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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第321回「ブランディング」
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印刷2015/03/12 11:00

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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第321回「ブランディング」

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著者近影
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 何だかね,最近,私が地上波のTVに出る機会が増えてるの。出るっつっても,試合の模様を流されたり私のファンだって人がTVで紹介してくれたりってだけなんだけど。
 あ,勘違いしないでね。私自身は,TVに出るのがすごいことだとは,あんまり思ってないから。というのもね,TVにはTVの楽しませ方があるし,ライブにはライブの楽しませ方があるから。もちろん,こういったWebサイトや本みたいな文章による楽しませ方もあるし,ゲイムにはゲイムの楽しませ方がある。
 要は,私の立場から言うと楽しませる方法,受け取る側から言うと自分が楽しむ方法って,今の時代は選ぶことができるものなのね。そして,どのメディアも楽しませる方法が違うから,そこに優劣はないってことが言いたいの。
 ただいかんせん,TVは見ている人の人数が桁違いだからね。質ではなく単純な数の論理で言うと,現状でもTVが一番多くの人を楽しませるメディアであることは否定できないでしょうね。
 そういう意味ではTVに出ることの影響は凄いわよね。なので,TVでその選手のことを知ってもらい,ファンになってもらうというのが,私の立場からすると一番いいTVの使い方なんだと思うわ。
 でも,どれだけ数多くの人が見るTVに出たとしても忘れないよう心がけていることがあって,それは「TVで表現できない楽しさがライブにはあるし,文章にもあるし,ゲイムにも映画にもそれぞれある」ってこと。
 どの楽しませ方,楽しみ方にもそれぞれ特徴があるのよ。当然,それぞれのメディアで必要とされる能力も違ってくるわけで。だからこそ,自分がTVに出たときの一般の人の反応は参考になるわよね。
 基本的には私,地上波の放送ではなかなか理解を得がたいことをプロレスのリングでヤってるの。対戦相手の上にまたがって腰を振ったり,タイツを脱いで股間を相手の顔面に押し付けたり。そりゃまあ,最近のクレームを気にする世の中においては,放送しづらいわよね。

 ところでプロレスって,大体のケースにおいて,お客さんがお金を払って会場まで見に来るエンターテイメントなのね。地上波でTV中継がある団体はまた別だけど。私が所属するDDTプロレスは,テレビ埼玉で中継がある以外,全国規模での地上波放送をヤってないからとくにそう。地方局で,しかも深夜帯の放送であるにも関わらず,テレ玉の放送でも実は私の試合に規制がかかっていたりするし。
 ただ,言い換えると,私の武器はそこなの。TVで放送できないってことは,逆に考えると会場に来ないとすべてを見ることができないわけでしょ。そこに私の価値があるわけ。私が,すげー面白いことをすればするほど,ライブならでは,もっと言うとプロレスならではの面白さの価値が上がるのね。
 だから,私が今の状況で気にしているのは,いかにライブならではの面白さを作り上げられるか,そしてついでに動画で見てインパクトがあるかどうか。この二つ。これらを考え,なおかつある程度実行できている限りは,いくらDDTがTVや雑誌で紹介されても,ライブの価値が損なわれないと私は考えているわ。
 多くの人が見ているであろうTVに出たからといって,それだけで喜んでちゃダメなのよ。TVや雑誌で気になって,実際に見たら想像以上に面白い。そのためにTVにない面白さを提供し続けなければならない。それが,自分の試合と,DDTという団体にとっての私の価値の付け方なの。私なりのブランディングってやつね。


