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ROCCATのゲーマー向けマウス「Pyra Wired&Wireless」レビュー。ワイヤレスとワイヤードの2製品が用意された小型モデルの実力を見る
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印刷2010/10/29 00:00

レビュー

ワイヤレスとワイヤードの2製品が用意された小型モデルの実力を見る

ROCCAT Pyra Wireless,Pyra Wired

Text by fumio


Pyra Wireless(左),Pyra Wired
メーカー:ROCCAT
問い合わせ先:ドスパラ(販売店) 問い合わせフォーム
Pyra Wireless販売価格:6980円(税込 ※2010年10月29日現在),Pyra Wired販売価格:4980円(税込 ※2010年10月30日現在)
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 国内発売からちょっと時間が経ってしまったが,今回は,2010年7月16日に発売された,ROCCAT STUDIOS製のゲーマー向けマウス「Pyra Wireless」「Pyra Wired」を取り上げたい。
 ワイヤレスモデルとワイヤードモデルで左右対称の筐体を共通して採用し,かつ小型という,なかなかに日本市場向けといえるPyraシリーズ。国内ではROCCATの販売代理店であるサードウェーブが,同社の運営するPCショップ「ドスパラ」の店頭および通販サイトでのみ取り扱っているという,特殊な販売形態だけに,「気にはなっていたのだが,近所にドスパラがないので,実機を見たこともない」という人は少なくないと思う。

 果たして使い勝手はどれだけのものなのか。そして,ワイヤードとワイヤレスで使用感に違いはないのか。今回は,実際にドスパラの店頭で購入してきた実機を用いて,テストしてみよう。


Wiredは約70g,Wirelessでも約100gと非常に軽量

素直な形状は「つまみ持ち」しやすい


Pyra WiredのUSBケーブルは,よくあるビニール皮膜のもの。硬さは並,といったところか
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 Pyra WirelessとPyra Wiredが小型筐体を共通して採用しているというのは冒頭で紹介したとおりだが,本体サイズの実測値は62(W)×98(D)×37(H)mm。小型のゲーマー向けマウスといえば,最近では「Razer Orochi」(以下,Orochi)が思い浮かぶが,Orochiでも同68(W)×99(D)×35(H)mmなので,相当に小さいと述べていい。
 ボタン構成は,左右メインにセンタークリックボタン機能付きスクロールホイール,左サイド右サイド各1。本体は,右メインボタン部に刻まれた「ROCCAT」のロゴを除けば左右対称デザインになっている。

4Gamerの比較用リファレンス「G5 Laser Mouse」と並べてみたところ。横幅は若干短い程度ながら,縦方向は相当に縮まった印象だ。横から見ると分かるが,本体の最も高い部分は,本体前後中央より若干後ろ寄りにある
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Pyraシリーズは青色LEDを採用した光学センサーを搭載。青色LEDの光り方を見る限り,Pyra Wirelessではスリープモード有効,Pyra Wiredでは無効になっているようだ。センサー位置が左メインボタン側に寄っているのはワイヤレス,ワイヤード共通
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 実測重量は,まずPyra Wirelessが74.5g。標準で単4形のニッケル水素充電池が2個付属しており,これを取り付けた状態では同97gになるが,それでも非常に軽い。Pyra Wirelessほどの軽さを実現したゲーマー向けのワイヤレスマウスは(少なくとも筆者が記憶する限り)過去には存在しないので,これは大きな長所といえるだろう。

 Pyra Wirelessの電池ボックスは,右メインボタンの下部に設けられているため,重心はどうしても右寄りになってしまうのだが,とくに操作上の問題は感じない。センサーが左メインボタン側にあって,本体を持ち上げてサーフェスの読み取りをカットさせる場合,本体左側が先に持ち上がるというのが,上手い具合に影響しているのかもしれない。

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Pyra Wirelessの底面には,主電源のON/OFFスイッチ,単4形充電池を2本重ねて入れる電池ボックス(※電池を引っ張り出すための取っ手付き),小型のUSBレシーバーを固定して持ち運べる収納スペース,USBレシーバーと同期を取るための[SYNC]ボタンが用意されている
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Pyra Wirelessの充電は,付属するUSB Mini-Bケーブルで行う。同製品はあくまでもワイヤレスマウスで,USBケーブルはあくまでも充電用だ。汎外出先で充電する機会が多そうな場合は,巻き取りタイプの汎用ケーブルを別途用意しておくと便利かも。なお,充電ケーブルが差さっていれば,電池が入ってなくても動作するので,より軽さを求めるときには検討に値する
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Pyra Wirelessで,左右メインボタンの間に置かれているライン状の青色LEDはバッテリー残量インジケータとして機能する。十分に残っている場合はゆっくり明滅し,少なくなってくると速く明滅を繰り返すようになるのだ。ただ,充電時に満充電を示す点灯パターンがないのと,電源をオフにしていても充電中は勝手に電源がオンになるのは不親切

