男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ：第240回「人生はハック＆スラッシュ」

著者近影

　あんまり使いたくない言葉がある一方，とりあえず使ってみたくなる言葉ってあるじゃない。
　前にも書いたけど，「今でしょ」は使いたくないというか，人前に出る人だったら，もはや使ってはいけない時期に差し掛かってきた言葉よね。もちろん，私が勝手に思っているだけなんだけど。
　ついでに言うなら，言葉ではないけど人前に出る人がヤっちゃいけないこととして，「『クレヨンしんちゃん』のものまね」も挙げておきたいの。これは誰でもできちゃうだけに，正直キツい。いや，別に誰かが一般生活の場において，ちょっとふざけてヤってみる程度なら構わないのよ。別に誰かに迷惑をかけるわけでもなし。
　ただ，個性を出さなければならない場所でそれをヤってしまうのはまずい。以前，縁あってあるバンドのメンバーオーディションの審査員をヤらせてもらったんだけど，履歴書に「特技：ものまね」と書いている人のなんと多いことか。そして，そのものまねの内容として多いのが，クレヨンしんちゃん。30人近い応募者のうちの4〜5人がクレヨンしんちゃん。全部女性。
　そのオーディションは，個室で一人一人を審査するのではなく，30人を一か所に集める形式だったんだけど，目の前でほかの人がすでにヤってるのに，自分の番で同じものまねをヤるのは一体どういう了見か。最初に披露した人はまあ仕方がないとしても，2人め以降にヤった人は，どんな気持ちでブッ込もうとしたんでしょうね。5人めともなると，逆にものすごい強心臓の持ち主なのでは？　と思ってしまったくらいよ。当然，クオリティはみんな同じ程度なんだけどね。
　っていうか，クレヨンしんちゃんって，さほど練習を重ねなくても，ちょっとした勇気があればできてしまうものまねだと思うのよ。だからこそ，個性を出さなきゃいけないオーディションで，それを特技だと言い切ってしまうのはまずい気がするわ。ヤるんだったらせめて複合技にしなきゃ。例えば「ジャパネットしんのすけ」とか「3年B組クレしん先生」とか。全員が全員「オッス！　オラしんのすけ」だと，選ぶほうも選べないわよ。
　そんな感じで，履歴書の特技欄に「ものまね」と書いてクレヨンしんちゃんのものまねをするのは，なるべく避けたほうがいいですよ，というお話……ではないですよ？　何を言わせてるんですか？　そうじゃないですよ？　世の中にはあんまり使いたくない言葉や，使ってみたくなる言葉があるって話をしたかったのです。

　「ハック＆スラッシュ」って，最近よく見聞きするゲイム用語よね。これって，ちょっと通っぽい感じで，使ってみたくなる言葉じゃないかしら。
　といっても，決して新しい言葉ではないの。もともとはテーブルトークRPGで使われていた用語らしくて，「敵を倒して経験値やレアアイテムを得てキャラクターを強化して，さらに強い敵を倒すというプレイスタイル」という意味だとか。
　それが転じて，PCゲイムやコンシューマゲイムにおいては，「敵と戦うことに重点を置いたRPGのジャンル」を指して使われることが多いみたい。まあ，私なりにまとめると，ハック＆スラッシュとは，戦うことでどんどん強くなる……っていうニュアンスの言葉として受け止めればいいのかしらね。

　さて，ハック＆スラッシュという用語についての私なりの解説を踏まえたうえで，今週紹介するのは「ドラゴンズクラウン」（PlayStation 3 / PlayStation Vita）ですよ。
　昔はけっこうゲイムをヤっていたけど，最近はさっぱり……という人のために，本当に大ざっぱに説明するならば，「ファイナルファイト」やアーケード版「天地を喰らう」っぽいゲイム。これでだいたいのイメージを伝えることができるんじゃないかしら。で，さらにハック＆スラッシュ要素が加わった感じ。……使い方，間違ってないわよね？
　要は横スクロールのアクションゲイムなんだけど，ステージをクリアすればするほどアイテムや経験値が手に入って強くなるってゲイムなの。

