レビュー
Mad Catzのヘッドセット製品ブランド「TRITTON」,その国内第1弾モデルをテスト
TRITTON Gears of War 3 Dolby 7.1 Surround Sound Headset for Xbox 360
TRITTON Gears of War 3 Dolby 7.1 Surround Sound Headset for Xbox 360 メーカー:Mad Catz 問い合わせ先:マッドキャッツ カスタマーセンター 0570-00-2289(平日10:00〜12:00,13:00〜17:00) 実勢価格:2万円前後(※2011年11月22日現在) |
製品ボックスの内容物一覧。詳細は後ほど |
Xbox 360との接続イメージ |
さて,製品名からも想像が付くとおり,GoW3 Headsetは,Dolby Laboratoriesの技術を用いて7.1chサラウンドサウンド出力に対応するヘッドセットだ。
ヘッドセット自体は2chアナログ接続タイプで,これを,インラインリモコン付きの専用ケーブル経由で付属のプロセッサボックスと接続。そのプロセッサボックスを,光角形デジタルサウンドケーブルでXbox 360とつなげば,5.1chサラウンド機能「Dolby Digital」と,Dolby Digitalから6.1chや7.1chを生成する「Dolby Digital EX」,マトリックスデコード機能「Dolby Pro Logic IIx」,そしてバーチャルサラウンドヘッドフォン機能「Dolby Headphone」が利用可能になる。
Xbox 360コントローラ側のマイク入力端子とは,インラインリモコン部のマイク出力端子ケーブルで接続する仕様だ。
GoW3のタフな世界観を演出か
全体的に大柄なイメージ
左右のエンクロージャにプリントされたロゴマークも含め,GoW3 Headset全体のイメージは,Gears of War 3のハードさやタフさといった世界観をイメージしたものになっている。黒ベースに赤,というのは,ゲーマー向けヘッドセットにはよくある色使いだが,利用時にはこのロゴマーク部分に組み込まれた赤色LEDがゆっくり輝度を変えるようになっており,見た目のインパクトはかなり大きい。
ちなみにイヤーパッドは,製品ボックスに交換用が付属している。素材が異なったりはせず,純然たる交換用だ。
イヤーパッドを外してもスピーカー開口部を覗き込むのは難しいが,公表されている仕様によれば,スピーカードライバーは40mmで,ネオジムマグネット素材が用いられているという。
総じて,装着時の安定度はかなりのレベルに達しており,大型のヘッドセットにしてはかけ心地がかなりいい。まず,イヤーパッドの厚みと硬さが秀逸で,上手い具合に接触部分がフィットしてくれるため,密閉感が高くなる。さらに,ヘッドバンド内側のクッションに十分な厚みがあって,頭頂部へのストレスも少ないのである。
マイクは着脱式
ケーブルはよくも悪くも個性的
マイクブームはゴム素材で割と柔らかく,自由度は高め。「狙ったところにぴたりと止まる」とまではいかないものの,おおよそ希望の位置に設定できるはずだ。何度も書いているとおり,お勧めは,ブローノイズ(=吐息がノイズとなったもの)を防げる,下唇よりも少し下のあたりだ。
Mad Catzの製品情報ページにはマイクに関する情報がほとんど何もないのだが,先端は内側にのみ穴が空いているので,シンプルなモノラルマイクと見るべきだろう。
しかもこのケーブル,とにかく長い。Mad Catzはこれまたいっさい仕様を公開していないので計測してみると,全長約4mだった。しかも,このケーブルの先がXbox 360と接続されるのではなく,プロセッサボックスなのだから,Xbox 360との距離は推して知るべし。北米の家屋なら必要なことがあるのかもしれないが,少なくとも,日本の一般的な住環境からすれば長すぎと言わざるを得ないだろう。
分割されるインタフェース部分には入出力用の3.5mm径ステレオミニ端子が2系統用意されているので,これでGoW3 Headsetが基本的にはアナログ接続であることが分かるのだが,正直なところ,なぜここで分割されるのかはよく分からない。Xbox 360のコントローラばりに,テンションがかかったとき,ケーブルが断線してしまわないよう,自動的に抜けるようになっているのかもしれないが,その割にはえらくがっちり接続されたりもするので,いよいよ謎である。