Pyra Wired。Pyra Wirelessと同じく,左右メインボタンの間に青色LEDがあり明滅するが,こちらはただの飾りのようだ
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 続いてPyra Wiredだが,ケーブル込み92g,ケーブルを重量計からどかせた参考値で約61〜65gと,こちらも相当に軽い。小型軽量マウスとして知られる「Razer Abyssus」が,ケーブル込み実測108g,ケーブルをどかした参考値で同72〜75g,Orochiでケーブルを外した状態が同68.5gだったので,これらと同等か,それより軽いわけである。

 実際に握ってみると,両製品とも全体的に直線的かつ素直な形状で,とくに「つまみ持ち」しやすい印象を受ける。両サイド先端〜中央に埋め込まれたラバーパーツが指の滑りを抑止してくれ,さらに,ラバーパーツの手前側で外に膨らんでいくデザインが,つまみ持ちのしやすさにつながっているのだ。

 なら「かぶせ持ち」だとどうか。縦に短い形状のため,本体後方寄りにある山が指の付け根あたりに当たり,いきおい,手のひらと本体カバー部の間にぽっかりと空間が空いたような持ち方にはなってしまうものの,親指がラバーパーツおよび本体後方の膨らみといい感じでフィットしてくれるため,操作性自体は悪くない。マウスが手のひらに密着していないと不安になる人には向かないが,その点が気にならないなら,かぶせ持ちでも十分いけるだろう。

本体両側面には,前端からサイドボタンの下くらいまで,本体サイズを考えると大きめのラバーシートが貼られており,指の滑り止めとして機能するうえ,力を込めると指に合わせて軽く凹み,フィット感を増してくれる(左)。ラバーシート手前側の出っ張りも,指先のフィット感,グリップの向上に役立っている印象
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左右メインボタンと一体化した本体カバーは,指紋汚れ,そして色ムラがけっこう目立つ
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 両製品で共通して残念だったのは,見た目が相当に安っぽいこと。本体側面のラバーパーツに埃(ほこり)が付着しやすいとか,後方の膨らみ部分が光沢加工で汚れが目立ちやすいというのは,他社製品でもよくあるので置いておくとしても,左右メインボタンと一体化した本体カバーで,素材の影響からか,やたらと指紋汚れが目立つのは気になった。また,今回4Gamerでは,Pyra WirelessとPyra Wiredを2台ずつ入手しているが,4台すべてで本体カバー部の塗りムラが確認されるなど,お世辞にも高級感があるとは言い難かった。

Pyra Wirelessを本体前後左右から撮影したカット。直線を多用したデザインであることがよく分かる
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ボタンのクリック感は良好なものの

作りの安さが操作感に負の影響を与えている


ROCCATロゴの「R」のあたりでも入力が可能なメインボタン。あまりにも手前すぎる場所をクリックすると誤入力が発生するので要注意
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 ボタンの使用感に関しては,いくつか厳しめに指摘しておかねばならないことがある。
 まず,メインボタンは,クリックしたとき,マイクロスイッチのカチカチという振動が,本体を覆うカバーを通じて筐体全体に響くのがやや気になった。クリックした指先に感触が強く伝わりすぎるだけでなく,本体を押さえる親指や手のひらなどにも響いてくるのが,シビアな操作をしていると,ときおり神経に障るのである。ボタンのスイッチとカバーが理由というよりは,筐体の作りそのものに原因がある気配を感じる。

 メインボタンの重さや硬さ自体に違和感はなく,カバーの頂点付近という,かなり手前側を押しても入力可能。ただ,左右メインボタンの隙間にある青色LEDよりも手前を押してしまうと,押していないほうのメインボタンまで反応してしまう。もちろん,こんなところを押すケースというのはまずないと思われるが,こういうところからも作りの安っぽさが感じられてしまうのは残念だ。

