連載
【ヒャダイン】RPGの登場人物って,なんで言葉が通じるんだろう
ヒャダイン/前山田健一 / 歌手・作詞家・作曲家・編曲家・プロデューサー
ヒャダインの「あの時俺は若かった」 |
第17回「RPGの登場人物って,なんで言葉が通じるんだろう」
代わりと言っちゃあなんですが,仕事の合間には戦国武将のレベル上げをしています。あ,「戦国BASARA3 宴」(PlayStation 3 / Wii)の件です。全員レベルMAXになりました。トロフィーゲットしました。トロフィー厨です。おめでとうございます。ありがとうございます。あまりにやりこみすぎたため,5月29日に発売したヒャダインのニューシングル「笑いの神様が降りてきた!」の特典である「ヒャダインアカデミー」というイベントでは,「ゲームコース」と題して僕と参加者とが対決するという企画を立ち上げました。勝てるかなあ? ふふふふふ。
さてさて。今回の話題なのですが,正直,元も子もない話です。「ロールプレイングゲームの登場人物達って,なぜどの街に行っても言葉が通じるんだろう」という問題です。ね,元も子もないでしょ?
でも,おかしな話ですよ。英会話学校がこれだけあふれている世の中。国際会議では通訳さんがイヤフォン越しに驚異的なスピードで同時通訳し,ドラえもんでさえ「ほんやくコンニャク」という道具を使わないとクリアできなかった言葉の壁。それをゲームは,スルリとスルーしているのです。
まあ,そりゃあね。俺だってバカじゃないんだからそれが正解なことぐらい重々承知ですよ。毎回毎回新しい国に行くたびに言葉が通じなくて,その都度,プレイヤーは辞書を片手に新たな言語をマスターしないとストーリーがチンプンカンプンで先に進めない……なんてことになると,そんな邪魔くさいゲーム誰がプレイしますか! って話ですよね。
……でもさあ。文化的に考えるとさ,いくらなんでも非現実的でしょ。だってゲーム中の世界って文化レベル超高いじゃん。すげえ機械も作れるし,魔法だって使える。文化レベルが高いってことは,やはりそれぞれの土地では独自の言語が発達しているはず。文化とはそういうものなんです。
それでは,登場人物の多い「ファイナルファンタジーVI」で考えてみましょうか。ファイナルファンタジーVIは,世界中にいる仲間が集まって一つの飛空艇で同じ釜の飯を食いながら帝国を倒すというストーリー(略しすぎ)。
帝国に操られていた少女ティナ,獣が原で野生児として育った少年ガウ,さらにはモーグリのモグ,雪男のウーマロまでもが同じパーティにいるわけですよ。
モーグリの基本的な言語は「クポ〜」。「ファイナルファンタジーV」においては,クルルのみがその言語を理解できるという設定でした。しかしファイナルファンタジーVIでは同じパーティ。戦闘時には言葉でのコミュニケーションは不可欠なはず! 身振り手振りで説明している暇などありません。ラストダンジョンでそんなことしてたらモルボルの最強系にメッタメタにされます。
話はズレますがモルボルってすごいグラフィックスしてますよね。ええ。言ってること,分かりますよね。はい。えへへ。
はてさて,言葉の問題はどういうロジックで解決しようかなあ。ファイナルファンタジーVIで考えると,方言や癖はあるんですよね。武士のカイエンは語尾に「ござる」がついたり,愛すべき悪役オルトロスは関西弁でしゃべくり倒す。ということは,方言があるにせよ,共通の言語でしゃべっているということになりますよね。
しかし。前述のとおり多言語は文化の象徴。こんなに発達した文化が表現されているゲームの世界で,一つの公用語のみが採用されているとは思いたくない!
