インタビュー
エムゲームに聞く,ポータルサイトリニューアルの真意および今後の展望──“眠れる巨大パブリッシャ”エムゲームのあるべき姿とは
てっきり最初は,よくある集客目的のゲームポータルだと思っていたのだが,発表当時にいろいろ聞いてみた感じでは,どうも違うようだ。SNSのようなシステムやコミュニティに関わるシステムが搭載されるのだが,それらがすべて閉鎖環境の下に運営されるとのことなのだ。
このポータル運営方針の変化にどのような意味/意図があるのか,オークション機能の実装によってどのような効果/変化があるのか,エムゲームジャパン社長 崔 正濬(チェ ジョンジュン)氏,マーケティング室 大久保 直哉氏,島田 直樹氏の3人に話を聞いてみた。
■基本的なコミュニティ機能/ツールを持つ
■SNS型クローズドポータル
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。早速ですが,8月2日から始まるエムゲームポータルについて,どのようなものなのかをまず教えてください(編注:インタビューは7月31日に収録している)。
こちらこそよろしくお願いします。
エムゲームポータルの主要なコンテンツは,当社が正式サービスしているオンラインゲーム7タイトル,つまりMMORPGなどの“ゲームコンテンツ”です。これに加え,新しくサービスを始める“アイテムオークション”,コミュニティツールとしてSNSに似た“ブログツール”,そして“サークルツール”という他社サービスでいうコミュニティに相当するものが入ります。
このポータルには,コンテンツリミックスという概念で作られた,個人のページをカスタマイズできる“マイエム機能”をつけています。ユーザーは,自由に(情報が表示される)ボックスの位置や,表示/非表示を選択できるほか,エムゲームポータル内のブログなどであれば,RSSによる更新のチェックが可能となっています。
4Gamer:
あぁ……非常にiGoogleっぽい作りになっているんですね。このポータル内ブログのRSSは,外部に出したりできるんですか?
大久保氏:
できません。基本的に,エムゲームポータルは閉鎖性をコンセプトに作られており,ログインしなければコンテンツを見られないという構成になっています。そのため,外部にRSSを配信しませんし,検索エンジンなどで検索しても,ブログを含めエムゲームポータル内の情報は引っかからないようになっています。これは一般的なSNSに近い形です。
4Gamer:
なるほど。確かに,ログイン画面もSNSサイトに似ていますね。
大久保氏:
そうですね。ブログコンテンツも同様に,一般的なブログサイトを参考にした構成になっています。日記を投稿したり,アルバムページにスクリーンショットを投稿して,ほかのユーザーに見せたりといった使い方ができます。とくに珍しい機能はありませんが,ブログとしてサポートすべき基本的なツールはすべて用意してあります。
4Gamer:
せっかくパブリッシャが運営するんですし,ブログのプロフィールにゲーム内のキャラクターのデータを利用したりはできますか? 例えばレベルやステータス,キャラクターの画像などを反映できると面白そうですが。
大久保氏:
それはまだできませんが,検討段階には入っています。現状ではデータベースから直接データを呼び出すという形になるので,リアルタイムで更新するには,難しい部分もあるんです。今は,作業の検証を行っています。
4Gamer:
ユーザーが誰かのブログを開くたびに,ゲームサーバーのキャラクターDBサーバーを読みにいくというのは,確かに厳しそうですね。
そこは工夫して,早く実装したいですね。現在Webとゲームが連動しているのは,課金とアイテムオークションの部分だけなのですが,将来的にはもっと色々な部分で連動が必要でしょうね。
大久保氏:
現状では,お気に入りの画像をアップロードして使うという形になっています。
では続いて同じくコミュニティツールとなる“サークル”について説明します。ここでは,英雄オンラインの門派のサークルを作ったり,共通のテーマで集まったりできます。機能としては,一般的な掲示板や,写真を共有できる掲示板などを用意しています。
4Gamer:
サークルは自由に作れるんですか?
大久保氏:
会員であれば,サークル作成ボタンを使って,いつでも自由に作れますよ。公開レベルや,サークル加入の申請に対して承認が必要かなどの条件を設定することもできます。
4Gamer:
公開レベルの“誰でも”というのは,ポータル外部から招待できるというものでしょうか?
