連載
【ヒャダイン】“ファミリー向けゲーム”からの置いてけぼり感ったら!
ヒャダイン / 音楽クリエイター
ヒャダインの「あの時俺は若かった」 |
第31回「“ファミリー向けゲーム”からの置いてけぼり感ったら!」
いやー,いいもんですよWii U。まず映像が先代に比べて圧倒的にキレイ! 手元のWii U GamePadも効果的に使えるし,以前のWiiリモコンもガンガン使えるしで楽しい楽しい。
マリオカート8は,これまでの要素を残しつつも進化をしていて,ついに壁を走れたりと重力さえも超越し始めました! 大したもんだ。
Wii U,ネット対応も積極的で「Hulu」や「バンダイチャンネル」も楽しめます。
でもそういったことだけでなく,TVのリモコンまでもWii U GamePadが代替してくれるというホスピタリティ。ゲームで遊んでいるときにTVのリモコンも手元に置いて入力切り替えをして……みたいなことをしなくていいっていうのは,地味に便利なもんです。
Wii U GamePadの画面はでかいし,タッチパネルで直感的に使えるしで,やはり任天堂のハードは細かいところまで使いやすさが考えられているのだなぁと思いました。
そんなWii U。マリオ関連をはじめとして優良なソフトがたくさんあって,子供も楽しめる内容でありながらも,大人だってひたすらやり込めるような内容なこともあって,時間を忘れてのめりこんでしまうんですが!
三十路独身ロンリーボーイにとって,少し胸がチクチクすることがあります。例えばハードを立ち上げたときに表示される,いろんなガイドがひらがなばかりだったりとか,フリガナがたくさんふってあったりとか,同梱されている説明書みたいなやつが簡素で,しかもおこちゃま向けの文体だったりとか。分かってるんですよ,子供に分かりやすいように配慮しているだけだって。実際,子供の立場に立ってみたら,ものすごく分かりやすいだろうなあ,ってことも。
だけど三十路独身ロンリーボーイのひねくれたマインドに,少しやるせなさが襲いかかるのです。「家庭もなくて,子供でもないのに,こんなに楽しくプレイしてしまってごめんなさいごめんなさい」って。場違い感。
TVCMもそうなんですよ。Wii UのCMって,とてもハッピー! ゲームの内容の紹介だけではなくて,子供とおじいちゃんおばあちゃんが一緒に休日を楽しく過ごしている一コマだったり,ジャニーズの皆さんが大勢で多人数プレイをしながらパーティー感覚で楽しんでいる一コマだったり。
Wii UのCMにはハピネスが詰まっております。家族だったり仲間だったり。これもね,三十路独身ロンリーボーイにはやるせなさとなって襲いかかってくるのです。
もちろん任天堂さんはそんなこと言ってないんですよ,だけど「あ……。お一人様ですね……。あ,だ,大丈夫ですよー! お一人様でも十分楽しめる内容となっていますから!! ご安心ください!(にこり)」と言われているような気分になってしまうんです。
例えるならそうだな,東京ディズニーランドのカリブの海賊に一人で乗船するような気分。キャストの人に気を遣わせちゃう感じ。あれ,俺,ちょっと病んでます?
あ,でもこれって自分が昔から持っている特性かもしれない。小さい頃から「ファミリーでどうぞ!」とか「家族みんなで参加してネ!」とかいうものに対して,孤独感を募らせていました。あっ,誤解しないでくださいね。両親共に優しく家族関係も良好でしたし,幸せな家庭で育ちました。だけど,昔からどうも「家族向け」と仲良くできないのです。
ゲームから離れますが,TV番組でも「ちびっ子からジイジバアバまで楽しめるクイズ番組!」しかも「TVリモコンのボタンで番組に参加もできますよー!」なんて双方向番組になっちゃうと,ものすごく孤独を感じてしまいます。置いてけぼり感,といいますか,「お前は要らない子」って言われているような。うん。被害妄想!
しかしそもそもさ,日本でゲームが普及し,発展したのはファミコンがあったからなわけで。ファミコン,正式名称「ファミリーコンピュータ」。がっつり名前に“ファミリー”って入ってんじゃん!
当時,コンピューターというのは今とは比べ物にならないほど専門性が高くて,素人が軽い気持ちで手を出せるようなものではありませんでした。そんなコンピューターのゲーム機能をファミリーで楽しめるようにしたのがファミコンだったわけですよ。
後続機に至っては「スーパーファミコン」! 「超家族コンピューター」。超家族て。すげえ家族って。でもねでもね。家族みんなで楽しめるソフトは当時も今も積極的にリリースされているわけですが,子供が成長していくに従って,リビングで家族がそろう時間も減っていき,子供も一人でじっくり遊べるゲームを好むようになったりして,いつの間にかお一人様用ゲーム機として使われるシーンが増えていったような気がするのです。
以前,「ファミリートレーナー」の記事でも書きましたが,Wii,そしてWii Uは,そんな風潮に対する任天堂なりの意思表明ではないかと思っています。
家庭向けに作ったけど,結果,個人向けになっていった過去。そうした流れを踏まえ,お一人様で楽しめるようにするという選択肢もあったと思うんです。でも,お一人様だけじゃなく,ファミリーでもきっちり楽しめるゲーム機を作ろう。そんな一貫したポリシーが漂っているように思うのです。まさに初志貫徹。これってすごいことだなあ,と尊敬しております。
しかし,孤独を埋めるために,ひとりぼっちを忘れるために,ただただ時間を溶かすためだけに,ゲームの電源ボタンを押す自分のようなタイプには,TVCMを見る度に心に来るものがあったりもします。勘違いしないでください。決して批判をしているわけではないですからね!
そんなチクチクを抱えながらも今日も僕はマリオをグイングインドリフトさせてエンジンふかしまくっているわけです。一人で遊んでもめちゃくちゃ楽しいよ,マリオカート8。
■■ヒャダイン(音楽クリエイター)■■ 日本テレビで放送中の「スッキリ!!」で,ヒャダイン氏が同局のアナウンサーによって結成されたアナサー男子3人衆をプロデュース。そんな彼らがサラリーマンの悲哀を歌ったデビュー曲,「俺たちの、『理不尽(プライド)』」が,現在好評発売中。30〜50代のサラリーマンにカラオケなどで歌ってほしい曲なのだそう。 |
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マリオカート8
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