で,ここからは完全に妄想なんですけどね。僕は考えたのです。ほら,このゲームの世界って高性能な飛空艇もあるし,チョコボみたいに発達した鳥類もいるわけだし,未来の世界と考えてもいいんじゃないかな,と。そう考えると,西暦でいうところの2300年あたりに,「ほんやくコンニャクエキス」的なものを生み出した科学者がノーベル賞っぽい何かを受賞していたりして。
要するに,オギャーと産まれた直後にそのエキスを摂取することで,全言語が理解できるようになる,と。いや,もっとだ。成人が一回そのエキスを摂取したら一生すべての言語が理解できるようになり,しかもそれは生まれてくる子供や,その子供に至るまで,未来永劫作用し続ける! そうだ。そうに違いない! そう考えると色んなことの辻褄が合ってくるぞ!
30歳を過ぎてからというものの,すっかり疲れやすくなっちゃって……。一つの仕事を成し遂げると,ついつい昼寝しちゃうもんね。あと,駅までダッシュしたり,階段駆け上ったりすると,HPがどんどん削られる実感があります。
一方,ゲームの主人公はどうでしょう。ダンジョンで,とくに塔みたいに階段ばっかりのところがあったとしても,平気のへの字でガシガシ登る。それによってHPが削られることはありません。人間として,それはおかしいよね。
でもさ,だからって現実のソレにしたがって,歩けば歩くほどHPが減っていったり,階段を上がるたびにエネルギーが消費されたりしたら,そんなゲームやってられないよね(なんかそういうシステムのゲームもあった気もするけど)。
そこで出てくるのがノーベル賞的な発明,いくら歩いてもまったく疲れないエキスです。にんにく卵黄も皇潤もセサミンもびっくりですよ。だって,疲れないんだもの。きっと幼少期からそのエキスを飲んでいるから,ゲームキャラクター達は疲れ知らず。
そう考えたら,ゲーム内での文化の発達も大いに理解できるって話ですよね。疲れないからとにかく働く! 夢のようなワープ装置や,振りかざしたら火の玉が飛び出るロッドだって,きっと簡単に作れちゃうぜ。
そうだ。だから「ファイナルファンタジーIV」でのテラやシド,ファイナルファンタジーVでのガラフ,ファイナルファンタジーVIでのストラゴスのように,おじいちゃんでも戦力として活躍できるんだ。
冷静に考えたらあの年齢のおじいちゃんと一緒にダンジョンを探検するのって,凄くリスキーよ。現実でシミュレーションしたら,間違いなく開始30分でおんぶしてると思う。だってすっごいところ冒険するじゃないですか。それこそ階段だらけの塔なんて,ストラゴスの膝,悲鳴上げますよ。だーけーどー大丈夫! 僕らにはいくら歩いてもまったく疲れないエキスがあるのさ!!
あと「尿意・便意がまったくなくなるエキス」ね。男性キャラクターならまだしも女性キャラクターが多いRPG界。テントやコテージに泊まったとしても,簡易トイレがあるとは考えにくいですよね。となれば,やっぱりバック・トゥ・ザ・ネイチャー!? モンゴル方式となるわけで。
それならまだしも,ラストダンジョンなんかに潜った日には,セーブポイントまで一苦労。尿意の一つももよおすでしょう。それを我慢して戦闘に向かってもパフォーマンスが悪くなるだけ! もじもじしながら飛びかかって,「あ゛……」みたいな惨劇になっても最悪ですからね。
いやー。すっきりしましたねぇ。そう。すべては2300年あたりのノーベル化学賞的な発明のおかげだったんですね。納得。
……。
ん。
そうなると,過去と現実と未来を行き来する「クロノトリガー」はどうなるんだ。どうやって古代人と言葉のコミュニケーションをとっているのだ。
ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。
■■ヒャダイン/前山田健一(歌手・作詞家・作曲家・編曲家・プロデューサー)■■ 本文でも触れていますが,5月29日にニューシングル「笑いの神様が降りてきた!」が発売されました。このCDには「ヒャダインアカデミー オープンキャンパスご招待」というイベントの応募券が入っています。ヒャダインアカデミーはクリエイタースクールで,「美術コース」「ダンサーコース」「ゲームコース」「ファッションコース」「音楽コース」「女子会コース」の6コースが用意されているのです。参加してみたい方は,ぜひCDを買って,応募してみてください。……クリエイタースクールで女子会コース? えっ? |
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