インタビュー
これはなにやら血が騒ぐ! 「Kingdom Under Fire II」とは一体どんなゲームなのか,開発責任者から直にレクチャー
つい先日,軍団同士がぶつかり合うド派手なプレイムービーが公開されたばかりの本作だが,今回4Gamerでは,そんなKUF2のデベロッパである韓国BLUESIDEのSejung Kim氏と,プロデュース&ディレクションを手がける韓国PHANTAGRAMのSangyoun Lee氏に,直々にプレゼンテーションしてもらう機会を得た。
美麗なグラフィックスや,まるで戦略ゲームのような壮大なプレイ映像など,「なんだか分からないが面白そう!」と思える一方で,具体的な全体像がなかなか見えてこない本作だが,今回はこれ幸いと,根掘り葉掘り聞いてみた。注目のオンラインアクションとして期待されるKUF2とは,いったいどんなゲームなのか。その内容をお届けしたい。
「Kingdom Under Fire II」公式サイト(日本語)
オンライン専用となるPC版と,パッケージ志向のXbox 360版
というのも,PC版のKUF2は,オンライン専用のMMOタイプのゲームとしてリリースされ,Xbox 360版はMMOタイプではなく,シングルベースのマルチプレイ対応という形式でリリースされるというのだ。
ビジネスモデルも当然異なり,PC版はアイテム課金などのスタイルが念頭に置かれ(まだ詳細は未定だ),Xbox 360版はパッケージ販売のみの形を考えているのだという。
Lee氏によれば,どちらかというとPC版がKUF2の全要素を盛り込んだ“完全版”となるようで,MMORPGのように不特定多数のプレイヤーが参加する街/ワールドマップと,最大8人までのマルチプレイが可能な戦闘パート,この二つのモードを行き来しながらゲームを進めていくといった流れになるらしい。
要するに,ロビー部分としてのワールドマップ(MMOタイプ)と戦闘部分(MO)が,切り離されているという形だ。「モンスターハンター」における村の部分がMMOになっている……といえば,イメージが伝わりやすいだろうか。
一方でXbox 360版は,いわゆる“エッセンシャル版”というか,KUF2のアクション部分やマルチ部分が楽しめるという内容で,オンライン前提でもなく,あくまでシングルパッケージゲームとして楽しめる作品を志向しているらしい。
ちなみに今回の取材で見せてもらったのはPC版の方で,3D MMORPG風の街の様子や,激しい戦闘シーンなどを確認できた。とくにCo-opプレイの場面では,Lee氏曰く「最大3000体前後のキャラクター」が画面上に表示されており,近年のMOアクションとは一線を画した映像が展開されていた。このあたりは,公開されたプレイムービーなどで雰囲気を掴めるだろう。
アクションとRTS要素を融合させた戦闘パート
もちろん,必要であれば各部隊それぞれに「攻撃目標の指定」や「支援要請」といった詳細な指示を出すことも可能だが,原則として各部隊のコントロールはAIに任せっぱなしになるということで,作品のプレイフィール自体は,RTSなどのジャンルから想像されるそれとは全く異なるのだという。
「私達が,KUF2を敢えて“アクション”と表現している理由は,ここにあります。基本はRTSですが,RPGのようにヒーローを育成し,アクションゲームのようにプレイできるのです」(Sangyoun Lee氏)
「RTSというと,戦略/戦術上,複数の部隊を同時に操作する必要がありますから,“難しい”と敬遠してしまう人もいます。そこでKUF2は,部隊を一切気にかけずに,ヒーローを操作しているだけで十分プレイできるようにしました」(Sejung Kim氏)
ちなみにLee氏によれば,技術的には2万体以上のキャラクターを表示可能とのことで,1チーム8人以上の対戦プレイも,技術面では無理なく実現できるという。ただ,世界各国のネット環境やゲーム性を踏まえると,現状は,1チーム4人が最も適した人数であると判断しているそうだ。あまりにも多人数vs多人数になると,戦略性どころではなくなってしまって,面白いゲーム性を実現できない,というのも理由の一つだそうだ。
