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[COMPUTEX]「4KでPCゲーム」の時代はすぐそこに!? ASUSが4K解像度のPCディスプレイを2機種展示
これは,2012年1月当時の価格が288万円というナナオ製4K液晶ディスプレイ「FDH3601」を使い,「Radeon HD 7970」搭載PCを接続して行われた,4K解像度のリアルタイムレンダリングデモの写真。接続にはDisplayPortが用いられていた |
こちらは3月に秋葉原で開かれたイベントで,シャープの32インチ4K液晶ディスプレイ「PN-K321」に,「Radeon HD 7850」をDisplayPortで接続してゲームを表示したデモの写真。発売当時,PN-K321の実勢価格は40万円前後だった |
スマートテレビのほうは,「Xbox Oneがその立ち位置を目指す」(関連記事)という意味では関係がないわけではないものの,PCやゲームの世界から見ると,縁遠いキーワードだ。しかし「4K」のほうはそうでもない。PCやゲームの世界にとっても無縁ではなく,すでに関心を持って,買い時になる日を待っているという人も少なくないだろう。
4K出力に対応するGPUは,Radeon HD 7000シリーズがまず出揃い,その後に,NVIDIAのGeForce 600シリーズが加わった。HDMI接続なら30fps,DisplayPort接続なら60fpsで4K出力に対応するグラフィックスカードは,ここ1〜2年で一気に身近な存在になってきた。
一方,表示する側のPCディスプレイでは,2013年2月にシャープが,32インチサイズで解像度3840×2160ドットの液晶ディスプレイ「PN-K321」を発売している。現時点でも実勢価格は30万円台後半から40万円程度という高価な製品だが,製品発表会では「The Elder Scrolls V: Skyrim」や「ファンタシースターオンライン2」を使ったデモが披露されるなど,PCゲームは高解像度を生かせるコンテンツの代表格に挙げられている。
価格的には,ほとんどの人にとって手が届きにくいとはいえ,4Kテレビと4K出力に対応したRadeonやGeForceと組み合わせれば,簡単に家庭でも4K表示が可能な状況になりつつある。
まとめると,4K環境は「対応ディスプレイ・テレビの価格が高い」ということ以外は,すでに身近な存在になりつつあるということだ。
そんなわけで,COMPUTEX TAIPEI 2013の会場にも4Kディスプレイ製品がないかと探し回ったところ,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)のブースで2製品を発見した。本稿の主役はその2製品である。
PQ321:シャープ製PN-K321の兄弟機?
ASUSが展示していた4Kディスプレイは,32インチワイドモデル「PQ321」と,名前のない39インチワイドモデルの2製品だ。どちらも解像度は3840×2160ドットとなっている。
液晶パネルのドットピッチは140ppiで,応答速度は8ms。画面輝度は350cd/m2,公称コントラストは800:1とされている。
業界関係者の話では,「シャープ製の32インチ4K IGZOパネルは,配向モードとしてIPS方式を採用している」とのこと。念のために解説しておくと,IGZOパネルの「IGZO」とは,TFT回路を構成する半導体の種類を表すもので,液晶の配向モードと関係はない。IGZO液晶でIPS方式採用というのは,確かにあり得る話だ。公称コントラストの800:1という値も,いかにもIPSらしい値だといえるだろう。
接続インタフェース周りの仕様は,PN-K321と完全に同じで,1系統のDisplayPort入力端子と2系統のHDMI入力端子,3.5mmアナログサウンド入出力各1系統を備えている(※出力はライン出力とヘッドフォン出力兼用)。
スタンドは左右45度の回転(スイーベル)と,上下方向の回転(チルト)は上25度から下5度までに対応する。内蔵スピーカーはおまけ的なものだが,2W+2Wの2ch出力となっている。
なお,北米市場におけるメーカー想定売価は4000ドルとのこと。価格もPN-K321とほぼ同じというわけだ。
無名の4K試作機は,VA液晶でコントラスト重視
一方,製品名未定のまま展示されていた39インチワイドモデル試作機は,シャープのIGZOではなく,Innolux(旧Chimei Innolux)製の液晶パネルを採用するとのこと。配向モードはVAだそうだ。
液晶パネルの輝度は,PQ321と同じ350cd/m2でありながら,VA液晶らしく優秀な黒の沈み込みにより,公称コントラストは5000:1となっている。
ドットピッチは113ppi。サブピクセル形状をルーペで確認したところ,PQ321とは異なる,きれいに縦割りにされた素直な構造だった。
全体的な発色は若干派手めだが,黒表現や暗部階調が優秀なので,映像全体の見た目はとてもクリスピーで,万人受けしやすい画調だ。
約40インチという大きさは,テレビとして見れば,今や「大画面」とは言いにくくなっているが,PC用ディスプレイ製品としてはなかなか迫力がある大きさだ。しかも,30〜50cmの視聴距離からでも画面全体を見渡せるので,PCディスプレイとして普通に使えそうなの点はポイントが高い。
接続インタフェースが用意されておらず,本体から直接“生える”ケーブルでPCとつながっているあたりからして,このまま製品化されるとは考えづらいが,面白い試作機なのは確かで,製品版相当の機材を早く見てみたいものだ。
ASUSTeK Computer日本語公式Webサイト
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