プレイレポート
これがワールドワイドで最先端を行くMMORPGの実力だ! 正統派ファンタジー「Rift」プレイガイド
Riftは英語版のタイトルなので,興味はあるけど手を出すのには及び腰,という4Gamer読者も多いかもしれない。しかしRiftは一本のMMORPGとして素晴らしく魅力的な作品に仕上がっており,とくにコアなMMORPGファンに対しては胸を張ってお勧めできる作品である。
今回はゴールデンウィーク企画として,Riftの「プレイガイド」をお届けしよう。本稿が,Riftを気になっていた人が実際にプレイする“きっかけ”となってくれれば幸いだ。
「Rift」公式サイト
「Guardian」「Defeiant」という2つのプレイアブル勢力
そして『Rift』(時空の亀裂)から侵攻してくる第3の勢力
Riftの舞台となる「Telara」は,長引く戦争で大量の魔力が使われたことにより,森羅万象が著しく混乱しており,ほかの次元との境界も弱くなっているという世界だ。
そんななか,プレイヤーは王国の復興に心血を注ぐ「Guardian」と「Defeiant」という2勢力のいずれかに属し,冒険を繰り広げていくことになる。
GuardianとDefiantはお互いに対立しているが,それとは別にTelaraでは世界中のところどころで「次元の亀裂」(Rift)が生じており,そこから“闇の眷属”ともいうべきモンスターが雪崩れ込んできている。
詳しくは後述するが,Telaraのあらゆる勢力にとって共通の敵となる闇の眷属との戦いは,Guardian対Defiantの対立構造に一味違ったスパイスを利かせており,本作のゲームシステムで最大の特徴ともなっている。
プレイヤーキャラとして選択できる種族は,Guardian/Defiant共に3種類ずつ用意されている。スクリーンショットを見てのとおり,グラフィックスのセンスは,洋物MMOのなかでもアクが比較的少なめで,日本人にも受け入れられやすそうだ。
「Guardian」 |
「Defiant」 |
現世代のMMORPGの多くがそうであるように,基本システムは「WoW」が築き上げたスタンダードスタイルから大きく外れてはいない。WoW以降にリリースされた欧米のMMORPGや,アジア圏の「AION」などにプレイ経験があれば,Riftはほとんどつまずかずにプレイできることだろう。
もちろん,RiftはWoWクローンではなく,随所で光るモノを持っており,2011年の新作タイトルに相応しい仕上がりである。なかでも,これは今後のMMORPGのトレンドを変えてしまうのでは……と感じたのは,マップ機能と一体化した“クエストナビ”のシステムだ。クエストの目的地がマップに記されるだけなら当たり前だが,Riftはその一歩も二歩も先を進んでおり,すこぶる使いやすい。
例えばモンスターの討伐系のクエストであれば,それがポップする大まかな範囲が,マップ内に“円”で示される。マウスオーバーでその詳細が表示され,たとえ複数のクエストを受けていても,どこに出現するどのモンスターを何匹倒せばいいのかが,瞬時に分かるのだ。また,モンスターをターゲットした際も,それがどのクエストに関係しているのかが表示される。
ゲームの主軸となるクエストまわりのシステムが,とてもよくできている。大半がソロプレイで遂行可能なバランスも嬉しい |
画面右下に,クエストで倒すモンスターの数がカウントされている。クエストのために具体的に何を行えばいいのか分からない,といったこと起こりにくい |
マップ内にはクエスト以外にもさまざまな情報が記されているが,マイキャラが移動しているあいだは,たちまち半透明に切り替わるのもポイント。半透明のマップにはアクセスできなくなるので,クリック誤爆することなくキャラの操作に専念できるわけだ。
クエストの内容そのものも非常に幅が広く,プレイヤーを飽きさせない。モンスター討伐やお使い系といった定番タイプに加え,Riftでは“アイテムを使う”タイプのユニークなものが多く揃っている。
アイテムでモンスターを捕獲したり,あるいはモンスターを呼び出したり,味方のNPCを鼓舞したりと,メッセージも含めじっくり目を通すと,あたかもTRPGのセッションに参加しているかのような密度の濃いシナリオが堪能できる。
クエストごとに,ナビゲーションに表示させるかどうかの設定が可能。エリアごとでまとめて表示させると,複数のクエストを効率よくこなせる |
