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[IDF]非力なノートPCでもゲームでリアルタイムレイトレーシングが可能に? Intel,研究中のクラウドコンピューティング技術を実演
なかでも注目したいのは,同社Advanced Graphics Labのグラフィックス研究グループが披露した「小型軽量ノートPCでも,レイトレーシング技術によってリアルなグラフィックス描画を実現できる」というデモ。「Wolfenstein: Ray Traced」と名付けられたこのデモは,クラウドサービスを用いてリアルタイムレイトレーシング効果をクライアントPC側へ送ることで,高性能のグラフィックスカードを搭載していないシステムでも美しい描画を実現するというものである。
デモでクライアント機として使われたStudio 14。Core 2 Duoとチップセット統合型グラフィックス機能がベースの製品だ |
Knights Ferryの概要 |
Knights Ferry側で用いられているプロセッサは,グラフィックスチップとしての提供を断念した「Larrabee」(ララビー,開発コードネーム)を,クラウドコンピューティング向けに転用したもの。現時点ではLarrabeeコアをベースとした32コアのカードが特定のベンダーに提供されているが,製品化は,22nmプロセス世代で50基以上のCPUコアを統合した「Knights Corner」(ナイツコーナー,同)からになる予定となっている。
このKnights Cornerを搭載したクラウドコンピューティング向けサーバープラットフォームが,Knights Ferryというわけである。
グラフィックス研究グループの担当者によれば,クラウドサーバー側でレンダリングを肩代わりすれば,どんな非力なPCでも高度なグラフィックス描画を用いたゲームプレイが可能になるとのこと。とくに,単体のグラフィックスチップを搭載しづらい薄型ノートPCにおけるゲーム環境を飛躍的に向上させる技術だという。
「グラフィックスカードの高性能化以外のアプローチでも,ゲーム環境を進化させることができる実例の一つだ」(同担当者)。
Wolfenstein: Ray Tracedでは,ガラスやレンズ,金属への映り込みや複雑な光源処理だけでなく,炎などといったパーティクルの処理も行われていた。Intelはまた,「レイ・トレーシング処理は,画面を美しく見せるだけでなく,銃のターゲット・スコープに後ろから迫ってくる敵の姿を映し込んだりできるようになるため,ゲームプレイの幅を広げることも可能」とアピールする。
パーティクルもクラウドサーバー側で処理 |
銃のスコープに背景が映り込んでいる |
また,クラウドサーバーとクライアント間でデータをやり取りすると,どうしてもある程度のレイテンシ(Latency,遅延)が発生する。高速なネットワーク回線を使ったとしても,プレイヤーの操作を画面上で反映させるには100ms以上のレイテンシが生じてしまう。
もちろん,Intelはこのような問題に気づいており,いかにして解消するかについての研究を進めているところだという。技術的には「夢の」と言っても過言ではないだけに,今後の展開を見守りたいところだ。
なお,本デモの直撮りムービーや,そのほかに公開された技術デモについては,追ってお知らせしたいと思う。
→Wolfenstein: Ray Tracedの公式サイト
→Research@Intel公式blog内該当記事
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