そしてそのインラインリモコンだが,端的に述べて大型。一般的なインラインリモコンよりは一回り大きい印象だが,マイクミュートのスライドスイッチに,ゲームと音声調整用のそれぞれボリュームダイヤル,そしてXbox 360コントローラ側のマイク入力端子と接続するための3.5mm径ミニピン端子が用意されているだけである。
Xbox 360コントローラ側の接続端子は,コントローラ側の曲線に合わせたデザインになっており,しっかり固定すればプレイ中の接続不良問題から逃れられる。ただしこれは「しっかり固定しないと,そもそもマイクが認識されない」問題を生むことと同義でもあるので,その点は注意も必要だろう。
プロセッサボックス自体は汎用
Dolbyのプロセッサを利用できる
プロセッサボックス |
プロセッサボックスとケーブルの接続端子はDisplayPort。もちろん,ディスプレイ信号が流れるわけではない |
プロセッサボックスの外観はヘッドセットに合わせたものになっており,黒と赤を基調とした光沢加工と,Gears of War 3のロゴ,そしてTRITTONの「T」マークが目立つ。
サイズは実測で約170(W)×140(D)×35(H)mmとやや小振り。付属のスタンドを使えば縦置き設置も可能だ。
押さえておきたいのは,本プロセッサボックスではDolby Headphoneを有効にした場合,Dolby Pro Logic IIxを別途オフにできないため、出力機器側が5.1chだろうと2chだろうと,問答無用でDolby Pro Logic IIxによる7.1ch化処理がなされること。製品によってはDolby HeadphoneとDolby Pro Logic IIxを個別に設定できることもあるが,GoW3 Headsetにおける「Dolby Headphone有効」というのは,「Dolby Pro Logic IIx有効」と同義である。
GoW3 Headsetには,PCとアナログ接続するための変換アダプタも用意されている |
インラインリモコンのXbox 360用マイク出力端子は3.5mmミニピン対応 |
ちなみにこれは,初期型のXbox 360と接続するための「デジタルオーディオアダプター」も同梱。初期型でもHDMIビデオ出力と光デジタル出力を併用できる |
「それは分かったけど,その話をなぜプロセッサボックスの段落で?」と疑問に思った読者は鋭い。
まずはっきりさせておくと,PC接続用の変換アダプタを使った場合,プロセッサボックスは利用できなくなる。アナログ接続型ヘッドセットになるから当然だ。一方,前述のとおり,プロセッサボックス自体は光角形のデジタルサウンド入力を受けられるため,PCとプロセッサボックスをデジタル接続すれば,Dolby Headphoneによるバーチャルサラウンド技術を利用可能になるが,この場合,GoW3 HeadsetからPCへのマイク入力は行えないことになる。……そのままでは。
実はここに,マニュアルにも書かれていないカラクリがある。前段で,インラインリモコン部のXbox 360用マイク出力端子があると述べたが,これはあくまでもアナログ出力端子だ。しかも径は一般的な3.5mm。なので,「モノラルのオス−オス」というアナログケーブルを用意できれば,インラインリモコンのXbox 360用マイク出力端子とPCのマイク入力端子との間をつなぐことも不可能ではないのである。
モノラルのオス−オスケーブルというのは,捜索難度がなかなか高い――よくあるステレオのオス−オスだと,左右片方しか入力されない――ので,「PCでもプロセッサボックスとマイク入力の併用が可能」と断言するものではなく,また,筆者,4Gamer編集部とも動作は保証しないが,試した限りは利用できたので,そういう裏技があることは,憶えておいて損しないだろう。
まあ,正直なところ,実勢価格が2万円前後(※2011年11月22日現在)もするのだから,プロセッサボックス側にマイク出力端子くらいは用意しておいてよ,とも思うが。
出力は極端な低強高弱特性で
好みはおそらく分かれる
例によって概要紹介が長くなったが,恒例のテストに入っていきたい。