アイテムを使用するタイプのクエストは,そのためのショートカットアイコンが置かれる。適当に押すと表示されるエラーメッセージを見れば,何をすべきか大体分かる |
「クエストを行うことが苦にならない」,というのは実際には口で言うほど生やさしいことではないが,少なくともRiftではそれが実現できている印象だ。
自由度が高くやり直しがいくらでも可能
あらゆるプレイスタイルに対応できるクラスシステム
Riftのクラスシステムは,ベテランのMMORPGプレイヤーにとっても十分満足のいくボリュームとなっている。自由度が非常に高く,それでいてやり直しがいくらでも利くため,あらゆるプレイスタイルに対応できるのだ。
順番に見ていくと,まずはキャラクターの作成時に「Calling」と呼ばれる大まかな方向性を「Warrior」「Cleric」「Mage」「Rogue」の中から選ぶ。各Callingにはそれぞれ8種類の「Soul」があり,自分が選んだCallingの中から同時に3つのSoulを取得できる。
各CallingにおけるSoulのラインナップは以下のとおり。
◎Warrior
攻撃系:Beastmaster,Champion,Paragon,Riftblade
防御系:Paladin,Reaver,Void Knight,Warlord
◎Cleric
攻撃系:Cabalist,Druid,Inquisitor,Shaman
回復系:Purifier,Sentinel,Warden
防御系:Justicar
◎Mage
攻撃系:Elementalist,Pyromancer,Stormcaller,Warlock,Necromancer
補助系:Archon,Dominator
回復系:Chloromancer
◎Rogue
攻撃系:Assassin,Bladedancer,Marksman,Nightblade,Ranger,Saboteur
補助系:Bard
防御系:Riftstalker
マイキャラはレベルアップなどで獲得したポイントを,各Soulのツリーに割り振り,新しいスキルを会得していく。ここまでは,Soulの種類が多いものの,ほかのMMOタイトルの経験者であればだいたい分かるだろう。
スキルツリーには独特なスタイルが採用されており,上部が「Branche」,下部が「Root」と呼ばれる構成になっている。プレイヤーが実際にポイントを割り振れるのはBrancheツリーで,それが一定値に達するとRootスキルを自動的に会得する,という仕組みだ。
各Soulのスキルツリーは,中央から上に向かって「Branche」,下に向かって「Root」が伸びていく。Rootスキルは,どのクラスでも一本道の構成だ |
キャラクターの作成後,早い段階で3つのSoulが選べる。残りのSoulは,レベル15前後で首都エリアに到達することで選択可能 |
ここで悩ましいのは,ポイントの数が有限であるため,三つのSoulすべてに特化することはできない,という点だ。よって,Branche内の“どのスキルに”ポイントを注ぎ込むかという既存のツリーシステムの概念に加え,“どのSoulに”という考え方が求められる。
例えば,一つのSoulにポイントを注ぎ込んでいけば,Brancheに加えRoot系のスキルも会得し,“専門職”としての道を選ぶことになる。一方,複数のSoulにポイントを分配すると,上位のRootスキルが得にくい代わりに,幅広いジャンルのスキルが選べる“複合職”(ハイブリッドクラス)に仕上がるわけだ。
少ないポイントで獲得できる有用なスキルには要注目。2番目,3番目のSoulとして選んだ際に重宝することが多い |
序盤は1種類のSoulに特化して,Rootも含めて基本職としての立ち回りをしっかり覚えよう。次第にポイントが余ってくるので,それから手を広げていくのがお勧めだ |
上のSoul一覧では大まかなタイプも記しているので,3つの組み合わせをあれこれイメージしてみてほしい。例えばWarriorでパーティプレイを行うのなら,攻撃系のSoulを集めてアタッカー,あるいは防御系を集めてタンクなど,特化したキャラクター構成が役立ちやすいだろう。
また,ソロプレイを行うのなら,攻撃系を中心にしつつ,Paladinにもある程度のポイントを振って回復スキルを会得しておけば,たとえピンチに陥っても生き延びられるチャンスが増えそうだ。
こういった感じで,各Soulへのポイント配分次第で,キャラクターの育成バリエーションはいくらでも広がっていく。しかもSoulの選択やポイント配分は,小額の金銭を払うことでやり直しが行えるので,気が済むまでマイキャラのスペックを追求できるのだ。
