男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ / 第74回：「ノストラダムスを恨む気持ちは一切ない」

著者近影

　私は，ちっちゃい頃からノストラダムスの大予言を頭に入れて生きてきたわ。1999年7の月に恐怖の大王が空から降ってきて，世界は終末を迎えるもんだと思っていた。
　だから，とくに受験勉強も頑張らなかったし，なるべく先のことを考えず，目先のことだけを楽しんで生きるように心がけた。そしてご存じの通り，1999年7の月に恐怖の大王は降ってこなかった。
　旧暦の7月は今でいう8月という説もあったから，一か月待ってみたけど，大王はお見えにならなかった。旧暦の1999年は2000年，という説もあったから一年待ってみたけど，体調を崩されたのか，やはり大王はいらっしゃらなかった。
　どうしてくれるんだノストラダムスさん。そしてマガジンミステリー調査団（MMR）の方々。MMRに至っては，ありとあらゆる角度から地球が滅びる方向に半ば強引に導いていたんだけどね，どれもこれも当たっちゃいないじゃない。まあ「携帯電話の電磁波で人間の遺伝子が壊れて滅びるのが1999年だ」的なことをいわれたところで，いくら信心深い私でもそれはちょっとさすがに……。
　で，何が言いたいかというと，こっちとしても2000年を過ぎた時点で，さあどうしたもんか，でも今さら生き方は変えられないから楽しく生きようと腹を決め，現在に至っているってこと。もっと端的に言えば，199X年はもう過ぎてるけど核の炎に包まれなかったなぁってこと。で，「北斗無双」（PlayStation 3 / Xbox 360）の話に繋がるわけね。

　私は自分の墓標に「男色すでに死す逸物まさに勃つべし 『三國志』はIIが好き」と書いてもらおうかと思っているくらい，三国志が好きでシミュレーションゲイムが好き。とりわけコーエーゲイムが好きな私だけど，「無双」シリーズはアクションだからということもあって，嗜む程度でスルー気味だったのよ。
　イヤ，一応エチケットとしてヤってるんだけどね。「ガンダム無双」もヤったはいいがクリアまではしてないわ。あ，当然のことながら，面白くないってわけじゃないのよ。ただ，三国志にしてもガンダムにしても，個人的にはアクションでなくシミュレーションでプレイしたいなあっていう嗜好の問題ね。
　なので，無双シリーズにはそこまでの思い入れがあるわけじゃないのよ。先日行われた「戦国武将祭」（関連記事）も，プロレスとゲイムのイベントだってのに，あんまりピンとこなかったのもそのせい。だから，このまま無双とは縁がないのかなー，あったらヤる程度のただれた関係なのかなーと思っていたら！
　やってくれましたねコーエーさん……今のは痛かった……痛かったぞーーー!!!!　そう。今度の夢想……無双は「北斗の拳」なの。いかにスルー気味だとはいっても，北斗の拳ともなると話は別。ジャンププロレスラーの私としては，そんなもんプレイせざるを得ないわよ。

　原作好きっていうのは置いといたとしても，なにげに昔から北斗の拳とゲイムの相性はいいのよね。アクションゲイムだけでなく，ファミコン時代のRPGにしたって，ちょっと強引ではあったけど遊べなくはなかった記憶があるわ。PlayStation時代の北斗の拳なんて，「オープニングムービーの編集機能」がついてるという，よく分かんないWELCOME TO THIS CRAZY TIMEぶり。まあそれが面白かったわけだけれども。
　ともかく，北斗の拳はこれまでRPGが流行ればRPGになり，3D表現が盛んになればポリゴンになりと，時代時代で形を変えてゲイム化されてきたわ。

　で！　今回の北斗無双。これまたちゃんと2010年の北斗の拳ゲイムになってるのよ。印象としては，ものすごく丁寧に作られてる。ひょっとしたら，今までのどの北斗の拳ゲイムよりも作り込まれている感じがするわね。
　とくに世界の描写。マンガで見た絵からイメージするしかなかった世界を，ちゃんと具現化した，という感じなのよ。プレイしている間，「北斗の拳の世界」に違和感がないのね。これって実は凄いことなの。すなわち，ゲイムの世界が原作負けしてないってことだから。それくらいキチンと作り込まれてる。
　ただ，逆に感じた違和感を述べるならば，やはり声優さんがアニメ版の声優さんとは違うってことかしら。ただ，気にはなるけど嫌な感じではない。少なくとも私にとっては。
　だから，ひょっとしたらいくら原作ファンでも声優さんが違ったらやる気が失せて酒浸りになり夜な夜な繁華街で暴れるって人には向いてないかもしれない。
　逆に言うと，それ以外の原作ファンなら是非こいつぁ味わってほしい世界ね。無双ファンに，というよりは原作ファンの方にプレイしてもらいたいわ。それほど作ってる人が原作に対して真摯な姿勢で取り組んでるってことが伝わってくる。
　こういう作品をプレイするたびに，ノストラダムスの言うことを信じて遊んだりマンガ読んだりゲイムしてたりしてて良かったなって思うわ。あの頃，北斗の拳に出会ってなければ，今，面白いゲイムを面白く感じなかったんだもん。
　だから，プロレスラーという明日をも知れぬ職業に就いてしまう羽目になったことに関して，ノストラダムスを恨む気持ちは一切ない。MMRは……まあ，あれはあれで面白かったから良しとする。

　そして，1999年に降ってこなかった恐怖の大王は，今現在，私の将来に対し降ってきている。また来週。