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サイドボタンはストロークがほとんどなく,クリック感も軽いため,持ち方次第では「押しやすいが誤爆しやすい」使い勝手にすることも可能。ちなみに,左右両サイドボタンを押しながら電源オンにしたりUSBケーブルを差したりすると,ボタン配置が左右入れ替わった“左利きモード”になる
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ラバーコートされたホイールは,本体サイズに合わせて,径の小さいものが採用されているが,普通に使う分には違和感なし。ただ,センタークリック音はかなりうるさい
 次にサイドボタンだが,クリック感は軽く,カチカチとはっきりしている。筆者が右利きなので,右手で持った前提で話を進めると,親指で操作するほうの左側は,親指を意識的に上方向へ持って行かないと押せない一方,誤入力の心配はないという,小型のゲーマー向けマウスでよくある仕様である。
 右サイドボタンは,やろうと思えば薬指の第1関節を曲げるだけで簡単に押下できるが,指を立て気味にしておかないと,力んだとき“誤爆”しやすい印象だ。「右サイドボタンをゲーム中に使うのか?」というと,かなり疑問ではあるのだが,念のため指摘しておきたい。

 中央部分が尖ったような形になっているラバーコート済みスクロールホイールは,スクロールの刻みがしっかりしているため,センタークリック時に回転が入力されてしまうとか,回したつもりが反応しないったこともないため,「センタークリック派は安心していい」という完成度。ただ,センタークリック時の音がやや甲高いうえに大きいのは,ちょっとどうかと思う。


独自機能「EasyShift[+]」は意義ある機能だが

単一キーの割り当てがソフトウェアマクロ依存なのが難点


 Pyra Wireless&Wiredは,専用ドライバとファームウェアで管理する仕様になっており,ドライバソフトウェアをインストールすると,シリーズに共通するユーザーインタフェースの設定ツールが利用できるようになる。
 設定ツールからは,DPIの設定や,Windows側の「マウスのプロパティ」と連動したポインタ速度設定,ボタンへの機能割り当て設定,マクロ設定といった機能が利用可能で,設定内容は最大5つのプロファイルとして登録・切り替え可能だ。

設定ツールのメインメニュー「MAIN CONTROL」。3段階で設定できるDPI設定ボタン,Windows側と連動したポインタ速度設定スライダーのほかに「SENSITIVITY OPTIONS」というスライダーがあるのを不思議に思うかもしれないが,これは,DPI設定とポインタ速度から算出される最終的なポインタ移動量を乗除するだけの,ソフトウェア的な補間機能。基本的にはデフォルトの「5」で放置が正解だ。なお,チルト関連の設定があるのは,サイドボタンなどにチルトを割り当てられるため。上で述べたとおり,スクロールホイールにチルト機能はない
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EasyShift[+]は,BUTTON ASSIGNMENTメニューから設定する。左が通常時に使用される割り当て,右がEasyShift[+]ボタンの押下中のみ使われる割り当てだ。プロファイルやDPIの切り換えなど,瞬時に押す必要のないボタンなら,ゲーム中にも使える可能性がある。サイズの都合で多ボタン化に限界があるPyraだけに,悪くないアイデアとはいえそうだ
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 ざっと見て,それほど特殊な機能が用意されているわけではない設定ツールだが,「BUTTON ASSIGNMENT」メニューから,「EasyShift[+]」(イージーシフト)という機能を利用できる点は,特筆しておく必要があるだろう。
 これは,割り当てたボタンを[Shift]キーのように使えるというもので,「割り当てたボタンを押している間だけ,それ以外すべてのボタンの割り当て内容が変わる」というもの。厳密には正しくないので,あくまでもイメージだが,言ってみれば「EasyShift[+]に設定したボタンを押している間だけ,別のプロファイルに切り替わる」ようなものだ。
 左手用キーパッドの一部で,似たような機能が搭載されていた記憶はあるが,マウス製品では見たことがない。もしかしたら,Pyraシリーズが初めてなのではなかろうか。

 ちなみに,デフォルトのプロファイルでは左サイドボタンがEasyShift[+]に割り当てられており,押下中は左右メインボタンが[Button 4][Button 5](戻る,進む),ホイールスクロールがサウンドボリューム調整になっていた。マウスの2ボタンを同時押しするというのは少し特殊な操作なので,慣れるまではとっさに押しづらいが,ボタン数が多いマウスのように,指をあちこち動かさなくて済む分,慣れやすくはある。

