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  • 発表日:2008/03/18
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55nm版GeForce 9800 GTを試す。今度こそ省電力化&HybridPower対応を実現
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印刷2008/09/03 11:08

テストレポート

55nm版GeForce 9800 GTを試す。今度こそ省電力化&HybridPower対応を実現

N9800GT T2D512-OC
メーカー:MSI
問い合わせ先:エムエスアイコンピュータージャパン TEL:03-5817-3389
実勢価格:2万3000円前後(2008年9月3日現在)
画像集#002のサムネイル/55nm版GeForce 9800 GTを試す。今度こそ省電力化&HybridPower対応を実現
 65nmプロセス版と55nmプロセス版が用意される,GeForce 9800シリーズの下位モデル「GeForce 9800 GT」。65nmプロセス版は「GeForce 8800 GT」と同じGPUである可能性が非常に高かったのだが(関連記事),あれから1か月が経って,いよいよ55nmプロセスで製造されるバージョンが市場に登場するようだ。
 今回4Gamerでは,MSIの日本法人であるエムエスアイコンピュータージャパンの協力で,GeForce 9800 GTを搭載するクロックアップ版グラフィックスカード「N9800GT T2D512-OC」を入手した。同製品は,搭載GPUの製造プロセスについてアピールされているわけではないが,4Gamerが入手した個体は55nm版GeForce 9800 GTを搭載していたので,GPU製造プロセスの微細化で何が変わったのか,さっそくチェックしてみることにしたい。

※本文にもあるとおり,「すべてのN9800GT T2D512-OCが55nmプロセス版GeForce 9800 GTを採用する」と明言されているわけではありません。仮にエンドユーザーの手にした個体が65nm版GPUを搭載していたとしても,筆者,4Gamer編集部,販売店,エムエスアイコンピュータージャパンはいずれも責任を負いませんので,この点は十分に注意してください。


MSI独自のカードデザインを採用した

N9800GT T2D512-OC


GPUクーラーを取り外したところ
画像集#003のサムネイル/55nm版GeForce 9800 GTを試す。今度こそ省電力化&HybridPower対応を実現
 N9800GT T2D512-OC(以下,N9800GT)は,4本のヒートパイプを持つ2スロット仕様のGPUクーラーを搭載した,オリジナルデザインのグラフィックスカードだ。カード長は実測で228mm(※突起部除く)となり,これはリファレンスデザインと同じ。

 とにもかくにもクーラーを外してGPUコアを確認してみると,マーキングは「G92-280-B1」2008年7月30日の記事で掲載した,65nm版GeForce 9800 GTや,「GeForce 8800 GT」では「G92-270-A2」だったので,A2からB1へと,リビジョンが変更されているわけだ。
 ダイサイズは実測15.9×16.4mmで,同17.5×18.0mmだったA2リビジョンと並べて,確実に小型化している。

55nm版(左)と65nm版(右)のGeForce 9800 GT GPU。マーキングも異なるが,ダイサイズも見るからに異なる。リビジョンが変わり,ダイサイズが小型化している以上,55nmプロセス製造のGPUと見るべきだろう
画像集#004のサムネイル/55nm版GeForce 9800 GTを試す。今度こそ省電力化&HybridPower対応を実現 画像集#005のサムネイル/55nm版GeForce 9800 GTを試す。今度こそ省電力化&HybridPower対応を実現

TechPowerUp製のGPUの情報表示ツール「GPU-Z 0.2.7」では65nmと表示されるが,そもそもA2リビジョンと表示されており,情報を正しく取得できていない可能性が高い
画像集#006のサムネイル/55nm版GeForce 9800 GTを試す。今度こそ省電力化&HybridPower対応を実現
 55nm版GPUを搭載したから,というわけではないだろうが,N9800GTでは,GeForce 9800/8800 GTのリファレンスデザインと異なり,4フェーズPWMを採用するなど,電源回路の設計にかなり手が加わっているのも特徴だ。これは,製品名からも想像がつくように,メーカーレベルでのクロックアップ設定がなされているためだろう。動作クロックは,

  • GPUコア:600MHz→660MHz
  • シェーダ:1500MHz→1625MHz
  • メモリ:1800MHz相当→1900MHz相当

へと,それぞれ引き上げられている。

 搭載するメモリチップはSamsung Electronics製GDDR3の「K4J52324QE-BJ1A」(1.0ns品)で,このあたりは先にテストした65nm版GeForce 9800 GT搭載カードと同じになる。

画像集#007のサムネイル/55nm版GeForce 9800 GTを試す。今度こそ省電力化&HybridPower対応を実現
電源は4フェーズ仕様に
画像集#008のサムネイル/55nm版GeForce 9800 GTを試す。今度こそ省電力化&HybridPower対応を実現
搭載するメモリチップは1ns品

 ちなみにGPUクーラーは一見したところ外排気タイプ風だが,実際には基板へ吹き付ける風量のほうが多く,ブラケットを通じた外部への排気はあまり行われていない。なお,冷却ファンの風切り音は筆者の主観だとさほど大きくなく,静音性に関しては不満のないレベルにあるよう感じられた。


ドライバおよびBIOSを揃えて検証

リファレンスクロックでの比較も実施


 テスト環境はのとおり。65nmプロセス版GeForce 9800 GTのデータに関しては,先に掲載したパフォーマンス速報のものを流用する。
 環境を揃えるため,ドライバは「GeForce Driver 175.31」,マザーボードBIOSのバージョンは0403と,いずれも最新ではない状態で統一している点に注意してほしい。ちなみに,筆者が入手したN9800GTの製品ボックスに付属するグラフィックスドライバのバージョンも,GeForce Driver 175.31だった。

