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【RAM RIDER】映画「PLAY! 〜勝つとか負けるとかは、どーでもよくて〜」評
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印刷2024/03/07 11:00

連載

【RAM RIDER】映画「PLAY! 〜勝つとか負けるとかは、どーでもよくて〜」評

RAM RIDER /  アーティスト /  音楽プロデューサー

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RAM RIDER「明日なにあそぶ?」

公式サイト:https://ramrider.com/


第7回:映画「PLAY! 〜勝つとか負けるとかは、どーでもよくて〜」評


 ゲームを題材にした映像作品のなかで,とくにプレイヤーに焦点を当てた作品というと何が浮かぶだろう。

 格ゲーアニメの金字塔「ハイスコアガール」,SFであれば日本のポップカルチャーも随所に引用されているスピルバーグの名作「レディ・プレイヤー1」,実在の名人達が出演し,修行シーンがいまだに語り草となっている「GAME KING 高橋名人VS毛利名人 激突!大決戦」,そして近年では「グランツーリスモ」も非常に忘れがたい。

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 「PLAY! 〜勝つとか負けるとかは、どーでもよくて〜」は,上記のようなゲーム文脈にある作品群において日本では初めて学生によるeスポーツ参戦を題材にした劇映画だ。徳島の高等専門学校を舞台に,家庭環境やケガによる挫折など,さまざまな理由で夢中になれるものを見つけられずにいた高専生達が,「ロケットリーグ」PC / PlayStation 4 / Xbox One / Nintendo Switch)と出会い,全国大会へ向け挑戦していく様子を描く。

 「ロケットリーグ」は,サッカーのルールとRCカーを組み合わせ,3 on 3形式で戦う実在の人気オンラインゲーム。本作は実話ベースだが,さまざまなタイプの高専生達が3人集まってチームになる,という意味ではストーリーとの相性もいい。また,ルールも分かりやすいしスピード感や展開がゲームに詳しくない人にも一目で伝わるので,映画化にもってこいの素材かもしれない。


 ただこの映画,トレイラーから受ける印象と実際に鑑賞したあとのイメージは少し異なる。「青春ドタバタ“い〜すぽ”コメディ」的な内容を予想していると,出だしから面食らうことになる。美しい徳島の港町を舞台にしつつ,親とのすれ違いや複雑すぎる家庭環境,ハンディキャップを持つ兄弟のことなど,重苦しい空気がスクリーンを覆うのだ。

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 また中盤では大会PRとして外国人留学生や生徒の保護者へのインタビューが描かれており,「なぜ青春映画にこんなエピソードをわざわざ入れるんだ?」と疑問に思う人もいるだろう。しかし最後まで観終わってみると,意外と本作のテーマを語るために必要な要素だったんだなと気付かされる。人種や言語,ハンディキャップの有無を超えて楽しめる新しい形のエンターテインメントとしてのeスポーツの可能性を感じることができるのだ。

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 個人的には,主人公達の学校や先生の存在がもう少し物語に強く作用してくれたらより好きになれたな〜とか,勝敗の先にあるものをもう少し観せてほしかったな〜とか,いろいろあるが,実話がベースとのことなので多くを求めるのは野暮というものだろう(良い先生に出会えて良かったね)。
 地方創生やタイアップ案件と見せかけて,意外と現代の社会やそこに生きる若者達が直面している課題など,見どころの多い本作。普通の青春映画に飽き飽きしている人,そして何よりeスポーツが好きな人にオススメです

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■■RAM RIDER(アーティスト / 音楽プロデューサー)■■
「龍が如く8」PC / PlayStation 5 / Xbox Series X S / PlayStation 4 / Xbox One)のゲーム内で楽しめる,TBSラジオ「アフター6ジャンクション2」とのコラボオリジナル番組でサウンドプロデューサーを務めたRAM RIDER氏。YouTubeでは「オーディオギャラクシー」,Podcastでは「ストレージ2000」に出演中です。
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