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「そうだ アニメ,見よう」第49回はシャフト制作の「Fate/EXTRA Last Encore」。ゲームとは異なるオリジナルシナリオが展開
1月末に中国・上海で海外初のリアルイベント「Fate/Grand Order EXPO Shanghai」を開催するなど,2018年も話題に事欠かない一年となりそうな「Fate」シリーズ。「そうだ アニメ,見よう」第49回のタイトルとなる「Fate/EXTRA Last Encore」は,そのFateシリーズがTVアニメ「化物語」や映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」などを手がけたアニメスタジオ「シャフト」とタッグを組んだ作品だ。
原案となるのは,2010年7月にマーベラスから発売されたダンジョンRPG「Fate/EXTRA」。制作はシャフト,シリーズ構成は奈須きのこ氏,総監督は「魔法少女まどか☆マギカ」や「3月のライオン」の新房昭之氏が務めている。
「Fate/EXTRA Last Encore」
そしてある日,予選終了がアナウンスされ,余剰生命体のパージが始まる。実はこの学園生活は,SE.RA.PHによって運営される聖杯戦争の予選であり,制限時間内に元の記憶を取り戻さなければ脱落してしまうルールだったのだ。ハクノは,友人であったはずのシンジ(CV:神谷浩史)に裏切られ,瀕死の重傷を負い,「辺獄」と呼ばれる焼却炉の底に落ちてしまう。そこでハクノは,赤い服をまとった剣士(CV:丹下 桜)と出会い,命を救われた。
自身をセイバーだと名乗る剣士から,自分が聖杯戦争の参加者の1人だと聞かされたハクノだが,記憶が曖昧で自分が何者かもハッキリしない。とりあえず最上層にある「熾天の檻」を目指することになった2人は,第一戦の会場となる新設海洋都市「ケープ」へとたどり着く。
「Fate/EXTRA」では,セイバー,アーチャー,キャスターの3人からサーヴァントを選択し,これによってシナリオが変化していく。今回のルートがどれにあたるのかは不明だが,アニメのシナリオは,どのルートとも大きく異なり,「Fate/EXTRA」をプレイ済みの視聴者を驚かせた。
どう変化しているのかは,ネタバレになるので多くを語ることができないが,第4話に登場したあるキャラクターのセリフによると,どうやらゲームとは時代が違うらしい。
今回のシナリオは,ゲームと同様にFateシリーズの生みの親・奈須きのこ氏が書き下ろしたもの。ゲームをプレイ済みの視聴者も初見と同じサプライズを味わってほしいという配慮なのか,今後の展開がまったく読めない。もはやゲームとは別物と考えたほうがよさそうだ。
シャフトとFateのタッグで生み出された世界
本作の制作を担当しているシャフトは,2013年3月に発売された「Fate/EXTRA CCC」のオープニングアニメーションを手がけている。キャラクター原案のワダアルコ氏による独特の絵柄と,電脳世界という特異な設定を幻想的に表現したOPアニメは,当時ファンの間でも高い評価を得ていた。
今回の「Fate/EXTRA Last Encore」でも,SE.RA.PHの生み出した現実にはありえない世界を無機質なタッチで表現し,ゲームとはまた違った「Fate/EXTRA」ワールドを作り上げていると感じた。
また,Fateシリーズの見どころといえば,サーヴァント同士のハデなアクションシーンが挙げられる。シャフトは,これを第1話のセイバーのバトルシーンでしっかりと見せてくれた。人間離れしたサーヴァントの動きを見る限り,今後のサーヴァント戦も期待できそうだ。
サーヴァントとマスターの関係性の変化に注目
現在第5話まで放送されているが,今のところ登場するサーヴァント達に変化はない模様。第2話ではライダーのドレイク(CV:高乃 麗),第4話ではアーチャーのロビン(CV:鳥海浩輔)がそのマスターと共に登場する。
ただし,マスターとの関係性はゲームとはかなり異なっている。マスターとサーヴァントのつながりが深いという点では,昨年放送された「Fate/Apocrypha」よりも原点である「Fate/stay night」に近い作品となっているので,主従関係がどう変化しているのか,注目してみると面白いかもしれない。
