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一目見たら忘れられないアートワークが特徴のどつき合いアクション,「ゼノ クラッシュ 日本語版」のレビューを掲載
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印刷2009/09/07 12:43

レビュー

個性的なアートワークと派手な殴り合いを特徴とする,チリ生まれの異色作

ゼノ クラッシュ 日本語版

Text by 朝倉哲也

»   2009年9月11日にズーから発売される予定の「ゼノ クラッシュ 日本語版」。一見するとまるで石器時代だが,実は奇妙な生物や不思議なデザインのオブジェクトであふれた異世界だ。すべてを生み出したといわれる存在「ファーザー・マザー」の謎を追って,主人公がゲンコツで戦い抜くというこの個性的なタイトルは,果たしてライターの朝倉氏にどのような印象を与えたのだろうか。


主人公のガート(左)と相棒のデアドラ。ガートを助けたため,デアドラもまた命を狙われるようになってしまう
画像集#001のサムネイル/一目見たら忘れられないアートワークが特徴のどつき合いアクション,「ゼノ クラッシュ 日本語版」のレビューを掲載

 父親でもあり母親でもあるという謎の存在「ファーザー・マザー」。その秘密をめぐって旅をする男女,ガートとデアドラの二人の冒険を描いたFPS「ゼノ クラッシュ 日本語版」
 欧米ではSteamやDirect2Driveといったダウンロード配信サイトにおいてすでに発売されているが,日本では2009年9月11日,日本語ローカライズ版がズーからリリースされる。
 デベロッパはチリの首都サンティアゴに本拠を置くACE Teamで,本作が彼らの処女作となる。Sourceエンジンで描かれたグラフィックスは美しいが,なにより,ほかのゲームとは比べようもない独特なデザインが本作最大の特徴。キャラクターや世界の造形は,一目見たら忘れられないような個性を放っている。

画像集#002のサムネイル/一目見たら忘れられないアートワークが特徴のどつき合いアクション,「ゼノ クラッシュ 日本語版」のレビューを掲載


至高の存在,ファーザー・マザーの謎を追って


 この世界に暮らすすべての人々の父親であり母親であることから,至高の存在として畏れ敬われているファーザー・マザー。人々は,そのことに何の疑問を持たずに生活していたが,主人公の青年ガートは,そんなファーザー・マザーの秘密の一端を知ってしまう。かくして,彼の兄弟でもあるほかの子供達から命を狙われるようになったガートは,逃亡の途中で知り合った若い女性,デアドラと共に各地をめぐり,この世界の背後にある真実を暴こうとするのだった。

 ゲームはガートが追っ手から追われているシーンからスタートする。プレイを進めるうちにガートの過去が回想シーンとして挿入され,なぜ彼が命を狙われているのかが次第に判明していくというストーリー展開になっている。過去と現在を行ったり来たりするため,多少話の内容が分かりにくい部分もあるのだが,ガートとデアドラの二人が困難な旅を続けるうちに次第に心を許しあい,絆を深めていく様子がストーリーに深みを与えている。

画像集#007のサムネイル/一目見たら忘れられないアートワークが特徴のどつき合いアクション,「ゼノ クラッシュ 日本語版」のレビューを掲載
ガートを助ける謎の人物が船を操り,小船で河を下る。戦いの合間の,ほっと一息つけるシーンだ

 ファーザー・マザーという,その名前からして奇妙な生き物がいったい何なのか,なぜガートに秘密を知られたことで殺そうとまでしてくるようになったのかといったあたりは,ゲームのラストで判明する。謎を引きずったまま最後までゲームを進めなければならないため,プレイの途中でもどかしさを感じるが,ガートの生い立ちの話なども絡めつつ,一枚ずつベールが剥がされていくような演出が巧みだ。
 また,ゲームの舞台となる世界がどういった場所なのか,どのような歴史を持っているのか,などといった物語の背景に関する説明や,それを匂わせるような表現もない。公式サイトなどにも,そのあたりのことはほとんど触れられていないため,これは,開発側があえて隠し,背景をわざとぼやかしているのかもしれない。


独特のアートセンスは,好き嫌いが分かれそう?