ヘッドフォン出力品質のテストにおいては,「iTunes」によるステレオ音楽ファイルの再生と,PC用「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)マルチプレイのリプレイ再生,そしてXbox 360用「Halo: Reach」のマルチプレイが主な判断基準だ。ただし,Gears of War 3とコラボレートしたヘッドセットのテストで本作をプレイしないわけにもいかないので,今回はGears of War 3のマルチプレイもテストに加えている。
一方,マイク入力のテストだが,PC上では波形測定と録音で行い,Xbox 360上ではHalo: ReachおよびGears of War 3のマルチプレイで,試聴とセットで行う。
これはいつものことだが,PCにおける波形測定方法の説明は長くなるため,本稿の最後にテスト方法を別途まとめてある。興味のある人は合わせて参考にしてもらえれば幸いだ。
下の表は,テストに用いたPC側のシステム構成である。GoW3 Headsetは,PC用「ヘッドセット」として用いる限り,アナログ接続となるので,今回は「PCI Express Sound Blaster X-Fi Titanium HD」(以下,X-Fi Titanium HD)のヘッドフォン出力およびマイク入力端子と直接つないでいる。
というわけで,まずPCで音楽を聞いてみるが,一聴して分かるのは,極端な「低強高弱」の周波数特性。ここしばらく,この手の特性を持つヘッドセットはレビューしていなかったので,むしろ新鮮ですらある。
低域から中低域のカブりが大きいため,高域がマスクされ,随分落ち込んで聞こえるうえ,プレゼンス(Presence。ここの強さが,心地よさや不快さを左右しやすい)のパリッとした輪郭もない。個人的にはバランスが悪いようにしか聞こえないが,この音質傾向,好きな人は大好きなので,否定すべきとまではいえないだろう。要するに,「低音が強いの大好き!」という人には間違いなく向くが,低域と高域のバランスを求める人にはあまりお勧めできない,ということである。
低域が大きく,高域が小さいため,銃声などで耳が痛くなったりはしない一方,地鳴りなどはかなり強くなる。低域の強さを気持ちいい唸りと感じるか,必要以上に出すぎと感じるかはプレイヤーの好み次第だ。
気になるサラウンド感だが,最近のドライバアップデートによってサウンドカード側のバーチャルサラウンド機能「CMSS-3Dheadphone」が効果を増したこともあり,思いの外しっかりしている。定位感はそもそも高域で明確になるため,高域が感じられないGoW3 Headsetでは不利だと思われたのだが,実際には,低域にマスクされて落ち込んでいるだけで,存在はするということである(※音楽ソースでも存在自体は分かる)。
Xbox 360を使ったGears of War 3のプレイでも,低強高弱の音質傾向は健在だ。筆者の耳には,PCでCall of Duty 4をプレイした時以上に中域〜高域がザラザラして聞こえるうえ,とくにダイアログ(dialogue,台詞)の中低域が膨らみすぎて,明瞭感を欠く印象だ。
一方,低音重視型効果音などの迫力はかなりのもの。この低音感とのトレードオフで,明瞭感を失っているというわけである。
これがHalo: Reachになると,もともと重低音で再生される効果音が多いためか,低音が強すぎる――オーディオ的に言えば,ブーミー(boomy)――ように聞こえる。早い話が,環境音が強く聞こえすぎて,要所要所で再生される重要な音を認識しにくいのだ。低音重視だと,どうしても「情報としての音を拾う」ときの障害になりやすいのだが,Halo: Reachではそれが顕著に出てしまっている。迫力や没入感は素晴らしいのだが。
なお,Music ModeとMovie Modeだが,プレイ中に切り替えてみた限り,少なくとも筆者の耳には,「ブラインドテストだとおそらく区別できないだろう」というレベルの違いしか感じられなかった。映画や音楽ならまた異なる結果になるかもしれないが,ゲーム用途では,正直,どちらでもかまわないように思う。というか,なぜゲームモードが用意されていないのか疑問である。
