連載
連載「PCゲームを持ち出そう!」。第57回はスポーツシミュレーション「Pro Cycling 2008 - Tour de France」のPSP版を紹介
なお,Pro Cycling PSPは日本国内では正規に販売されていないため,入手するには,海外ゲームを取り扱う販売店で並行輸入品を購入する必要がある。
編集部で試した限りでは,本作は国内版のPSPでも動作したが,4Gamer編集部およびソニー・コンピュータエンタテインメントは国内版PSPでの動作を保証しかねるので,その点はあらかじめご了承を。また本作は海外版のソフトであり,ゲーム画面や各種メッセージ,マニュアルなどはすべて英語なので,その点にも注意してほしい。
夢はデッカく! ツール・ド・フランス総合優勝
その道のりは果てしなく遠い……気がする
なお,シリーズ旧作であるPC用日本語版「プロサイクリングマネージャー ツール・ド・フランス」(原題 Pro Cycling Manager Season 2006)が,オーバーランドからリリースされている。選手などのデータは2006年のものだが,やっぱり日本語で遊びたいという人は要注目だ。
さてPro Cycling PSPは,ロードレースチームの監督となって手腕を発揮し,さまざまなレースにおいてチームを勝利へ導くというもの。本作には,クイックステップ,ラボバンクといったプロチームや,選手に関するデータが豊富に収録されており,レースで勝利すべく各選手に指示を与えていく,監督の醍醐味が味わえるのだ。まあ,そううまくはいきませんけどね。
それぞれのレースに挑むにあたり,監督として最初に行うのがメンバー選択だ。選手には,総合的に優れた「Major Tours」,上りを得意とする「Mountain」,チームのアシスト役となる「Flat」などのタイプがあり,データ画面では,各選手がどれに当てはまるか分かるようになっている。そのステージの特徴や,選手の能力/体調などを考え,ベストメンバーを組もう。
レースでは,各選手がそれぞれの役割をきっちりと果たせるよう,的確に指示を出すことが重要となる。
例えば,ライバルチームの選手達が逃げ集団を形成した場合,ゴール手前で追い越せるよう,メイン集団に入り,体力を温存しつつ追撃することになる。このときアシスト役の選手は,アタック(スパートをかけること)してメイン集団全体のペースを上げたり,エースの風よけになるよう,その周りを取り囲んだりするわけだ。
アタックは,レースを進めるうえでとても重要となるものだが,スタミナを大きく消耗するため,その使いどころが難しい。アタックさせるときは,その選手にとって有利な地形であること,周囲の選手がスピードを出していないことを確かめるべし。でないと,スタミナばかり消耗して,すぐに追いつかれてしまうことになる。
レースの序盤では,逃げ集団がどんどんスピードを上げ,たいてい差が大きく開いてしまう。だが中盤以降は逃げ集団のペースが落ちるので,焦らなくても大丈夫。先頭集団に追いついたら,タイミングを見計らってアタックし,うまく抜け出したいところだ。
Pro Cycling PSPには,ワンデイレースの「CLASSIC」,複数のステージを走る「STAGE RACE」,そしてスケジュールに沿って5シーズンを戦い抜き,各シーズンの総合優勝を目指す「SEASON」などのモードが用意されている。
もちろん,中でも最も難度の高いのが,SEASONモード。なにせ,そのレースで勝ちゃあいい,という単純なものではなく,シーズン全体を考慮したレース運びが求められるからだ。長いシーズン,あえて勝ちを狙わずに選手の体力を温存し,ポイントとなるレースに力を注ぎ込むといったことも,時には必要なのである。
本作を手に入れてから1か月以上経つが,最も難度の低い「EASY」設定でも,なかなか思いどおりのレースができない(……私だけ?)。ワンデイレースのCLASSICモードですらこの有り様なのに,STAGE RACEやSEASONといったモードで勝つのは,相当大変そう。
とはいえ,ああでもない,こうでもないと試行錯誤するのはなかなか楽しく,勝利をつかんだときの達成感は非常に大きいのである。目指せ,ツール・ド・フランス制覇!!
なお,Pro Cycling PSPではロードレースのほか,「Sprint」「Keirin」「Elimination Race」の3種類のレースが楽しめる。
ロードレースと比べるとずっとシンプルで,とくにSprintとKeirinは日本人にとってより親しみのある競技だが,難度はロードレース並みに高い。ライバルと自分の脚力,スタミナ,残りの距離などを考え,スパートをかけるタイミングを決めるわけだが,EASY設定でも勝つのは容易ではないだろう。
Sprintを遊んでみて,世界自転車選手権のプロスプリントで10連覇を成し遂げた,中野浩一選手の偉大さを思い知った次第だ。
Pro Cycling PSPの見どころはココ!
そんな私なので,「要は気合いだ! 気合いさえあれば大丈夫!」と意気込んで遊び始めたのだが,やっぱり甘い考えだった。このゲームを遊んでみて,ロードレースというものの難しさ,奥の深さを痛感させられっぱなしなのである。
Pro Cycling PSPには18のチームが参加しており,コースを走る選手は100人近くになる。各チームは基本的に,それぞれの戦略に沿ったレース運びをするわけだが,刻一刻と変化する状況に合わせ,各選手がさまざまに動くため,まったく同じ状況になることは皆無だし,本作でいわゆる“勝利の方程式”を見出すのは無理なんじゃないだろうか。
常に「今の状況」を正しく把握し,ゴールまでの距離,各選手のコンディションや特性(脚質),ライバル選手達の動き,そして次以降のステージでの戦い方などを考えながらレースを進めることが重要となる。
……と,言葉にするのは簡単だが,実行するのはとても難しい。そんな奥の深いゲームだからこそ,挑戦しがいがあるというもの。ツール・ド・フランスなどを見てワクワクするという人ならば,本作を遊ぶことで,観戦の楽しみも増すことだろう。
Pro Cycling 2008 - Tour de France
対応機種:PlayStation Portable
メーカー:Focus Home Interactive
発売日:2008年7月11日
価格:29.99ユーロ
公式サイト:http://www.cycling-manager.com/en/
- 関連タイトル:
Pro Cycling 2008 - Tour de France
- 関連タイトル:
Pro Cycling Manager Season 2008
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