいきたい。
一見おバカゲーに見えて,意外と細かいところまでいじることができ,ハマる人はハマるシミュレーションゲームと言えるだろう。ただし一人で掃除をするにはあまりにも時間が掛かり過ぎる。筆者は最初のステージを3時間ほどかけて掃除したのだが,半分も終わらなかった。たぶんバケツを何度もひっくり返していたせいでもあるのだが……。
ちなみに本作はマルチプレイにも対応しており,フレンドを誘って一緒に掃除をすることが可能だ。マルチプレイならば,1人で掃除するよりも効率がいいのは確かだが,しっかりとコミュニケーションを取って仕事をしないと,「誰だよここにバケツ置いたの!」みたいなことにもなりかねない。いや,やめようよ。わざとそこに置くの……。
本作はまだ開発途中のゲームなので,バグも残っており,ゴミ箱に入れておいた肉片が突然辺りに弾け飛んだりすることがある。いやこれはバグと言うよりも物理エンジンの神様によるデモンストレーションなのかもしれないが……。なお,本作を購入すると過去に発売した同シリーズ2作品が同梱されるので,お掃除シミュレーションに興味のある人は遊んでみて欲しい。
「Viscera Cleanup Detail」Steamページ(7.99ドル)
ペーパークラフト調のグラフィックスが特徴的なローグライクRPG「Popup Dungeon」
「こんなゲームをリリースしたい」という開発者に対して,ユーザーが賛成か反対かを投票できるサービスがGREENLIGHTだ。今週登録された作品の中で特に気になったのは,ペーパクラフト調のグラフィックスが特徴的なダンジョンRPG「Popup Dungeon」だ。
無限に生成されるダンジョンをひたすら潜り進むという本作は,ターンベースで進むローグライク系のRPGに,「FINAL FANTASY TACTICS」のようなストラテジー要素も取り入れているとのこと。公開されているムービーを見る限りでは,FINAL FANTASY TACTICSというより「不思議のダンジョン」っぽい気もするのだが,とにかく面白そうであることは間違いない。
リリースは2016年を予定しており,現在Kickstarterでのでのキャンペーンもスタートしている。開発資金の目標調達額は8万ドルとなり,スローペースながらも着実にバッカーを増やしているようなので,ローグライクRPGに興味のある人はチェックしておこう。
「Popup Dungeon」GREENLIGHTページ
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