冒険の最中に見知らぬ人とパーティを組む必要が生じるなど,マイキャラの立ち回りは随時変わる。そんなときも,Rollを替えることで臨機応変に対応できるのだ |
装備できるアイテムはCallingごとに分けられている。たとえRollを切り替えても,Callingは同じなので,装備がそのまま流用できるというわけだ |
そしてもう一つ,「Soul構成とポイント割り振り方」の設定を複数パターン記録して,いつでも切り替えられるというシステムがあり,これがRiftのキャラクター育成をたまらなく面白くしている。
この設定は「Roll」という名前で,マイキャラの役割そのものを変えられる。上の例だと,パーティプレイ用としてのアタッカーやタンク,そしてソロプレイ用といった役割をそれぞれ設定しておくことで,一人のキャラクターで全部をこなせてしまうのだ。
スキルの数が多いため,最初は複雑に感じるかも。しかし2〜3番目のSoulに目がいくようになる頃には,キャラ育成の幅広さ・奥深さに気づくはず |
最初に選んだ4種類のCallingの範囲内であれば,冒険中にいくらでも変更できる。ここがRiftのキャラ育成における要だ |
Rollの変更はどこにいても2秒程度で行え,ショートカット用のスロットも別個で記録される。また,武具の装備条件はCallingごとに分けられているので,Rollを変えてもそのまま流用できる。
つまり,ゲーム内の状況に応じてRollを切り替え,その都度最適なキャラスペックで立ち回れるのだ。もちろん,その日の気分に応じてRollを変えてもいいだろうし,プレイ中の新鮮さは永く保たれやすい。
Riftでは,同じCallingの範囲内であれば,複数のタイプのキャラクターを並行して育成できる。こういった芸当が手軽に行えるのが,Riftなのである。
パーティプレイの醍醐味を手軽に味わえる
『Rift』(時空の亀裂)での迎撃戦
冒頭部で触れたように,Riftの世界Telaraは,闇の眷属からの侵略に脅かされている。ワールドマップの至るところで,ゲームの題名でもある『Rift』(時空の亀裂)がランダムで発生しており,その中からモンスターの集団が攻め込んでくるのだ。
Riftから現れたモンスターは,野放しにしているとTelaraの各拠点を攻撃する。そして拠点にいるNPCがモンスターに倒されてしまうと,なんとその施設は一定期間使えなくなってしまうのだ。もちろんその間,ショップでの売買やクエスト遂行などは行えない。
これを防ぐ方法は,Riftから現れるモンスターをすべて撃退するしかない。そうすることでRiftは閉じられ,Telaraにひとときの平和が訪れるというわけだ。ただしTelaraの世界では,大小さまざまなRiftがどこかしらで絶え間なく発生しており,争いが完全に途絶えることはない。
もし読者に「ファイナルファンタジーXI」のプレイ経験がある人なら,カンパニエやビシージをイメージしてもらうと(コンセプトは)比較的理解しやすいだろう。このようにRiftでは,パーティで遊ぶための環境が整備されており,たとえ短時間のログインでも,ほかのプレイヤーとの連帯感や臨場感を共有できるのである。
Riftが出現する位置はランダム。拠点のすぐ近くで発生することもあり,その場合はNPCも入り乱れての大混戦となる |
Rift戦での貢献度に応じて「Planarite」というポイントを獲得。これを集めて特別な報酬と交換するシステムもある |
肝心のパーティシステムは全体的にあっさりしていて,ほかのプレイヤーキャラに接近して「Join」のボタンを押すだけで,パーティに参加できる。
例えば街道など人通りの多いところでRiftが発生すると,あれよあれよという間に10名近くの大規模パーティが出来上がる。その際,誰一人としてクラスやレベルのバランスを気にすることがないというのは,実際目にするとなかなかインパクトがある光景だ。むしろパーティ編成時にチャットすら行われないことも多く,シャイな日本人にとっては助かるシステムといえなくもない。
ちなみにパーティにレベル差などのペナルティは少なく,戦力アップなどのメリットのほうが大きい。経験値やドロップアイテムなどの報酬は,貢献度に応じて分配されるので心配はいらない。