大久保氏:
いえ,エムゲームポータルユーザーの誰でもという意味です。
4Gamer:
なるほど。徹底してクローズドな環境なんですね。では,インバイト(招待)機能などはあるのでしょうか。
大久保氏:
はい,招待したい人の“メールアドレス”を入力することで,サークルに招待できるようになっています。
4Gamer:
これもエムゲームの会員にしか送れない仕様ですか?
大久保氏:
いえ,これはエムゲームの会員以外にも送ることができるので,一緒にゲームをプレイしたいけど,その友達はエムゲームの会員ではない場合などに使ってください。
4Gamer:
そこには制限はかけていないわけですね。
大久保氏:
最後に,メインコンテンツとなるオンラインゲームについてですが,現在サービス中のMMORPGのほかに,ライトゲームも用意しています。8月2日の時点では,大富豪/こいこい/パチンコの3タイトルをサービス開始する予定で,さらに近日中に麻雀やパチスロのようなゲームを公開していきます。
■使いやすいインタフェースを参考にしたアイテムオークション
■サービス開始の理由の一つは,RMTの問題
4Gamer:
では続いて,色々と話題になっている,アイテムオークションについて教えてください。
大久保氏:
このアイテムオークションの一番大きな特徴は,ゲームのプレイヤー間で,ゲーム内アイテムを仮想通貨Mintで取り引きできるということですね。
取り引きの方法としては,例えば英雄オンラインのあるアイテムをオークションに出したいという場合,まず専用のインベントリにアイテムを預けます。そしてエムゲームポータルのアイテムオークションコンテンツで,サーバー“A”の,キャラクター“B”の,アイテム“C”といった形で,出品するアイテムを指定して出品完了です。出品後は,ほかのプレイヤーがMintで入札し,最高値をつけたプレイヤーが落札でき,落札者にアイテムが,出品者にMintが移動するという形になります。
4Gamer:
なるほど,ゲーム内とポータル間で,どのように譲渡が行われるのだろうと気になっていましたが,アイテムとMintの受け渡しは,それぞれシステム上で行われるわけですね。
大久保氏:
はい。ちなみに,出品するときはゲーム内のNPCに話しかける必要があります。いま話した専用のインベントリというのは,このNPCのことを指します。このとき預けたアイテムは,それを預けた時点でロックされます。また,落札者がアイテムを受け取るのもこのNPCからということになります。
4Gamer:
NPCに話しかけて,アイテムを選択した時点でインベントリから消えて,すぐにアイテムがロックされるわけですね。オークションで買い手がつかない場合は自動で戻ってくるわけですか?
大久保氏:
はい,自動で戻ってきます。入札する場合でも同じで,入札した段階でMintを支払ったという扱いになり,入札した分のMintがロックされます。その後,清算の作業が入り,落札できなかった分のMint,売れなかった場合のアイテムが手元に戻ってきます。これにより,入札状況を見て途中で出品を取りやめたり,Mintを釣り上げたりするような迷惑行為の防止を図っています。
4Gamer:
なるほど,オークションを実装したときに起こりそうな問題点をうまくカバーしていますね。
大久保氏:
インタフェースは,大手オークションサイトを参考にしています。そういったオークションサイトの利用経験者なら,気軽に使えるでしょうし,また長い間多くの人に利用されているシステムだけあって,初めての人にも分かりやすいからです。
4Gamer:
出品されているアイテムの詳細情報などは,出品のページで確認できますか?
大久保氏:
はい,確認できます。例えば武器アイテムであればオプションに何が付いているかなども表示されるようになっています。
4Gamer:
なんだかんだと言われつつも,こういう機能を実装しているパブリッシャは少ないのですが,これはやはり,御社なりのRMT問題への対策という意思表示でしょうか? このサービスを開始する理由を,ぜひお聞かせください。
ユーザーの利便性を向上させることが,主な目的となります。それと,やはりRMTの問題も,理由として挙げられますね。当社のタイトルでも,詐欺の被害にあったという例が報告されています。より安全なサービスを提供するために,こういったサービスを取り入れることを考えました。
4Gamer:
しかし,このオークションを利用して業者が暗躍する可能性はありませんか?