もう1つ,これは釈迦に説法かもしれないが,GoW3 Headset側のDolby Headphone機能を利用する場合は,Xbox 360側のサウンド出力をDolby Digitalへと切り替えておく必要がある。でないと,Xbox 360側でバーチャルサラウンド出力処理がなされてしまい,プロセッサボックスの存在意義がなくなってしまうので,この点は念のため書き記しておきたい。
マイクはいわゆるドンシャリ特性
Xbox 360用マイクとしては優秀
次にマイク特性を見ていくが,最初にお断りを。特性の計測はPC上で行っているため,テスト結果はあくまでもヘッドセット本体側のアナログ品質を示すものになる。Xbox 360と接続する場合は,Xbox 360側の特性が加味されるため,完全に同じ結果とはならない。
実際に声を録音して聞いてみると,プレゼンスの帯域である2kHz〜4kHz付近よりも高いところが強く出ているうえ,200Hz以下の低音がマスキングしてくるため,明瞭感はいまひとつ。ただ,低域と高域の“山”の高さがほぼ同じなので、バランスはいい。
位相も問題はない。多少センシティブで,計測中,若干乱れることもあったが,これは誤差の範囲だろう。
Gears of War 3をプレイしてみると,スピーチの最初と最後で声が切れてしまうようなことがないため,何を言っているのかすべて分かり,ストレスがたまりにくい。前述のとおり,Mad CatzはGoW3 Headsetのマイク特性について何も語っていないが,これはおそらく純粋なアナログマイクで,最近流行の「DSP(Digital Signal Processor)を内蔵してゲーティングする」ような処理をいっさい行っていないため,こういう好ましい結果になっているのだろう。
たしかに,「ゲート」と呼ばれるプロセッサを利用すれば,フロアノイズなど,スピーチしていないときの雑音をカットできる。しかし,調整がうまくいかないと,スピーチの始まりと最後が切れてしまうこともあり,実際,先にレビューを掲載した「Razer Chimaera」や「Ear Force PX5」ではそういった現象が出ていたわけだが,GoW3 Headsetでそういった心配はない。
Xbox 360(やPlayStation 3)の場合,システム側でチャット音質がかなり下げられるため,室内のフロアノイズを常時拾う仕様でも問題はないという割り切りが働いた……かどうかは分からないが,結果として,伝統的な電機部品だけで勝負しているGoW3 Headsetのマイク部分は,十分な品質を維持できている。
モニタリング機能を有効化すると,ゲームサウンドに混じって,自分の声も聞こえることになる。それはイヤだという人は無効化するのがいいだろう。
ただ,自室でボイスチャットしながらゲームをプレイするとき,自分の声がモニターされていないと,密閉型エンクロージャを採用したヘッドセットでは,自分のしゃべっている声を聞き取りづらくなるため,どうしても声を張り上げてしまうことになりがちだ。その点,SVMからモニターできていれば,そういった問題を回避できる。夜にゲームをプレイしたりするときには思いの外有用な機能だったりするので,モニター機能を切り替えられるというのは歓迎したい。
ヘッドフォンは好みが分かれる
購入前に一度試聴すべき
以上,GoW3 Headsetをチェックしてきたが,一言でまとめるなら,「ヘッドフォン部と価格が人を選ぶ製品」といったところだ。
細かい点ながら,ブームが使いやすいのも歓迎できそうだ。
そしてヘッドフォン部だが,こちらはもう,極端な低高強低の音質傾向がとにかく人を選ぶ印象である。誤解のないように繰り返しておくと,確かに筆者はこのヘッドフォン音質が好みではないが,低音に振った音質傾向のヘッドフォンがあること自体に問題はない。どれもこれも似たような音だと面白くもないし,Call of Duty 4やHalo: Reachと比べて,Gears of War 3における低域の迫力や没入感は良好だったので,本作へ向けて徹底的に最適化した結果という可能性もある。
ただ,ここまで極端な特性で,実勢価格が2万円前後(※2011年11月21日現在)だと,単純に勧めづらいのも確かだ。相当に尖っているというか,いわゆる普通のゲーマー向けヘッドセットとは「違う」ので,できることなら,Mad Catzが参加しているゲームイベントなどで,一度は出力音質を確認すべきだろう。
■マイク特性の測定方法
