連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第262回「私,昔からゲイムが好きなんだ」
きっと,ここからは意見が分かれるところだと思うんだけど,それでも“楽しいから”という理由を否定する人はいないと思うの。じゃあ,ゲイムはなぜ楽しいのかしら?
ゲイムといえども,うまくいけば楽しいし,うまくいかなければストレスが溜まる。ゲイムによって難しいものもあれば,非常に簡単なものもあるわ。対戦ゲイムは勝者と敗者に分かれるし,ランキングがあるものでは優劣が生まれる。必ずしも自分が一番になれるわけではないわけ。それでも,楽しいゲイムは楽しい。なぜなのかしら。
私は,ゲイムが楽しいと思える理由に,“爽快感”と“達成感”があると思ってるわ。画面の中のキャラクターを動かしていて楽しい。動かすことで,何かしらのいい結果が導き出されると楽しい。そういった感情が生まれるのが,ゲイムの楽しさの一つだと思うの。ほかにも楽しい要素はいっぱいあると思うんだけどね。
ところで,もう慣れてしまっているから不思議でもなんでもないんだけど,冷静になって考えてみたら,画面に映ったキャラクターをコントローラで動かすって,すごいことだと思うのよ。江戸時代の人にしてみたら,TVを見たらまずそれだけでビビるでしょうけど,ゲイムに至ってはそんなTVの中のモノや人物を自由自在に動かせるわけです。両手で持てる程度の変なものを操ることで。ビビるどころじゃないと思うのよね。でも,我々はそれに慣れてしまっているから,とくにすごいとは感じない。
人間とは不思議なものでね。一度見たことや体験したことに,簡単に慣れてしまえるの。だから,我々はゲイムに対して「画面のキャラを動かすこと」という原点をすっ飛ばして,どれだけ違和感なく画面の中のキャラクターを動かすことができるか,思った通り,もしくは思った以上の動きをしてくれるのか,という観点で接してるのね。
一方で,人間は忘れる生き物でもあって。忘れていた体験に触れると,懐かしいという感情も生まれてくるの。「ああ,昔こんな操作もしたな」「そうそう,こう操作したらこうなったな」っていう具合に。
とにかく違和感なく操作できるのよ。操作していて,理不尽な感じがまったくしない。というか,たぶん昔よりも動かしやすくなっている。でもね,違和感がないってだけじゃなくて,懐かしさまで感じるのよ。ここがまずステキ。やっぱり,なんだかんだ言って,剣で草を刈るのは気持ちいいわ。関係ないけど,私が「牧場物語」シリーズを好きな理由の大半が,「牧草を刈るのが気持ちいい」だもん。
今回プレイして気付いたけど,ゲイムで草を刈るという行為は,非常にゲイム的な色の濃い爽快感を得られるものかもしれないわね。現実の草刈りって力もいるし,あんなにスパッと刈れないと思うの。刈り残しも絶対あるし,そもそも草がそろって生えてるってことがまずない。でも,ゲイムにはそんなストレスはない。現実の世界でみじん切りがうまくいくと若干のストレス解消になるように,スパッとモノが切れるとスッキリするのね。そういうゲイム的な爽快感がこの作品には詰まっている。
こうやって甘やかしてくれるから,ゲイムを好きになっちゃったわけね。で,大人になって「おや? 世の中の謎ってやつはストレスが10あるくせに,達成感は1どころか0だったりするぞ?」ってことに気付くのね。それでも,まとまった達成感を得るためにストレスをたっぷりと味わったりして。結果,そのストレスから逃げるべく,ゲイムに甘やかされる。良くできたもんですよ,世の中っていうプログラムは。
ともかく! 全体的に何が言いたいかというと,今回のゼルダには,非常にゲイム的な面白さが詰まってますよ! って話。レベルという概念もないし,行ける場所であればどんな順番で攻略しても自由。アイテムを駆使して行ける場所に行けばいいし,行けそうな場所を探すのもいい。
知ってます? 虫取りアミで妖精を捕まえたら空きビンに閉じ込めておくことができるって。ゼルダシリーズではおなじみだけど,今回から始めた人はそういう発想にもならないでしょ。でも,ゼルダはそういうゲイムなんです。自由度が高くって,いろんな工夫が必要。もちろん,次にどうすればいいっていうヒントもあるけどね。
実は正直,3Dのゼルダにちょっとついていけなくなりつつある自分がいたのよ。「そんなにリアルになられても」っていう。もちろん,ヤれば面白いんだけどね。要するに,私の加齢が原因だと思うの。
でも,今回のゼルダはね,いい感じで原点回帰ができていると私は思う。なんでこんなに上から目線の物言いをしているのか,自分でもびっくりだけど。でも,年を取ってきて,何だかガチャガチャしたゲイムが苦手になってきたなーっていう自覚があったんだけど,今回のゼルダは“あの頃”のプレイ感覚を思い出させてくれたのよ。一番シンプルな感情も一緒に。すなわちこれ「私,昔からゲイムが好きなんだ」っていう。
やっぱりね,生きていると慣れていく部分って多いと思うの。「初心忘れるべからず」って言うけど,どうしても慣れに埋もれて忘れちゃう。それは,ある程度仕方がないと思うの。生きていれば,時間が経つごとにいろいろな情報を覚える必要があるわけだから。
それなら,発想を変えちゃえばいい。初心は,ことあるごとに思い出せばいいんじゃないかなって。そもそも「初心を忘れない」って何のための言葉かって話なのよ。「初心を忘れない」って言葉を口に出して言ってしまえば,自分が初心を忘れていない気になれるわ。でも,それって自分に言い聞かせるためじゃないかしら? もっと言うと,“謙虚な自分”を演出するために使ってませんか? あなたの初心は何ですか? そういう観点から,私は「初心を忘れても思い出せばいい」説を提唱したいと思います。
「ゲイムが好き」。これが初心だとしましょう。そこから時間が経つごとに,「どんなところが好きか」が細分化していきます。で,情報や体験がいろいろと増えて考え過ぎて頭がグチャグチャになったとき,初心を思い出せばいいんですよ。あ,そういえば私は「ゲイムが好き」だったんだって。ゼルダは,私にとってそういう位置付けのゲイムになりそうです。
今年もいろいろなゲイムが出ます。私もいろいろなゲイムをプレイするでしょう。その根本は,ゲイムが好きだからなのです。今年もよろしくお願いします。このあいさつ,2週連続だけど。ではまた来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「信長の野望・創造」
PlayStation Vita:「サカつく プロサッカークラブをつくろう!」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「The Wonderful 101」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「ゼルダの伝説 神々のトライフォース2」
Xbox 360:「Minecraft:Xbox 360 Edition」
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- 関連タイトル:
ゼルダの伝説 神々のトライフォース2
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