島田氏:
そもそも,基本的にはMint自体を譲渡することができません。不正は運営サイドですべてチェックできるので,違反RMT行為につながるようなことにはまずならないと考えています。
Mintのやりとりそのものは,完全に防ぐことは難しいのですが,それとて「Mint」が移動するだけです。Mintは現金化できませんし,エムゲームの作品以外では利用できません。リスクがあるだけで,メリットがほとんどないわけです。
4Gamer:
確かに現金へと換金できなければ,業者が関与する“うまみ”はほとんどありませんね。
島田氏:
もちろん,それでも何がしかの問題は出てくると思います。そこはマンパワーでしらみつぶしにしていくしかないと思います。完全に防ぐのは難しいですからね。
4Gamer:
そうですね,システムで防ぐにも限界があるでしょうし。ところで,オークションに出せるアイテムに制限はありますか?
島田氏:
現在,制限はありません。
4Gamer:
つまり,レアなアイテムでも取り引きできるというわけですね。しかしそうなると,ゲーム内経済が崩壊しませんか? 例えば,上級レベルのプレイヤーが余らせていたレアアイテムが一斉に市場に出回りだしたり,またはそれらがほとんどゲーム内のオークションに出なくなったりすると,さまざまなバランスが崩れてしまうのではと思うのですが。
島田氏:
そうですね……。おっしゃるように,ゲーム内経済の崩壊は現在の懸念事項となっています。ゲーム内通貨と仮想通貨Mintは用途自体が別物で,タイトルによってアイテムなどの価値も違いますし。
4Gamer:
例えば,おそらく多くのプレイヤーは,入手済みのレアアイテムをわざわざもう一度取ろうとはしなかったはずですが,導入後は変わってくると思うんですね。そういったアイテムがゲーム内に不足し,アイテムオークションで取引されるようになると,一時的に価格も高騰する気がします。そうなると,アイテムオークションを利用しない人には,ちょっとつらい状況ができてしまうかなと。モンスターなどからドロップするお金などで,バランスを調整したりするのでしょうか?
島田氏:
しばらくはゲーム内経済が大きく変動するとは思いますが,そこはしばらく様子を見てみようと思っています。どのゲームにしても,オンラインゲームであるかぎり,新しい(有料)アイテムなどで,経済バランスがおかしくなることはあります。それの延長……はちょっと言い過ぎですが,そのような捕らえ方をしています。
こちらでも,ある程度こうなるであろうという想定はありますし,運営側でゲーム内にどの程度の強力なアイテムがどれくらいあるかなどを把握できるので,そのあたりのバランスは随時とっていくことになると思います。
4Gamer:
プレイヤーに直接関わる部分ですし,ぜひ慎重にお願いします。
ところで今しゃべっていて気になったのですが,このアイテムオークションは,エムゲームのタイトルすべてで可能なんですか?
島田氏:
いえ。アイテムオークション自体は今夏中の開始予定なのですが,当初サポートするのは英雄オンラインだけとなっています。その後,順次ほかのタイトルについてもサポートしていきます。
4Gamer:
英雄オンラインから開始する理由は何かありますか?
島田氏:
英雄オンラインが好調であることと、英雄オンラインのプレイヤー層が今回の試みとマッチするのではないかと考えたことが理由です。
4Gamer:
確かにまだまだ日本では数少ない試みですし,いきなり全タイトルはちょっと怖いですね。
島田氏:
ええ。我々自身,様子を見つつ慎重に動かしていきたいと思っています。先ほどの話のように,こちらが想定しているもの,していないものを含め,大小さまざまな問題が出てくると思いますし。
4Gamer:
他タイトルでサポートされるスケジュールは,決まっていますか?
島田氏:
いえ,まだそこまでは。まずは,英雄オンラインで反応を見ながら,今後のスケジュールを考えていくつもりです。
4Gamer:
分かりました。ところで,オークションの手数料はどれくらいを考えていますか?