また,PC版のグラフィックスには3タイプの表示解像度を用意しており,現在公開している画像は中レベル(これでもすでに十分すぎるほど綺麗だが)なのだという。そのクオリティや表示キャラクター数から,要求されるPCスペックが気になるが,GeForce 8600クラスのグラフィックスカードがあれば十分プレイ可能とのことだ。
また最高レベルのグラフィックスは同GTX 280クラスで再現できるが,クライアントの容量が60GBを超えてしまうため,どうやって提供するか思案しているところなのだとか。ハイクオリティなグラフィックスは本作の大きなウリの一つではあるが,60GBのクライアントというのは,流石にやり過ぎな(もちろん,悪い意味ではなく)気がしないでもない。事前に動作の確認をするためにも,是非とも本作のベンチマークなどを用意してほしいところだろう。
RPG的な要素や協力プレイを重視
プレイヤーは,さまざまなミッションをクリアしながら資金を蓄え,部隊を拡張していくことになるのだが,そのミッションは,ワールドマップ上で見える「スポット」と呼ばれる地点に行くことで請け負うことができる。
戦闘パートへの移行は,このスポットでミッションを請け負うか,ワールドマップを移動中にエンカウントするかのどちらかで発生する。
とくにミッションは,さまざまな勝利条件や趣向が用意されたものになっており,ただ敵を倒すのではなくて,ポイントの占領や目標となるオブジェクトの撃破など,いろいろなシチュエーションでゲームを楽しめるとのことであった。
さらに,ミッションによっては巨大なクリーチャーも登場する。そうしたクリーチャーは敵として戦うだけでなく,ゲームを進めていくうちに味方部隊の一つとして使えるようにもなるそうで,プレイヤーキャラクターの成長と同様に,自分の部隊をいかに強くしていくかも,本作における重要な要素となっているようだ。
またワールドマップ上に点在する各拠点(街)は,プレイヤーのギルドによって占有することができる。そのため,当然ながら街の所有権をめぐるギルド戦が発生するし,さらに大きな枠の種族間抗争に発展することもあるとのことであった。
ちなみに軍団同士が戦うプレイムービーのイメージもあってか,なんとなく“対人戦メイン”に思える本作だが,Lee氏は,KUF2をワールドワイドで展開するにあたり,Co-opプレイの充実をかなり意識しているという。
とくに日本市場での展開においては,「モンスターハンター フロンティア オンライン」や「ドラゴンネスト」といった成功例を詳しく分析しているようで,アクション系オンラインゲームとしての本作の魅力を力強くアピールしていたのが印象的であった。
また両氏は,世界的なブラウザゲームの隆盛にも注目しており,その中でもモバイル機器との連動に着目。KUF2でも,スマートフォンを使ってゲーム内のアイテムを交換したり,タワーディフェンスのようなミニゲームでゲーム内通貨を稼いだりできるようなシステムを企画しているという。
「韓国では,2009年まで3Dのアクション系オンラインRPGの成功例がほとんどありませんでした。その反省を踏まえ,現在では,これまで培ってきたMMORPGのノウハウをきちんと応用したうえで,アクション要素を取り入れていくことが重要とされています。デベロッパ各社が,ネットワーク上でアクション要素を再現するのに四苦八苦していますが,KUF2はそれを克服しました」(Sangyoun Lee氏)
「韓国でもブラウザゲームは注目されていますが,なかなか単体では利益に結びつきません。そこでほかのタイトルとの連動をはじめ,ビジネスモデルの見直しが図られています」(Sejung Kim氏)
ともあれ,Lee氏とKim氏の両名に話を聞けば聞くほど期待を感じさせられる本作だが,現在は,Sangyoun Lee氏の指揮の下,韓国BLUESIDEで約200億ウォンの開発費を投じて制作が進められている。日本におけるパブリッシングは,まだ各社と交渉中だが,2010年内には詳細を発表できる見込みとのことだった。また料金体系は,基本的に部分課金(アイテム課金)制を採用する予定だという。
さらなる情報は,9月に開催される「東京ゲームショウ 2010」以降から公開されていくとのことなので,4Gamerでも随時取り上げていこう。気になる人はチェックをお忘れなく。
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