マイクの品質評価に当たっては,周波数と位相の両特性を測定する。測定に用いるのは,イスラエルのWaves Audio製オーディオアナライザソフト「PAZ Psychoacoustic Analyzer」(以下,PAZ)。筆者の音楽制作用システムに接続してあるスピーカー(ADAM製「S3A」)をマイクの正面前方5cmのところへ置いてユーザーの口の代わりとし,スピーカーから出力したスイープ波形をヘッドセットのマイクへ入力。入力用PCに取り付けてあるサウンドカード「PCI Express Sound Blaster X-Fi Titanium」とヘッドセットを接続して,マイク入力したデータをPAZで計測するという流れになる。もちろん事前には,カードの入力周りに位相ズレといった問題がないことを確認済みだ。
PAZのデフォルトウインドウ。上に周波数,下に位相の特性を表示するようになっている
測定に利用するオーディオ信号はスイープ波形。これは,サイン波(※一番ピュアな波形)を20Hzから24kHzまで滑らかに変化させた(=スイープさせた)オーディオ信号である。スイープ波形は,テストを行う部屋の音響特性――音が壁面や床や天井面で反射したり吸収されたり,あるいは特定周波数で共振を起こしたり――に影響を受けにくいという利点があるので,以前行っていたピンクノイズによるテスト以上に,正確な周波数特性を計測できるはずだ。
またテストに当たっては,平均音圧レベルの計測値(RMS)をスコアとして取得する。以前行っていたピークレベル計測よりも測定誤差が少なくなる(※完全になくなるわけではない)からである。
結局のところ,「リファレンスの波形からどれくらい乖離しているか」をチェックするわけなので,レビュー記事中では,そこを中心に読み進め,適宜データと照らし合わせてもらいたいと思う。
用語とグラフの見方について補足しておくと,周波数特性とは,オーディオ機器の入出力の強さを「音の高さ」別に計測したデータをまとめたものだ。よくゲームの効果音やBGMに対して「甲高い音」「低音」などといった評価がされるが,この高さは「Hz」(ヘルツ)で表せる。これら高域の音や低域の音をHz単位で拾って折れ線グラフ化し,「○Hzの音は大きい(あるいは小さい)」というためのもの,と考えてもらえばいい。人間の耳が聴き取れる音の高さは20Hzから20kHz(=2万Hz)といわれており,4Gamerのヘッドセットレビューでもこの範囲について言及する。
周波数特性の波形の例。実のところ,リファレンスとなるスイープ信号の波形である
上に示したのは,PAZを利用して計測した周波数特性の例だ。グラフの左端が0Hz,右端が20kHzで,波線がその周波数における音の大きさ(「音圧レベル」もしくは「オーディオレベル」という)を示す。また一般論として,リファレンスとなる音が存在する場合は,そのリファレンスの音の波形に近い形であればあるほど,測定対象はオーディオ機器として優秀ということになる。
ただ,ここで注意しておく必要があるのは,「ヘッドセットのマイクだと,15kHz以上はむしろリファレンス波形よりも弱めのほうがいい」ということ。15kHz以上の高域は,人間の声にまず含まれない。このあたりをマイクが拾ってしまうと,その分だけ単純にノイズが増えてしまい,全体としての「ボイスチャット用音声」に悪影響を与えてしまいかねないからだ。男声に多く含まれる80〜500Hzの帯域を中心に,女声の最大1kHzあたりまでが,その人の声の高さを決める「基本波」と呼ばれる帯域で,これと各自の声のキャラクターを形成する最大4kHzくらいまでの「高次倍音」がリファレンスと近いかどうかが,ヘッドセットのマイク性能をチェックするうえではポイントになる。
位相は周波数よりさらに難しい概念なので,ここでは思い切って説明を省きたいと思う。PAZのグラフ下部にある半円のうち,弧の色が青い部分にオレンジ色の線が入っていれば合格だ。「AntiPhase」と書かれている赤い部分に及んでいると,左右ステレオの音がズレている(=位相差がある)状態で,左右の音がズレてしまって違和感を生じさせることになる。
位相特性の波形例。こちらもリファレンスだ
ヘッドセットのマイクに入力した声は仲間に届く。それだけに,違和感や不快感を与えない,正常に入力できるマイクかどうかが重要となるわけだ。
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