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印刷2010/10/04 20:09

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海外ゲーム四天王 / 第61回:「ArcaniA Gothic 4」

海外ゲーム四天王 〜戦うおじさん〜
第61回:今週のオーク:「ArcaniA Gothic 4」
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 海外の新作ゲームタイトルをいち早く紹介して読者に喜んでもらおうという週刊連載「海外ゲーム四天王」だが,今回は「ArcaniA Gothic 4」デモ版インプレッションを掲載する。欧米で製品が発売されるのは,来週10月12日(ヨーロッパ地域は15日)だが,4Gamerにも掲載したデモ版は,クライアントサイズも大きく,なかなか遊べるモノになっているのだ。
 外国生まれのファンタジーRPGファンなら注目せずにはいられないこの作品を,世界で一番デモ版をプレイしている男といわれるライターの朝倉哲也氏が斬ってみるが,安心せい,峰打ちじゃ。

初のコンシューマ機版も同時発売 より遊びやすくなったシリーズ最新作

 

 今週の「海外ゲーム四天王」では,ファン待望の本格派ファンタジーRPG「ArcaniA Gothic 4」(以下,Gothic 4)を紹介したい。といっても製品版の発売はまだで,北米では来週10月12日(ヨーロッパ地域は15日)のリリースが予定されている。とはいえ,やはり個人的にも期待作なので,今回はまず,デモ版のレビューとしてお届けしようという寸法だ。デモ版とはいえ,クライアントのサイズは1.7GBもあってボリュームたっぷり。果たして,剣と魔法の世界を描く人気ファンタジーシリーズの最新作はどんな雰囲気なのだろうか。

 

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 「Dragon Age 2」「Fallout: New Vegas」「The Witcher 2: Assassins of Kings」「Mass Effect 2」そして「Fable III」など,すでにリリースされたものも含めて,欧米ゲーム市場ではRPGが相変わらず盛況で新規タイトルも多い。これに「Star Wars: The Old Republic」といったMMORPGを含めれば,かなり大きなジャンルを形成しているといえそうだ。RPG好きな筆者としては嬉しい限りだが,RPGといえば,やはり剣と魔法の世界を冒険するファンタジーモノに限るというファンであれば,Gothic 4は見逃せないはず。
 しかも,今では当たり前のようになったマルチプレイモードを持たず,シングルプレイだけで勝負する作品ときてはオールドRPGファンにとって,ご飯三杯は軽くいけそうだ。

 

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 本作は,タイトルに「4」と付くことからも分かるように,北米地域で2006年にリリースされた「Gothic 3」に続くシリーズの第4弾だ。これまでの3作品を開発していたデベロッパのPiranha Bytesに替わり,新たにSpellbound Entertainmentが開発を担当している。
 デベロッパが替わった理由は発表されていないが,パブリッシャのJoWood Entertainmentが,Piranha Bytesの作るGothicシリーズに満足していなかったとか,第4作を作るにあたって,要求されたクオリティをPiranha Bytesが実現できなかったとかいう噂レベルの報道が行われているものの,実際のところは分からない。

 

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 さて,Gothic 4の世界では人間とオークが一緒に暮らしている。もともと両者は対立していたのだが,過去に起きた大戦争の結果,人間が敗北して世界がオークのものになった。やがて時が過ぎ,いまや人間とオークが同じ村に暮らすなど,両者の間は一応の平穏を保っている……というのがGothic 4の,というかGothicシリーズの世界観だ。なんかの役に立つかもしれないので,ぜひ覚えておいてほしい。

 

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 プレイヤーは,一人の冒険者として物語を始めることになる。デモ版の序盤は9月27日に掲載した記事にも書いたように,恋人の父親に結婚の許しを得るという,オープニングとしてはちょっとのんびりとしたものだ。Gothicシリーズ従来作は,「ポンと世界に放り出されて途方に暮れる」という感じがあったが,今回はすぐに話が始まり,やるべきことも分かりやすい。
 主人公の年齢は以前より若くなり,また,あまり個性のなかった従来作に比べて,彼自身の人生をそれなりに送っているという印象を受ける。なにしろ恋人が妊娠しちゃったので,あわてて結婚しようとしているくらいなのだ。できちゃった婚ファンタジーRPGである。
 そんな主人公の暮らす村には人間だけでなくオークも住んでいる。オークとは会話ができ,さらにオークはプレイヤーにクエストをくれるという重要な役割も担っている。おおむね,人間とオークとが,まあまあうまくやっているんだなあということが分かるが,とはいえ,このままずっと平和なのかどうかは不明だ。

 

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 前作に比べてグラフィックスレベルは高く,キャラクターの造形も細かくなったが,全体的なデザインワークがヨーロッパ風というか,ぶっちゃけちょっと垢抜けない。また,アクションなどのモーションもどことなくぎこちなく,北米生まれのタイトルに慣れていると,そこはかとない手作りムードが感じられるはずだ。
 開発しているSpellbound Entertainmentはドイツのデベロッパであり,(Piranha Bytesもそうだが),マップやオブジェクトやキャラクターをまじめにキッチリ作りこんであるという印象を。個人的には好きだが,このへんは好みの分かれるところだろう。顔グラ濃いですよ。

 

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 デモ版をプレイした限りの印象だが,戦闘はよりカジュアルになったようだ。前作の戦闘にはやられたときにのけぞり,その間にも攻撃が入るというヘンなクセがあり,格下相手にハメ殺しされたりしたモノだが,今回は普通に戦うことが出来る。
 レベルアップで得られたスキルポイントの割り振りは,前作のように師匠のところに行く必要はなく,いつでもできるようになったし,魔法の威力も強力になった。
 これはたぶん,同時に発売されるコンシューマ機向けのアレンジであり,これに微妙な思いを抱くファンもいるかもしれない。とくに前作の「コツをつかむまでが大変だが,一度つかんでしまうと,戦闘が快感」という奥深さは影を潜めたが,ファンタジーRPGの間口を広げるという意味では必要なことなのかもしれない。どうでしょ。

 

 というわけで,Gothicシリーズの持っていた,理不尽さや奇妙さといった個性は薄れて,キレイにまとまった作品になっているが,そのぶんシリーズのファンだけでなく広い層に薦められるタイトルになったといえそうだ。発売が楽しみな一本である。

 

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