そのほかに気になるのは,ハクノを手助けする形で現われたリン(CV:植田佳奈)をはじめとした元マスター達だ。ストーリー上,彼女達はサーヴァントを失っていると語っているが,そうなるとゲーム中に登場していたほかのサーヴァントは姿を見せないのか? 彼女達のサーヴァントの登場が待ち遠しい。
Fateシリーズということで,今回もなかなか難解な専門用語が飛び交う本作。「Fate/EXTRA」をプレイ済みの筆者でさえ,「あれ? これなんだっけ?」と思うこともしばしばだ。奈須きのこ氏の描く物語は,そういった初見では分かりにくい要素をふんだんに入れてくるが,そこを乗り越えることで面白さが伝わってくる。噛めば噛むほど味が染み出す“するめ”のようなものと言えば分かりやすいだろうか。
「Fate/EXTRA Last Encore」も一度と言わず,何度も見直してみると違った面白さが見えてくる作品なので,ちょっと歯応えのあるアニメが見たいという人にはオススメの作品だ。
ちなみに公式サイトには,放送した回の新用語を解説するコーナーがあるので,ちょっとでも疑問に思ったら,そこで確認してみよう。
「Fate/EXTRA Last Encore」公式サイト
放映データ |
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2018年1月〜 |
キャスト | |
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岸浪ハクノ:阿部 敦 | |
セイバー:丹下 桜 | |
遠坂リン:植田佳奈 | |
間桐シンジ:神谷浩史 | |
間桐 桜:下屋則子 | |
アーチャー:鳥海浩輔 | |
ライダー:高乃 麗 | |
キャスター:野中 藍 | |
バーサーカー:安井邦彦 | |
ガウェイン:水島大宙 |
スタッフ |
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原作: 奈須きのこ・TYPE-MOON/Marvelous |
シリーズ構成:奈須きのこ |
キャラクター原案:ワダアルコ |
総監督:新房昭之 |
シリーズディレクター:宮本幸裕 |
キャラクターデザイン・総作画監督:滝山真哲・山村洋貴 |
アクションディレクター:三輪和宏 |
美術監督:望月卓磨 |
色彩設計:日比野 仁 |
CG監督:高野慎也 |
撮影監督:会津孝幸 |
編集:松原理恵 |
音響監督:鶴岡陽太 |
音響制作:楽音舎 |
音楽:神前 暁(MONACA) |
オープニングテーマ「Bright Burning Shout」西川貴教 |
エンディングテーマ「月と花束」さユり |
アニメーション制作:シャフト |
■Blu-ray&DVD情報
Fate / EXTRA Last Encore 1巻
[発売日]
2018年5月23日
[価格]
Blu-ray 完全生産限定版 \8,000(税抜)
DVD 完全生産限定版 \7,000(税抜)
[収録内容]
01「今は旧き辺獄の底 -プレテリトゥス・リンブス・ヴォラーゴ-」
02「死相 -デッドフェイス-」
03「黄金鹿と嵐の夜 -ゴールデン・ワイルドハント-」
[ 完全生産限定版仕様 ]
本編Disc … 01〜03(3話収録)
特典Disc … 録り下ろしドラマCD
特製ブックレット
シャフト描き下ろしジャケット
店舗共通購入特典
ワダアルコ描き下ろし全巻収納BOX&ポートレート
対象の同一店舗にて全巻を連動してお買い上げ頂いたお客様にプレゼント致します。
<対象店舗>
SHAFT TEN,ANIPLEX+,アニメイト,ゲーマーズ,ソフマップ(BD/DVD取扱い店及びドットコム),とらのあな(一部店舗除く),Amazon(【Amazon.co.jp限定】商品のみ対象),WonderGOO/新星堂,メロンブックス,TBS・MBS公式オンラインストア アニまるっ!,キャラアニ.com,HMV,TSUTAYAオンライン
※収納BOXとポートレートは同じイラストになります。
※特典はなくなり次第終了となります。
(C)TYPE-MOON/Marvelous,Aniplex,Notes,SHAFT
- 関連タイトル:
フェイト/エクストラ
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