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 さて,ようやく使うことができました。“ブランディング”って言葉を。この言葉を使うために,ここまで文字数を消費してきたのよ。そんなこんなで今週は,「ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城」PlayStation 4 / PlayStation 3)について。
 これはもう,ブランディングの勝利にほかならないわ。そもそも「ブランディング」とは,Wikipediaによると「ブランドとして認知されていないものをブランドへと育て上げる、あるいはブランド構成要素を強化し活性・維持管理していくこと。またその手法」のこと。
 ま,簡単に言えば顧客にブランドとして認知させるってことね。このゲイムを一言で説明するならば,「ドラクエ無双」なのよ。無双シリーズのDQ版。でも,そうしなかった。あくまでDQシリーズのスピンオフ作品として作り込んだ。
 誤解を恐れず言ってしまうと,このゲイムって本質的にはDQシリーズの要素がまったくないの。RPGではなくアクションゲイムだし,主人公に声や性格が設定されてる。DQの世界観での無双。
 それでも! このゲイムは,やっぱりDQなのよ。無双シリーズのシステムを採用しているのに,DQ寄り。なぜかと言えば,それはDQの世界観があまりにもブランドとして成り立っているから。問答無用とはこのこと。音楽や歴代シリーズのキャラクター,ちいさなメダルやおなじみの武器,敵,呪文。テンションの要素。それらが入れば誰が何を言おうとDQになっちゃうのね。DQがいかに偉大かって話。
 で,ちゃんと面白いの。DQとして面白いというか,無双として面白い。でも,DQをヤってる気にはちゃんとなれる。たぶんだけど,このゲイムを作るにあたって,DQらしさにトコトンこだわったんだと思うわ。「ドラゴンクエスト無双」というタイトルではなく,「ドラゴンクエスト」の名前で勝負するって決めた瞬間,作品の方向性が決まったんだと思う。で,結果面白い。

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 もう一度まとめると,面白さの質としては圧倒的に無双の要素が強いのよ。無双として面白い。ただ,そこにDQの世界観が全力で乗っかってるから,DQ好きの私としてはあくまでDQとして楽しめる。無双シリーズをプレイしたことのないDQ好きでも,普通に面白く感じると思う。RPGとしてのDQっぽさを求めてるならば戸惑うだろうけど。でも,先入観なしでプレイしたら,きっと楽しめると思うわよ。
 で,DQはあまりプレイしてなくて無双好きの人は。これも楽しめると思う。だって,繰り返すけど面白さは無双だから。無双好きならではの不満点がひょっとしたらあるかもしれないけど,それすらDQの世界観によるやり込み要素がカバーしてくれるんじゃないかしら。
 DQも無双も両方好きって人は……これが一番ややこしいんだけど,同じような条件の私が楽しめてるんだから楽しめるんじゃないかな。楽しむには,変にDQだ無双だこだわらないことね。「こんなのDQじゃない!」って思いながらプレイするよりは,「ああ,こういうDQもあるのね」ってスタンスでプレイしたほうが楽しめるわよ。

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 とまあ,今週はブランディングにかこつけてドラゴンクエストヒーローズについての感想を述べたんだけど。それにしてもDQって恐ろしいタイトルね。まさに国民的ゲイム。冒頭のTVの話じゃないけど,商売においては数字がすべてではあるからね。数字を持っているのは単純に凄い。
 でも,DQだけがゲイムじゃない。DQとは違う楽しませ方もある。だからゲイムは面白いの。DQ以外の各タイトルがどうやって価値を付けていくか。どういう信頼を顧客に与えるか。最近私はシリーズもののゲイムに注目してるんだけど,各タイトルのブランディングに注目してゲイム業界を見ていると,けっこう勉強になるなあと思う次第であります。
 DQを通じて,顧客満足度を高く維持する,そしてそのための自分のあり方について考えた一週間でした。ではまた来週。

今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城」「バイオハザード リベレーションズ2
PlayStation 3:特殊なDVD ※死亡確認→復活予定
PlayStation Vita:「剣の街の異邦人 〜黒の宮殿〜
PSP:「サモンナイト5
Wii U:「ゼルダ無双
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン
ニンテンドー3DS:「レジェンド オブ レガシー
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜

■■男色ディーノ(プロレスラー)■■
ディーノ選手が所属するDDTプロレスは,今週末の3月15日,福島県・福島国体記念体育館サブアリーナ大会「あれから4年・東日本大震災復興イベント〜がんばろう福島〜 DDTプロレス福島大会 『ゴージャスナイト』」を開催します。ディーノ選手は大石真翔選手とのタッグで,高木三四郎選手&宮武 俊選手と対戦予定ですが,ディーノ選手によると「毎年恒例の福島興行なんだけどね,常に起きてはいけないような事件があるのよ」とのことで,いろいろなエピソードを聞いたのですが,とにかく今年は何も起きないといいなと思いました。
  • 関連タイトル:

    ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城

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