これからは全身でオペレーション？　ビル・ゲイツ会長，「Project Natal」をWindowsで展開することに前向きな発言

　Microsoftのビル・ゲイツ会長は，CNETのインタビューに答えて，人間の動きや音声を感知するXbox 360用のモーションコントロールシステム，「Project Natal」（開発コードネーム）をWindowsでも展開していくことに関して前向きなコメントを述べている。


　Project Natalとは，2009年6月に開催されたElectronic Entertainment Expo 2009において大々的に発表されたXbox 360用のモーションセンサーシステム（関連記事）。
　プレイヤーの動きを感知してキャラクターなどを操作するシステムは，すでに任天堂がコンシューマゲーム機のWiiにおいて採用しており，その分かりやすさから，普段ゲームをプレイしない層の取り込みにも成功している。Project Natalは，これに対抗するために開発されたテクノロジーだ。

　Xbox 360に接続されたカメラとマイクが，プレイヤーの動きと音声を認識してゲーム内のキャラクターを動かしたりするというもので，足を振ったり体を揺らしたりといった大きな動きだけでなく，拳を握ったり開いたりといった細かな動きにも対応できる高精度なセンサーを備えており，コントローラを必要としない。またマイクによる音声認識機能もあるので，ゲーム内のキャラクターに音声で指示を与えるといったこともできる。

　インタビューの中でゲイツ氏は，Project NatalのWindows向けの応用分野をリサーチしていくと述べており，ゲームやチャットといったエンターテインメントだけでなく，映像と音声によるテレビ会議などといったビジネス分野においても有用なテクノロジーとなるだろうとしている。


　ゲームに関するProject Natalの話題としては，「Tom Clancy's End War」（PC/PLAYSTATION 3/Xbox 360）を開発した，Ubisoft EntertainmentのMichael de Plater氏のコメントがゲーム情報サイトであるvg247に掲載されている。同氏は，Project NatalはRTSジャンルにおいて画期的な操作感をもたらすと述べており，映画「マイノリティ・リポート」（2002年）のようなシーンが，そのまま家庭に登場するようになるだろうと続ける。
　映画マイノリティ・リポートでは，コンピュータに収められたデータを，箱を動かすような感覚で移動させながらファイルを操作するシーンがあり，Plater氏は，これと同じようなことがゲームでも行えれば，とくにストラテジーゲームの操作に新感覚を付与できるだろうとしている。

タッチスクリーンによる操作が可能な「R.U.S.E」

　Plater氏は現在，ストラテジーゲームである「R.U.S.E.」（PC/PLAYSTAION 3/Xbox 360）を開発中だが，同作は“Intuiface”という専用のタッチディスプレイを使ったプレイにも対応しており，E3 2009の会場でも話題になっていた（関連記事）。Intuifaceは，日本円で200万円以上もする高額な機材で，展示はあくまで実験的なデモンストレーションだったが，Project Natalがこれに近い操作感覚を与えるということだろう。

音声入力が可能な「Tom Clancy's End War」。Ubisoftは新しい入力方法に熱心なメーカーだ

　ちなみに，彼のボスにあたるUbisoftのCEO，Yves Guillemot氏はProject Natalを評価しつつも，当分の間，コアゲーマーは現在のスタイルで遊び続けるだろうとCNBCに語っている。理由としては，長時間のプレイには向いていないからで，まあ，それはそうかもしれない。

　E3 2009でカリスマクリエイターのピーター・モリニュー氏が，Project Natalを使った斬新なデモを披露し大きな反響を得ているだけに（関連記事），今後，多くのゲームがサポートすることも予想される。