男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ：第721回「『ファイアーエムブレム エンゲージ』でゲイムの良さを再確認」

著者近影

　私はスペシャルな人間ではありません。いわゆる天才ってやつではない。職業がプロレスラーで，中でもゲイレスラーとして活動しているとスペシャルだと思われるかもしれないけども，それはたまたまそうなっただけなんです。
　存在としてのスペシャルには，天才でなくてもなれます。誰も気付いていない，もしくは誰もやろうともしないようなことを探してやってみればいいんです。覚悟さえあれば誰にでもなれる，とまでは言わないけど，少なくとも誰にでもチャンスはあると思います。
　これは「みんなに才能があるんだよ」っていう話ではなく，たぶん「みんな才能があるかどうか自分では気付かないことのほうが多いけど，それでも何とかなるよ」って話です。才能はないよりあったほうがいいけど，それがすべてじゃない。人生，幸せだと思えるかどうかが最重要だと私は思っているので，何かの才能よりも，幸せだと感じる能力が大切じゃないかなーと思っている次第です。

　なんでこんな話をしているかと言うと，ゲイムの良さを再確認したからって話なんですね。「ファイアーエムブレム エンゲージ」で。どうでもいいけど幼い頃は「Fire」ってカタカナで書くときに「ファイアー」と「ファイヤー」のどちらが正しいんだろう？　と疑問に思ったもんです。「ファイアーエムブレム」と「ファイヤープロレスリング」の両方が身近にあったもんでね。英語をカタカナ表記する時点で無理はあるんで，どっちでもいいんだけども。
　さて，先週は作り手の視点でファイアーエムブレムについて語らせていただいたんだけど，今週はプレイヤーの視点で。
　ファイアーエムブレム エンゲージだけでなく「ファイアーエムブレム」シリーズ全般に言えることなんだけど，主人公は選ばれし者なんですよ。今作で言うと神竜の子という設定で登場する。これって，生まれからして特別な存在なんですね。まあ，ゲイムは大体そうなんだけど。
　それもそのはずで，ゲイムでないとできない体験を味わうためにそうなっているんだと私は思っていて。なので，普段スペシャルではないという自覚がある人間だからこそ，スペシャルな存在になれるゲイムは楽しいんだと思う。


　ゲイムの内容に踏み込みましょうか。まず，指輪のシステムはいいですね。これは歴代のシリーズのキャラクターが指輪によって召喚され、指輪を装着したキャラクターと共に戦うという要素なんだけど，これがかなりいい感じ。
　こう書いちゃうとシリーズに思い入れがないと楽しめないのかと思われるかもしれないけど，そんなことは一切ない。なんなら，私も忘れていたキャラクターがいたし。そこはさほど重要な部分ではなく，育成のシステムとしてしっかり機能してるのが素晴らしいんです。
　ファイアーエムブレムには味方キャラクターがたくさん出てくるんだけど，指輪を付け替えることで得意な武器やスキルを覚えさせることができるんですね。キャラクター自体は好きだけど，そのキャラクターの能力が自分の編成には合わないってケースがままあるんだけど，そういったお悩みも指輪システムで解ケツできる。ちょっとした育成が必要なものの，キャラクターの方向性をある程度選択できるのはいい点だなあと感じました。

　そして，ストーリーもいいですね。これを書いている時点で私は14章まで進めたんだけど，今のところ面白い。ちゃんと戦う理由をドラマチックに描けている気がします。ファイアーエムブレムシリーズは戦闘中に会話をすれば敵ユニットが味方になる，という要素があるため，名前がある敵を倒したとき「会話しなくても良かったのかな？」って気にはなるものの，戦闘中の緊張感は保たれてます。
　どうでもいいけど，プロレスには「乗れる or 乗れない」の要素があります。ただマッチメイクされただけのタイトルマッチを行うよりも，戦う理由があって戦うことになったほうが，見ている側の気持ちも盛り上がるのです。これを「乗れる or 乗れない」と表現します。使い方としては「この流れは乗れるよね」だったりします。
　この話をしたらたぶんかなり長くなるのでこれ以上は言及しませんが，ファイアーエムブレム エンゲージのストーリーに関して言えば，今のところは乗れています。これは淡々と展開しがちなシミュレーションRPGにおいて大切な要素だと思います。
　ちなみに，私は難度「カジュアル」でやっています。仲間のロストは悲しすぎるじゃないですか。現実が私を追い込んでくるんだから，ゲイムくらいはある程度気持ちよくストレス少なめの時間を過ごしたいのでね。


　というわけで，ファイアーエムブレム エンゲージは面白いっていうことを2週にわたってお伝えしてきました。まだ物語中盤なのでもっと乗れてくるとは思うんだけど，現時点でも面白い。シリーズが好きな方には断然オススメですね。ちゃんと期待に応えてくれる作品だと思います。
　私は選ばれし神竜の子ではないけども，毎日が楽しい。飼い犬のハクがいて，ゲイムで神竜の子になれて，仕事でケツを晒して，原稿を書いて。もちろん楽しくない瞬間もあるけれど。ていうか，楽しくない時間のほうが多いまであるけども。
　でも，私の人生はここまで楽しいです。こう感じられることが才能であるならば，私にはそれがあるのかもしれない。他人がどう考えるかまでは私にはコントロールできないけど，幸せに気付こうとするところまでは誰にでもできると思うよ。
　柴犬の平均寿命が14年程度ってこともあって，これからも世の中的にも個人的にも，つらいことは絶対にあるけども，それでもなるべく幸せでいようと思う。気付かせてくれたファイアーエムブレム エンゲージ，ありがとう。また来週。

今週のハマりゲイム
PlayStation 5：「eFootball 2023」
Nintendo Switch：「ファイアーエムブレム エンゲージ」
iOS：「ロードモバイル」
iOS：「ウイニングイレブン カードコレクション」

■■男色ディーノ（プロレスラー）■■ ディーノ選手が所属するDDTプロレスは，2月11日（土）17：30より神奈川・横浜ラジアントホール大会「DDT YOKOHAMA Unlimited Vol.1」を，14日（火）に東京・新宿FACE大会「花より熱波2 〜みんなの知らない世界〜」を開催します。ディーノ選手は横浜大会のダークマッチに飯野“セクシー”雄貴選手とのタッグで出場し，大鷲 透選手＆アントーニオ本多選手と対戦予定です。ディーノ選手によると「せっかく横浜まで行くし，試合が終わったら中華街でご飯を食べたい」そうです。