連載
【ヒャダイン】「ポッ拳」で,拳を交えることの素晴らしさを知る
ヒャダイン / 音楽クリエイター
ヒャダインの「あの時俺は若かった」 |
第47回「『ポッ拳』で,拳を交えることの素晴らしさを知る」
ども。ポケモンのTV番組,「ポケモンの家(うち)あつまる?」(通称,ポケんち)のレギュラーになってから,ポケモンのプレイが止まりません。
レーティングバトル,略してレートにも参戦しています。ネットを通じて国内外問わずポケモンバトルに参加できるアレです。レートは強い人ばっかりなので,自分のレーティングは誇れるものではないですが,正直めちゃくちゃ楽しいです。いっぱいタマゴをかえして基礎ポイント上げまくった可愛いポケモン達が,世界の強豪達と戦うだなんて。なんという平和な世界なのかしら。
プレイヤー名がヒャダインで,ひと言コメントに俺っぽいことが書かれていたら,それはヒャダイン本人です。チームにエンペルトが入っていたら,それはヒャダイン本人です。色違いのエンペルトが入っていたら確定です。意地悪しないでね。えへ。
レートでエンペルトを使っている人,そんなに多くないから皆さん油断されますが,マンムーとかシュカのみで耐えてラスターカノンどかーんで一撃とか,はがねタイプを持っているからいろいろと堅かったりとか,うちのエンペルト,その名も「ライトくん」はとても良い子です。やっぱりポッチャマから育てているから愛着も湧くよね。
さて。ポケモン愛が高まってきたついでに,私,今のところアーケードオンリーの「ポッ拳 POKKÉN TOURNAMENT」(AC / Wii U。以下,ポッ拳)にも手を出しちゃいましたよ。仕事をしてください,ヒャダインさん。
もともとポケんちで初めてプレイしたんだけど,ああ楽しい。ポケモンと「鉄拳」シリーズがタッグを組んだ作品ってことで,操作性も鉄拳シリーズに似ている……とのことです。が,俺,鉄拳はやったことがなかった。ぎゃふん。格闘ゲームは好きなんだけど,「ストリートファイターII」(以下,ストII)で止まってた。動体視力が悪いから技を見切ったりはできないんで,どんぶり勘定なプレイにはなるんだけど。
で,ポッ拳。さすがポケモンだなあ,と思うのが,乱暴な言い方だけど「はちゃめちゃにボタンを押していても,なんとかなる!」という。そりゃね。中級者や上級者を相手にしたら歯が立たないですよ。だけど,ポケモンが大好きな小学生達がボタンをはバンバン押しているだけでも,何かしらの技が出る。これってすごいことですよね。とにかく,とっつきやすい。
グラフィックスも超絶キレイだし,普段は3DSで戦っているポケモン達が,縦横無尽に動き回って戦う姿,眺めているだけでもうっとりしちゃいます。
でね。格闘ゲームをやっていていつも思うのは,ゲームの中でも“戦う”ことのリアル感が,やっぱり段違いだなあってことなんです。何を言っているかというとね。例えばRPGとかの戦闘って超楽しいし,ワクワクドキドキするけど,戦うリアル感というか,現実感って少ないかなあ,って。分かりやすく言うと,“殴られると痛い感”に乏しいっていうか。
ま,そりゃそうだと思うんですよ。例えば,RPGで炎魔法とか唱えられて大やけどする描写があったりしたらさあ,楽しめないよ。アクションゲームで生き物を踏み殺したりするのもさ,かなりグロい。だから各社,そのあたりの表現はデフォルメして,マイルドにしていると思うんですよね。
だけど格闘ゲームって,マイルドにできない部分を多く持っているじゃないですか。実際,ポッ拳をプレイしていても,あんなに可愛くて目に入れても痛くないようなピカチュウをカイリキーがボッコボコに殴ったり投げ飛ばしたりもするわけです。そのモーションを目の当たりにしなきゃいけない。ここだけはマイルドには出来ない。 だけど,これって,スポーツマンシップにのっとった戦いなんだよなあ,と気付いたんです。