たぶん酒場らしいが,お姉ちゃん(もしかすると,お婆ちゃんかも……)はともかく,お客はいったいこれはナニ?
画像集#003のサムネイル/一目見たら忘れられないアートワークが特徴のどつき合いアクション,「ゼノ クラッシュ 日本語版」のレビューを掲載

 ほとんどの人が本作のスクリーンショットを見て,そのなんともいえないアートセンスに眼を奪われるのではないだろうか。良くいえば個性的,悪くいえば気持ち悪いと呼ばれそうな,かなり“イッちゃってる感”の強いデザインだ。
 主人公のガートと,その相棒の女性デアドラこそまともだが,それ以外の登場キャラクターは,おおむね妙だ。人間の体に鳥や象といった動物の頭がついていたり,あるいはずーっと立ち木に頭をゴツンゴツンとぶつけていたり,ただ真っ直ぐに歩き続けるだけだったりと,まさに奇妙な奴らのオンパレードになる。
 ゲームを通じてガートが追い求める,ストーリーの中核をなす存在,ファーザー・マザーもまた,眼は爛々と輝き,身長は3mくらい)で,足の指はカギ爪が生えているという,完全に怪物といっていいデザインになっている。とにかく,こんな連中が次から次へとガートを殺そうと追いかけてきて,行く手に立ちふさがるのだからたまったものではない。

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 そんな連中が暮らす世界は,スクリーンショットからも分かるようにあまり文明的とはいえない。銃やクロスボウのような武器こそ登場するが,それ以外の機械類はほとんど出てこず,住民は丸太を組んだだけの小屋や,土を盛って作った家に裸足で暮らしている。全体として見ると,石器時代にほんの少しだけ文明の香りを加えた雰囲気だ。

 しかし慣れとは恐ろしく,最初のうちこそ,何だこれ? と思っていたキャラクターでも,プレイをしているうちに次第に可愛くなってくるから不思議だ。彼らを「これはこれでアリかも」と思えるようになったら,立派なゼノ クラッシュ世界の住人といえるだろう。


殴って,蹴って,また殴れ! 接近戦メインの痛快な戦闘


画像集#011のサムネイル/一目見たら忘れられないアートワークが特徴のどつき合いアクション,「ゼノ クラッシュ 日本語版」のレビューを掲載

 本作はジャンルとしてはFPSなので,ゲームの中心となるのはやはり戦闘。そして,戦闘時にメインとなる武器はゲンコツである。FPSとはFirst Person Shooterの略なので,FPSと呼んでいいのか疑問だが,ここはあまり深く考えずにFPSということにしておこう。こうしたメレー主体のFPSとしては,「Dark Messiah of Might and Magic」「Condemned: Criminal Origins」などがある。
 拳以外にキックもあるが,敵が倒れたときの追い討ちなどに使うことがメインで,普通,最も多く使用されるのはやはり素手となる。

 パンチには,ボクシングのワンツーのようにスピーディに繰り出せるが威力はそこそこなものと,より大きいダメージを与えられる大振りフックの2種類がある。これらのパンチに,体を左右に振って敵の攻撃を避けるウィービングと,背後に下がるステップバックを組み合わせて攻撃をよけたり,威力のある必殺パンチを放ったりするわけだ。

画像集#005のサムネイル/一目見たら忘れられないアートワークが特徴のどつき合いアクション,「ゼノ クラッシュ 日本語版」のレビューを掲載
戦闘の前には必ずこういう画面が挿入される。たいていはガート一人に対して,複数の敵が襲いかかってくる
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戦闘はパンチが主体となる。細かいパンチで相手を牽制しつつ,ここぞという場面で大振りして大ダメージを与えよう
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鳥男にパンチをお見舞いするガート。この鳥頭はお面か本物かははっきりしない
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行く手をふさぐ,クジラのような謎の生物。とにかく不思議なもので満ち溢れた世界だ