マップ内には,現在どの場所にRiftが発生しているかという情報が,リアルタイムで反映されている。これを参考にしてRiftを転戦するプレイヤーは大勢おり,今日もTelaraでは同時多発的にパーティプレイが繰り広げられているのだ。
これぞ世界の最先端を行くMMORPG
この連休はぜひ時空の亀裂に繰りだそう
そのほかのRiftにおける主なシステムを,プレイ中の雑感を交えつつ軽く紹介していきたい。
ゲーム開始直後から序盤にかけてはビギナーでも迷わない作りで,素直にクエストを辿っていけば,つまずくような箇所は少ない。そしてレベル15前後まで育成して首都エリアに到達すると,Soulの選択肢が増え,競売や騎乗用ペット,PvPなどといった新システムに数多く触れられるようになる。
さらにレベル20前後になると新たな広域エリアへ行けるようになり,このあたりりからクエストをはじめゲーム内の選択肢がぐんと広がる。
大半のクエストはCallingに関係なくソロプレイで攻略でき,ごく一部がパーティ推奨となっている。普段はクエストを中心に行いつつ,遠目にRiftが見えたら参戦,といった遊び方がメジャーなようだ。Riftの転戦やPvPを中心にキャラ育成,といったことも行える。
ゲームとしての難度は全体的に少々高めで,コアプレイヤーにとっても十分手ごたえがあるだろう。モンスターの感知範囲が広く,必然的にリンクもしやすいのである。ほかのMMORPGの感覚で「これくらいなら大丈夫かな?」とギリギリのラインをすり抜けようとすると,絡まれてしまいトレインが発生といったことが多々あった。
また魔法の射程距離もかなり広めで,これは見方を変えると,キャスター系のキャラは思いのほかプレイしやすい,ということでもある。
フィールドよりさらに一まわり難しくなるものの,ダンジョンにおける地形やモンスターの配置は絶妙といってよく,適正レベルになったらぜひとも挑戦してもらいたい。また,レベルキャップの到達以降は,パーティプレイ推奨のダンジョンがたっぷりと用意されているとのこと。昔「EverQuest」にのめり込んだ一人としては,今から気になって仕方がなかったりする。
GuardianとDefiantの対立に関しては,両陣営のキャラクターが別々の場所からスタートするので,少なくとも序盤から中盤にかけて,フィールドエリアで合間見えることはほとんどない。
首都エリアからは,GuardianとDefiantがインスタンスにてPvPを繰り広げる,「Warfront」というコンテンツに挑戦できる。PvP用のRollを設定して,足繁く通っている人も多いようだ。
最後に個人的なことを申し上げると,Riftで最も気に入っているのはワールドデザインである。ファンタジー世界のお手本のような光景がどこまでも広がっており,新しいエリアに足を踏み入れることが最大のモチベーションであった。マウントを手に入れた直後は,キャラ育成そっちのけで,ひたすら新しいエリアへと旅をしてしまったほどである(途中何度もやられたが)。
GuardianとDefiantのエリアはまったく違っているのだが,どちらも甲乙つけがたい良さを持っているので,一度は両陣営でキャラクターを作成してみることをお勧めしたい。
さて,大分長くなってしまったが,そろそろまとめに入りたい。Trion World Networkの「Rift」は,総合的に見て,完成度が非常に高いMMORPGである。ソロプレイ主体でも遊べ,必要とする英語のハードルも高くなく,まだリリースからそれほど日数が経過していない。日本人のプレイヤーでも,“MMORPGが好き”という条件さえ満たしていれば,きっと楽しめるだろう。この機会にぜひ,ワールドワイドで最先端を行くMMORPGの実力を,その目で直接確かめてみてほしい。
「Rift」公式サイト
■クライアント価格
通常版 $49.99 / コレクターズエディション $59.99
※共に公式サイト経由でのダウンロード版の価格。Steamも同額で購入可能
http://www.riftgame.com/en/products/index.php
※北米Amazonなどでは特売を行っていることもあるが価格変動あり。購入時は自己責任で
http://www.amazon.com/Rift-Pc/dp/B002I0HIC8
■月額プレイ料金(クレジットカードが必要)
1か月 $14.99
3か月 $38.97($12.99/月)
6か月 $65.94($10.99/月)
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