島田氏:
まずは,“βサービス”として開始することになっています。その段階では手数料は無料にします。
■なぜ今,ポータルサイトがリニューアルされたのか
4Gamer:
話はちょっと大枠のところに飛びますが,新たにエムゲームポータルを作った目的とはなんでしょうか? これまでのお話を聞く限り完全にクローズドなサービスということになり,プロモーションとしての意味は薄い気がするのですが。
他社ではやっていないような,変わったことがやりたかったんです。実はエムゲームは,韓国で初めてアイテム課金を行った実績があります。また,中国でサービスしている「熱血江湖」でも,中国で初めてのアイテム課金を行って成功を収めています。
このように,ほかの企業がやっていないようなものを考える,「遊び心」を常に意識しています。もちろんゲーム会社として,こういったクローズドの形が良いかの議論はありました。しかし,“Mixi”や“iGoogle”のようなサービスを,ゲーム会社としてユーザーに対してできないものかと考え,やってみるかとなったわけです。
そして,既存のユーザーを第一に考え,利便性を図るため自分のマイページを最初に見られるようにと,ログインするという形に自然となりました。やってみようという遊び心と,既存のユーザーにマイページを通して利便性を提供するということが目的ですね。
4Gamer:
なるほど,遊び心と利便性ですか。先ほど見せていただいた感じでは,トップページのシステムはちょっと面白かったですね。ある程度は自由にカスタマイズできるようですし。エムゲームくらいのタイトル数がないと,単にさみしいページになっちゃいますが。実はエムゲームってタイトル数多いですよね。
崔氏:
韓国での運営モデルがポータルによるものなので,エムゲームがタイトルをジャパンエントリー(日本でパブリッシング)するときも,最初からポータルコンテンツとして考えています。しかし一つ,二つとMMORPGを追加していくには,何か月もかかります。そのため,目を留めてもらえるコンテンツがなければ,ポータルでプロモーションを行っても入ってくれるユーザーはいないと思い,まずは既存(編注:8月1日以前)の形でポータルを用意したんですね。今回,タイトル数が十分揃ったと判断し,エムゲームポータルをオープンすることにしました。
4Gamer:
そうすると,このポータル構想自体は最初からあったということですね?
崔氏:
はい,ありました。
4Gamer:
確かに,これだけのものを短期間で企画できないですよね。ただ,7〜8タイトルもある以上,いまこそプロモーション機能が必要ではないかなと感じています。いわゆる普通のプロモーション目的のサイトじゃないので,ちょっと驚かされました。今後もポータルとしてのコンテンツは増やしていくんですよね?
崔氏:
もちろん増やしていきますよ。ただ当分の間は,MMORPGがメインになると思います。あとはほかのジャンルとして,カジュアルとFPSも増やしていきたいかな,と。
プロモーションに関しては,今までどおりタイトルごとに行っていきます。
4Gamer:
……カジュアルとFPSですか?
崔氏:
今韓国でFPS「OPERATION 7」のクローズドβテストを実施しています。それと,熱血江湖のカジュアルバージョンであるサッカーゲーム「熱血江湖Strikers」を,現在日本に持ってくるように準備を進めています。
4Gamer:
今後について,エムゲームジャパンとしてカジュアルゲームやFPSなど,広いジャンルで展開していく……とおっしゃっていましたが,それはエムゲームコリアと連携することが前提ですか? それとも日本オリジナルで何かを?
崔氏:
エムゲームジャパンとしては,基本的には韓国本社のラインナップから持ってくることが第一になります。ただ,実は系列会社である国内のスタジオで開発中のタイトルもあるんですよ。来年,年度末には新作の発表ができるのではないかと思います。
4Gamer:
おぉ,新作ですか。どんなタイトルですか?
崔氏:
本格ファンタジーのMMOです。制作中ですので詳しく言えませんが,独自のエンジンから開発しています。これまでの「3D」と呼ばれるものには,実は2Dレイヤーを重ねて擬似的に3Dに見せていたタイトルが多いのですが,これは完全に3Dのエンジンで,すでにほぼ完成しています。
4Gamer:
なるほど。何系ですか? 格好良いとか可愛いとか。
崔氏:
可愛い系ではないですね。ピュアなファンタジー系……という感じでしょうか。
4Gamer:
完成したら,逆に韓国に輸出したりするのでしょうか?
世界に配信する予定です。“メイド・イン・ジャパン”として配信したいと思っています。
4Gamer:
韓国エムゲームの日本法人が作った“メイド・イン・ジャパン”のオンラインゲームが,ワールドワイドに配信されるわけですね。
崔氏:
ええ。エムゲームジャパンの大元は韓国のエムゲームですが,やはり,エムゲームジャパンとして日本で知名度を得て,ポジショニングをしっかり定めておきたいです。そのためにもまずは,日本の企業として土台を作り,良い会社だと言われるようになりたいと思っています。そして日本企業として,タイトルを世界に配信していこうと考えています。
4Gamer:
なるほど。では失礼を承知でお聞きしたいのですが,エムゲームは韓国では大きな会社ですが,日本ではまだ,巨大パブリッシャになりきれていないと感じています。「風林火山オンライン」を含めて8タイトルのMMORPGがあり,規模は大きいのに頭一つ突き抜けられていないように感じていますが,要因はなんだと思いますか?