　どこが楽しいのかと言えば，そりゃもちろん強くなる部分でしょうな。強くなるにはレベルを上げるか，いいアイテムを装備する必要があるんだけど，そのバランスが非常に良いの。
　というのも，レベルは経験値が溜まれば上がるから，プレイしながら，あとどれぐらいでレベルが上がるのかを予想できるわけ。でもアイテムは，ステージ中に発見した宝箱の中に入っていて，ステージが終わるまで，宝箱の中身が分かんないわけね。いいアイテムの場合もあれば，そうでもない場合もある。そこが面白い。
　基本的には自分のレベルに比例したアイテムが手に入るの。でも，どういう効果があるアイテムが手に入るかは，運が大きく作用しているわけ。いいアイテムが手に入れば嬉しくなって，その効果を試すために引き続きプレイしたくなっちゃうし，イマイチのアイテムだった場合は，悔しくてまたプレイしちゃう。そういう楽しさ。


　1ステージがさほど長くないのもいいわ。ついつい「もう1プレイだけ！」みたいに遊び続けちゃって，結局，長時間プレイしてしまいがち。まさにハック＆スラッシュ。……あれ？　使い方合ってない？　いいのよそれっぽい使い方しとけば。
　あと，このゲイムのいい部分は，次に何をしたらいいのかハッキリと教えてくれるところ。ヒントなんて生ぬるいものではなく，あたかも「早く次の戦場に行って戦いなさいよ」とナビゲイトするかのように，ハッキリと次の目的地が明記されているの。だから，ゲイム中に迷うことはない。何をヤらなきゃいけないかっていうと，とにかく敵と戦うことなのよ。
　で，敵と戦うために，敵と戦って強くなる必要がある。簡単に言ってしまえば，その繰り返し。まさにハック＆スラッシュ。
　このゲイムを選ぶときのポイントは，横スクロールアクションが苦手かどうか。その一点に尽きるんじゃないかしら。決して得意ではなくても，苦手でさえなければオススメ。ちょっと気になってるくらいの人だったら，騙されたと思ってヤってみて。ついついプレイしちゃうから。


　というわけで，今週はハック＆スラッシュを体現したゲイム，ドラゴンズクラウンを紹介しました。それにしてもハック＆スラッシュって言葉は，通っぽくていいわね。
　そもそも，人生自体がハック＆スラッシュだからね。戦って，成長して，さらに強い敵と戦う。戦うために戦う。用意された目の前の戦いに，まずは取り組む。何のために戦ってるのか？　分かる人も分からない人もいる。けれども人生を終える瞬間まで，我々はハック＆スラッシュするのです。そのために今，戦っているのです。戦うために努力しているのです。
　ヤればヤるほど成長する，ヤった分だけ自分に返ってくる，そういう意味では，天に唾をハック＆クラッシュ。……ごめん今の使い方に関してはちょっと反省してる。図に乗ってたわ。やめないけど。またハック＆来週。

今週のハマりゲイム
（文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム）
PlayStation 3：「バイオハザード リベレーションズ アンベールド エディション」
PlayStation Vita：「ドラゴンズクラウン」
PSP：「サモンナイト5」
Wii U：「ZombiU（ゾンビ U）」
Wii：「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS：「マリオ＆ルイージRPG4 ドリームアドベンチャー」
Xbox 360：「Minecraft：Xbox 360 Edition」

■■男色ディーノ（プロレスラー）■■ 先週に引き続き，ディーノ選手が所属するDDTプロレスでは，8月3日（土）までの連日，新木場1stRINGで「闘うビアガーデン2013」を開催中です。さらに8月4日（日）には，王子小劇場で開催される「シアタープロレス花鳥風月vol.13」にもディーノ選手は出場。忍選手とのシングルマッチが予定されています。夏休みシーズンということもあって，ずいぶん忙しそうですが，「忙しいんだけど，『ドラゴンズクラウン』はずっとヤってる」とのことでした。平常運転ですね。