 パンチの威力が大きくなるにつれて繰り出すまでの時間がかかるため,ヒット&アウェイや,敵の攻撃の隙をついてこちらのパンチを放つといった戦術も必要になってくる。
 そのほか,敵がヒザをついたときにヒザ蹴りを打ち込んだり,倒れた敵にガンガン蹴りを入れるといったこともでき,まるで寝技のない総合格闘技のような戦いが楽しめるだろう。

 また,拳銃のような小型の武器からライフルやクロスボウ,グレネードランチャーといった大型武器,あとは棍棒のような打撃武器なども登場するが,総じて使い勝手が悪く,武器だけに頼った攻撃はかなり難しい。
 なにより,連射がほとんどできないのだ。拳銃は連続して10発以上撃てるが,ライフルやクロスボウなどは2~3発,グレネードランチャーのような武器は一度に1発だけ。しかも再装填に時間がかかり,うっかり敵に殴られると持っている武器を落としてしまう。

 さらに再装填中は極端に移動速度が落ちるので,敵との距離を一定に保ちつつ撃ちまくるという,FPS定番の戦法も取りにくい。したがって敵が近づくまでに数発弾を当てておいて,あとは武器を捨てて殴りかかるという攻撃パターンに落ち着く。
 この世界では,やはり最後に頼りになるのは自分の体力とゲンコツのみというわけで,野生の掟は厳しいのである。

画像集#010のサムネイル/一目見たら忘れられないアートワークが特徴のどつき合いアクション,「ゼノ クラッシュ 日本語版」のレビューを掲載
殴りが主体とはいえ,たまには武器も登場する。あまり使い勝手がよくないので,やはり頼れるものはおのれのコブシ一つだ


戦いに次ぐ戦いの連続で高層タワーを登りつめろ


 本作にマルチプレイモードはないが,シングルプレイをクリアすると「ボーナスマップ」というゲームモードがアンロックされる。ここでは数十階におよぶタワーを,敵と戦いながら上へ上へと登っていくというチャレンジバトルが楽しめる。

 ボーナスマップにストーリーはなく,各階に現れる敵をひたすら倒していくのみの内容となっており,上階に行くにつれ手強い敵が登場し,最上階に近いあたりではゲーム本編でボスとして登場した敵も現れてくる。
 タワーの中ということで,もっぱら狭い場所でのどつき合いとなるが,中には壁の上から銃でこちらを狙ってくるなど卑怯な手を使うやつも多く,うまく立ち回らないとあっという間に倒されてしまうだろう。倒された時点でゲームオーバーとなるので,本編で鍛えたテクニックで敵をなぎ倒し,最上階に何が待ち受けているのか見てみよう。

ガートの命を狙う面々。こいつらはまだマトモなほうで,もっと変テコなのもいっぱい
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どこからどうみても象にしか見えないが,追っ手の一人。夕焼けがきれいだなどといっている場合ではない
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泥でできた人形のようだが,ガート達に襲いかかってくる。魔法の杖のようなもので叩くと一撃で倒せる

 独特なセンスのキャラクターに,パンチ&キックによる格闘戦がメインという具合に,一般的なFPSからはかなり離れたポジションに位置する本作。エイリアンの地球侵略を防いだり,ノルマンディーに上陸してドイツ軍と戦ったりしてばかりではつまらないという人にはなかなかよさそうだ。
 世界観の説明がないこともあり,物語はやや尻切れトンボ的な印象を受けるが,本作の成功に気をよくしたACE Teamは,続編となる「Zeno Clash 2」の開発を発表している(関連記事)。
 現時点では,引き続き主人公はガートで,よりオープンワールドになった世界を自由に冒険できるようになるぐらいしか分かっていないが,本作を楽しんだ人にとっては待ち遠しいタイトルになりそうだ。

画像集#016のサムネイル/一目見たら忘れられないアートワークが特徴のどつき合いアクション,「ゼノ クラッシュ 日本語版」のレビューを掲載
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