画像集#011のサムネイル/55nm版GeForce 9800 GTを試す。今度こそ省電力化&HybridPower対応を実現

 前述したように,N9800GTはクロックアップモデルとなるため,今回はNVIDIA製ユーティリティソフト「NVIDIA System Tools」(Version 6.02)を利用して,(ことによると55nm版GeForce 9800 GT搭載製品はクロックアップ版しかリリースされない可能性もあるが)動作クロックを65nmのリファレンスにまで下げた状態(以下,9800 GT[55nm])でもテストを行っている。
 ちなみにN9800GTの製品ボックスに付属するグラフィックスドライバを利用すれば,NVIDIA System Toolsを使わずとも,GPUコア/シェーダ/メモリクロックの設定変更は可能だ。

 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション5.2準拠だが,65nm版GeForce 9800 GTのテスト結果も踏まえ,今回は「3DMark06 Build 1.1.0」(以下,3DMark06)とFPSの「Crysis」,しかも「標準設定」のみで検証を行う。また,比較対象となるグラフィックスカードは,製品名ではなく,「GeForce」を省略したGPU名で表記するが,65nm版GeForce 9800 GTは,55nmとの違いを分かりやすくするため,特別に「9800 GT[65nm]」とする。


55nmプロセスへの移行で消費電力が低減

同一クロック時の性能スコアは若干低めに


 まず,プロセスルール微細化によって得られるメリットの一つ,消費電力の低減度合いから確かめたい。OSの起動後,30分間放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークテスト実行時で最も高い値を示した時点を,それぞれ「3DMark06時」「Crysis時」として,電力変化のログを取得できるワットチェッカー「Watts up? PRO」から消費電力をチェックした結果がグラフ1である。

画像集#009のサムネイル/55nm版GeForce 9800 GTを試す。今度こそ省電力化&HybridPower対応を実現
 アイドル時こそ,55nm版と65nm版であまり差のないGeForce 9800 GTだが,3DMark06やCrysisを実行し,描画負荷のかかっている状態だと,65nm版比で20W弱という消費電力の低減を確認できる。もちろん,N9800GTはオリジナルデザインを採用しているため,このすべてがプロセス微細化の恩恵とは言えないが,それでもクロックアップ状態で比較対象より低い消費電力を実現している以上,55nmプロセスの採用で,消費電力が従来製品より下がることは期待してもよさそうだ。

画像集#012のサムネイル/55nm版GeForce 9800 GTを試す。今度こそ省電力化&HybridPower対応を実現

 続いて,3DMark06を30分間連続実行した時点を「高負荷時」として,アイドル時とともに,GPU温度を測定した結果をまとめたのがグラフ2だ。
 テストは,室温24℃の環境に置かれたバラック状態で行い,計測には,GPU温度測定昨日を持つ汎用汎用ユーティリティソフト「ATITool」(Version 0.27 Beta 3)を用いている。

 さて,N9800GTが搭載するGPUクーラーはMSI独自のものであるため,リファレンスクーラーを採用する今回の比較対象と横並びの比較はできないが,N9800GTのGPU温度は高負荷時にも70℃を下回っている。2スロット仕様の面目躍如といったところだろうか。

画像集#013のサムネイル/55nm版GeForce 9800 GTを試す。今度こそ省電力化&HybridPower対応を実現

 気になるパフォーマンス計測結果はグラフ3〜7にまとめたとおり。グラフ4〜6に示したFeature Testの結果は,3DMark06のデフォルト設定(※1280×1024ドット,標準設定)でテストした結果となる。
 興味深いのは,クロックダウンして65nm版9800/8800 GTと動作クロックを揃えたN9800GT(=9800 GT[55nm])のスコアが,やや低めに出ていることだ。「55nmプロセスルールの採用でパフォーマンスが低下した」というのは少々考えづらいため,MSIのオリジナルカードデザインが影響したと考えるのが妥当そうである。

画像集#014のサムネイル/55nm版GeForce 9800 GTを試す。今度こそ省電力化&HybridPower対応を実現
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HybridPowerの動作も確認

価格さえ下がれば……


製品ボックス。「HybridPower Ready」と書かれている
画像集#010のサムネイル/55nm版GeForce 9800 GTを試す。今度こそ省電力化&HybridPower対応を実現
 N9800GTの製品ボックスには,HybridPower対応の文字が躍っており,ASUSTeK Computer製の「nForce 780a SLI」搭載マザーボード「M3N-HT Deluxe/Mempipe」と組み合わせると,確かにHybridPowerは動作した(※5月7日の記事と同様,いったん「Save power」モードに切り替えると,「Boost performance」モードに復帰できず,システムの再起動が必要になったが……)。

 というわけで,GeForce 9800 GTは,55nmプロセスへの移行によって,消費電力の低減を実現できているといっていい。
 ただ,問題は価格だ。N9800GTの実勢価格は2万3000円前後で,これは,ブランドやGPUクーラーを問わなければ「ATI Radeon HD 4850」搭載グラフィックスカードを購入できてしまうレベル。GPUメーカーにこだわりがなく,純粋に「2万円台前半で,より高速なグラフィックスカードが欲しい」という人が,55nm版GeForce 9800 GTを選ぶ理由はあまりないと言わざるを得まい。
 これが2万円を下回るようになれば,ミドルクラスのGeForceを求めている人達にとって,その存在意義は相応に増すだろう。GPU自体の製造コストは55nmプロセスルールの採用で少なからず下がっているはずなので,今後のプライスダウンに期待したいところだ。
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