 で,いろいろと設定を弄ってみたのだが,「微妙」と感じたのは,レポートレートが1000Hz固定で変更できないことと,特定のキーを割り当てようと思ったときに「単一のキー押下を割り当てる」機能がなく,その場合でもいちいちマクロエディタを起動しなければならないこと。また,機能はソフトウェア的な実装によるものなので,「nProtect」などのアンチチートツールが動作している環境では利用できないということだ。

マクロ関連を設定する「MACRO MANAGER」画面。基本的には,[START RECORD]ボタンを押したあとに行ったキーボード操作が登録される。マウスボタンの登録も可能だが,あとから右クリックメニューを使って手動挿入してやらねばならないとか,リピート設定はある一方で“押しっぱなし”設定はないなど,機能的には最小限だ
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 マクロ自体,キーボード操作やマウスボタンのクリック,およびそれらの操作間のディレイを設定できる程度と,あくまでも必要最低限といったレベルではあるのだが,単一キーの割り当てすらまともに使えない可能性があるのは残念というほかない。
 なお,「ソフトウェア的な実装」という表現で察してもらえたとは思うが,Pyraシリーズでは設定保存用の本体内蔵フラッシュメモリを搭載していないため,設定内容はすべてPC側に保存される。出先のPCでも自宅と同じ設定で使いたいと思った場合は,自宅からプロファイルを持っていって読み出すか,再設定し直すかの作業が必要になる。


ワイヤードとワイヤレスで若干異なる追従性

無線接続時の安定性も環境に左右されがち


DirectInputベースのレポートレートチェッカー,「Direct Input Mouse Rate」実行結果。上がPyra Wireless,下がPyra Wiredだ。ワイヤレス接続となる前者で1000Hzという仕様に不安を覚える人はいるかもしれないが,ご覧のとおり,きっちり仕様を満たしている
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 Pyra WirelessとPyra Wiredが採用する青色LED採用の光学センサーは,共通して,トラッキング速度130IPS,最大加速度30Gというスペックを持っている。ポーリングレートが1000Hzなのは前述のとおり。トラッキング解像度は400/800/1600DPIからの選択式だ。

 ここからは,そんな2製品のセンサー性能を見ていきたいのだが,先に結論めいたものを述べておくと,接続インタフェース以外に違いのなさそうな2モデルながら,両者には追従性の違いが生じている。それも単純に「○○のほうが優れている」といった話ではない。
 テスト環境は表1のとおりで,テスト方法はその下に列挙してあるが,そこで示したとおり,両製品でファームウェアのバージョンが異なるあたりが,挙動に違いを生んでいる可能性を指摘できそうである(※ファームウェアやドライバは設定ツールから自動更新可能とされているが,テスト時点ではアップデータが提供されていなかった)。

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●Pyra Wireless&Pyra Wiredの設定
  • Pyra Wirelessのファームウェアバージョン:V1.13
  • Pyra Wiredのファームウェアバージョン:V1.24
  • ドライババージョン:V1.35
  • トラッキング解像度:1600DPI
  • 設定ツール側オプション「SENSITIVITY OPTIONS」スライダー:中央
  • Windows側設定「マウスのプロパティ」内「速度」スライダー:中央
  • Windows側設定:「ポインタの精度を高める」:オフ

●テスト方法
  1. ゲームを起動し,アイテムや壁の端など,目印となる点に照準を合わせる
  2. マウスパッドの左端にマウスを置く
  3. 右方向へ30cmほど,思いっきり腕を振って動かす「高速操作」,軽く一振りする感じである程度速く動かす「中速操作」,2秒程度かけてゆっくり動かす「低速操作」の3パターンでマウスを振る
  4. 振り切ったら,なるべくゆっくり,2.の位置に戻るようマウスを動かす
  5. 照準が1.の位置に戻れば正常と判断可能。一方,左にズレたらネガティブアクセル,右にズレたら加速が発生すると判定できる

 テストに用いたゲームタイトルは「Warsow 0.5」。本テストにおいて,ゲーム内の「Sensitivity」設定は,「180度ターンするのに,マウスを約30cm移動させる必要がある」という,マウスに厳しい条件になる0.55に設定し,読み取り異常の発生を分かりやすくさせている。