いきなりスポーツとか言い出してどうした? と思われるかもですが,自分,けっこう最近まで,ボクシングとかレスリングとか本当に意味が分からなかったんですよ。だって憎くもない相手を,力の限り殴ったり蹴ったり関節を痛めつけたりって。スポーツの名のもとで暴力を振るっているんじゃ? とすら思っていたんですよねえ。
「オラよりつええやつと戦いたい!」なんていう「ドラゴンボール」の孫 悟空も,本当に謎。だからそれをやっている人達も,それに熱狂する人達も,なんて野蛮なんだろうぐらいに思ってしまっていたんです。
でもね。3DSでポケモンをやりまくって,アーケードでポッ拳やったりして,あと,エコパスタジアムでももいろクローバーZのマネージャーさんと戦ったりして分かったことがあるんです。これは暴力ではなくて,スポーツであり,コミュニケーション手段の一つなんだって。
私,ヒャダインは,度が過ぎた平和主義者なもので,ずっと争いから逃げてきたんです。でも,音楽クリエイターをやっていると,クリエイターと妥協できない部分で戦ったり,世間からのプレッシャーと戦ったりしなきゃいけないときもあるんですね。だけどこの戦いって,憎しみを根源としたものではなくて,ただただ「いい方向に向かいたい」という本能的な欲求から来るものじゃないですか。戦うって,相手をぶちのめしたいとか,制圧したいとか,そういう欲求から来るものだけじゃないんだなって。
だからね。可愛いピカチュウがカイリキーの猛攻に耐えて,素早い体で翻弄して逆にぶっ飛ばす姿。そこにはスポーツマンシップを感じられるわけですよ! “格闘”というスポーツを楽しんでいるポケモン達,可愛いじゃないですか。
こんな単純かつ,世の中のほとんどの人が知っていたような感情に,齢35にしてようやく気付くことができたなんて。情けないやら嬉しいやら。
で,何度も書いていることなんですが,凶悪な事件が起きるたびに「アニメやゲームの暴力的な表現が原因」なんて言われることがあるじゃないですか。あれってマスコミや一部の大人が誤解してるだけなんじゃ? と思うんです。
だってさあ,人を殴り殺したニュースが出たとき,「容疑者はボクシングの試合を見るのが趣味だった」なんて報道されること,全然ないじゃん。それは世間がボクシングをスポーツと認めていて,あくまでルールの決まったスポーツとして殴り合っているのだ,と認識しているからだと思うんですよ。例えば容疑者がボクシング経験者だとしても,ボクシングが悪いんじゃなくて,ボクシングをそんな風に悪用した容疑者が悪いって,誰もが思うでしょう?
だからね,最近少しずつ浸透してきた「e-Sports」って言葉,すごく好きなんだよね。そりゃ筋力は使わないかもしれないよ。でもやっていることもプレイヤーのメンタリティも,スポーツと一緒なんです。筋力を使うものが真っ当で,筋力を使わないものが邪道だなんて,その考え方こそ邪道だよ。
そもそもさ,日常生活でも社会生活でも,僕らは戦っているじゃないか。毎日戦いの連続ですよ。それはほとんど筋力を使わない戦い。学校で戦い,会社で戦い,家庭で戦い。そんな戦いの一部を可視化したものが,格闘ゲームだと考えることもできると思うんだよなあ。
可愛いポケモンが一生懸命戦っている姿を見て,本当にそんなことを思いました。
ということで,自分,Wii U版のポッ拳が発売される2016年3月18日まで,しばらくゲーセンに通うので,見かけても石を投げないでくださいね!
■■ヒャダイン(音楽クリエイター)■■ 先日,スターダストプロモーションのアイドルグループ「たこやきレインボー」のライブを見に行ったというヒャダイン氏。これまで度々楽曲を提供してきたこともあり,「ずいぶん成長したなぁ」と親戚のおじさんみたいな気分になって,思わずうるっときちゃったのだとか。 |
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ポッ拳 POKKEN TOURNAMENT
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