崔氏:
現在の市場は,ユーザーの需要に対してメーカー側のタイトルの供給が多い状態だと考えています。ジャパンエントリーの際に英雄オンラインを最初に提供し,現在も好評をいただいていますが,先に述べたような現実があるなかで,とりわけ目立った存在になれなかったことも事実です。今後,風林火山のような完全新作をサービスし,日本市場においてのパブリッシャとしての地位をより大きなものに出来ればと考えます。
4Gamer:
たとえ良質なタイトルであっても,埋もれてしまうんですよね。現在のようなタイトル供給過多という状況下ではなおのことです。そういう意味では大きな要因の一つに“目立てなかった”ことも挙げておきたいです。
崔氏:
「目立つ」……ですか?
4Gamer:
目立つと言っても,面白いタイトルや,出来の良いタイトルだということではなく,いかに興味を引くかという意味においてです。例えゲームとしてのクオリティは高くても,多くのプレイしてもらえないというタイトルはこれまでもあったと思います。何十何百というオンラインゲームの中で「まず目立つ」ためには,それ以外の,ほかにはない要素が必要だろうなと。
崔氏:
なるほど,参考になります。
4Gamer:
そういう要素に関して,何か考えられていることはありますか?
単純に韓国からタイトルを持ってくるだけでは,確かに目立ちにくいかもしれませんね。まずは開発中の新作で,結果を出すべきだと考えています。その結果によって,開発に力を入れるのかを考えたいです。
新作が発表できる1年半後をぜひご期待いただきたいのですが,それまでの間は,今までにない目立つタイトルを探してみることにします。
4Gamer:
探してみる,ということは,韓国から持ってきたり開発したりということ以外にも買い付けを行うということですか?
崔氏:
ええ。デベロッパからタイトルを買って,ポータルでパブリッシングだけを行うことも視野に入れています。
4Gamer:
それはちょっと意外でした。韓国のゲームが中心ですか?
崔氏:
いえ,国内でも欧米でも。国に関係なく,全方位で広げていきます。
4Gamer:
エムゲームの日本法人,という枠を徐々に外れて,日本のパブリッシャとしての道も歩み始めるということですね。どのようなタイトルが登場するのか楽しみです。本日はありがとうございました。
ほかではやっていない,変わったことがやりたいと話す崔 正濬社長。「遊び心」で思いついたものを形にするというそのチャレンジ精神は,この新しいポータルにも大きく反映されているようだ。そんな,社員が戦々恐々(?)としそうな発想を持つ社長だが,インタビュー中には,感想や意見を聞かれるなど“逆取材”されてしまったりと,周囲の意見,良いものを吸収していこうという姿勢も印象的だった。
その遊び心で登場したアイテムオークション。そもそもRMTはプレイヤーとプレイヤーという個人の間で行われていたものだったはずだ。しかし,いつしか仲介を行う人/サイトが登場し,さらにアイテム自体をゲーム内で生成して直接RMTで販売する業者が生まれ,さまざまな問題が表面化してきた経緯がある。
現在ではそういった業者の存在が最も大きな問題として認識されており,「法」で明確に裁けない以上,各社ともそれをどう処理するかに頭を悩ませているわけだ。その解決の一つの手法が「メーカー自らが取り引き仲介に乗り出す」という案なわけで,それは4Gamer読者には,いまさら説明するまでもないだろう。雑談のネタとしてはよく言われることだが,それを実行に移す企業は少なく,その数少ない事例の一つが,この「エムゲームポータル」になるわけだ。
結果自体をどう見るかは立場によって違うと思うが,夏・冬に行う4Gamerの読者プレゼントでのアンケートでは,「健全な形であればRMTはあってもよい」という意見が,想像以上に多くを占める。パブリッシャ自らが行う「オークション」は,その“健全な”形の一つの解決策と呼べないこともない。
この実験的なポータルサイトが,今後どのようになっていくのか,エムゲーム自身の行方をも含め,引き続き注目していきたい。(Interview by Kazuhisa / Text by Nobu / Photo by kiki)
−−7月31日収録
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