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  • 発売日:2021/11/02
  • 価格:2090円(税込)
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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第675回「『Unpacking』で年を取るのも悪くないと思った話」
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印刷2022/03/17 11:00

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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第675回「『Unpacking』で年を取るのも悪くないと思った話」

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著者近影
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 私もずいぶんとおっさんになった。今年で45歳。職業柄で言うと,身体にガタがき始めてるのは昨日今日に始まったことではないけれど。それでも回復の遅れが増しているのは年々実感しているところだ。
 44歳の今のところ,「人生,何のためにあるのか」という疑問に対しては「楽しむため」という答えを暫定で見つけ出している。そして「何を一番面白いと思うのか」という問いには,「人間を描いたコンテンツ」だと答えるようにしている。マンガでもゲイムでも音楽でも映画でもスポーツでも。そこに人間の人生が反映されているものは面白い。もちろん,そこに感情移入できるかどうかとか,そういった要素も絡んでくるんだけどね。

 若い頃の自分との心境の変化を考えるに,基本は「自分がどう生きるか」をベースに生きてきた気がする。そりゃ今でもどう生きるかは大切だけど。若干質が変わってきたんですよね。
 昔は,周囲からどう思われたいかを気にして生きてきた気がする。具体的に言うと, 10代後半〜20代半ばは,「面白い生き方をしているなあ」と思われたかった。だから大学時代に学生プロレスをヤって,当時のままのキャラクターでプロになった。まあ,プロになってからも一応はこれで生活できているのは,偶然が重なった結果だけども。少なくとも,「面白い生き方をしたい」と思ってプロレスで食べていくケツ断をした。
 でも,20代後半〜30代後半には,「面白いものを提供したい」に変わった。何が違うかと言えば,面白いものがあったとして,その中心にいるのは自分じゃなくてもいいと思うようになった。重要なのは見ている人に面白いものを提供することであって,必ずしも自分が面白いと思われる必要はない。
 こういうことを言うと誤解を招きがちなんだけど,自分が面白くなくてもいいってわけではないのですよ。必要とあらば自分も面白いものを提供できるように準備をしておくのは大前提です。ただ,何が何でも自ら点を決めたいというわけではなく,チームとして点が取れればそれでいい。自分が点を取ることもあるし,点を取るために攻め上がった人のスペースをカバーする場合だってある。それでいいじゃないか。これが40歳くらいまで
 で,今。点を取りたい奴,チームとして点を取るために裏に回る奴。そいつらの足りない要素は一体どこなのかを見つけるのが楽しくなってきているのですよ。「自分がどう生きるか」から「ここから何を選べばさらに面白くなるか探し」に変わってきている。私の感覚で言えば,いいチェンジができてる気がするのよね。この生き方だとあんまりお金にはならないけど。
 何が言いたいかをまとめると,人生を重ねるごとに人の考え方は変わっていくってこと。知らず知らずのうちに。変わらないつもりでも,変わっていく。

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 で,今週紹介するゲイムは「Unpacking アンパッキング」(PC / Nintendo Switch / Xbox One)です。これはね,私に言わせれば名作ですよ。なぜなら,人生が垣間見えるから。
 簡単に説明すると,荷ほどきのゲイムです。ゲイムからの説明は一切なし。いきなり段ボールが置かれた,がらんとした部屋から始まります。そして,段ボールにカーソルを当ててボタンを押すと,段ボールが開封されて荷物が出てきます。がらんとした部屋に,開封した荷物を置いていく。ただそれだけのゲイム。
 「そんなの,面白いのか?」と聞かれたなら,「不思議にも面白い」と答えましょう。荷物が収納されていく感じがなぜだか心地いいのですね。ここは,作り手がテンポを重視したからでもあるでしょう。例えば本を本棚に持って行くと,スポっと吸い込まれるように収納されます。これが気持ちいい。一方で机の上に何冊か重ねることもできる。レイアウトもある程度は自由にできるので,自分の性格も出ちゃうだろうなって思いながらプレイできるのもいい。そういうゲイムなのです。

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 「で,このゲイムのどこに人生が見えるんだい?」と問われたなら,「最後までヤってみて」と言いたい。どうやらこのゲイム,ある人が一生の間に行う引っ越しをテーマとしているようなのですよ。最初のステージでは,ああこういうゲイムなのねって気軽にプレイできるんです。でも,ステージを進めていくごとに,あれ? これさっきの人と同じ人じゃね? って気付く。そして,年代が進んでいることに気付いていく。そうすると,ああ下着の感じからしてこれは女の子だな,とか,この子は進学して一人暮らしを始めたのかとか,ルームシェアしているのか? でも歯ブラシ2本が同じカップに入ってるし,まさか? とか。いろいろとプレイしながら気付かされるのですよ。
 確かに引っ越しっていうのは多くの場合,人生の転機に行うもんで。荷ほどきを通してある人の人生を表現していくというのは,めちゃくちゃすごい視点でゲイムが作られたんだなと。だから私的な名作として取り上げさせていただきました。

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 私はずいぶんとおっさんになった。昔だと創作物で涙が出ることなんてなかったんですよ。泣きそうになっても,どうせこれで儲けている人がいるんだろ? と思うと涙が引っ込んだもんで。
 だけど。このUnpacking アンパッキングの最後のほうのステージで,子供の頃の持ち物が荷物として入っているのを見たとき,ちょっと泣きかけたね。あ,この子はいろいろとあったけど,この荷物は捨てられなかったんだな,と思うと。
 そう。人生において,モノでも気持ちでも捨てられないものってあるんだよ。変わるのって怖くないし,変わらないことも怖くない。それはあくまで結果であって。一日一日,自分の思うように生きていたら,後で振り返ったときに気付くことがある。ただそれだけのこと。
 要は,そう思えるようになったんだから,年を取るのも悪くないだろ? って自分に言い聞かせているって話でした。まだ44歳。政治の世界ではまだまだ若手ですよ。政治の世界には行かないけど。てなわけで,私も皆さんも一日一日大切に,また来週お会いしましょう!

今週のハマりゲイム
PC:「METAL DOG
PlayStation 5:「FIFA 22
Nintendo Switch:「Unpacking アンパッキング
iOS:「ロードモバイル
iOS:「ウイニングイレブン カードコレクション

■■男色ディーノ(プロレスラー)■■
男色“ダンディ”ディーノ選手が所属するDDTプロレスは,今週末の3月20日に東京・両国国技館大会「Judgement2022〜DDT旗揚げ25周年記念大会〜」を開催します。ディーノ選手は飯野“セクシー”雄貴選手&今成"ファンタスティック"夢人選手とのタッグで,LiLiCo選手&小田井涼平さん&彰人選手 with 純烈(酒井一圭さん&白川裕二郎さん&後上翔太さん)と対戦予定。ディーノ選手は「この試合でLiLiCoを引退させてやる!」と息巻いていました。そもそもこの試合は「LiLiCo引退試合」ですが。
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    Unpacking アンパッキング

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