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印刷2010/01/25 13:49

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海外ゲーム四天王 / 第30回:「Wings of Prey」

海外ゲーム四天王 〜戦うおじさん〜
第30回:今週のああ,落ちる!:「Wings of Prey」
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 「第二次世界大戦をテーマにした,リアル系のコンバットフライトシミュレータ」は,新作の少ない,とてもレアなゲームジャンルだ。フラップ下げてエンジンかけて,離陸。なんか足りないなあ……あ,車輪を上げ忘れた! というゲーム内容は,なんちゅうか,カジュアルな昨今のプレイヤーにはマッチしなくなっているのも事実。
 だが,今週の「海外ゲーム四天王」で紹介する「Wings of Prey」は,そこまではシビアではないものの,かつてのリアル系フラシムの楽しさを十分に教えてくれる一本に仕上がっているのだ。

誰でもエースパイロットになれる(かもしれない)美しいグラフィックスで,過酷な空中戦を戦い抜こう

 

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 敵機発見! てーっ! はずれ。グルーっと回って,敵機再発見! てーっ! はずれ。グルーっと回って……ああ,リアル系のフライトシミュレータって,なんて面白いのだろう! という気分を久々に味わえるのが,今週紹介する「Wings of Prey」である。
 ゲーム紹介に入る前にまず驚きたいのが,開発したのがロシアのGaijin Entertainmentであるというところ。Gaijinといえば,もちろんあの「Xブレード」(PC/PlayStation 3/Xbox 360)によって日本での認知度を一気に高めたメーカーで,露出の多い服を着たジャパンアニメ調のヒロイン“アユミ”が,鉄砲つきの大刀を振るってモンスター相手に大暴れするというゲームを作ったデベロッパの次のタイトルが,第二次世界大戦を背景にした戦闘機フラシムだったのである。これはビックリ!

 

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 もっともこのGaijin,日本に(北米もそうみたいだが)入ってこないので知られていないだけで,FPSからレーシングまで,けっこう多ジャンルにわたるゲームをいろいろ制作してきた会社のようだ。彼らが「薄着ギャルが当たったので,次はもっと薄着にしよう」という安直な方向に行かなかったのが,嬉しいやら悲しいやら。
 2010年1月7日に掲載したデモ版記事にもあるように,本作はPlayStation 3/Xbox 360用ゲームとして2009年9月にリリースされた「IL-2 Sturmovik: Birds of Prey」をPC向けにしたものだ。PCにポーティングするに当たってタイトルが変更され,ついでといっちゃなんですが,NVIDIA SLIにも対応した(関連記事)。

 

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 IL-2 Sturmovikといえば,2001年に発売された「IL-2 Sturmovik」を元祖とするシリーズで,「IL-2 Sturmovik: Forgotten Battles」(2003年),「Pacific Fighters」(2004年),「IL-2 Sturmovik: 1946」(2006年)など,これまで数多くのタイトルがリリースされてきたフラシムファンおなじみのもの。ちなみに,PC向けのリアル系コンバットフラシムとしては,ほかにMicrosoftのCombat Flight Simulatorシリーズが高い人気を誇っていたが,2002年の「Combat Flight Simulator 3: Battle for Europe」で息切れしちゃったらしいので,IL-2 Sturmovikは,コンバット系のフラシムファンにとって唯一無二,まさに孤高のシリーズといえるだろう。そんなシリーズの最新作が本作になるわけだが,従来作がすべてロシアのパブリッシャ/デベロッパである1C Companyの手によって開発されていたのに対し,本作は上記したようにGaijin製。コンシューマ機向けのバージョンが出たのもシリーズ初なので,ゲーム性には微妙な違いがあるはずだ。それが吉と出るか,凶と出るか? 前置きが長くなったが,さっそく戦闘開始だ。
 ゲームの難度としては,「Arcade」「Realistic」「Simulator」の三種類が用意されており,この順で難しくなっていく。違いは敵の堅さや機体の安定具合,ミニマップやブラック/レッドアウトの有無などだが,燃料と弾薬に制限をつけるかどうかは,どの難度でも選べる。

 

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 もちろん,オススメするのは,だんぜんArcadeだ。Arcadeになると機体は安定し,空中戦で激しい機動をしても全然平気で,敵機は数発の弾丸を食わせただけで飛散し,背もグングン伸びて女の子にモテモテになる。ここだけの話にしてほしいが,これまでのシリーズを半泣きでプレイしていた筆者も,エースパイロットの気分を満喫できたほどだ。

 掲載したスクリーンショットからも分かると思うが,グラフィックスのレベルは非常に高く,時代が違うといえばそのとおりなのだが,PC向け従来作をしのぐデキだ。燃え上がるスターリングラードやベルリン,ドーバーの白い海岸など,一見の価値あり。

 

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 登場する機体はイギリス,ドイツ,アメリカ,そしてイタリアから46種類(搭乗できない機体も含む)で,シリーズでおなじみだが,読み疲れるほど詳細なデータが参照できる。ただし,シングルプレイの場合,機体はミッションに固定されており,「オレは今日Ar 234Bでロシア上空を飛びたい気分」というわけにはいかないのが残念だ。地上のグラフィックス同様,機体のモデリングやコクピットの描き込みも抜群である。

 

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 難度RealisticとSimulatorは,もちろん上級者向けで,従来作の熱烈プレイヤーはこちらをオススメしたいが,イヤならいいです。とはいえ,どのミッションでも離着陸の必要はなく,目的地のほぼ上空を飛んでいる状態でスタート。「一定数の敵機の撃墜」や「地上目標の破壊」といった目的を達成した時点で自動的にコンプリートになるのだ。そのため,橋は爆弾で壊したし,敵機も撃退したが,最後の着陸で墜落してミッション失敗という,泣くに泣けないが泣くしかない事態はおおむね避けられる。全体として,従来作に比べてかなりカジュアルになったという雰囲気だ。

 

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 結論としては,従来作の面倒な部分を適宜オミットして,ビギナーからベテランまで楽しく遊べる一本になっている。この手のゲームをほとんどプレイしたことがないという人でも,空中戦の面白さを十分に味わえる。玄人向けという印象の強いコンバットフラシムだが,これならオススメだし,新作がほとんど出てこないジャンルに,ここまで作り込んだ新作を投入してくれたGaijinの心意気を買いたい。私に買われても困るだろうけど。蛇足ながら,ジョイスティックは必須だと思うなあ,ぼかぁ。

 

コラム:一度はやりたいマルチプレイ
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 マルチプレイ目当てでコンバットフライトシミュレータをプレイするPCゲーマーも多いが,もちろん本作にもマルチプレイモードが用意されている。
 ゲームモードとしては,「Dogfight」「Team Battle」「Strike」,そして「Capture Airfield」の4種類で,内容は容易に想像できるが,まあどれも基本的なものだ。マルチプレイに参加するには,Gaijin Entertainmentの運営するYuPlayに無料登録して,専用にサーバーに入る必要がある。「シングルで敵なし」という状態になった人は,ぜひマルチに参戦して,世の中って広いなあという気分を満喫してほしい。

 

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■■松本隆一(4Gamer編集部/エースパイロット)■■
 ジェット旅客機からレシプロ戦闘機まで,昔から好んでフライトシミュレータをプレイしてきた松本だが,好んでプレイしてきただけで,あまりうまくないのが泣きどころ。今回も,地上攻撃に熱中するあまり地面に激突したり,海上攻撃に熱中するあまり海面に激突したりと,敵機以外に撃墜されるケースが頻発し,ますますそのプレイぶりに磨きがかかっているようだ。
  • 関連タイトル:

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