 以上の環境で,Pyra WirelessとPyra Wiredのテストを行った結果が表2,3だ。

「相性の程度」は,高速/中速/低速操作において問題がなかったか,あったとすればどういう問題が生じたかを示した項目。○は「問題なし」,△は「基本的に問題ないが,まれにおかしな動作が見られる」,▲は「ポインタの移動中,異常な動作が高確率で見られる」,×は「使い物にならないレべルの異常が発生する」ことをそれぞれ示す。なお,ここでいう「異常」とは,「動作中にポインタが反応しなくなる」「ポインタがあらぬ方向へ飛んでしまうような動きをする」「動かす速度によってマウスの実際の移動距離と画面上でのポインタの移動距離が変化する」のいずれかをもってそう判断している
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 両製品で共通しているのは,ローセンシプレイヤーを想定した高速操作時に,読み取り異常が出る傾向にあること。高速操作すると,ネガティブアクセルやポインタ飛びが見られやすく,マウスパッドとの組み合わせによっては,高速でマウスを振ったあと,すぐにマウスを止めても,ポインタだけ動き続けるという現象も見られた。布製のマウスパッド上で,メインボタンをクリックしながら動かすと,より高い頻度で異常が発生した。
 「そんな速度で操作する人はいない」というレベルまで速く振って,初めて「▲」になったケースもあるので,そこまで神経質になる必要はないかもしれないが,他社のゲーマー向けマウスをローセンシ設定で操作するときと比べて,不安になる挙動が多いのは確かだ。

 なお,低〜中速操作で使うなら,ワイヤレス・ワイヤードともまったく問題ないので,この点は明言しておきたい。

 ただ,センサーから少し離れると,Pyra Wirelessの場合,USBワイヤレスレシーバーとの距離がシビアな様子。筆者の自宅では,レシーバーとマウスの距離が50cm離れるとポインタの動きがカクつきはじめ,1mを超えるっと頻繁に停止していた。これまで試したゲーマー向けワイヤレスマウスではなかった事態だ。

 USB延長ケーブルを別途用意して,ワイヤレスレシーバーとの距離を30〜50cmの範囲に収まるようにするとだいぶ安定したが,筆者の環境では,その距離でも数分に一度は引っかかりが生じるなど,安定性は今ひとつ。念のため,ほかのPCで利用しているワイヤレス接続の周辺機器を全部無効化してみたが,それでも抜本的な改善には至らなかったので,ノートPCよろしく,レシーバーとマウスとの距離をギリギリまで近づけるなど,ユーザー側でいろいろ対策する必要があるかもしれない。

Windowsの「ペイント」を起動し,ZOWIE GEARブランドのマウスパッド「G-TF」上で線を引いてみたところ。Pyra WirelessとPyra Wiredで目立った違いはなく,共通して,直線補正も効いているようだ
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「小型ワイヤレス」の価値は相応にある

Wiredも形が気に入ればアリか


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製品ボックス。箱はPyra Wirelessのほうが大きい
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Pyra Wireless,Pyra Wiredとも,製品の台座には「天」と書かれていた。Pyraと聞くと,火を意味する接頭辞「pyro」が浮かぶので,意味は火だと勝手に思っていたのだが,違ったかも
 ドスパラの店頭における両製品の店頭価格は,Pyra Wirelessが6980円,Pyra Wiredが4980円(いずれも税込,2010年10月29日現在)。順に見ていくと,まずPyra Wirelessは,「あと1000円も積めば,Logitech/ロジクールの『Wireless Gaming Mouse G700』(国内製品名『Logicool Wireless Mouse G700』)が買えてしまう」という事実がのしかかってくるものの,「小型」「軽量」で使えるゲーマー向けワイヤレスマウスとしては,一定の価値を認めることができるだろう。
 無線接続の安定感に過度な期待を寄せると痛い目を見るかもしれないうえ,作りの安っぽさ,ローセンシ向けではないことなど,覚悟が必要な部分はあるが,他社製品と明快に差別化できているだけに,いろいろ納得できるならアリだ。

 一方のPyra Wiredだが,作りの安さや,高速操作時の追従性が今ひとつという懸念点はあるものの,Abyssusや,DHARMAPOINTの「DHARMA TACTICAL MOUSE(DRTCM02)」より若干安価というメリットはあるので,形状や,EasyShift[+]に魅力を感じるなら,こちらも検討に値するだろう。逆に,いま挙げたポイントに魅力を感じないなら,再考することを勧めたい。

ドスパラ直販サイトのROCCAT製品販売ページ

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